資材所要量計画の手順と部品表のズレが発注ミスを生む理由
事例Ⅲ 第27回
「事例Ⅲの学習を進めていると、『発注量の決め方』に関する論点で、知識としては知っているのに、いざ与件文を読んだときにどこで使えばいいのか分からなくなること、ありませんか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、与件文のサイン、資材所要量計画の五段階の手順、解答の三段構え、混同しやすい三つのポイントをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
知識はあるのに、使うタイミングに気づけない
事例Ⅲの学習を進めていると、「発注量の決め方」に関する論点で、知識としては知っているのに、いざ与件文を読んだときにどこで使えばいいのか分からなくなること、ありませんか。
あー、それすごく分かります。資材所要量計画のことですよね。用語自体は知ってるんです。でも本番の与件文で、これ使うタイミングだ、って気づける自信がなくて。
そうなんです。知識はあるのに、使うタイミングに気づけない。これ、資材所要量計画の論点でものすごく多い悩みなんですよ。
私、前に過去問を解いたとき、部品の欠品の話が出てきたのに、それをどう解答に結び付けていいか分からなくて、結局在庫の話でまとめちゃったことがあるんです。
それ、まさに今日話したいテーマそのものです。今日は資材所要量計画を、二次の現場でどう見抜いて、どう解答に落とし込むか、という使い方に絞って掘り下げていきます。
手順そのものの不備として問われる
お願いします。まず、これって事例Ⅲのどんな場面で問われるんですか。
部品や材料の欠品で生産が遅れている、あるいは逆に部品を持ちすぎて過剰在庫になっている、そういう場面で、そもそも必要な部品の量をどう見積もって発注量に落とし込んでいるか、という手順そのものの不備として問われることが多いです。
手順そのものの不備、ですか。
はい。たとえば、生産計画は立てているのに、それに対応する部品の手配が後手に回っている、とか、複数の製品で共通して使う部品があるのに、製品ごとにバラバラに必要数を計算していて非効率、といった書かれ方をすることが多いんです。
あー、それ聞いたことあります。共通部品なのに、なぜか製品ごとに別々に発注してる、みたいな話ですよね。
そうです。ただし、これはあくまで一般的に出やすい傾向としての話で、実際の与件文がどう書かれるかは年度によって様々です。決めつけずに、着眼点として持っておいてください。
一番のサインは、部品表が更新されていない
分かりました。じゃあ、与件文のどんな一文が出たら、この論点だ、って気づけばいいんですか。
一番のサインは、部品表が更新されていない、古いままだ、という記述です。
部品表、ですか。設計とか部品構成の情報のことですよね。
その通りです。部品表がずっと更新されていない、部門間で共有されていない、というのは、資材所要量計画の土台になる情報そのものが不正確だというサインなんです。
古いだけじゃなくて、内容そのものが実態とズレてる、みたいなことですか。
そうです。部品表には、必要な部品の種類や数だけでなく、その部品を手配するのにどれくらい時間がかかるか、という情報も含まれています。この手配にかかる時間の情報が古いままだと、生産計画のタイミングとズレて、欠品や遅れにつながりやすいんです。
数だけじゃなくて、届くまでの時間の情報も古くなっていたら危ない、ということですね。
その通りです。数と時間、両方の情報の鮮度が問われると考えてください。
分かりました。他にはどんな記述に反応すればいいですか。
生産計画に対して部品の手配が間に合わない、欠品が起きる、という記述。それから、複数製品で共通する部品があるのに個別に発注している記述。あとは、発注のロットサイズが実態に合わず、過剰在庫になったり、逆に細かすぎる発注になっている記述。この四つは、資材所要量計画のどこかの段階でつまずいているサインとして押さえておいてください。
資材所要量計画の五段階の流れ:部活の合宿準備に例えて
なんとなく分かってきました。でも、この四つのサインを見つけたあと、どうやって整理すればいいんですか。頭の中がごちゃごちゃになりそうです。
そこで役立つのが、資材所要量計画の考え方を五段階の流れで整理する方法です。ちょっと部活の合宿準備に例えてみましょう。
合宿の準備ですか。
はい。まず一段階目は、今回の合宿で、どんな活動を何人分行うか、という日程と参加人数の決定です。事例企業でいえば、どの製品をいつどれだけ作るかという生産計画にあたります。
日程と人数を決める、みたいな感じですね。
そうです。二段階目は、その活動一つをやるのに、どの道具や消耗品がどれだけ必要かを持ち物リストで確認すること。事例企業でいえば、製品一つを作るのに必要な部品構成、つまり部品表を参照する段階です。
あ、ここで部品表が出てくるんですね。
その通りです。三段階目は、複数の活動で共通して使う道具、たとえばテントのペグとか、があれば、必要な数をまとめて計算すること。事例企業では、複数製品で共通する部品の必要数をまとめて集計する段階にあたります。
