聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

トヨタ生産方式の改善の手段

事例Ⅲ 第14回

事例Ⅲ 手段と効果まで書き切る、トヨタ生産方式の改善の手段10分48秒2026年9月1日公開

「知識としては知ってるのに、二次の本番でどこに使えばいいか分からない論点って、ありませんか。かんばんとか平準化生産とか、多能工とか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは、与件文の着眼点、6つの手段、問題指摘・手段・効果の解答の型、混同しやすいポイントを、動画の流れにそってまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

知識はあるのに、本番でどこに使うか分からない

動画は、こんな問いかけから始まります。「知識としては知ってるのに、二次の本番でどこに使えばいいか分からない論点って、ありませんか。かんばんとか平準化生産とか、多能工とか」。聞き手は「めちゃくちゃ刺さります」と答えます。かんばんも平準化生産も多能工も、意味はひと通り知っている。けれど本番の答案でどこに出せばいいのか、いつも迷って終わっていた、と言います。

講師は、問題は知識ではなく、事例Ⅲの与件文のどの記述を見た瞬間に「ここでこの手段だ」と気づけるかだと整理します。聞き手も、与件文を読んでいるときは「なんか現場が困ってそうだな」くらいの感覚で終わってしまい、具体的な手段まで結びつけられなかった、と振り返ります。今日はそこを埋めたい、というのが動画の出発点です。

知識はある。問題は、事例Ⅲの与件文のどの記述を見た瞬間に「ここでこの手段だ」と気づけるか、なんです。

そこです…!与件文を読んでるときは「なんか現場が困ってそうだな」くらいの感覚で終わっちゃって、具体的な手段まで結びつけられなかったんです。

このページでは、二次での出方、与件文の着眼点、手段を一つずつ、手段を一本につなぐ考え方、解答の型、混同しやすいポイント、本番での使い方の順に、動画の流れにそってまとめます。

二次ではどう出るか:「考え方」で止めず、手段まで書く

講師は、まず二次でどう出るかから入ります。事例Ⅲは生産・技術の事例なので、次のような問題が与件文に書かれます。そこへの具体策として、この改善の手段が問われる、という流れです。

  • 工程間に仕掛品が過剰にある
  • 生産量や生産品目の変動に現場が振り回されている
  • 特定の人しかできない作業がボトルネックになっている

聞き手は、これを「ムダをなくしましょう」という考え方のレベルではなく、じゃあ具体的にどうやってなくすのか、というところまで答案で書く必要があるのですね、と受け止めます。講師は「そうです」と答えたうえで、考え方だけ書いて終わる答案と、手段まで書き切った答案とでは、点差がはっきり出るところだと言います。

私、まさに「ジャストインタイムの考え方を徹底する」で止まってた答案を書いたことがあります…。あれ、伸びなかった理由、今分かりました。

手段まで書くときに使える切り口として、講師は1次で習ったQCD、つまり品質・コスト・納期を挙げます。仕掛品の削減や多能工化は、在庫コストの改善だけでなく、リードタイム短縮を通じて納期、つまりDの改善にも直結する、という説明です。

仕掛品の削減・多能工化在庫コストの改善リードタイム短縮納期(D)の改善
ムダの排除で止めず、QCDのどこに効くかまで書きます。

聞き手は、「ムダの排除」で止めずに、それがQCDのどこに効くのかまで書けると説得力が増しますね、とまとめています。

与件文のどこに反応するか:着眼点4つ

次は、与件文のどこに反応すればいいかです。講師が挙げた着眼点は4つあります。

  • 前工程が後工程の必要量を考えずに作ってしまい、仕掛品が積み上がっているという記述
  • 生産量や生産品目が日によって大きく変動していて、現場が対応に追われているという記述
  • 特定の作業者や設備に作業が偏っていて、他の人が代わりにできないという記述
  • 作業の順序や方法が人によってバラバラで、品質や効率にばらつきが出ているという記述

1つ目を聞いた聞き手は、「見た瞬間に『あ、これだ』って反応していいやつですか」と確かめ、講師は「はい」と答えます。聞き手はこの4つを「仕掛品の山、変動への対応、属人化、バラつき」というキーワードにまとめ、これを頭に入れておけば与件文を読みながら反応できそうです、と言います。講師は、この着眼点を持っているかどうかで、与件文を読むスピードと解答の精度が全然変わってくると続けます。

仕掛品が積み上がっている後工程引取方式(かんばんで実現)生産量・品目が大きく変動平準化生産量と品目の変動をならす作業が特定の人や設備に偏っている多工程持ち・多能工複数の作業ができる作業の順序・方法が人によってバラバラ標準作業順序や方法の基準を定める
与件文の記述(左)に反応して、対応する手段(右)を当てはめます。

ただし、講師は一つ注意を添えています。検査部門への偏りやQCサークルの形骸化など、品質保証の体制全体の話ならTQM、標準時間の設定など個別の作業分析の文脈ならIEの話になる、という区別です。

