聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

海外進出①国内外の機能分担

白書編 第7回

白書編 コアは国内、量産は海外?二次で差がつく役割分担の型9分27秒2026年9月3日公開

「今日のテーマは『海外進出』です。海外に拠点を持つ企業が出てきたとき、二次試験でどう問われるか、一緒に整理していきましょう」。このページでは、与件文の着眼点、国内に残すべき機能と海外に移すべき機能の仕分け、三段構成の答案の型、混同・誤答しやすいポイントを、動画の流れにそってまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

「連携を強化」と書いたが、点が伸びなかった

今日のテーマは「海外進出」です。海外に拠点を持つ企業が出てきたとき、二次試験でどう問われるか、一緒に整理していきましょう。

あ、これ知識としては知ってます。海外進出のメリット・デメリットとか、進出形態の話とか。でも正直、二次の与件文でこれが出たとき、何を書けばいいのか毎回迷うんです。

そうなんですよね。知識はあるのに、本番でどこに気づいて、何を書けばいいかが分からない。今日はまさにそこを埋めていきます。

お願いします。前に模試で海外拠点の企業が出たとき、なんとなく「連携を強化すべき」って書いたんですけど、点が伸びなかったんです。

それ、実は今日扱う論点の核心にすごく近いところで止まっちゃってるんですよ。「連携を強化」だけだと、何をどう強化するのかが与件文の言葉になっていないんです。

うっ、耳が痛いです。

この論点がどう出るか

まず、この論点がどう出るかから話しましょう。事例Ⅰと事例Ⅲで、海外に生産拠点や販売拠点を持つ、あるいは持とうとしている中小企業として出てきます。

事例Ⅰだと組織の話、事例Ⅲだと生産の話って感じですか。

そうです。「海外子会社の生産効率が上がらない」とか、「国内の技術部門と海外拠点の連携が弱い」といった与件文が与えられて、機能分担のあり方を助言する場面で問われます。

「機能分担のあり方」っていうのがポイントなんですね。海外進出した後、国内と海外でそれぞれ何を担うべきかっていう。

まさにそこです。進出そのものの是非ではなく、進出した後の話だという点、まず押さえておいてください。ここは後でもう一度触れます。

はい、覚えておきます。

事例Ⅰ組織の話事例Ⅲ生産の話与件文「海外子会社の生産効率が上がらない」「国内の技術部門と海外拠点の連携が弱い」機能分担のあり方を助言する場面で問われる進出そのものの是非ではなく進出した後の話
この論点がどう出るか

与件文のどこを見ればこの論点だと気づけるか

次に、与件文のどこを見ればこの論点だと気づけるか。着眼点の話に入ります。

与件文にキーワードみたいなものが出るんですか。

キーワードというより、いくつかの記述パターンです。まず、海外拠点を設立した経緯の記述。現地市場を開拓したかったのか、コスト削減が目的だったのか、取引先の海外進出に追随したのか。

それ、書いてあっても読み飛ばしがちです。単なる会社の歴史紹介だと思っちゃって。

そこ、実はすごく大事です。設立の経緯によって、国内外にどんな機能を置くのが自然かの前提が変わってきますから。

なるほど、経緯を読んだ時点で、この後どんな機能分担の話になりそうか、ある程度予測できるってことですね。

そうです。次に、国内本社が担っている機能と、海外拠点が担っている機能、それぞれの記述。研究開発や高付加価値の工程、品質管理は国内、量産や現地販売は海外拠点、という形で書かれていることが多いです。

それって、なんとなく「国内の方がレベルが高い仕事をしている」って読めばいいんですか。

レベルというより役割の違いですね。国内は付加価値を生む頭脳的な機能、海外は現地でしかできない機能。この対比が与件文に出ていたら、必ずチェックです。

もう一つ、さっき先輩が言ってた「連携が弱い」みたいな記述もサインですよね。

その通りです。海外拠点と国内のコミュニケーション不足、情報共有の遅れという記述が出たら、それはこの論点で助言すべき課題そのものです。国内エンジニアが頻繁に海外へ出張しているとか、海外拠点でクレームが増えているといった間接的な表現で出てくることもあるので、直接「連携が弱い」と書いていなくても油断しないでください。

直球で書いてないパターンもあるんですね、気をつけます。

① 海外拠点を設立した経緯現地市場を開拓したかったのかコスト削減が目的だったのか取引先の海外進出に追随したのか② 国内本社が担っている機能と、海外拠点が担っている機能国内本社研究開発高付加価値の工程品質管理海外拠点量産現地販売③ 「連携が弱い」という記述コミュニケーション不足、情報共有の遅れ国内エンジニアが頻繁に海外へ出張している海外拠点でクレームが増えている
与件文の記述パターン

国内に残すべき機能と、海外に移すべき機能の仕分け

着眼点が拾えたら、次はその情報をどう整理するかです。ここでの整理の軸は、国内に残すべき機能と、海外に移すべき機能の仕分けです。

具体的にはどう仕分けるんですか。

国内に残すべき機能は、コア技術、研究開発、最終的な品質保証。海外に移すべき機能は、労働集約的な量産工程、現地市場への対応です。与件文からこの二つの箱に情報を振り分けていくイメージです。

箱に振り分ける、いいですね。でも振り分けただけで終わっちゃダメですよね。

鋭いですね、その通りです。二つの箱をどうつなぐかの仕組みまで整理しないと片手落ちになります。定期的な人材交流、情報システムでの一元管理、現地への権限委譲の範囲、この三つが連携の仕組みとしてよく問われます。

