聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

特性要因図

事例Ⅲ 第3回

事例Ⅲ 特性要因図と、原因を漏れなく洗い出す切り口8分1秒2026年9月19日公開

「特性要因図、名前は聞いたことがあるけど、二次試験でどう使うのかは実はあやふやです」。動画は、診断士二次試験の重要論点「特性要因図」を取り上げ、聞き手のこんな一言から入ります。このページでは動画の流れにそって、パレート図との役割の違い、与件文のサイン、原因を漏れなく洗い出す切り口、原因と対応策の書き方、間違えやすい誤答をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

特性要因図とは:結果と要因を矢印で整理する図

動画は、診断士二次試験対策の重要論点講義シリーズの一つとして、特性要因図という論点を取り上げます。聞き手は、名前は聞いたことがあるけれど、二次試験でどう使うのかは実はあやふやだと打ち明けます。

講師の説明では、特性要因図はもともと品質管理の現場で使われる代表的な手法の一つで、QC七つ道具と呼ばれる分析ツール群の一つです。結果として出てくる特性、たとえば不良や納期遅延といった結果と、それに影響を与えている要因との関係を、矢印を使って体系的に整理していく図のことを言います。

要因結果に影響を与えている特性結果として出てくる不良・納期遅延など矢印で、体系的に整理する
特性(結果)と要因を、矢印でつなぐ。

結果と原因を、矢印でつなぎながら整理していくイメージですね。

そうです。

パレート図とセットで語られる

講師は、事例Ⅲの世界では、この論点はよくパレート図とセットで語られると言います。パレート図で、数ある問題の中からまず優先的に手をつけるべき問題を絞り込みます。そのうえで、その絞り込んだ問題がそもそもなぜ起きているのかを掘り下げる場面で使われるのが特性要因図です。

パレート図:優先順位をつける数ある問題の中から、まず手をつける問題を絞り込む特性要因図:原因を掘り下げる絞り込んだ問題が、なぜ起きているのかを調べる
優先順位づけのあとに、原因分析。

優先順位をつける道具と、原因を掘り下げる道具、この役割の違いをまず押さえておいてください。

優先順位づけの後工程、というわけですね。では実際の試験では、この論点はどんな形で出てくるんですか。

作図ではなく、思考の枠組みが問われる

事例Ⅲでは、特定の不良や問題、たとえば納期遅延や品質不良といった問題の原因を、人、機械、材料、方法といった複数の要因に分解して整理する場面で使われます。ここで大事なのは、特性要因図そのものの作図が直接問われることはほとんどないという点です。問われるのは、結果に対する原因を、複数の切り口から漏れなく洗い出す、という思考の枠組みのほうです。

図を描かせる問題ではなく、頭の使い方が問われている、ということですね。

その通りです。

講師は、1次試験の知識で言うと、これは人、機械、材料、方法という英語の頭文字を取った、いわゆる4M的な要因分解の発想そのものだと言います。原因分析というのは、思いついた一つの原因に飛びつくのではなく、あらかじめ決まった複数の切り口を機械的に当てて、抜け漏れなく洗い出すというのが基本姿勢です。

二次試験の解答づくりの評価ポイント

「切り口を先に決めておいて、その枠に当てはめて漏れを防ぐ」という発想が、二次試験の解答づくりでそのまま評価ポイントになる、と講師は言います。

与件文のサイン4つ

聞き手が尋ねたのは、実際に与件文を読むとき、どんな記述があれば特性要因図の論点が絡んでいると気づけばいいのか、という点です。講師が挙げた着眼点は4つです。

① 原因が複数ありそう不良やクレーム、納期遅延の原因が一つではない② 複数の側面にまたがる人・設備・材料・方法に原因が散らばる③ 場当たり的な原因分析根本まで掘り下げず、表面的な対処の繰り返し④ 体系的な整理が求められる改善活動として、原因の整理が求められる特性要因図の考え方が使える四つのどれかに触れたら
与件文のサイン4つ。
  • 一つ目:ある特定の問題、たとえば不良やクレーム、納期遅延といった問題の原因が、一つではなく複数存在することをにおわせる記述。
  • 二つ目:その原因が複数の側面にまたがって書かれている場合。人的な要因なら作業者の熟練度や教育不足、設備の要因なら機械の老朽化や保全不足、材料の要因なら品質のばらつき、方法の要因なら作業手順の不備、といったものです。

原因が一箇所にまとまっていない、あちこちに散らばっている感じですね。

まさにそうです。

  • 三つ目:原因分析そのものが場当たり的で、根本の原因まで掘り下げられていないという記述。表面的な対処だけを繰り返している、という書かれ方をしているケースです。
  • 四つ目:改善活動の一環として、原因を体系的に整理する取り組みが求められている、という記述。