手段を一つずつ:かんばんと後工程引取方式

聞き手の「実際に手段のほうを一つずつ教えてください」を受けて、講師は順に説明します。最初はかんばんです。かんばんは、後工程が必要な分だけを前工程に指示する、生産指示の情報伝達手段です。

あ、これ私、本番で単なる「作業指示書」みたいに書いちゃったことがあって…。

そこ、実はよく引っかかるポイントです。かんばんは指示書そのものというより、後工程から前工程へ必要量を伝える情報伝達手段、という本質を書けるかどうかが評価の分かれ目になります。

情報の伝わり方を書くのと、紙切れの名前を書くのとでは、全然違いますね。

そのかんばんを使って実現するのが後工程引取方式です。後工程が必要なときに必要な分だけ、前工程から引き取る仕組みで、聞き手は「『作る』んじゃなくて『引き取る』、という向きの発想なんですね」と整理しています。

平準化生産:量だけでなく品目も

次に平準化生産です。生産量や生産品目の変動を抑えて、できるだけ均等に生産する、という考え方です。聞き手は、これを「毎日同じ量だけ作ること」だと思っていた、と打ち明けます。

講師は、そこも注意したいところだと言います。平準化は、生産量の平準化だけでなく、生産品目の平準化、つまり品目の切り替えをこまめに行うことも含みます。ここを見落とすと、答案が半分しか書けていないことになる、というのが講師の指摘です。聞き手は「量だけじゃなくて、品目の切り替え頻度も見る」とまとめています。

多工程持ちと多能工、少人化、標準作業

続いて多工程持ちと多能工です。多工程持ちは、1人の作業者が複数の異なる工程や機械を受け持つこと。多能工は、複数の作業ができる作業者のことです。聞き手は、この二つはセットで出てくるイメージがある、と言います。

効果として、講師は次の3つを押さえておくといいと言います。

  • 生産リードタイムの短縮
  • 仕掛品の減少
  • 生産量変動への柔軟な対応

聞き手は、さっきの着眼点の「特定の作業者しかできない」がまさにここに刺さりますね、と気づき、講師は「その通りです」と応じます。

それから少人化です。状況に応じて、最も少ない人員で効率的に生産するという考え方です。聞き手は「少人化って、とにかく人を減らすことそのものが目的、じゃないんですよね?」と確かめます。講師の答えは、あくまで状況に応じて最少人員で効率よく回すという発想、というものです。

最後が標準作業です。作業の順序や方法、使用する設備などに関する基準を定めることです。聞き手は、これはさっきの「作業の順序・方法が人によってバラバラ」という着眼点に対応する手段ですね、と結びつけ、講師は「そうです」と答えています。

ここまでの6つの手段を、表にまとめます。

手段中身
かんばん後工程が必要な分を前工程に指示する情報伝達手段
後工程引取方式必要なときに必要な分だけ前工程から引き取る
平準化生産量と品目の変動を抑えて均等に生産する
多工程持ち1人が異なる工程や機械を受け持つ
多能工複数の作業ができる作業者
少人化状況に応じて最少人員で効率的に生産する
標準作業作業の順序・方法・設備などの基準を定める

6つの手段は一本の考え方でつながる

講師は、ここまでの6つを、バラバラの手法として覚えると本番で出てこなくなる、と注意します。全部、必要なものを必要なときに必要な量だけ作るという考え方を実現するための手段として一つにつながっている、と捉えると、答案に一貫性が出るという説明です。

必要なものを必要なときに必要な量だけかんばん後工程引取方式平準化生産多工程持ちと多能工少人化標準作業
バラバラの手法ではなく、一本の考え方を実現する6つの手段です。

ここで聞き手が、たとえを出します。講師が「まさにそのイメージです」と受け、続けて説明したのが、次のやり取りです。

定食屋のたとえ

毎日決まった量のお弁当を作っている定食屋さんが、お客さんの注文が入った分だけ、必要な食材を必要な分だけキッチンに回す。

たとえるなら…毎日決まった量のお弁当を作ってる定食屋さんが、お客さんの注文が入った分だけ、必要な食材を必要な分だけキッチンに回す、みたいなイメージですか?

まさにそのイメージです。お客さんの注文、つまり後工程の必要量に合わせて、前の工程が動く。しかもその日の注文の波が大きすぎると現場が回らないので、仕込みの量や品目もできるだけ均等にならす。

一人の調理担当が焼き物も揚げ物も両方できれば、忙しい持ち場に回ってフォローできますもんね。まさに多工程持ちと多能工です。

講師は、本番の与件文でも、「注文に応じて動く」「変動をならす」「一人が複数をカバーする」という関係性で読み解けると、手段の名前がすっと出てくるようになる、と言います。聞き手は、イメージがつかめると暗記ではなく理屈で思い出せるようになりますね、と話しています。

解答の型:問題指摘、手段、効果

では、これを実際の解答にどう落とし込むか。講師が示す型は三段階です。

① 与件文の問題を指摘する仕掛品の過剰・変動対応の遅れ・作業の属人化② 対応する具体的な手段を挙げる後工程引取方式・平準化生産・多能工化・標準作業③ 手段で得られる効果を示す仕掛品削減・リードタイム短縮・変動対応力の向上なぜその手段が問題解決につながるかを一言添える
答案は、問題指摘、手段、効果の3段階で書きます。

