聞き流しラボby KUFUYA
ITパスポート試験

3分野を、耳からおさえる。

ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジー系の用語と考え方を、短い講義にしています。直前期は図解のファイナルペーパーアプリで総復習できます。

分野別の講義動画過去問解説ファイナルペーパーアプリ
ITパスポート聞き流しラボ

PaaS・SaaS・DaaSの違いとSaaSとASPの落とし穴

ストラテジ系・ソリューションビジネス 00513分39秒2026年8月21日公開

PaaS、SaaS、DaaS。名前がそっくりで、聞いただけで混乱しそうになります。動画では「as a Service の前についている単語に注目するだけで、すっきり整理できる」と話が始まります。このページでは、前回のIaaSから順に提供範囲が広がっていく流れと、試験で引っかかりやすいSaaSとASPの違いを、図でまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

3行でいうと

  • IaaS→PaaS→SaaSの順に、事業者が用意してくれる範囲が広がり、利用者が自分で用意する部分が減っていきます。DaaSは、パソコンのデスクトップ環境をまるごとネット経由で届けるサービスです。
  • 見分けるコツは、as a Service の前の単語。Platformなら実行環境まで、Softwareならアプリの機能まで、Desktopならデスクトップ環境まるごと。
  • SaaSとASPはどちらもネット経由でアプリの機能を使えますが、一般的な説明では、サーバを共有するか(SaaS)、1社で専有するか(ASP)が違います。

前回のおさらい:IaaS

IaaS(Infrastructure as a Service)は、サーバやストレージ、ネットワークといった、システムの土台になるインフラ部分だけをインターネット経由で提供するサービスでした。OSやアプリは、利用者が自分で用意します。今回は、このIaaSから提供範囲を広げていった3つのサービスを見ていきます。

PaaS:アプリを動かす土台まで借りる

PaaS(Platform as a Service、パース)のプラットフォームとは、アプリを動かすための土台のことです。OS、プログラムの実行環境、データベース管理システム(DBMS)などが含まれます。IaaSと比べると、IaaSにOSやミドルウェアを加えたサービスです。

自社で業務アプリを作りたい会社を考えてみましょう。IaaSだけだと、OSを入れて、実行環境やデータベースを設定して、やっと開発を始められます。PaaSならその土台はもう用意されているので、プログラムを書くことに集中できます。

  • 期間限定のキャンペーンサイトを短期間で公開し、終わったら解約する(機材が手元に残らない)
  • 少人数のチームで、新しいサービスを早く世に出す
  • 複数の開発者が同じ形の環境を使えるので、「自分のパソコンでは動くのに、あの人のでは動かない」という食い違いが起きにくい

PaaSのポイントは、「実行環境という土台まで提供される」ことです。その上で動かすアプリは、利用者が用意します。

SaaS:アプリの機能そのものを使う

SaaS(Software as a Service、サース)は、PaaSにアプリケーションソフトウェアを加えたサービスです。ソフトの機能そのものを、インターネット経由のサービスとして提供します。

大事なのは、パッケージソフトのように「商品」を買ってインストールするのではなく、必要なときに機能を使わせてもらうという点です。メール、文書作成、会計などのソフトを、パソコンに何も入れずにWebブラウザから使えるのがSaaSの身近な例です。会社にとっても、社員のパソコン1台ずつにソフトを入れて回る手間がなくなります。

料金は買い切りではなく、使った量や利用人数に応じて払う形が多く、初期費用をおさえて使い始められます。回線が速く安定したことに加え、情報システムを「自社で持つもの」から「必要なときに借りるもの」へと考える流れが、SaaSを広めました。

落とし穴:SaaSとASPのちがい

SaaSとよく似た言葉にASP(Application Service Provider)があります。サーバ上で動くアプリを、インターネット経由で提供するサービスや事業者のことです。

それって、SaaSと同じに聞こえるんですけど……。

そこが引っかけどころです。一般的な説明では、違いはサーバの使い方です。SaaSは、1台または複数台のサーバを複数の会社で共有します。ASPは、基本的に1つのサーバを1社で専有します。

大勢で共同利用するのがSaaSで、1社専用がASPなんですね。

そうです。SaaSは設備を効率よく使い回せるので料金が安くなりやすく、ASPは専有できるぶん作り込みやすい反面、割高になりやすい傾向があります。

SaaSみんなで共有共有のサーバA社B社C社料金は安くなりやすいASP1社で専有サーバA社サーバB社サーバC社作り込みやすいが割高
どちらもネット経由でアプリの機能を使えますが、サーバを「共有」するか「専有」するかが違います。

「どちらもネット経由でソフトの機能を使えるから同じ」と早合点するのが、よくあるミスです。ネット経由でソフトの機能を届けるという考え方はASPが先に広まり、そのあとサーバを共有する形としてSaaSが広まりました。呼び方の新旧より、共有か専有かで覚えておきましょう。

