聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

工程管理

事例Ⅲ 第33回

事例Ⅲ 「工程管理がなってない」で終わらせない読み方8分40秒2026年8月30日公開

「工程管理っていう論点、1次で名前も中身もひととおり知ってますよね。でも二次の答案でちゃんと使えてる実感、正直どうですか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、生産計画と生産統制の切り分け、与件文のサイン、計画側の4つの切り口と統制側の3つの管理、答案での改善策の書き方、引っかかりやすい落とし穴をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

「知識はあるのに二次で迷子になる」状態から抜け出す

工程管理っていう論点、1次で名前も中身もひととおり知ってますよね。でも二次の答案でちゃんと使えてる実感、正直どうですか。

うっ、そこ刺さります。生産計画とか生産統制とか、意味は分かるんです。でも与件文を読んで、いざ「問題点と改善策を書け」って言われると、どこから手をつければいいのか分からなくなるんですよね。

まさにそこ、みんなが詰まるところなんです。今日はその「知識はあるのに二次で迷子になる」状態を抜け出す回にしましょう。

お願いします。この論点が出たとき、まず何を軸に読めばいいのか知りたいです。

工程管理は、性格の違う2つの活動のセット

講師はまず、工程管理が性格の違う2つの活動がセットになっている言葉だと説明します。ひとつは生産計画で、何を、いつ、いくつ作るかを決める計画づくりです。もうひとつは生産統制で、計画どおり進んでいるかをチェックして、ズレたら原因を突き止めて手を打つ、実績管理の方です。

工程管理生産計画何を、いつ、いくつ作るかを決める計画づくり生産統制計画どおり進んでいるかをチェックして、ズレたら原因を突き止めて手を打つ「計画づくりの話」と「実績管理の話」を混ぜずに整理できるか
工程管理は、性格の違う2つの活動がセットになっている言葉です。

あ、それ本番でまさに区別できてなかったやつです。「工程管理がなってない」ってざっくり書いてしまって、点が伸びなかった記憶があります。

それ、すごくよくあるパターンです。

事例Ⅲの生産・技術面の設問は、この2つのどちらか、あるいは両方に不備がある企業を診断させる形で出ることが多いと講師は言います。「生産計画上の問題点と改善策」のように片方だけを狙い撃ちすることもあれば、「生産管理上の課題」のように両方まとめて聞かれることもあります。

聞かれ方が違っても、結局やることは同じってことですか。

そうです。答案の中で「計画づくりの話」と「実績管理の話」を混ぜずに整理できるかどうか。ここが得点を分ける一番のポイントになります。

生産計画が弱い企業の与件文のサイン

じゃあ本番で、与件文のどこを見たら「これは計画側が弱いんだ」って気づけるんですか。

講師は、生産計画が弱い企業には決まって出やすいサインがあると答えます。与件文には次のような記述が出てきます。

  • 計画を作る担当者が生産の実態に詳しくない人で、営業担当や経営者本人が片手間でやっているケース
  • 計画の更新頻度が月1回のように長いスパンでしか見直されていないケース
  • 受注や部品表、在庫のデータが古いまま計画に使われているケース
  • メインの工程にしか計画がなくて、前後の工程が対象から漏れているケース
  • 飛び込み受注のたびに現場が混乱して、残業や納期遅延が出ているケース

情報量が多いです。でも逆に言うと、このパターンさえ知っていれば与件文をスキャンするときに拾えるってことですよね。

その通りです。しかも整理の軸まで揃っています。計画者が適格かどうか、更新の頻度はどうか、対象の範囲は前後工程まで含めているか、そして基礎になるデータが最新かどうか。この4つの切り口で与件文の記述を仕分けると、驚くほどきれいに整理できます。

生産計画を仕分ける4つの切り口① 計画者適格かどうか② 更新の頻度どうか③ 計画対象の範囲前後工程まで含めているか④ 基礎になるデータ最新かどうか
4つの切り口で与件文の記述を仕分けます。

この生産計画の不備って、事例Ⅲでは結構な頻度で出てくる印象があるんですけど、気のせいじゃないですよね。

気のせいじゃないです。事例Ⅲでは「生産計画がない、あるいはおろそかで、更新のスパンが長い」「生産統制がされていない」というのは、企業の弱みとしてかなり定番のパターンです。だからこそ、計画側と統制側のサインを両方持っておくと、どの年度のどんな与件文が来ても対応できます。

生産統制側のサインと、早合点しやすい「残業」

統制側にもサインってあるんですか。

もちろんです。

  • 進捗が日報のような手書き・後追いの記録で、リアルタイムに把握できていない
  • 仕掛品がどこにどれだけあるか分からず、現場で滞留・散在している
  • 特定の工程や人に作業が偏って残業が続く、あるいは逆に手待ちが発生している
  • 納期遅延やクレームが起きてから初めて原因が分かるという、後手の対応になっている

こういう記述が出たら生産統制側のサインだと講師は言います。

与件文に「残業が多い」と書いてあったら、それだけで統制の問題だと決めつけていいんですか。

いえ、そこが早合点しやすいところです。残業が多い原因が「計画が前後工程まで見えていなくて負荷が偏る」のであれば計画側の話ですし、「計画はあるのに実際の進み具合を追えていなくて負荷調整が後手に回る」のであれば統制側の話です。だから、原因のさかのぼり方まで見る必要があります。