まず、与件文の問題、たとえば仕掛品の過剰や、変動対応の遅れ、作業の属人化などを指摘します。次に、その問題に対応する具体的な手段、後工程引取方式や平準化生産、多能工化、標準作業などを挙げます。最後に、その手段によって得られる効果、仕掛品削減やリードタイム短縮、変動対応力の向上などを示します。聞き手は「問題指摘、手段、効果の三点セットですね」と確認しています。

講師は、手段の名称だけを並べるのではなく、「なぜその手段が問題解決につながるのか」を一言添えると、評価される解答になると言います。聞き手が挙げた書き方は、「後工程引取方式を導入する」で終わらせず、「だから前工程の作りすぎが抑えられて仕掛品が減る」まで書く、というものでした。講師は、その一言があるかないかで、採点者から見た理解度の伝わり方が変わってくると続けます。

講師が挙げる失敗がもう一つあります。字数配分です。手段の名称を並べることに字数を使いすぎて、効果を書く分が残らない、という失敗が多い、といいます。

あ、それもやりがちです…。手段を2つも3つも並べたくなって、最後の効果が一言で終わっちゃうパターンです。

手段は多くても2つ程度に絞って、その分「なぜ効果につながるか」の説明にしっかり字数を残す、という配分を意識してみてください。

私、手段の名前だけ並べて満足しちゃってたので、そこ意識してみます。

混同しやすい3つのポイント

最後に、講師は混同しやすいポイントを3つ整理します。

一つ目は、かんばんを単なる作業指示書と捉えてしまうケースです。さきほど触れたとおり、情報伝達手段という本質を落とさないことが大切だと、聞き手も確認しています。

二つ目は、多工程持ちと多台持ちの混同です。多台持ちは、同じ種類の機械を複数台持つこと。多工程持ちは、異なる種類の工程や機械を1人が受け持つことです。講師は、字面が似ているので特に注意してください、と言います。

多台持ち同じ種類の機械を複数台持つ多工程持ち異なる種類の工程や機械を1人が受け持つ字面が似ているので特に注意
同じ機械が複数台か、違う工程を1人が受け持つか。

「同じ機械が複数台」なのか、「違う工程を1人が」なのか、意味が全然違いますね。危うく混同するところでした。

三つ目は、平準化生産を生産量の平準化だけと捉えて、生産品目の平準化を見落とすケースです。聞き手は、さっき教えてもらった品目の切り替えの話ですね、ここも書けるようにしておきます、と確認しています。

混同押さえること
かんばん=作業指示書後工程から前工程へ必要量を伝える情報伝達手段
多工程持ち=多台持ち多台持ちは同じ種類の機械、多工程持ちは異なる工程や機械
平準化=量だけ生産品目の平準化(品目の切り替えをこまめに)も含む

本番でこの論点を使うときの流れ

講師は、本番でこの論点を使うときの流れを、次のようにまとめます。

本番での使い方

  • 与件文に、仕掛品の過剰、変動対応の遅れ、属人化、作業のバラつきという記述がないか探す
  • 見つけたら、かんばん、後工程引取方式、平準化生産、多工程持ちと多能工、少人化、標準作業のどれが対応するかを当てはめる
  • 問題指摘、手段、効果の三段階で書く

聞き手は、手段はバラバラに覚えるのではなく、必要なものを必要なときに必要な量だけ、という一本の考え方でつながっている、というのも忘れないようにします、と話しています。講師は、それが押さえられていれば、この論点は本番で十分に得点源にできる、と締めくくります。

まとめ

動画の整理

  • 二次で出る問題は、仕掛品の過剰、生産量・品目の変動、特定の人しかできない作業。考え方だけで終わらず、手段まで書き切る
  • 「ムダの排除」で止めず、QCDのどこに効くか(仕掛品削減や多能工化はリードタイム短縮を通じてDの改善にも直結)まで書く
  • 与件文の着眼点は4つ:仕掛品の積み上がり、生産量・品目の変動、作業の偏り(属人化)、作業の順序・方法のバラつき。品質保証の体制全体ならTQM、個別の作業分析ならIE
  • 手段は6つ:かんばん、後工程引取方式、平準化生産、多工程持ちと多能工、少人化、標準作業。すべて「必要なものを必要なときに必要な量だけ」でつながる
  • 解答は、問題指摘、手段、効果の三段階。「なぜ効果につながるか」を一言添え、手段は多くても2つ程度に絞る
  • 混同しやすいのは、かんばん=作業指示書、多工程持ちと多台持ち、平準化を量だけと捉えること

動画の最後に、聞き手は「今日の内容、頭の中で整理できました」と話しています。知識があることと、与件文の記述に気づいて答案に書けることは別です。与件文の4つの着眼点に反応し、対応する手段を当てはめ、問題指摘、手段、効果の順で、効果まで書き切る。この流れを持っておけば、与件文の問題に具体的な手段で答えられます。

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