外注の内外製の判断軸から外注先管理まで書ける型
事例Ⅲ 第25回
「今日は、事例Ⅲでかなりの頻度で顔を出すのに、いざ本番になると使いこなせない論点を扱います。外注です」。動画はこの一言から始まります。このページでは動画の流れにそって、外注が絡む設問の二つの方向、与件文のサイン、引っ越しのたとえ、内外製の判断の三つの軸、答案の三段階の型、品質管理・在庫管理との違い、三つの誤答パターンをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
外注は知っているのに、答案が中途半端になる
今日は、事例Ⅲでかなりの頻度で顔を出すのに、いざ本番になると使いこなせない論点を扱います。外注です。
あ、外注、知識としては分かってます。自社でやらずに、社外の協力企業に任せることですよね。
そうそう、意味は誰でも知ってるんです。でも問題は、与件文の中でどこを見て「これは外注の論点だ」と気づくか、そして気づいた後にどう答案にまとめるかなんですよ。
そこなんです。私、外注が絡む設問って、書けそうで書けなくて、いつも中途半端な答案になってしまうんです。
今日はまさにそこを、与件文の読み方から答案の型まで、通しでやっていきます。
お願いします。
外注が絡む設問は二つの方向で問われる
まず大枠から確認すると、事例Ⅲで外注が絡む設問は、大きく二つの方向で問われます。
二つ、というと。
一つは、生産能力が足りない、専門技術が足りない、コストを下げたいといった状況を受けて、外注をどう活用すべきかを提案させる設問です。
なるほど、外注を新しく始めましょう、という方向ですね。
もう一つは、すでに外注を使っているんだけど、品質や納期がうまくいっていないので、外注先との関係や管理をどう見直すべきか、という運用面の設問です。
あー、それ私、いつも一つ目のパターンだと思い込んで読んでしまって、実は二つ目の運用の話だったってことがありました。
そこ、実はすごく大事な分かれ道なんです。「そもそも外注すべきか」という選択の話なのか、「もう外注しているが管理がうまくいっていない」という運用の話なのか、与件文を読んだ最初の段階で見極めておかないと、答案の方向がまるごとずれます。
つまり最初に、内外製の判断そのものが聞かれているのか、外注先の管理が聞かれているのかを仕分けろ、ということですね。
そういうことです。ここを取り違えると、せっかく知識があっても点にならないので、最初に必ず確認してほしいポイントです。
与件文のどんな記述が外注の論点か
じゃあ実際、与件文を読んでいて、どんな記述が出てきたら外注の論点だとピンとくればいいんですか。
いくつかサインがあります。まず、需要が増えているのに自社の生産能力、つまり設備や人員が追いついていない、という記述です。
忙しいのに手が回らない、みたいな話ですね。
そうです。次に、自社には無い専門的な技術や設備が必要な工程がある、という記述。これも外注を検討する強いサインです。
うちの会社にはできない工程がある、というやつですね。
あとは、特定の工程だけ品質や納期が安定しない、外注先の管理が行き届いていない、という記述。これはさっき言った、運用面の外注論点のサインですね。
あ、これ私、読み飛ばしがちです。「一部の工程で不良が多い」くらいにしか読めてなくて、外注先管理の話だと結びつけられませんでした。
すごく多いパターンです。あと最後に、自社のコア技術や強みではない工程に、自社の限られたリソースを割いてしまっている、という記述。これも外注に切り出す候補として反応してほしいところです。
需要と能力の差、技術の有無、品質と納期の不安定さ、リソースの使い方、この四つが反応ポイントということですね。
引っ越しのたとえ
ちょっとたとえ話をしましょうか。引っ越しをするとき、全部自分でやりますか、それとも業者に頼みますか。
大きな家具とか冷蔵庫は、業者さんにお願いします。自分で運んで壊したら大変ですし、そもそも運ぶ技術も道具も無いので。
まさにそこなんです。専門的な技術や設備が要るもの、自分で持つほどの頻度でもないもの、こういうものは外に任せる。一方で、普段使っている大事な思い出の品とか、扱いに気を遣うものは、自分の目が届く範囲で自分で運びたいと思いませんか。
