水平連携ネットワーク
白書編 第3回
「今日は『水平連携ネットワーク』を、二次の現場でどう使うか、じっくり見ていきましょう」。動画はこの一言から始まります。このページでは動画の流れにそって、出やすい事例と場面、与件文のサイン、情報の整理、答案への落とし込み、やっちゃいけないパターン、最後の整理をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
水平連携ネットワークを、二次の現場でどう使うか
今日は「水平連携ネットワーク」を、二次の現場でどう使うか、じっくり見ていきましょう。
はい、これ、知識としては知ってるんです。同業種同士が協力するってやつですよね。でも本番の答案でどう使えばいいのか、実はあんまり自信ないんです。
そうなんですよね。定義は知ってる、でも与件文のどこで「あ、これだ」って気づけばいいのか、そこで止まる人がすごく多いんです。
まさにそれです。読んでるときは普通に流しちゃって、後から解答例を見て「あ、ここで使うところだったんだ」って気づく、みたいな。
今日はそこを潰していきましょう。与件文のどの記述に反応して、どう整理して、どう答案に落とし込むか、一気通貫でいきます。
お願いします!
どの事例で、どういう場面で出やすいか
まず、この論点はどの事例で、どういう場面で出やすいと思いますか?
うーん、同業種っていうくらいだから、事例Ⅱの商店街とかでしょうか。
近いです。事例Ⅰと事例Ⅱでよく出ます。同業の中小企業同士が共同で受注したり、共同で仕入れたり、共同で出荷したり、あるいは共同でブランドを作ったりする場面。商店街の個人店同士が連携してイベントをやる場面でも出ますね。
あー、商店街の合同イベントとか、たしかにありそうです。
しかもこの論点、単独では出てこないことが多いんです。「企業連携」という大きなくくりの中に、垂直的連携と水平的連携の両方が並ぶ形で出やすい。以前扱った垂直連携とセットで問われるイメージです。
じゃあ、垂直か水平か、どっちを問われているのかをまず見極める必要があるんですね。
そうです。見極め方は後でじっくりやりますが、まずは「同業種同士が手を組む場面」が来たら、この論点のスイッチが入る、と覚えておいてください。
与件文のどんな記述が出たら、そのスイッチを入れるか
了解です。じゃあ、与件文のどんな記述が出たら、そのスイッチを入れればいいんですか?
代表的なのは3パターンです。1つ目、同業種の中小企業同士で組合や協業組織を作っている、共同で受注や仕入をしているという記述。
「組合」とか「協業組織」っていう言葉自体が出てきたら、もう反応していいってことですか?
そこまで直接的でなくても大丈夫です。「同業者数社で共同の窓口を持っている」とか、そういう間接的な表現でも同じサインです。2つ目は、単独では対応できない大口案件を、他社と組んで受注したという記述。
あー、それ、なんか納得します。1社だと断らざるを得なかった注文を、複数社で受けられるようになった、みたいな話ですよね。
まさにそれです。3つ目が、同業者同士が競合しつつも一部で協力しているという記述。ここが一番見落とされやすいところです。
競合してるのに協力……その両立、ちょっとイメージしづらいです。
たとえば、近所の個人経営のパン屋さん3軒が、普段はお客さんを取り合うライバル同士だけど、小麦粉やバターをまとめて発注するときだけ一緒に注文する、みたいなイメージです。仕入れの部分だけ手を組んで、コストを下げる。
なるほど、競争する場面と協力する場面を切り分けてるんですね。それなら両立しますね。
そうです。与件文でこの「競合しつつ一部協力」という構図が出てきたら、水平連携の可能性がかなり高いと思ってください。
見つけた後、どう情報を整理していくか
サインは分かりました。見つけた後、どう情報を整理していけばいいんですか?