残業が多い原因どちらの話か
計画が前後工程まで見えておらず、負荷が偏る計画側
計画はあるが進み具合を追えず、負荷調整が後手統制側

与件文を読むときの切り分け方

与件文を読んでいるとき、頭の中でどう整理すればいいんでしょう。全部メモしていたら時間が足りなくなりそうで。

まず一番大きい分かれ道は「これは計画の話か、統制の話か」です。ここを最初に切り分けます。

切り分けのあとの仕分け

  • 計画の話なら:さっきの4つの切り口、計画者・更新頻度・計画対象の範囲・基礎データの精度で仕分ける。
  • 統制の話なら:日程どおり進んでいるかの管理、仕掛品の所在・数量の管理、人と設備の負荷の管理、この3つの管理対象のどれに不備があるかを見極める。
与件文の記述を読む計画の話か、統制の話か計画の話計画者更新頻度計画対象の範囲基礎データの精度統制の話日程どおり進んでいるか仕掛品の所在・数量人と設備の負荷どれに不備があるか
最初の分かれ道は、計画の話か統制の話かです。

統制の3つの管理を、引っ越し当日でたとえる

その3つ、名前が似ていて毎回こんがらがるんですけど、覚え方はありますか。

たとえるなら、引っ越し当日をイメージしてください。

引っ越し当日のたとえ

  • 日程どおり荷物を運べているかを見るのが進度管理。
  • トラックの中や部屋のどこに何の箱があるかを把握するのが現品管理。
  • 人手と作業量のバランスを見て、足りなければ応援を呼ぶのが余力管理。

この3つはそれぞれ効いてくる経営指標も違っていて、進度管理は主に納期、現品管理と余力管理はコストと納期の両方に響きます。

進度管理日程どおり荷物を運べているか主に納期現品管理トラックや部屋のどこに何の箱があるかコストと納期の両方余力管理人手と作業量のバランス足りなければ応援を呼ぶコストと納期の両方
進度管理・現品管理・余力管理の3つの管理

あ、それなら分かります。引っ越し中に「今どこまで運んだか」「どの箱がどこにあるか」「今日中に終わる人数か」って、確かに別々にチェックすることですね。

そうです。与件文の「納期遅延」「残業増加」「仕掛品滞留」といったキーワードが、この3つのどの管理不備から来ているかを紐づけて読むと、原因と結果の対応関係がはっきり見えてきます。

答案への落とし込み:改善策は手段と効果までセットで

整理できたとして、それを答案にどう落とし込めばいいですか。ここが一番書き方に迷うところです。

講師は、生産計画側の改善策は型がはっきりしていると言い、次の4つを挙げます。

  • 生産に精通した担当者・部門が計画を作成する体制にする
  • できるだけ短いスパン、理想は日単位で頻繁に見直す
  • 対象工程を前後工程まで含めた全範囲に広げる
  • 部品表や在庫データなど計画の基礎情報を最新化・共有する

この4つのうち、与件文で不足しているところを具体的に指摘するイメージです。

統制側は3本柱でしたよね。

はい。

統制側の改善策内容
進度管理を強化日程どおり進んでいるかを可視化する
現品管理を強化仕掛品の所在・数量を把握する
余力管理を強化作業負荷と作業能力のバランスをとる

与件文で不足が読み取れるものを具体的に指摘して、「情報を共有する仕組みを作る」「ITやシステムでリアルタイムに記録・把握する」という手段とセットで書くと、効果まで一貫した答案になります。

① 不足を指摘する与件文で不足が読み取れるものを具体的に② 手段とセットで書く「情報を共有する仕組みを作る」「ITやシステムでリアルタイムに記録・把握する」③ 効果を最後に一言添える納期遵守・コスト削減・残業削減
与件文の不足を具体的に指摘し、手段とセットで書き、効果を最後に一言添えます。

効果まで書くのは、字数がきついとき省略しがちなんですけど、そこは削らない方がいいですか。

そうですね。納期遵守、コスト削減、残業削減といった効果を最後に一言添えるだけで、因果が通った答案に見えます。逆に効果を書かずに施策だけ並べると、読み手に「それをやって何が良くなるのか」と思わせてしまいます。

みんなが引っかかりやすい落とし穴

最後に、みんなが引っかかりやすい落とし穴を教えてください。

一番多いのは、生産計画の問題点なのに生産統制の改善策を当ててしまう、あるいはその逆です。「計画の更新頻度が低い」という問題点に対して「進捗管理システムを導入する」という統制側の対策を書いてしまうと、原因と対策がかみ合わない答案になります。

私、まさにそれをやっていました。問題点と改善策の対応関係を確認せずに書いていた気がします。

もう一つの落とし穴は、生産統制の3つの管理を区別せずに「進捗管理を徹底する」とだけ書いてしまうことです。与件文に仕掛品の滞留や残業の偏りがはっきり書かれているのに、それを現品管理・余力管理という具体的な管理名で拾わずに済ませると、加点のチャンスを逃します。

具体的な管理名まで当てにいく、という意識が大事なんですね。

そうです。もう一つ、工程管理を機械やシステムの話だけで片付けないことも大事です。「誰が」「どんな頻度で」「どの範囲を」計画・統制しているかという運用面の問題として読み解く視点を忘れないでください。ここを機械の話にすり替えてしまうと、与件文の情報を活かしきれない答案になります。

NG例起きること
計画の問題点に統制の改善策を当てる(逆も同じ)原因と対策がかみ合わない
「進捗管理を徹底する」とだけ書く加点のチャンスを逃す
機械やシステムの話だけで片付ける与件文の情報を活かしきれない

まとめ

今日の内容、自分の中で整理できた気がします。

最後にまとめると、事例Ⅲで工程管理系の設問が出たら、まず計画の話か統制の話かを切り分けます。計画なら計画者・頻度・範囲・基礎データ、統制なら進度・現品・余力の3管理、この軸で与件文を仕分けて、改善策は手段と効果をセットで書く。この手順さえ持っていれば、本番で迷わず整理できるはずです。

はい。次に工程管理が出てきたら、もう知識として知っているだけじゃなくて、ちゃんと使える気がします。

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