分かります、それを人に任せて雑に扱われたら嫌ですね。
それが、自社のコア技術・強みに直結する工程を内製したいという考え方と同じ構造なんです。専門性が要る・頻度が低い・調整弁として使いたいものは外に出す。自社の強みそのもの、コントロールを手放したくないものは自分の手元に置く。
引っ越しの家具選びと、内外製の判断って、同じ物差しで考えられるんですね。
引っ越しの荷物の分け方
- 外に任せる:専門的な技術や設備が要るもの、自分で持つほどの頻度でもないもの。
- 自分で運ぶ:普段使っている大事な思い出の品、扱いに気を遣うもの。
- 自社では:専門性が要る・頻度が低い・調整弁として使いたいものは外に出す。自社の強みそのもの、コントロールを手放したくないものは自分の手元に置く。
与件文の情報を整理する三つの軸
では、この物差しをもう少し整理しましょう。与件文の情報を整理するとき、軸は三つです。まず、外注に向く工程の特徴。
さっきの引っ越しの話に近そうですね。
そうです。自社に無い専門技術が要る、自社で設備投資するほどの量ではない、需要変動の調整弁として使いたい、コストを引き下げたい、そして自社のコア技術ではない。この五つが揃うほど、外注向きと判断できます。
二つ目の軸は、内製すべき工程ですか。
はい。自社の強み・コア技術に直結する、ノウハウの流出や機密保持の観点で外に出したくない、品質を自社で直接コントロールしたい。この三つが当てはまるなら、外に出さず自社で持ち続けるべきだと判断します。
三つ目は。
外注先の管理です。品質管理、納期管理、製造ノウハウの教育・共有、この三つの観点で外注先とどう連携するかを整理します。
三つとも大事なんですね。私、品質管理のことしか思い浮かびませんでした。
そこ、実はすごく事故りやすいポイントなんです。受け入れ検査や品質基準の共有だけを書いて満足してしまうと、外注先管理としては半分しか答えていないことになります。納期管理、つまり自社の生産計画とどう連携させるか、それから製造ノウハウの教育・共有、この二つが抜け落ちがちです。
解答に落とし込む三段階の型
整理の軸が分かったところで、実際に解答へ落とし込むときの流れを教えてください。
型は三段階です。一段階目、与件文の状況を指摘します。生産能力不足、専門技術の不足、コスト高、外注先の品質・納期の不安定さ、こういった状況ですね。
まず状況を言葉にする、ということですね。
二段階目、状況に応じて方向性を明示します。外注を新しく活用するのか、それとも既存の外注先の管理を強化するのか、どちらの方向で行くかをはっきり書きます。
さっきの、選択の問題か運用の問題かの見極めが、ここで効いてくるんですね。
そうです。三段階目、具体策です。外注する工程の選定、つまりコア技術以外・専門性が必要な工程を選ぶこと。外注先の選定条件、QCDに優れている・管理体制が整っていること。そして外注管理の内容、品質基準の共有、納期の進捗管理、技術指導、ここまで書きます。
外注する・しないで終わらせず、その先の管理の中身まで書くということですね。
その通りです。外注する・しないの二択で止まってしまう答案が本当に多いんですが、外注先の選定条件と管理の中身まで踏み込めると、一気に実践的で厚みのある答案になります。
状況を指摘して、方向性を示して、具体策で締める。この三段階、覚えておきます。
似た論点との違い
ここで、似た論点との違いも整理しておきましょう。まず一つ目、品質管理との混同です。
外注先の受け入れ検査の話は、品質管理の論点でも出てきますよね。
そうなんです。外注の論点で品質管理に触れるときは、外注先との連携という文脈で書くのがポイントです。ただし、受け入れ検査は納品された後に確認する事後的な行為であって、品質基準を外注先とあらかじめ共有しておくことは、それとは別の、未然に不良を防ぐための外注管理側の取り組みだという点を区別してください。自社内の工程だけの品質管理と混同して、外注先という相手がいることを忘れないでください。
| 取り組み | 性格 |
|---|---|
| 外注先の | 納品された後に確認する事後的な行為 |
| 品質基準を | 未然に不良を防ぐための外注管理側の取り組み |
