多品種少量生産と少品種多量生産の見極め方
事例Ⅲの与件文を読んでいて「この会社は多品種少量だな」と気づいたのに、そこから何を書けばいいのかで手が止まる。動画はそんな場面から始まります。知識としては誰でも知っている論点だからこそ、差がつくのは気づいたあとの使い方です。このページでは、与件文のどこで気づき、どう整理し、どう答案に落とすかの順にまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
3行でいうと
- 多品種少量・少品種多量は、「品種の数」と「1品種あたりの生産量」の2軸で見る生産タイプの分類です。
- 会社全体を1つに決めつけず、事業・工場・ライン単位で色分けし、今の設備やレイアウトと合っているかを照らし合わせます。
- 答案では、どちらに寄っているかを一文で示してから、具体策を効果(QCD)までセットで書きます。
まず、何を見るための分類なのか
見るのは2つだけです。製品の種類がどれだけ多いかと、1品種あたりどれだけの量を作るか。たくさんの品種を、1品種ごとには少しずつ作るのが多品種少量生産。少ない品種に絞って、1品種ごとにたくさん作るのが少品種多量生産です。
この見極めは、生産方式・設備・レイアウトを提案するときの出発点になります。ここを飛ばして改善策を書くと、どの会社にも当てはまる一般論になり、答案が浮いてしまいます。
2次試験での出方は大きく3つ
- 性格の違う生産が1社に同居している:受注生産の部門と見込生産の部門を両方持ち、個別の受注品は多品種少量、標準品は少品種多量、というように事業ごとに性格が分かれて描かれます。
- 顧客の要望と今の体制がずれている:短納期化・小ロット化・多品種少量化の要望が強まり、少品種多量向けに作った体制のままでは合わなくなっている、という設定です。
- 工場やラインの役割分担を考えさせる:複数の工場・ラインを持つ会社で、片方を多品種少量向け、もう片方を少品種多量向けに分ける提案を求める形です。
問われ方も、「現状の生産の特徴を述べよ」という分析の設問と、「生産性向上や納期遵守の対応策を述べよ」という提案の設問の両方にかかわります。事例Ⅲの基礎体力といえる論点です。
与件文のどこに反応するか
- 多品種少量寄りのサイン:多種多様な製品を扱う、顧客ごとに仕様が違う、受注ごとに図面が違う
- 少品種多量寄りのサイン:主力製品が標準化されている、大口顧客に同じ規格の品を大量に納めている
- ズレの合図:短納期化・小ロット化・多品種少量化の要望が強まっている
- 症状:工程のあちこちに仕掛品がたまる、段取り替えに時間がかかる
- 品種ごとの量のばらつき:一部の品種は量が多く、大半の品種は量が少ない
大口顧客に大量に納めている、という記述。私はただの「強み」としてしか読んでいませんでした。
強みでもありますが、生産タイプのサインでもあるんです。少品種多量寄りだと読めれば、合う設備やレイアウトの話につなげられます。
仕掛品や段取り替えの話も、現場が非効率というだけではないんですか?
非効率なのは事実です。でも「少品種多量向けの設備のまま多品種少量をこなそうとして、無理が出ている」と読めると、打ち手がまったく変わりますよ。
量のばらつきは「品種で扱いを変える」合図
多品種少量の会社の中にも、少品種多量のように扱ったほうがよい品種が混ざっていることがあります。品種を生産量の多い順に並べて分けるPQ分析を使うと、量の多い品種と少ない品種で対応を変える、という発想が生まれます。
情報の整理:会社単位で決めつけない
拾ったサインは、品種の数が多いか少ないか、1品種あたりの量が多いか少ないか、の2軸のマスに置いていきます。いちばん大事なコツは、会社全体をひとくくりにして「この会社は多品種少量」と決めつけないことです。
受注品のラインは多品種少量、標準品のラインは少品種多量、というように、事業・工場・ラインの単位で色分けします。色分けができたら、それぞれに合った生産方式・設備・レイアウトになっているかを照らし合わせます。合っていなければ、そのズレがそのまま課題です。
たとえば
毎日ちがうおかずを少しずつ作るなら、いろいろな料理に使えるふつうの鍋やフライパンが必要です。運動会で同じカレーを何百人分も作るなら、大きな寸胴が1つあれば足ります。大きな寸胴しかない台所で、日替わりのおかずを少しずつ作ろうとすると大変ですよね。それが「少品種多量向けの設備のまま多品種少量に対応している」状態です。本番では、その会社の台所が何用に組まれているかを見に行きます。
答案への落とし込み
分析の設問
「A事業は多品種少量、B事業は少品種多量という異なる特性を持つが、それぞれに適した体制になっていない」というように、特性と、体制が合っているかどうかまでを短く書きます。合う・合わないまで書いておくと、あとの設問の課題につながります。
提案の設問:方向は2つ
- 多品種少量への対応を強める:汎用設備と機能別レイアウトを生かす、段取り替えの時間を短くする、多能工化で人の配置を柔軟にする
- 少品種多量へ寄せる:専用設備と製品別レイアウトへの切り替え、標準化・共通化で連続して流せるようにする、量の多い品種を選んでライン化する
量のばらつきのサインがあれば、「同じ工場の中でも、量が出る品種はライン化し、量の少ない品種は柔軟に流す」という書き方もできます。
組み立ては、①現状がどちらに寄っているかを一文で示す、②設備・レイアウト・人員・生産計画から具体策を2〜3つ、③その効果がQCDのどれに効くか(納期短縮・コスト低減・品質の安定)まで書き切る、の3点です。打ち手を並べるだけで終わらせないのがポイントです。
混同しやすい4つのポイント
- 生産方式とは別の軸:多品種少量・少品種多量は「何をどれだけ作るか」の分類。個別生産・ロット生産・連続生産は「どう流すか」の生産方式です。多品種少量は個別生産に、少品種多量は連続生産に結びつきやすいものの、同じ言葉のように混ぜると論理が粗く見えます。
- 連続生産とはイコールではない:少品種多量と連続生産は相性がよい、で止めておきます。流し方を問う設問ならラインや設備の流し方に、この軸を問う設問なら製品構成と生産量の分布に焦点を当てます。
- ロット生産は中間:ロット生産は、品種ごとに量をまとめて複数の製品を交互に作る形態で、個別生産と連続生産の中間にあたります。品種と量の軸でいえば、多品種少量と少品種多量の中間(中品種中量)に置いて整理されることが多い形態です。
- 優劣の話ではない:多品種少量は非効率、少品種多量は効率的、という見方は誤りです。顧客ニーズが多様な市場では、多品種少量に対応できる力そのものが強みになります。
ロット生産は「まとめて作る」から、多量の側だと思っていました。
まとめて作るからといって、品種が少ないとは限らないんです。どちら寄りかは、方式の名前から逆算せずに、与件文に書かれた品種の数と量の記述から判断してください。
試験ではここに注目
- 仕様の違い・標準品の大量納入・小ロット化の要望・仕掛品や段取り替え・品種ごとの量のばらつき、のどれかを見つけたら、この2軸を立てる
- 会社単位ではなく、事業・ライン単位で仕分けてから、今の設備・レイアウトと突き合わせる
- 答案は「寄っている側の明示 → 具体策 → QCDの効果」の3点で組み立てる
気づいて終わりにせず、「だから何を変えるのか」まで一気に書けるようにしておくと、事例Ⅲの多くの設問の土台になります。
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