総合的品質管理(TQM)
事例Ⅲ 第20回
「今日は「総合的品質管理」、TQMを扱います。事例Ⅲで品質の問題が出てきたとき、この考え方を使えるかどうかで解答の厚みがかなり変わってくるんですよ」。動画はこんな言葉から始まります。このページでは動画の流れにそって、TQMが出てくる場面、与件文のサイン、品質管理の発展段階、答案の型、混同しやすいポイントをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
検査強化だけで終わる答案は、TQMの視点が抜けている
今日は「総合的品質管理」、TQMを扱います。事例Ⅲで品質の問題が出てきたとき、この考え方を使えるかどうかで解答の厚みがかなり変わってくるんですよ。
あ、TQMですね。知識としては知ってます。品質を経営レベルの重要課題として全社で取り組む、みたいな話ですよね。でも正直、二次の答案でどこに使えばいいのか、いまだにピンと来てないです。
そうなんです。知識はあるのに、使うタイミングが分からない。これ、この論点で一番多い悩みなんですよね。
そうなんですよ…!与件文にクレームとか不良率とか出てきても、「じゃあ検査を強化しましょう」って書いて終わってしまって。それで点が伸びなかった記憶があります。
まさにそこです。検査強化だけで終わる答案、これがTQMの視点が抜けている典型例なんです。今日はその抜けを、一緒に埋めていきましょう。
はい、お願いします。
TQMはどういうときに出てくるのか
まず、TQMってどういうときに出てくるのか、から確認しましょう。事例Ⅲだと、クレーム対応、不良率の低減、検査体制の見直し。品質に関する問題が与件文に出てきたときの、解答の土台としてよく使われます。
土台、というのは?
たとえば不良率が高い、という記述があったとして。特定の工程だけ直す、検査を一箇所増やす、みたいな答案を書くと、部分最適の解答になりやすいんです。
あー、部分最適…。私、まさにそのパターンで書いてました。不良が出てる工程をピンポイントで直す、みたいな。
それ自体は間違いじゃないんですけど、そこで終わると解答の厚みが出ないんです。品質を経営レベルの最重要課題として、全社で取り組むという視点をどこかに織り込めるかどうか。ここで差がつくんです。
なるほど…。あと、与件文にクレームの記述があるパターンもよく見る気がします。
そうですね。クレームが出てきたら、それを品質改善のテーマ設定に使う、という展開もよく問われます。「クレームが来た、謝って終わり」ではなくて、「クレームを分析して、次の改善テーマにする」という流れです。
そこ、まさに私が読み飛ばしてたところです…。クレームって「対応すべき苦情」としか見てなかったので。
多いんですよ、その読み方。じゃあ次に、与件文のどんな記述が出たらTQMの視点で読み直すべきか、具体的に整理していきましょう。
与件文のどんな記述が出たらTQMの視点で読み直すか
まず1つ目。品質管理が検査部門など、特定の部門だけの仕事になっている、という記述。
「検査部門が品質をチェックしています」みたいな書き方ですか?
そうです。それ、実はTQMからするとまだ手前の段階なんですよ、という気づきになります。2つ目、顧客からのクレームが放置されている、あるいはその場限りの対処になっている記述。
さっきの話ですね。
そうです。3つ目、現場の改善活動、QCサークルのような取り組みが形骸化している、あるいはそもそも存在しない記述。
QCサークルは知ってます、現場の人たちが自主的に改善する活動ですよね。それが形だけになってる、っていう記述。
はい。そして4つ目、品質基準や作業手順が標準化されておらず、担当者によって品質にばらつきが出ている記述です。ただし、検査部門への偏りやQCサークルの形骸化など、品質保証の体制全体に関する記述とセットで出てこない、作業手順の標準化不足だけが単独の問題であれば、IEや生産方式改善の話になります。
この4つ、与件文で見かけたら反応する、と。
そうです。この4つのどれかが出てきたら、「これはTQMの視点で解けるかもしれない」とアンテナを立ててください。
品質管理には発展段階がある
では、この4つを見つけたあと、どう整理すればいいんですか?
いい質問です。品質管理には発展段階がある、という整理の仕方が使えます。
発展段階、ですか?
はい。品質管理部門だけが担う段階、いわゆるSQC、統計的品質管理と呼ばれる段階です。そこから現場全員でボトムアップに取り組む段階、TQC、全部門的品質管理。さらに経営層が主導する段階へと発展していくんです。TQMは、その一番進んだ段階にあたります。
イメージしづらいので、たとえで説明してもらえますか?