国内に残すべき機能コア技術研究開発最終的な品質保証海外に移すべき機能労働集約的な量産工程現地市場への対応二つの箱をどうつなぐか定期的な人材交流情報システムでの一元管理現地への権限委譲の範囲
国内に残すべき機能と、海外に移すべき機能

身近な例:家具メーカー

たとえば、身近な例で言うとどんな感じですか。ちょっとイメージしたいです。

いいですね。家具メーカーを思い浮かべてください。看板商品の設計や、仕上げの最終チェックは本社の工房でやる。でも大量に部材を加工する作業は、海外の工場でやりますよね。

あ、それ分かりやすいです。設計と仕上げは本社に残す、量産は海外工場に任せる。

そうです。でも海外工場任せにしたまま放っておくと、部材の仕上げ精度が工場ごとにバラバラになったり、品質が本社の基準と違ってきたりします。

だから本社の職人が定期的に海外工場を回って指導したり、仕様をマニュアル化して共有したり、ある程度の裁量は現地の工場長に任せたりする必要があるんですね。

まさにそれが、人材交流・情報共有・権限委譲の三点セットです。海外拠点も同じで、コア機能を国内に残すだけでなく、双方をつなぐ仕組みまでセットで考える必要があります。

実際の解答にどう落とし込めばいいか

整理の仕方は分かりました。じゃあ、それを実際の解答にどう落とし込めばいいんですか。

型としては三段構成です。①国内外の機能分担を明確化する、コアな機能は国内に残す。②双方向の連携の仕組みを作る、人材交流・報告体制・ITでの情報共有。③現地への適切な権限委譲。この三つを与件文の言葉で肉付けして書きます。

三つとも書かないといけないんですか。字数的にきつくなりそうですけど。

設問の字数配分によりますが、①だけで終わらせると、さっき私が話が伸びなかった理由と同じで、「連携を強化すべき」レベルの薄い解答になってしまいます。②の具体策まで書けるかで差がつきます。

なるほど、①は前提、②が本体って感じですね。

① 国内外の機能分担を明確化するコアな機能は国内に残す② 双方向の連携の仕組みを作る人材交流・報告体制・ITでの情報共有③ 現地への適切な権限委譲この三つを与件文の言葉で肉付けして書く
三段構成

単純な二択で考えてしまうこと

いい理解です。それと、絶対に避けてほしいのが、単純な二択で考えてしまうことです。「海外に全部移す」か「国内に全部残す」かのどちらかで解答を組み立てるのは、この論点では基本的に不正解方向です。

あ、それやりそうです。「国内回帰すべき」みたいに書いちゃいそう。

与件文がそこまで示唆していない限り、機能ごとの最適配置という視点、つまりどの機能をどちらに置くのが最適かという発想で組み立てるのが基本です。

機能ごとに考える、これ意識しないとすぐ全部移す・全部残すの二択に飛びついちゃいそうです。

混同・誤答しやすいポイント

では、ここで最後、混同・誤答しやすいポイントを整理しましょう。まず一つ目、この論点は海外進出そのものの是非を論じる問題ではないということです。

さっき最初の方でも触れてましたね。

はい。「進出後の国内外の役割分担」が問われている、という点を見失うと、答案が「海外進出すべきかどうか」の議論にずれてしまいます。

与件文で既に海外に拠点があるなら、進出済みが前提で、その先の運営の話をしないといけないってことですね。

そうです。二つ目、似た論点との混同にも気をつけてください。「中小企業の海外展開」という論点、アウトソーシングや提携形態の選択を扱う論点がありますが、あれとは似ているようで違います。

どう違うんですか。

「中小企業の海外展開」は、これから海外にどう出ていくか、進出の仕方そのものを問う論点です。今日扱っているのは、進出した後、国内外の機能をどう運営していくかという論点です。「進出の仕方」と「進出後の運営」、時間軸が違うと考えると整理しやすいです。

与件文を読んで、「これからどう進出するか」の話なのか、「もう進出していて、その後どう運営するか」の話なのか、まず時系列を確認すればいいんですね。

その通りです。もう一つの誤答パターンが、さっき話した国内外どちらかに全機能を寄せる極端な解答です。この二つ、似た論点との混同と、極端な二択、どちらも本番でやりがちなので、答案を書く前に自分の解答がどちらかに当てはまっていないか、一度チェックする癖をつけてください。

「進出の仕方の話じゃないか」「二択に寄っていないか」、この二つをチェックポイントにします。

中小企業の海外展開これから海外にどう出ていくか進出の仕方今日扱っている論点進出した後、国内外の機能をどう運営していくか進出後の運営時間軸が違う
進出の仕方と進出後の運営

まとめ

いいですね。では最後にまとめます。今日の論点は、海外進出後の国内事業と海外事業の機能分担・連携でした。

与件文では、海外拠点設立の経緯、国内と海外それぞれが担う機能の記述、連携不足を示す記述、この三つを拾うのがスタートでしたね。

そうです。整理は、コア機能を国内に残す箱と、量産・現地対応を海外に置く箱への仕分け、そしてそれをつなぐ人材交流・情報共有・権限委譲の三点セット。

解答は、①機能分担の明確化、②連携の仕組み、③現地への権限委譲、この三段構成で、単純な二択に逃げないこと。

最後に、進出の是非や進出の仕方の論点と混同していないか、極端な二択になっていないか、この二点を答案を書く前にチェックする。これができれば、本番でこの論点に気づいたときの得点力がぐっと上がります。

今日はありがとうございました。次に海外拠点が出てきたら、まず経緯と機能分担の記述を拾いにいきます。

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