講師は、この四つのどれかに触れたら、特性要因図の考え方が使える場面だと判断してください、と言います。

整理のしかた:頭の中のチェックリスト

見つけた後は、実際にどう整理していけばいいんですか。

特性要因図の本来の考え方は、扱う結果に対して、要因を大きな枝、中くらいの枝、小さな枝というように、階層的に分解して整理していく発想です。

魚の骨のような形に例えられる図で、大きな枝が人、機械、材料、方法といった大分類、そこからさらに中くらいの枝、小さな枝へと具体的な要因が枝分かれしていきます。

特性(結果)人機械材料方法大きな枝中くらいの枝小さな枝
特性要因図の形(魚の骨のような形)。

ただ、二次試験の解答用紙にその図をそのまま描くわけではないですよね。

そこがポイントです。二次試験の与件文分析では、図そのものを描く必要はありません。

与件文中に散らばっている原因らしき記述を、人、設備、材料、方法という複数の切り口に仕分けて整理する。これが実務的な使い方になります。特定の一つの原因だけに飛びつかず、複数の切り口から漏れなく原因を拾えているかどうかを確認するための、頭の中のチェックリストとして使うわけです。

なるほど、図を描く道具というより、原因の拾い漏れを防ぐためのチェックの枠組みとして使う、ということですね。

答案の書き方:原因を問われたら、対応策を問われたら

では、実際に解答へ落とし込むときはどう書けばいいんでしょうか。

原因を問われた設問の場合、講師は、単一の原因に絞り込むのではなく、与件文から拾える複数の要因、人的要因、設備要因、材料要因、方法要因などを、漏れなく整理して書くことを意識する、と言います。人、機械、材料、方法という4Mの枠組みで与件文の記述を仕分けたうえで、該当する要因を並べて書く、という組み立て方です。

原因は複数書く、というのが基本姿勢なんですね。対応策を問われた場合はどうなりますか。

対応策を問われた場合は、洗い出した要因それぞれに対応する具体策を、対応づけて書くと体系的で説得力のある解答になります。たとえば人的要因であれば教育や訓練の強化、設備要因であれば保全体制の強化、材料要因であれば検査体制の強化、方法要因であれば作業の標準化、というように、原因と対応策を一対一で対応させて並べるイメージです。

人的要因教育や訓練の強化設備要因保全体制の強化材料要因検査体制の強化方法要因作業の標準化
原因と対応策の対応づけ。

原因を並べて終わりではなく、それぞれに対応策を紐づけていく、という書き方ですね。

そうです。ここで一番評価されているのは、原因分析の切り口の広さそのものです。

講師は、一つの原因を深く語るよりも、人、設備、材料、方法という複数の切り口を漏れなく押さえられているかどうかが、この論点を使った解答の評価ポイントになると言います。

間違えやすいポイント:2つの誤答パターン

では最後に、この論点で間違えやすいポイントを整理してもらえますか。

講師が挙げる一番よくある混同は、さきほど触れたパレート図との混同です。パレート図は、どの問題から優先的に対処すべきかという優先順位づけを扱う道具です。それに対して特性要因図は、その問題がなぜ起きているのかという原因分析を扱う道具です。両方とも品質管理の道具として並んで出てくるので混同しやすいのですが、優先順位づけの道具なのか、原因分析の道具なのか、この役割の違いをはっきり区別しておく必要がある、というのが講師の注意です。

道具扱うこと役割
パレート図どの問題から優先的に対処すべきか優先順位づけ
特性要因図その問題がなぜ起きているか原因分析

似た場面で出てくるからこそ、役割の違いを意識しないといけないんですね。

もう一つの誤答パターンは、与件文中の原因らしき記述を一つだけ拾って、それで解答を終わらせてしまうことです。与件文に他の原因を示す記述がまだ残っているのに、最初に見つけた一つの原因に飛びついてしまうと、拾えるはずだった原因や配点を取りこぼしてしまいます。人、設備、材料、方法といった複数の切り口から、漏れがないかを最後まで確認する姿勢が重要です。

一つ見つけて満足せず、他の切り口も残っていないか確認する、という姿勢ですね。

そうです。

まとめ

講師は、特性要因図という論点そのものは、二次試験で図を描かせるための知識ではなく、原因を漏れなく洗い出すための頭の使い方として持っておく論点だと言います。パレート図とセットで、優先順位づけの後に原因分析、そして原因分析は人、機械、材料、方法という複数の切り口で漏れなく行う。この流れを押さえておいてください、と動画は伝えています。

動画の整理

  • パレート図で優先順位づけをして、そのあとに特性要因図で原因分析をする
  • 図の作図が直接問われることはほとんどなく、問われるのは原因を複数の切り口から漏れなく洗い出す思考の枠組み
  • 与件文のサインは4つ:原因が複数ありそうな記述、複数の側面にまたがる記述、場当たり的な原因分析、原因を体系的に整理する取り組みが求められる記述
  • 原因を問われたら、単一に絞らず複数の要因を漏れなく書く。対応策を問われたら、要因ごとに具体策を対応づけて書く
  • 誤答は2つ:パレート図との混同、与件文の原因を一つだけ拾って終えること

優先順位づけと原因分析、そして複数の切り口での網羅性、この三つを意識して事例Ⅲの与件文を読んでいきたいと思います。

この特性要因図で洗い出した複数の原因を、実際に生産現場でどう改善につなげていくかという場面では、連合作業分析といった別の論点ともつながってきます。今回の内容とあわせて、関連する論点もぜひ押さえておいてください。

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