輸配送管理は与件文のどこで気づくか
事例Ⅲ 第10回
「知識はあるのに二次でどう使えばいいか迷う人、多いんですよね」。動画は、輸配送管理についてのこんな話から始まります。このページでは、輸配送管理が出る場面、与件文のサイン、顧客の要求水準と自社の対応力のギャップの整理、共同配送と3PL、解答の型、間違えやすいポイントを、動画の流れにそってまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
知識はあるのに、二次でどう使えばいいか迷う
今日は「輸配送管理」を扱います。事例Ⅲの中でも、生産だけじゃなくて「作ったものをどう届けるか」という出荷側の論点なんですが、知識はあるのに二次でどう使えばいいか迷う人、多いんですよね。
あ、それ私です。生産計画とか生産統制はもう体に染み付いてるんですけど、配送の話になった瞬間、急に手が止まるっていうか。工場の中の話じゃなくなるから、なんか勝手が違う気がして。
そうそう、まさにそこです。工場の中の改善と、工場を出たあとの物流の改善は、似てるようで問われ方が全然違う。今日はそこを一緒に整理していきましょう。
二次の設問だと、どういう場面で出てくるのか
そもそも輸配送管理って、二次の設問だとどういう場面で出てくるものなんですか?単独の設問として構えて出てくるイメージがあまりないんですけど。
いい質問です。単独でドーンと出るというより、顧客から「もっと細かく、もっと頻繁に納品してほしい」「納品時間をきっちり守ってほしい」という要求が強まっている文脈で出てくることが多いんです。生産計画・生産統制の改善提案の一部として、出荷まで含めて答える形で出ることもあります。
なるほど。じゃあ、生産の改善策を書いてるつもりが、実は配送のところまで踏み込まないと解答として物足りない、みたいなこともあるってことですか。
まさにそうです。それから、同業他社との共同配送とか、外部の物流業者を使うとか、自社だけでは解決しにくい制約への対応策として輸配送管理が使われることもあります。
あー、それ聞いたことあります。自社の車両とか人員だけじゃどうにもならない、っていう場面ですよね。
与件文のどんな一文が出てきたら、この論点だとピンとくるか
そうです。じゃあ、与件文のどんな一文が出てきたら、この論点だってピンとくればいいと思いますか?
うーん…「もっと頻繁に、もっと小口で納品してほしいと言われている」みたいな記述、ですか?
そうです、それが一番わかりやすいサインですね。「多頻度小口配送」を求められている、という記述。ほかにも「納品時間の指定が厳しくなった」「指定時間に遅れることは許されない」っていう記述も同じグループです。
時間指定の話も配送の論点なんですね。てっきり生産スケジュールの話かと思ってました。
そこ、結構みんな迷うところです。あと「自社のトラックや配送体制だけでは対応しきれない」「輸送コストが負担になっている」、それから「同業他社や近隣企業と連携し、共同配送や外部物流業者の活用を検討している」という記述も、輸配送管理のサインです。
結構たくさんあるんですね。全部覚えるの大変そうですけど、共通点ってあるんですか?
あります。全部「顧客が求める配送の水準」と「自社の輸配送の実力」のあいだにギャップが生まれている、っていう構図なんです。
ギャップ、ですか。
はい。もう一つ見落としやすいサインがあって、「生産計画はちゃんと立てられているのに、出荷や納品の段階で遅れやコスト増が起きている」っていう記述。これも輸配送管理のサインです。生産のところは順調なのに、出したあとでつまずいている、っていう書かれ方をするんですね。
それ、まさに私が読み飛ばしていたパターンです。生産のところがうまくいってるって書いてあると、そこで安心して読み進めちゃって、後ろの配送の記述を軽く流しちゃうんですよね。
お客さんが喜ぶ分だけ、お店側の負担が増える
それ、多くの人がやる失敗です。今の話、買い物に例えると分かりやすいかもしれません。ネットスーパーが「毎日でも届けます、時間も指定できます」って言われたら嬉しいですけど、お店側からすると、それを実現するために配送の回数を増やしたり、時間通りに動ける体制を組んだりしないといけない。この「お客さんが喜ぶ分だけ、お店側の負担が増える」っていう関係が、輸配送管理の基本構図なんです。
あ、それ分かります。コンビニで欲しい時に買えるのって、裏でお店がすごく頑張って配送を組んでるからなんですね。
そうです。だから与件文を読むときも、「顧客がこう求めている」という記述を見たら、その裏で「自社はそれにどこまで応えられているか」を必ずセットで探す。この習慣がついていると、輸配送管理の論点を見逃しにくくなります。
多頻度小口配送を、顧客はなぜ求めるのか
ちなみに、さっきの多頻度小口配送なんですけど、そもそも顧客はなんでそれを求めるんですか?