二つ目は何ですか。
在庫管理との混同です。外注に出すと、外注先とのやり取りの分だけリードタイムが延びて、在庫を多めに持つ必要が出てくることがあります。ここを外注の論点だけで完結させず、在庫管理の視点もセットで問われている可能性を意識してください。
外注先が絡むと、納期だけじゃなくて在庫の持ち方まで影響するんですね。
誤答パターン三つ
そうです。それから最後に、混同というより誤答パターンとして三つ、押さえておいてほしいことがあります。一つ目、外注をコスト削減のための単純な丸投げとだけ捉えて、専門技術の活用、需要変動の調整弁、コア技術への集中という他の目的を見落とすパターンです。
コスト削減しか目的が思い浮かばない、というのは危ないんですね。
二つ目、外注先管理について品質管理だけを書いて、納期管理や製造ノウハウの教育・共有という観点が抜け落ちるパターン。さっきも触れましたね。
はい、そこは私も気をつけないといけないところです。
三つ目、自社のコア技術・強みに関わる工程まで、安易に外注を提案してしまうパターンです。ノウハウ流出や品質コントロールの喪失といったデメリットとのバランスを踏まえずに提案すると、評価されにくいんです。
コア技術は、いくら生産能力が足りなくても、簡単に外に出しちゃダメということですね。
そうです。忙しいからといって何でも外注に出せばいいわけではない、という前提を常に忘れないでください。
| 誤答パターン | 見落とすもの |
|---|---|
| 外注を | 専門技術の活用・需要変動の調整弁・コア技術への集中 |
| 外注先管理で | 納期管理・製造ノウハウの |
| コア技術・強みに関わる工程まで安易に外注を提案する | デメリット(ノウハウ流出・品質コントロールの喪失)とのバランス |
まとめ
では最後に、本番でこの論点を使うときのチェックポイントをまとめます。
お願いします。
一つ目、与件文を読んだらまず、内外製の判断そのものが問われているのか、外注先の管理が問われているのかを最初に仕分けること。
選択の問題か運用の問題か、最初に見極める、でしたね。
二つ目、外注に向く工程・内製すべき工程・外注先の管理、この三つの軸で与件文の情報を整理すること。
品質管理だけじゃなくて、納期管理と製造ノウハウの教育・共有も忘れない、ですね。
三つ目、答案は状況の指摘、方向性の明示、具体策の三段階で組み立て、外注する・しないの二択で終わらせないこと。
外注先の選定条件と管理の中身まで書く、ですね。
そして四つ目、コスト削減の丸投げと単純化しないこと、コア技術に関わる工程は安易に外注提案しないこと、この二つの落とし穴に気をつけること。
知識としては知ってたつもりでしたけど、与件文のどこで仕分けて、どう答案に組み立てるか、今日でだいぶ見通しが立ちました。
外注は事例Ⅲで繰り返し出てくる論点なので、この仕分け方と型を、ぜひ他の過去問でも試してみてください。
やってみます、ありがとうございました。
動画で聞く
続けて読む
- 第20回 総合的品質管理(TQM)事例Ⅲ クレームを全社改善のテーマに変える視点
- 第21回 品質管理事例Ⅲ 品質管理を、与件文のサインから答案につなぐ
- 第22回 検査事例Ⅲ 検査を答案でどう書くか。全数と抜取の使い分け
- 第23回 新QC7つ道具事例Ⅲ 「言葉を整理する道具」で終わらせない新QC7つ道具
- 第24回 定量発注方式の着眼点と解答への落とし込み方事例Ⅲ 定量発注方式を与件文でどう見抜いて答案に使うか
- 第26回 QC7つ道具事例Ⅲ QC7つ道具の選び分け。与件文の一文から道具を決める
- 第27回 資材所要量計画の手順と部品表のズレが発注ミスを生む理由事例Ⅲ 資材所要量計画の手順と部品表のズレ
- 第28回 資材管理事例Ⅲ 「生産の問題」で終わらせない。資材管理の視点
- 第29回 定期発注方式事例Ⅲ 定期発注方式。量で判断せず、時期でそのつど発注量を見直す
- 第30回 在庫管理事例Ⅲ 在庫管理。“減らす”だけが正解じゃない
- 事例ⅢのWebテキスト一覧同じ科目の49本を一覧・検索
- 中小企業診断士 2次の講座トップ科目別プレイリスト・人気の講義・ファイナルペーパー

