資材管理
事例Ⅲ 第28回
「事例Ⅲの問題を解いていて、生産計画や工程の話ばかり気にしていたのに、あとで振り返ると原価や納期の原因が全然違う角度にあった、と感じたことはありますか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、資材管理という視点、与件文のサイン4つ、生産側と資材側の仕分け、答案への落とし込み、混同しやすい誤答3つ、本番のチェックポイントをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
資材管理という視点と、「生産」の話の区別
事例Ⅲの問題を解いていて、生産計画や工程の話ばかり気にしていたのに、あとで振り返ると原価や納期の原因が全然違う角度にあった、と感じたことはありますか。
あります。生産のやり方を直す方向で考えていたのに、後から見ると別のところに原因を指摘されていた、ということが何度かありました。
今日扱うのは、そのときに見落としがちな、資材管理という視点です。部品や原材料をどう調達し、どう在庫として持ち、どう発注するか、という活動全体のことです。
意味は知っています。でも正直、「生産」の話とどう区別して使えばいいのか、二次の現場だと迷います。
そこがまさに今日のテーマです。事例Ⅲの問題は、「作る力」の問題と「材料を揃える力」の問題の、大きく2つの軸で切り分けて考えると整理しやすくなります。
2つの軸ですか。私はどうしても全部「生産のやり方」の話として読んでしまいがちです。
単独では出にくいが、個別の論点の前提として効く
では、まずこの論点がどう出るかから見ていきましょう。事例Ⅲでは、資材管理という言葉そのものが単独で問われることはあまり多くありません。
あまり出ないなら、覚えても意味がないんですか。
いえ、逆です。単独では出にくい分、資材所要量計画や在庫管理、発注方式、外注、品質管理、検査といった個別の論点に取り組む前提として、常に背景に効いています。
前提、というと。
材料費の削減は収益性に直接影響します。それから、部品や材料の手配が遅れれば、最終製品の品質・原価・納期、いわゆるQCDに直接響きます。ここを理解していないと、個別の論点の設問に取り組んでも、なぜその施策が効くのかを説明できなくなります。
個別の論点を覚えていても、土台の理解がないと解答の説得力が出ない、ということですね。
そのとおりです。どんなに現場の生産計画や生産統制がしっかりしていても、資材の手配や在庫が追いついていなければ、結果は崩れます。資材管理は、生産という活動を支える補完的な役割を担っています。
生産だけでなく、それを支えるもう一段階がある、ということですね。
そうです。今日は、資材管理という言葉自体を答案に書くための回ではなく、この後出てくる個別論点をどう使い分けるかの土台を作る回だと思ってください。
土台作り、というのは今までの回とはちょっと違う位置づけですね。
与件文のどんな記述が出たら、資材の視点で読み直すか
では、与件文のどんな記述が出たら、この視点で読み直すべきかを見ていきましょう。1つ目は、材料費や仕入コストの高さ、原価に占める材料費の割合の大きさを示す記述です。
原価の話が出てきたら、生産のやり方だけでなく材料の側も疑う、ということですね。
そうです。2つ目は、納期遅延や欠品が、実は部品や材料の手配の遅れ、在庫切れに起因している記述です。
納期の話だから生産計画の問題だ、と決めつけそうになります。
そこが落とし穴です。与件文をよく読むと、「計画は立てているのに材料が届かない」という書き方をされていることがあります。3つ目は、最終製品の品質不良の原因が、受け入れた部品や材料側の品質にある記述です。
品質が悪いと、つい現場の作業を疑ってしまいますが、材料側という可能性もあるんですね。
あります。そして4つ目、現場の生産計画や生産統制がしっかりしているように書かれているのに、資材の手配や在庫が追いついていないことを示す記述です。
計画側は問題なさそうなのに、なぜか結果が伴わない、というときのサインですね。
この4つのどれかが見えたら、生産側だけでなく資材側にも原因があるかもしれない、という目で与件文を読み直してください。
先ほどの2つの軸で仕分ける:生産の腕前か、仕入れか
4つとも、パッと見ただけだと生産の話に見えてしまいそうです。
だからこそ、見つけた記述をどう整理するかが大事になります。先ほどの2つの軸で仕分けましょう。生産側は、生産計画・生産統制・工程管理・レイアウトなど、作業そのものの効率や統制に関する問題です。
そちらは、これまでの回で扱ってきた論点ですね。
そうです。資材側は、材料費、部品の調達リードタイム、在庫の過不足、外注先の品質・納期、受け入れた部品・材料の品質不良などです。
機械的に振り分ける、とおっしゃいましたが、具体的にはどうやるんですか。
与件文に出てくる問題点を1つずつ、生産側の言葉で説明できるか、資材側の言葉で説明できるかを当てはめていくんです。「生産計画は問題ないのに納期が守れない」というケースなら、生産側では説明がつかないので、資材側、つまり発注や在庫、外注管理に原因があると気づけます。
