価格交渉力を持つための条件
白書編 第2回
「コスト、上がってるのに価格に転嫁できない。二次の与件文で、そういう発注元との力関係に苦しんでいる会社、よく出てきますよね」。動画はこんな言葉から始まります。このページでは動画の流れにそって、事例Ⅱと事例Ⅳでの出方、与件文の3つの着眼点、交渉力の源泉の3つの軸、解答の3点セット、コストダウンと価格転嫁の違い、本番のチェックポイントをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
値上げしましょう、それだけだと点が伸びない
コスト、上がってるのに価格に転嫁できない。二次の与件文で、そういう発注元との力関係に苦しんでいる会社、よく出てきますよね。
あー、知識としては知ってます。原材料費とかエネルギー価格が上がって、収益が圧迫されてるっていうやつですよね。でも、あれ見るたびに「じゃあ助言としてどう書けばいいんだ」って手が止まるんです。
そうそう、値上げしましょうって書きたくなるんですけど、それだけだと点が伸びないんですよ。今日はその、価格交渉力を持つための条件、二次でどう使うかをやっていきます。
主に事例Ⅱと事例Ⅳ
お願いします。まず、これってどの事例で出るんですか?
主に事例Ⅱと事例Ⅳですね。事例Ⅱなら、発注元の言い値で買い叩かれている、値上げを言い出せない立場にある、という与件文に対してどう助言するか。事例Ⅳなら、それが数字面での収益圧迫として表れて、財務指標の悪化の理由づけに絡んできます。
なるほど、事例によって出方は違うけど、根っこは同じ論点ってことですね。
そうです。それと、価格転嫁っていうのは今の中小企業全体にとって大きなテーマです。特定の数字を覚える話じゃなくて、多くの中小企業がまだ交渉で不利な立場にある、という前提を持っておくと読みやすくなる、というくらいに捉えてください。
数字そのものより、そういう時代背景があるって知っておくのが大事なんですね。
与件文のどこを見たらこの論点だって気づけるか
はい。じゃあ、与件文のどこを見たらこの論点だって気づけるか、いきましょう。まず一番わかりやすいのが、原材料費やエネルギー価格の上昇分を
それは、はい、そこは私も見つけられます。問題はその後なんですよ。そこに気づいた後、何を拾いに行けばいいのかが分からなくて。
そこですよね。次に見るべきは、自社の製品やサービスの独自性についての記述です。技術力、品質、納期対応力。これが与件文のどこかに書いてあったら、それは交渉力の源泉になる材料です。
あ、それ、私、読み飛ばしてました。強みの説明だと思って、価格交渉の話とは別枠で処理してたんです。
そこが今日一番伝えたいところです。強みの記述って、単独の加点要素としてだけじゃなく、価格交渉力の裏付けとしても使えるんですよ。もう一つ、コストを製品単位や工程単位で
それは、原価計算ができてるかどうか、みたいなことですか。
そうです。把握できていなければ弱み、できていれば強みとして使える情報です。この3つ、価格転嫁できていない記述、独自性の記述、原価把握の記述、この3つがそろって初めて、価格交渉力の論点だと確信を持てます。
交渉力の源泉を3つの軸で整理する
見つけた後は、どう整理すればいいんですか。バラバラに拾っただけだと、答案にまとめられなくて。
交渉力の源泉を3つの軸で整理します。1つ目が代替不可能性、自社にしかできない技術や品質があるかどうか。2つ目がコストの見える化、原価をデータで示せるかどうか。3つ目が発注元との関係の対等性、取引先がどれだけ分散しているか、依存度が高くないか。
さっき出てきた3つの着眼点と、そのままつながってますね。
そうなんです。着眼点で拾った与件文の記述を、この3つの軸のどれに当たるかで仕分ける。そうすると答案の骨格が自然に見えてきます。
身近な例:フリーランスが単価を上げてほしいとお願いする場面
身近な例で言うと、どんな感じになりますか。イメージしにくくて。
たとえば、フリーランスで仕事をしている人が、単価を上げてほしいと発注元にお願いする場面を
たしかに、それだと通らないですね。なんとなく分かります。
