聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

価格交渉力を持つための条件

白書編 第2回

白書編 値上げ交渉で終わらせない、代替不可能性とデータで裏付ける読み方9分43秒2026年9月3日公開

「コスト、上がってるのに価格に転嫁できない。二次の与件文で、そういう発注元との力関係に苦しんでいる会社、よく出てきますよね」。動画はこんな言葉から始まります。このページでは動画の流れにそって、事例Ⅱと事例Ⅳでの出方、与件文の3つの着眼点、交渉力の源泉の3つの軸、解答の3点セット、コストダウンと価格転嫁の違い、本番のチェックポイントをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

値上げしましょう、それだけだと点が伸びない

コスト、上がってるのに価格に転嫁できない。二次の与件文で、そういう発注元との力関係に苦しんでいる会社、よく出てきますよね。

あー、知識としては知ってます。原材料費とかエネルギー価格が上がって、収益が圧迫されてるっていうやつですよね。でも、あれ見るたびに「じゃあ助言としてどう書けばいいんだ」って手が止まるんです。

そうそう、値上げしましょうって書きたくなるんですけど、それだけだと点が伸びないんですよ。今日はその、価格交渉力を持つための条件、二次でどう使うかをやっていきます。

主に事例Ⅱと事例Ⅳ

お願いします。まず、これってどの事例で出るんですか?

主に事例Ⅱと事例Ⅳですね。事例Ⅱなら、発注元の言い値で買い叩かれている、値上げを言い出せない立場にある、という与件文に対してどう助言するか。事例Ⅳなら、それが数字面での収益圧迫として表れて、財務指標の悪化の理由づけに絡んできます。

なるほど、事例によって出方は違うけど、根っこは同じ論点ってことですね。

そうです。それと、価格転嫁っていうのは今の中小企業全体にとって大きなテーマです。特定の数字を覚える話じゃなくて、多くの中小企業がまだ交渉で不利な立場にある、という前提を持っておくと読みやすくなる、というくらいに捉えてください。

数字そのものより、そういう時代背景があるって知っておくのが大事なんですね。

事例Ⅱ発注元の言い値で買い叩かれている値上げを言い出せない立場にある事例Ⅳ数字面での収益圧迫財務指標の悪化の理由づけに絡んでくる
主に事例Ⅱと事例Ⅳ

与件文のどこを見たらこの論点だって気づけるか

はい。じゃあ、与件文のどこを見たらこの論点だって気づけるか、いきましょう。まず一番わかりやすいのが、原材料費やエネルギー価格の上昇分を価格に転嫁できていない、交渉で発注元に押し切られている、という記述です。

それは、はい、そこは私も見つけられます。問題はその後なんですよ。そこに気づいた後、何を拾いに行けばいいのかが分からなくて。

そこですよね。次に見るべきは、自社の製品やサービスの独自性についての記述です。技術力、品質、納期対応力。これが与件文のどこかに書いてあったら、それは交渉力の源泉になる材料です。

あ、それ、私、読み飛ばしてました。強みの説明だと思って、価格交渉の話とは別枠で処理してたんです。

そこが今日一番伝えたいところです。強みの記述って、単独の加点要素としてだけじゃなく、価格交渉力の裏付けとしても使えるんですよ。もう一つ、コストを製品単位や工程単位で把握できているか、できていないか、という記述も見てください。

それは、原価計算ができてるかどうか、みたいなことですか。

そうです。把握できていなければ弱み、できていれば強みとして使える情報です。この3つ、価格転嫁できていない記述、独自性の記述、原価把握の記述、この3つがそろって初めて、価格交渉力の論点だと確信を持てます。

価格転嫁できていない記述原材料費やエネルギー価格の上昇分を価格に転嫁できていない交渉で発注元に押し切られている自社の独自性の記述自社の製品やサービスの独自性技術力、品質、納期対応力原価把握の記述コストを製品単位や工程単位で把握できているかできていないかこの3つがそろって初めて価格交渉力の論点だと確信を持てる
3つの着眼点

交渉力の源泉を3つの軸で整理する

見つけた後は、どう整理すればいいんですか。バラバラに拾っただけだと、答案にまとめられなくて。

交渉力の源泉を3つの軸で整理します。1つ目が代替不可能性、自社にしかできない技術や品質があるかどうか。2つ目がコストの見える化、原価をデータで示せるかどうか。3つ目が発注元との関係の対等性、取引先がどれだけ分散しているか、依存度が高くないか。

さっき出てきた3つの着眼点と、そのままつながってますね。

そうなんです。着眼点で拾った与件文の記述を、この3つの軸のどれに当たるかで仕分ける。そうすると答案の骨格が自然に見えてきます。

① 代替不可能性自社にしかできない技術や品質があるかどうか② コストの見える化原価をデータで示せるかどうか③ 発注元との関係の対等性取引先がどれだけ分散しているか依存度が高くないか
交渉力の源泉を3つの軸で整理

身近な例:フリーランスが単価を上げてほしいとお願いする場面

身近な例で言うと、どんな感じになりますか。イメージしにくくて。

たとえば、フリーランスで仕事をしている人が、単価を上げてほしいと発注元にお願いする場面を想像してください。ただ「物価が上がったので上げてください」だけだと、通らないことが多いですよね。