顧客からすると、必要なものを必要なときに必要な量だけ仕入れられるので、余分な在庫を持たずに済む、つまり在庫リスクを減らせるんです。
なるほど、顧客側の在庫負担が軽くなる分、自社にしわ寄せがいく構図なんですね。
まさにそうです。自社側は小ロットで作って出荷する体制に変え、在庫・出荷情報をこまめに管理する必要が出てきます。納入時間指定配送も同じ発想で、指定した時間ちょうどに届ける分、自社側の配送の正確さへの要求が上がるんです。
ギャップをどう整理していくか
なるほど。じゃあ、そのギャップを実際にどう整理していけばいいんですか?読み取った記述、頭の中でバラバラになっちゃいそうで。
整理の仕方はシンプルです。まず与件文から「顧客側の要求水準」を拾います。多頻度化しているか、小口化しているか、時間指定が厳しくなっているか。次に「自社側の対応力」を拾います。車両は何台か、配送ルートはどうなっているか、人員に余裕はあるか、外部委託はしているのか。この二つを並べて、どこにギャップがあるかを見るんです。
顧客側と自社側、両方を拾ってから並べる、っていう順番が大事なんですね。
そうです。片方だけ拾って書き始めると、対応策がずれます。それから、ギャップが見えたら、それを埋める方向が「自社の中で効率化する」なのか「外部と連携する」なのかを判断します。ここは与件文の制約条件、つまり自社の資源にまだ余力があるか、近くに連携できそうな企業があるか、で決まります。
その判断って、けっこう与件文の中のヒント頼みになりそうですね。
| 与件文の記述 | 向かう方向 |
|---|---|
| 「自社の車両には余裕がある」 | 自社内効率化 |
| 「近隣に同業他社がある」 | 連携 |
答えは与件文の側から選ばせてもらうイメージです。
共同配送は、なぜコスト削減になるのか
さっき出てきた共同配送のところなんですけど、なんでコスト削減になるのか、そのメカニズムがちょっと曖昧です。
共同配送は、配送先が近い2社以上が同じ輸送業者に配送をまとめて委託する形です。トラックの積載効率が上がって物流コストが下がる。多頻度小口配送や時間指定配送を導入すると配送効率が落ちる傾向があるので、その落ちた効率を取り戻す打ち手として使われます。
あ、だから「多頻度小口化した結果、効率が落ちた」→「それを共同配送で取り戻す」っていう、セットの話になりやすいんですね。
そうです。共同配送のほかに、3PL、サードパーティ・ロジスティクスという選択肢もあります。自社で物流機能を抱えず、専門の物流会社に配送そのものを委託する形で、こちらも「自社だけでは対応が難しい」という与件文の制約に対する打ち手として使えます。
解答へ落とし込むときの型
与件文が答えの方向を教えてくれてる、っていう感覚、いいですね。じゃあ、実際に解答へ落とし込むときの型を教えてください。
問題点を問われたら、「顧客の配送要求、つまり多頻度小口化や時間指定が高度化している」→「自社の車両・人員・拠点では対応しきれず、コスト増や遅延が生じている」という因果でまとめます。
対応策を問われたら、方向性は三つです。一つ目は、配送ルートや積載効率の見直しによる自社対応力の強化。二つ目は、同業他社や物流業者との共同配送による輸送効率化とコスト低減。三つ目は、物流拠点や在庫配置の見直しによる納品リードタイムの短縮です。
三つ、覚えるのは大変そうですけど、さっきのギャップの話とつながってますね。自社側を強くするか、外に頼るか、拠点を見直すか。
その理解でOKです。それと、書くときに一番大事なのは、「配送を効率化する」だけで終わらせないこと。多頻度小口化に効くのか、時間指定に効くのか、そのどちらのニーズに対応する施策なのかを、必ず一言添えることです。
あ、それ私、本番で「効率化する」って書いて終わらせちゃったことあります…。
それだと「で、何のために効率化するの」となってしまいます。「多頻度小口化する顧客要求に対応するため、配送ルートを見直し積載効率を高める」というふうに、要求と施策をひもづけて書くと評価されやすくなります。
間違えやすいポイント
要求と施策をセットで書く、ですね。メモしました。じゃあ最後に、間違えやすいポイントも教えてください。
一つ目は、さっきも出た、生産計画・生産統制の問題と輸配送管理を混同すること。輸配送管理が扱うのは、工場から出たあと、顧客に届くまでの工場の外側のプロセスです。生産の遅れが問題になっている与件文でも、その原因が工場の中の工程にあるのか、出荷後の配送にあるのかを切り分けずに書くと、論点がぼやけてしまいます。
「遅れてる」って書いてあったら反射的に生産の話だと思っちゃいそうですけど、原因が配送側にあることもある、ってことですね。
そうです。もう一つは、共同配送のデメリットを見落とすことです。共同配送は輸送コストの低減や効率向上に有効な一方で、自社の物流ノウハウの流出や配送スケジュールの柔軟性低下といったデメリットも伴います。
メリットだけ書いて満足しちゃいそうです、正直。
メリットだけを一方的に書かず、与件文の文脈に応じてバランスを意識する。
| 与件文の記述 | 書き方 |
|---|---|
| 「コストや効率を重視している」 | 共同配送を推す方向 |
| 「自社のノウハウを大事にしている」 | 慎重な書き方に寄せる |
与件文の温度感を見て、書き方の強弱を変えるってことですね。分かりました。
まとめ
動画の整理
- 輸配送管理は「顧客の要求水準」と「自社の対応力」のギャップという構図で読むこと。
- 対応策は自社内の効率化、外部との共同配送・3PL活用、拠点や在庫配置の見直しの三方向を与件文の制約で使い分けること。
- 生産計画との混同と、共同配送のデメリットの見落とし、この二つには特に注意すること。
今日でだいぶ、輸配送管理の使いどころが見えてきました。与件文の中で顧客側の要求と自社の対応力をセットで探す、っていう読み方、次からすぐ実践してみます。
ぜひ試してみてください。与件文を読むときに「顧客が求めていること」と「自社ができていること」を分けて拾う癖をつけるだけで、この論点はかなり見つけやすくなりますよ。
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