でも、自分にしかできない専門性を示して、作業時間や工数のデータを見せて、他にも取引先があって
あ、それ、さっきの3つの軸そのままですね。代替不可能性、データでの見える化、取引先の分散。
そのとおりです。この3つがそろって初めて、対等な立場で交渉できる。中小企業も構造としては同じで、独自性、原価データ、取引先分散、この3つを
なるほど、だから与件文を読むときも、この3軸のどれに当てはまるかを
解答への落とし込み:この3点セット
はい、そこまで整理できたら、次は解答への落とし込みです。型としては、自社の技術・品質面での代替不可能性を高める、それに加えて
3つとも入れないといけないんですか。
与件文の記述量にもよりますが、基本はこの3点を意識して書くと、点数が広く拾える答案になります。それと、絶対に外してほしくない視点があって、価格交渉力は言い値で頑張る根性論じゃなくて、事前の準備によって生まれるものだということです。
準備っていうのが、データと独自性と取引先分散、ってことですね。
そうです。この視点を答案のどこかに一言でも入れられると、単なる値上げ交渉の提案じゃなくて、交渉力そのものを高める提案になります。
字数が短い設問だと
字数が短い設問だと、3点セット全部を入れるのは厳しくないですか。
そのとおりです。字数が短ければ、与件文で一番強く書かれている軸を
全部を均等に書こうとしなくていいんですね。字数と与件文の記述量、両方を見て決める。そこ、私、いつも「価格交渉をする」で終わらせちゃってました。
一番やりがちな誤答パターン
それ、実は一番やりがちな誤答パターンです。単なる値上げ交渉をする、という精神論や営業論だけで終わらせてしまう。交渉力の裏付けになる客観的な根拠、原価データや技術的優位性を、答案に必ず入れてください。
気持ちで交渉するんじゃなくて、根拠を持って交渉する、ってことですね。
コストダウンと価格転嫁は別物
もう一つ、よく混同されるのが、コストダウン、つまり原価低減の論点と、価格転嫁、つまり適正な価格への引き上げの論点です。この2つは別物なんです。
え、どちらもコストの話だから、似たような対応策になりませんか。
一見似てますけど、狙いが逆なんです。コストダウンは自社の努力でコストそのものを下げる方向。価格転嫁は、上がったコストを取引価格に反映させて、適正な価格をもらう方向です。与件文が価格転嫁の話をしているのに、コストダウンの答案を書いてしまうと、設問のズレになります。
なるほど、収益が圧迫されてる、っていう同じ症状でも、原因がコスト構造の非効率なのか、価格に転嫁できていないことなのかで、処方箋が変わるんですね。
まさにそこです。与件文が、原材料費やエネルギー価格の上昇分を
両方の記述が同時に出てきたらどうするんですか。
その場合は両方触れていいですが、優先順位をつけてください。与件文でより強く書かれている方、字数配分を多く割いている方を主軸にして、もう一方は補足的に添える形にすると、バランスの取れた答案になります。
与件文の記述量が、そのまま答案の重みづけのヒントになる、ってことですね。
本番でこの論点を使うときのチェックポイント
そうです。最後に、本番でこの論点を使うときのチェックポイントをまとめます。まず、価格転嫁できていない記述、自社の独自性の記述、原価把握の記述、この3つが与件文にそろっているかを確認する。
1つ目、価格転嫁できていない記述の確認ですね。
2つ目、その3つを代替不可能性
2つ目、3軸への仕分け。
3つ目、解答は言い値で頑張る根性論にせず、独自性
3つ目、根性論にしない。
そして4つ目、コストダウンの論点と混同していないか、価格転嫁の話を
4つ、しっかり持ち帰ります。知識としては知ってたのに、どこで使えばいいか分からなかった論点が、今日でだいぶ輪郭がはっきりしました。
与件文に出てきたら、まずこの3つの着眼点を探して、3つの軸で仕分ける。それだけで、答案の骨格はぶれなくなります。
ありがとうございます。次に与件文で価格の話が出てきたら、絶対に見逃さないようにします。
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