生産側で説明がつかないときに、初めて資材側を疑う、という順番なんですね。
はい。この振り分けができるようになると、与件文の情報を読み違えにくくなります。考え方のたとえで言うと、料理に近いです。
料理ですか。
どんなに腕のいいシェフでも、仕入れた食材が悪かったり、届くのが遅かったりすれば、決まった時間においしい料理を出すことはできませんよね。
確かに、それは腕前の問題じゃなくて、仕入れの問題ですね。
それが資材の視点です。生産の腕前、つまり生産計画や生産統制がどれだけ優れていても、材料の調達・在庫・発注が追いついていなければ、料理と同じで結果は崩れます。
与件文を読むときも、「腕前、つまり生産の問題か、仕入れ、つまり資材の問題か」という目で見ればいいんですね。
そのとおりです。この感覚を持って読むと、原因の切り分けが早くなります。では、実際の解答にどう落とし込むかを見ていきましょう。
お願いします。
実際の解答にどう落とし込むか
資材管理そのものを問う設問は少ないので、まず与件文で指摘されている問題、原価が高い、納期が守れない、品質が安定しない、といった問題が、生産面だけの問題か、資材面にも原因があるかを切り分けて考えます。
さっきの振り分けを、答案を組み立てる段階でもう一度やる、ということですね。
そうです。資材面に原因があると判断したら、次に資材所要量計画・在庫管理・発注方式・外注管理・受け入れ検査といった個別の論点の中から、最も与件文の記述に対応する施策を選んで提案します。
どれを選ぶかは、与件文のどの記述に対応しているかで決める、ということですか。
はい。そして最後に、「生産計画を見直す」だけで答案を終わらせず、「資材の手配・在庫・品質管理まで含めて見直す」という視点を持つことで、解答の網羅性が上がります。
生産側の改善案だけで満足せず、資材側も添えるということですね。
そこまで書けると、事例Ⅲの問題の構造を理解している答案になります。では、混同・誤答しやすいポイントを整理しておきましょう。
お願いします。
混同・誤答しやすいポイント
1つ目は、事例Ⅲの問題をすべて生産方式や生産計画の問題として処理してしまい、材料費・調達・在庫・外注といった資材側の視点が解答から抜け落ちることです。
私、まさにこのパターンでした。生産の話だと決めつけて、資材側を見落としていた気がします。
多いんです。2つ目は、「資材管理」という言葉を使わなければならないと考えて、無理に用語を当てはめようとすることです。
覚えた言葉は使いたくなります。
気持ちは分かりますが、この論点はそれ自体が解答のキーワードになる場面は多くありません。資材所要量計画・在庫管理・発注方式・外注・検査といった個別の論点を使い分けるための前提知識、という位置づけです。
前提として持っておくものであって、答案にそのまま書く言葉ではない、ということですね。
そうです。3つ目は、材料費削減イコール仕入先を叩く、という短絡的な発想だけで終わらせてしまい、発注方式の見直しや在庫の適正化といった、より構造的な改善案に踏み込めないことです。
仕入先に価格交渉するだけで終わってしまう、というのはありそうです。
そこで終わらせず、発注の仕方や在庫の持ち方といった、この後の回で扱う個別の論点にまで踏み込めるかどうかが、答案の厚みの差になります。
| 誤り | 必要な視点 |
|---|---|
| すべて生産方式・ | 材料費・ |
| 「資材管理」の語を | 個別の論点を |
| 材料費削減= | 発注方式の見直し・ |
今の3つ、どれも生産側だけを見ていると気づけない誤りですね。
だからこそ、まず「生産の問題か、資材の問題か」という視点を持つことが出発点になります。では最後に、本番でこの視点を使うときのチェックポイントをまとめます。
お願いします。
本番でこの視点を使うときのチェックポイント
1つ、原価・納期・品質のどれかに問題がある記述を見たら、生産側だけでなく資材側にも原因がないか、必ず両方の軸で確認してください。
生産側で説明がつかないときに、資材側を疑う、という順番でしたね。
2つ、材料費の高さ、納期遅延、品質不良、生産計画は順調なのに結果が伴わない、という4つのサインを与件文で探してください。
4つのサイン、覚えておきます。
3つ、資材側に原因があると判断したら、資材所要量計画・在庫管理・発注方式・外注管理・受け入れ検査の中から、与件文の記述に対応する施策を選んでください。
そして4つ目が、生産側の改善案だけで終わらせず、資材側の視点も添えて網羅性を上げる、ということですね。
そうです。この土台を持っておけば、この後の資材所要量計画や在庫管理、発注方式といった回の内容が、単なる暗記ではなく、実際の答案でどう使うかまでつながって理解できるようになります。
まずは「生産の問題か、資材の問題か」という2つの目で与件文を読む癖をつけます。
その癖がつけば、事例Ⅲの問題を、より立体的に読み解けるようになります。
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