たしかに、それだと通らないですね。なんとなく分かります。

でも、自分にしかできない専門性を示して、作業時間や工数のデータを見せて、他にも取引先があって一社に依存していないことを伝えたら、話は変わってきます。

あ、それ、さっきの3つの軸そのままですね。代替不可能性、データでの見える化、取引先の分散。

そのとおりです。この3つがそろって初めて、対等な立場で交渉できる。中小企業も構造としては同じで、独自性、原価データ、取引先分散、この3つを与件文からどれだけ拾えるかが勝負になります。

なるほど、だから与件文を読むときも、この3軸のどれに当てはまるかを意識しながら線を引けばいいんですね。

解答への落とし込み:この3点セット

はい、そこまで整理できたら、次は解答への落とし込みです。型としては、自社の技術・品質面での代替不可能性を高める、それに加えて原価をデータで可視化しコスト上昇分を根拠を持って提示する、そして特定の取引先への依存度を下げて対等な交渉関係を作る、この3点セットです。

3つとも入れないといけないんですか。

与件文の記述量にもよりますが、基本はこの3点を意識して書くと、点数が広く拾える答案になります。それと、絶対に外してほしくない視点があって、価格交渉力は言い値で頑張る根性論じゃなくて、事前の準備によって生まれるものだということです。

準備っていうのが、データと独自性と取引先分散、ってことですね。

そうです。この視点を答案のどこかに一言でも入れられると、単なる値上げ交渉の提案じゃなくて、交渉力そのものを高める提案になります。

自社の技術・品質面代替不可能性を高める原価をデータで可視化コスト上昇分を根拠を持って提示する特定の取引先への依存度を下げて対等な交渉関係を作る価格交渉力は言い値で頑張る根性論じゃなくて事前の準備によって生まれる
3点セット

字数が短い設問だと

字数が短い設問だと、3点セット全部を入れるのは厳しくないですか。

そのとおりです。字数が短ければ、与件文で一番強く書かれている軸を1つか2つに絞って厚く書き、残りは短く触れる程度でいい。逆に字数に余裕があれば、3点セットをまんべんなく書いて、最後に「言い値で頑張るのではなく」という視点を一言添える、という配分が使いやすいです。

全部を均等に書こうとしなくていいんですね。字数と与件文の記述量、両方を見て決める。そこ、私、いつも「価格交渉をする」で終わらせちゃってました。

一番やりがちな誤答パターン

それ、実は一番やりがちな誤答パターンです。単なる値上げ交渉をする、という精神論や営業論だけで終わらせてしまう。交渉力の裏付けになる客観的な根拠、原価データや技術的優位性を、答案に必ず入れてください。

気持ちで交渉するんじゃなくて、根拠を持って交渉する、ってことですね。

コストダウンと価格転嫁は別物

もう一つ、よく混同されるのが、コストダウン、つまり原価低減の論点と、価格転嫁、つまり適正な価格への引き上げの論点です。この2つは別物なんです。

え、どちらもコストの話だから、似たような対応策になりませんか。

一見似てますけど、狙いが逆なんです。コストダウンは自社の努力でコストそのものを下げる方向。価格転嫁は、上がったコストを取引価格に反映させて、適正な価格をもらう方向です。与件文が価格転嫁の話をしているのに、コストダウンの答案を書いてしまうと、設問のズレになります。

なるほど、収益が圧迫されてる、っていう同じ症状でも、原因がコスト構造の非効率なのか、価格に転嫁できていないことなのかで、処方箋が変わるんですね。

まさにそこです。与件文が、原材料費やエネルギー価格の上昇分を転嫁できていない、と書いているなら、それは価格転嫁の論点。自社の生産性や工程に無駄がある、と書いているなら、それはコストダウンの論点。読み分けが大事です。

両方の記述が同時に出てきたらどうするんですか。

その場合は両方触れていいですが、優先順位をつけてください。与件文でより強く書かれている方、字数配分を多く割いている方を主軸にして、もう一方は補足的に添える形にすると、バランスの取れた答案になります。

与件文の記述量が、そのまま答案の重みづけのヒントになる、ってことですね。

コストダウン(原価低減の論点)自社の努力でコストそのものを下げる方向自社の生産性や工程に無駄がある狙いが逆価格転嫁(適正な価格への引き上げの論点)上がったコストを取引価格に反映させて適正な価格をもらう方向原材料費やエネルギー価格の上昇分を転嫁できていない
コストダウンと価格転嫁

本番でこの論点を使うときのチェックポイント

そうです。最後に、本番でこの論点を使うときのチェックポイントをまとめます。まず、価格転嫁できていない記述、自社の独自性の記述、原価把握の記述、この3つが与件文にそろっているかを確認する。

1つ目、価格転嫁できていない記述の確認ですね。

2つ目、その3つを代替不可能性・コストの見える化・取引先の対等性という3つの軸に仕分けて整理する。

2つ目、3軸への仕分け。

3つ目、解答は言い値で頑張る根性論にせず、独自性・データ・取引先分散という事前の準備によって交渉力が生まれる、という視点を必ず入れる。

3つ目、根性論にしない。

そして4つ目、コストダウンの論点と混同していないか、価格転嫁の話をコストダウンの答案にすり替えていないか、最後にもう一度見直す。

4つ、しっかり持ち帰ります。知識としては知ってたのに、どこで使えばいいか分からなかった論点が、今日でだいぶ輪郭がはっきりしました。

与件文に出てきたら、まずこの3つの着眼点を探して、3つの軸で仕分ける。それだけで、答案の骨格はぶれなくなります。

ありがとうございます。次に与件文で価格の話が出てきたら、絶対に見逃さないようにします。

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