活動が複数あっても、ペグはまとめて何本必要か計算する、ということですね。
完璧です。四段階目は、部室に今ある在庫や、すでに発注して届く予定の分を差し引くこと。事例企業でいえば、手元の在庫や発注残を差し引く段階です。
買いすぎ防止ですね。
そうです。そして五段階目が、残りの必要数を、まとめ買いの単位、つまりロットを考慮して、実際に買う量として決定する段階です。この五段階の流れが、資材所要量計画の一連の手順になります。
与件文の問題点が、五段階のどこで詰まっているか
この五段階、さっきの四つのサインとどうつなげればいいんですか。
与件文の問題点が、この五段階のどこで詰まっているかを特定するんです。たとえば「部品表が古い」という記述なら、二段階目の情報が不正確だということになりますし、「共通部品なのに個別発注」なら三段階目の集計ができていない、ということになります。
| 与件文の記述 | 詰まっている段階 |
|---|---|
| 「部品表が古い」 | 二段階目 情報が不正確 |
| 「共通部品なのに個別発注」 | 三段階目 集計ができていない |
なるほど、対応づけて考えるんですね。
解答の型は三段構え
じゃあ、この整理をしたあと、実際の解答にはどう落とし込めばいいんですか。
解答の型は三段構えです。一つ目、与件文で指摘されている欠品や過剰在庫、非効率な発注の原因が、五段階のどこにあるかを特定する。二つ目、その原因に対応する改善策を提示する。三つ目、改善の効果を明示する。この順番で書くと骨組みが崩れません。
改善策って、具体的にはどんなことを書けばいいんですか。
部品表の更新や部門間での共有、共通部品の必要数のとりまとめ、在庫や発注残の正確な把握、ロットサイズの見直し、といった内容です。特に「部品表を最新の状態に更新して共有する」という切り口は、与件文に情報の陳腐化や部門間の情報共有不足がにおわされている場合、かなり有効な解答要素になりやすいです。
効果のほうは、何を書けばいいですか。
欠品の防止、過剰在庫の削減、発注業務の効率化。改善策がこのどれに効くのかを、はっきり書くことです。原因の特定だけで終わらせず、効果まで書き切ることで、解答としての説得力が変わってきます。
混同しやすいポイントが三つ
分かりました。ここまでで、この論点の使い方は見えてきた気がします。ただ、似たような論点と混同しそうで少し不安なんですけど。
いいところに気づきましたね。実際、混同しやすいポイントが三つあります。一つ目は、在庫管理そのものとの混同です。
在庫管理って、どれだけ在庫を持つか、いつ発注するか、みたいな話ですよね。
そうです。資材所要量計画は、そもそも必要な部品の量をどう計算し、集計するかという手順に焦点があります。一方、在庫をどう持つか、いつ・いくつ発注するかという在庫管理そのものは、役割が違うんです。定量発注方式・定期発注方式といった発注のタイミングや方式は、その在庫管理という広い論点の中の一つの手法という位置づけです。
あー、私、前にそこを混同して、発注のタイミングの話ばかり書いてしまったことがあります。
そういう受験生、実は多いんです。二つ目の混同は、部品表や生産計画といった「情報の正確さ」の問題と、現場の生産統制、つまり作業の進め方の問題を混ぜてしまうことです。情報が古いという原因なのに、現場の作業手順の改善だけを書いてしまうと、的が外れます。
情報の話なのに、現場のオペレーションの話にすり替わっちゃう、ということですね。
その通りです。三つ目は、共通部品をまとめて発注するメリットだけを書いて、その前提となる部品表や生産計画の正確な把握という土台の話が抜けてしまうパターンです。
メリットだけ書いて、土台を書き忘れる、ってことですか。
はい。「共通部品をまとめて発注すれば効率的です」だけで終わると、なぜそれができていなかったのか、という根本原因が抜けたままになります。土台の情報整備とセットで書くことを、必ず意識してください。
気をつけます。この三つの混同ポイント、しっかり頭に入れておきます。
| 混同の相手 | 切り分け |
|---|---|
| 在庫管理 | 必要な部品の量の計算・集計の手順か、在庫の持ち方・発注のタイミングか |
| 現場の | 部品表や生産計画の情報の正確さか、作業の進め方か |
| 共通部品の | メリットだけでなく、前提となる土台の情報整備とセットで書く |
まとめ
では最後に、今日のポイントを整理します。資材所要量計画は、生産計画、部品表、共通部品の集計、在庫と発注残の控除、ロットを考慮した発注量決定、という五段階の手順です。
与件文では、部品表の更新遅れ、手配の遅れ、共通部品の個別発注、ロットの不一致、この四つのサインに反応する。
そして解答は、原因の特定、改善策、効果、この三段構えで書く。混同しやすい在庫管理や発注方式、現場の生産統制とは、しっかり切り分けて考える。
これで、与件文にこの論点のサインが出てきたときに、迷わず気づいて、解答まで組み立てられそうです。
本番で焦らず使えるように、この五段階の流れと三つの混同ポイントを、ぜひ覚えておいてください。
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