そうですね、たとえば飲食店で考えてみましょう。最初は、味見担当の人だけが味をチェックしている状態です。
あー、想像できます。味見係が一人いて、その人がOK出したら出す、みたいな。
そうです。次の段階は、キッチンのスタッフ全員が「今日の味、いつもとちょっと違うかも」って気にするようになる状態。現場みんなで改善しようとしています。
現場の意識は上がってますね。
ただ、それでもまだ足りなくて。最後の段階は、店長が「お客様に満足してもらうことを、お店で一番大事な目標にする」って方針を掲げて、味見だけじゃなく、接客も、盛り付けも、クレームの内容も、全部その方針のもとで見直していく状態です。
あ、そこで初めて「お客様満足」が全体のゴールになるんですね。
その通りです。事例企業がこの3段階のどこで足踏みしているかを見抜くのが、与件文情報の整理の仕方になります。
与件文を読んで、「品質管理部門任せで、社内全体の品質意識が薄いな」とか、「現場の改善活動はあるけど、各部門でバラバラで、全社で統一した基準がないな」って見えたら、それがまだ1段階目・2段階目にいるサインってことですね。
まさにそうです。逆に、「経営層が主導して、顧客満足を最終ゴールに全社一丸で取り組めている」状態が読み取れたら、もうTQMの水準に達しているということになります。事例企業が1段階目や2段階目にとどまっている記述が読み取れたら、3段階目、つまりTQMへの移行を提案する、という組み立て方ができます。
答案は3つのステップで書く
じゃあ実際に答案を書くときは、どういう型で書けばいいんですか?
型としては3つのステップです。まず、与件文の品質問題を指摘する。クレームとか、不良率とか、検査体制の不備とか。
問題の指摘、ですね。
次に、現状の品質管理体制の限界を指摘する。部門任せ、あるいは現場任せで、全社的な取り組みになっていない、という点です。
ここがさっきの発展段階の話とつながるんですね。「まだ1段階目・2段階目です」っていう。
そうです。そして最後に、具体策です。全社的な品質目標を共有すること、部門を超えた品質改善活動を推進すること、標準化とPDCAサイクルを徹底すること、そしてクレーム情報を品質改善のテーマに反映する仕組みをつくること。これを、経営層主導で進める方向性として書きます。
「検査を強化する」だけで終わらせちゃダメなんですよね。
そうです。「全社で・継続的に・顧客満足まで見据えて」取り組む視点を盛り込めるかどうかで、TQMらしい厚みのある解答になるかどうかが決まります。
私、この3ステップの中で、どこに字数を厚くすればいいのか悩むんですけど…。
問題指摘と体制の限界の指摘は簡潔に。一番厚くするのは具体策の部分です。特に、全社で取り組む仕組みをどう作るか、そこに一番字数を割いてください。
混同しやすいポイント
分かりました。では最後に、混同しやすいポイントを教えてください。
はい、3つ整理しておきましょう。1つ目、TQMを「検査を厳しくすること」と単純化してしまうこと。それだと、全社的な取り組みや、経営レベルでの位置づけという視点が抜け落ちてしまいます。
さっき私がやってた失敗ですね…。
2つ目、クレームを「対応すべき苦情」としてのみ捉えてしまって、品質改善のテーマ設定に活用するという発想が出てこないこと。
これも、言われてみると私、クレームは「謝るもの」としか思ってませんでした。
3つ目が一番間違えやすいんですけど、品質管理活動が現場、QCサークルなどで行われていることと、それが全社で統一されて経営層主導になっていることを、同じレベルで扱ってしまうことです。
現場が頑張ってればTQMだ、って思っちゃいそうです。
| 混同しやすい点 | 抜け落ちるもの |
|---|---|
| TQMを「検査を厳しくすること」と単純化する | 全社的な取り組み・経営レベルでの位置づけ |
| クレーム | 品質改善のテーマ設定に活用する発想 |
| 現場(QCサークル | 現場任せのボトム |
そこなんです。現場任せのボトムアップ活動、さっきのTQCの水準だけでは、TQMには届かないんですよ。実は、品質の考え方って、国際的な品質マネジメントの規格でも近い整理がされていて、顧客を軸に置くこと、経営トップがリーダーシップを取ること、全員参加で取り組むこと、そして一度で終わらせず継続的に改善し続けること、この辺りが共通して重視されています。
TQMも、その延長線上にある考え方なんですね。検査の話だけじゃなかった。
まとめ
そうなんです。では最後に、本番でこの論点を使うときのチェックポイントをまとめます。まず、品質管理が部門任せ・現場任せになっている記述を見つけたら、TQMのアンテナを立てること。
検査部門だけとか、QCサークルが形骸化してるとか、ですね。
そうです。次に、事例企業が発展段階のどこにいるかを見極めること。そして答案では、問題指摘、体制の限界、具体策という順で、経営層主導・全社的・顧客満足まで見据えた取り組みを書くこと。
本番でのチェックポイント
- 品質管理が部門任せ・現場任せになっている記述を見つけたら、TQMのアンテナを立てる
- 事例企業が発展段階のどこにいるかを見極める
- 答案は、問題指摘、体制の限界、具体策の順で、経営層主導・全社的・顧客満足まで見据えた取り組みを書く
クレームも、苦情対応じゃなくて、改善テーマとして使う視点を忘れないようにします。
それができれば、「検査を強化する」だけの答案から、一段階厚みのある答案に変わるはずです。
今日は「検査強化で終わらせない」っていう視点、すごく腑に落ちました。ありがとうございました!
こちらこそ、ありがとうございました。
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