DaaS:デスクトップ環境ごと使う

DaaS(Desktop as a Service、ダース)は、パソコンのデスクトップ環境そのものをインターネット経由のサービスとして提供します。サーバ側に、OSや画面、その中で使うアプリやファイルまで含めたパソコン1台分の環境(仮想デスクトップ)を用意し、手元の端末からネットワーク越しに呼び出して操作するしくみです。動画では「SaaSにデスクトップ環境を加えたサービス」と、積み上げの形で整理しています。

デスクトップがサービスって、まだピンときません。

自宅のパソコンと職場のパソコンって、画面もソフトもファイルも違いますよね。

機械が違うんだから、当たり前じゃないですか?

DaaSだと、その当たり前が変わります。デスクトップ環境はサーバ側で管理されていて、どの端末からつないでも同じ環境を呼び出せる。ある端末で作業を中断しても、別の端末から続きを再開できるんです。

サーバ側のデスクトップ環境いつもの画面会社のPC自宅のPCタブレットどの端末からでも、同じ画面・同じファイル端末にはデータを残さない
作業を中断しても、別の端末からつなぎ直せば続きから再開できます。

オフィスでも自宅でも外出先でも同じ画面で仕事を続けたいときや、在宅勤務に切りかえるときに便利です。会社にとっては、端末ごとにソフトを設定する手間が省け、セキュリティの管理もサーバ側でまとめやすくなります。端末をなくしたり壊したりしても、環境はサーバ側にあるので失われず、手元にデータを残さないぶん情報漏えいのリスクもおさえられます。

弱点は、手元の端末はネットワーク越しに画面を呼び出して操作するだけなので、通信が不安定な場所では作業しづらいことです。回線がつながらなければ、デスクトップそのものが使えません。

4つを並べてみる

IaaSはインフラだけ。PaaSはその上にOSや実行環境、DBMSという土台を重ね、SaaSはその上で動くアプリの機能まで提供します。この3つは、前の段階に新しい要素をひとつずつ積み重ねる関係です。

IaaSPaaSSaaSアプリケーション利用者利用者事業者OS・実行環境DBMSなど利用者事業者事業者サーバ・ストレージネットワーク事業者事業者事業者事業者が提供利用者が用意DaaS階段の続きではなく、届けるものが別パソコン1台分のデスクトップ環境をまるごと届ける
as a Service の前の単語が、事業者が用意してくれるものを表します。IaaS・PaaS・SaaSは下から順に範囲が広がる関係です。

DaaSは、動画では「SaaSの次の段」として整理されていますが、一般的な定義では、パソコン1台分のデスクトップ環境をクラウドから届けるサービスです。IaaS・PaaS・SaaSの階段の「さらに上」というより、届けるものの種類が違うと考えると混乱しません。デスクトップの中で使うアプリは、利用する会社が選んで入れることもあります。まずは「デスクトップ環境をネットワーク経由で提供する」という特徴をつかんでおきましょう。

  • OSの設定まで細かく調整して、自社の思いどおりに作りこみたい → IaaS
  • 開発や運用の手間を減らして、早く世に出したい → PaaSやSaaS
  • デスクトップ環境をそろえて、どこでも同じ環境で作業したい → DaaS

練習:どう考える?

「複数の企業がサーバを共有し、ソフトの機能だけを利用できるサービス」は? 選択肢はPaaS・SaaS・ASPです。

PaaSが用意するのは実行環境までだから外れて、共有だからASPも外れる……SaaSですね。

正解です。では「OSや実行環境の管理はしなくてよく、独自に開発したアプリをその上で動かせるサービス」は?

独自開発のアプリを動かすのがカギですね。SaaSやASPは既製のソフトを使わせてもらうだけだから外れて、PaaSです!

まず「インフラだけか、実行環境までか、アプリの機能までか、デスクトップ環境まるごとか」を見きわめ、SaaSとASPのような似た言葉が出たら「共有か専有か」まで確かめる。この2段階で考えると、確実に正解にたどりつけます。

試験ではここに注目

  • as a Service の前の単語が提供範囲を表す(Infrastructure・Platform・Software・Desktop)
  • PaaS=実行環境まで提供。アプリは利用者が用意する
  • SaaS=アプリの機能まで提供。利用した分や人数に応じた料金が多い
  • DaaS=デスクトップ環境をネットワーク経由で提供。端末にデータを残さない
  • SaaSはサーバを複数の企業で共有、ASPは1社で専有、というのが一般的な区別(説明の入れかえに注意)

SaaS・PaaS・IaaS・DaaS・ASPは、いずれもシラバスのソリューションの形態に用語として挙がっています。「誰が何を用意するのか」という役割分担で考えると、初めて見る選択肢にも落ち着いて対応できます。

NEXT

続けて聞く