軸は2つです。1つ目が「この企業が単独では持てていない経営資源は何か」。生産能力なのか、営業力なのか、ブランド力なのか、資金力なのか。
それを与件文から拾い出すんですね。
はい。2つ目が「連携によってその不足がどこまで補えているか」。この2つをセットで整理すると、答案の骨格ができます。
単独では無理だったことが、連携すると可能になる範囲、ってことですね。
その通りです。ここで軸に置いてほしいのが、水平連携は「同じ工程・同業種の企業が、規模の経済と範囲の経済を得るための連携」だという理解です。垂直連携のように「工程を分担する」話ではなく、「同じことをやる企業同士が、まとまることで得をする」話なんです。
規模の経済っていうのは、まとめて仕入れたり作ったりすることでコストが下がる、あの話ですよね。
そうです。範囲の経済は、複数社が持つ設備やノウハウを組み合わせることで、単独では手が届かなかった仕事の幅にまで対応できるようになる、という効果です。この2つを軸に与件文の情報を並べ替えると、整理がすごくしやすくなります。
整理できたら、どう答案に落とし込むか
整理できたら、どう答案に落とし込むんですか?
型は3段構えです。①単独では対応できない規模・範囲を、連携で補完している。②共同受注・共同仕入・共同ブランド化によって効率化している。③競合関係にありつつも協調する領域を切り分けている。この3つを、与件文の根拠に合わせて組み立てます。
3つとも毎回全部書くんですか?
与件文にその根拠がある部分だけで大丈夫です。無理に3つ全部を埋めようとしなくていいです。それより大事なのが、連携で生まれるメリットを具体的に書くこと。規模の経済、リスク分散、情報・ノウハウの共有、このあたりを与件文の記述に紐づけて書いてください。
「規模の経済が働きます」だけじゃなくて、それが与件文のどの事実から言えるのかまでセットにするんですね。
そうです。抽象的な言葉だけで終わると、点数が伸びない答案になりがちです。与件文の事実と効果の名前、この組み合わせを崩さないでください。
やっちゃいけないパターン
ここまでで結構つかめてきました。逆に、やっちゃいけないパターンってありますか?
一番多いのが、垂直連携ネットワークとの混同です。水平連携は「同工程・同業種」、垂直連携は「異工程・異業種」で区別します。ここを取り違えると、答案の軸そのものがズレます。
あ、私それやりそうです……。「連携」って言葉だけ見て、どっちのタイプかちゃんと確認せずに書いちゃいそうです。
だからこそ、与件文で「誰と誰が組んでいるか」を必ず確認してください。同業の会社同士なら水平、川上・川下の会社や異業種となら垂直です。
もう1つ聞きたいんですけど、農商工連携っていう言葉も聞いたことあります。あれも水平連携の仲間なんですか?
いえ、それも別物として区別してください。農商工連携は、商工業者と農林漁業者が組む連携のことです。つまり業種としては農業側と商工業側という、はっきり異なる分野同士が組む形なので、水平連携とはまったく違います。
垂直連携とも違うんですか?
垂直連携はあくまで「同じサプライチェーンの上流・下流」という工程のつながりが軸ですが、農商工連携は工程のつながりというより、農業分野と商工業分野という業種のカテゴリそのものが軸になっている連携です。似ているようで、注目している軸が違うんです。
なるほど、「同業種でまとまる」のが水平、「サプライチェーンでつながる」のが垂直、「農業と商工業という異なる分野が組む」のが農商工連携、という感じですね。
その整理で大丈夫です。もう1つ注意してほしいのが、単なる「同業者と仲良くする」という抽象論で終わらせないこと。仲良くしているという事実だけでなく、そこから規模の経済・範囲の経済という経営学的な効果が生まれている、というところまで書かないと、得点にはつながりにくいです。
まとめ
今日の内容、最後にもう一度整理してもらえますか?
はい。まず、水平連携は「同業種・同工程の企業が規模の経済・範囲の経済を得るための連携」だと押さえてください。与件文では、共同受注・共同仕入・共同ブランド化、そして「競合しつつ一部協力」という記述がサインです。
整理の軸は、単独で足りない経営資源と、連携で補える範囲でしたね。
そうです。答案は、①連携による規模・範囲の補完、②共同受注・共同仕入・共同ブランド化による効率化、③競合と協調の切り分け、この3つの型を与件文の根拠に合わせて組み立ててください。
そして垂直連携や農商工連携との違い、誰と誰が組んでいるかを必ず確認する、ですね。
その通りです。同業種の連携が出てきたら、規模の経済と範囲の経済、このキーワードをすぐに引き出せるようにしておいてください。それだけで、本番での対応力がかなり変わってきます。
知識はあったのに使えなかった理由、今日でだいぶスッキリしました。ありがとうございました!
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