RAIDとは?番号が大きいほど安全、ではない理由とRAID0・RAID1の違い
「突然ですけど、パソコンやスマホの中のデータって、ある日ハードディスクが壊れたら、全部消えちゃうと思います?」 動画は、そんな少しこわい問いかけから始まります。1台のディスクが壊れても、データを失わないようにするためのしくみが、RAIDです。このページでは動画の流れにそって、RAIDの考え方と、試験で特に大切なRAID0・RAID1の違いをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
3行でいうと
- RAIDは、複数台のディスクを組み合わせて、パソコンからは1台の大きなディスクのように使えるようにする技術です。
- RAIDのレベルは0〜6まで。番号は「優劣の順位」ではなく、データの記録方式の違いです。
- 特に大切なのは、速度重視のRAID0(ストライピング)と、安全性重視のRAID1(ミラーリング)。複数のディスクを使っても、RAID0は安全性を高めるものではありません。
ディスクが1台だと、なぜこわいの?
企業のサーバのように大事なデータを扱う場所では、ハードディスクをわざと何台も使ってデータを守っています。1台だけだと、その1台が壊れた時点で終わりだからです。そのための技術がRAID(レイド)です。
RAIDとは:複数のディスクを1台に見せる技術
RAIDは、複数台のハードディスクを組み合わせて、まるで1台の大きなディスクであるかのように扱う技術です。パソコン側から見ると、中に何台のディスクが入っているかは意識しなくて済み、1つの大きなディスクとして使えます。
たとえば
10リットルのバケツを1個持つかわりに、2リットルのバケツを5個ならべて、全部あわせて10リットル分として使うイメージです。バケツの数は多くても、使う側から見れば「1つの大きな入れ物」に見えますよね。
バックアップソフトとは、何がちがう?
それって、パソコンにバックアップソフトを入れておくのと何が違うんですか?
バックアップソフトは、データのコピーを別の場所に取っておくアプリの話です。RAIDはもっと下の階層、ディスクそのものの組み方・しくみのレベルで多重化する技術なんです。
アプリの話じゃなくて、ハードのしくみ自体の話なんですね。
そうです。この2つは意外と混同しやすいので、区別して押さえておくといいですよ。
名前の意味:あえて「冗長」にして守る
RAIDは、英語の Redundant Arrays of Inexpensive Disks の頭文字です。Redundantは「冗長な」、Arrayは「配列」、Inexpensiveは「安価な」、Disksは「ディスク」。つなげると「安価なディスクを冗長に配列したもの」という意味になります。
ここで出てくる冗長とは、余分なもの・重複したものをあえて持たせることで、信頼性や安全性を高める考え方です。ふだんは「ムダを減らそう」と考えますが、データを守る場面では、同じものを増やしておくことがそのまま安全につながります。
たとえば
大事な書類のコピーを1部余分に取って、別の場所にしまっておく感覚です。スマホの写真も、1台の端末だけに残すより、クラウドにも同時に残しておくほうが安心ですよね。RAIDは、その「重複させて安全にする」考え方を、ハードディスクの世界で実現する技術です。
なお、最近は Inexpensive のかわりに Independent(独立した)と説明されることも多く、どちらの表記も見かけます。
番号は「優劣」ではなく「記録方式の違い」
RAIDには、データの記録のしかたによってRAID0からRAID6までのレベルが定められています。0、1、2、3、4、5、6で全部で7種類です。ただし、ここに大事な注意点があります。
数字が大きいほど、高性能なイメージがあります。RAID6がいちばん優秀で、RAID0がいちばん弱いんですよね?
そこが試験でひっかかりやすいところです。番号が大きいほど信頼性が高い、というわけではありません。それぞれのレベルは、データをどう分けて、どう重複させるかというテクニックの違いなんです。
ランキングじゃなくて、種類が違うということですね。
そのとおりです。自転車と船は、どちらが優れているかではなく、陸を走るか水の上を進むか、使う場面が違いますよね。RAIDの番号もそれに近くて、目的が違う設計なんです。
7種類もあると覚えるのが大変そうですが、動画では、ITパスポート試験で特に重要なのはRAID0とRAID1の2つだけと説明されています。この2つを、名前とキーワードのセットで覚えましょう。
RAID0:手分けして書いて、速くする(ストライピング)
RAID0はストライピングと呼ばれる方式です。データを複数のディスクに分けて書き込み、読み書きの速度を上げることが目的です。
たとえば
1人で荷物を10個運ぶより、5人でそれぞれ2個ずつ同時に運んだほうが、全部運び終わるのが早いですよね。ディスクを複数使って同時に書き込むぶん、全体の速度が上がります。
RAID1:同じデータをそっくり残す(ミラーリング)
RAID1はミラーリングと呼ばれる方式です。同じデータを複数のディスクに、まったく同じ内容で書き込みます。鏡に映したようにそっくりなものをもう1つ作るので、ミラー(鏡)リングです。目的はデータの安全性を高めること。1台のディスクが壊れても、もう1台に同じデータが残っているので、データが消えずに済みます。
複数のディスクを使えば、必ず安全になる?
複数のディスクを使っているからといって、必ず安全になるとは限らないんですよね?
いいところに気づきましたね。RAID0は複数のディスクを使ってはいますが、目的はあくまで速度です。安全性を高めるためのしくみとは違います。ここを混同しないでください。
動画では、詳しい長所・短所は次のテーマで扱うとされています。ここから先は動画にはない補足ですが、試験に出やすいので少しだけ書いておきます。RAID0はデータをディスクに分けて置いているため、1台でも壊れると全体のデータが失われます。むしろ、1台で使うより壊れたときの影響が大きくなります。使える容量は、ディスクの合計そのままです。一方、RAID1は同じデータを2台に書くぶん、使える容量は、ディスクの合計の半分(2台構成の場合)になります。たとえば500GBのディスク2台なら、RAID0は1TB、RAID1は500GBです。
試験での見分け方
問題文に「速度」「読み書きの性能」という言葉が出てきたら、ストライピングのRAID0。「安全性」「データの保護」という言葉が出てきたら、ミラーリングのRAID1です。目的の言葉に注目すると、見分けやすくなります。
ちなみに、動画にはない補足ですが、RAIDにはRAID5もあります。データと、誤りを直すための情報(パリティ)を3台以上のディスクに分けて書く方式で、1台が壊れてもデータを復元できます(使える容量は、パリティ用にディスク1台分が引かれます)。また、RAID0とRAID1を組み合わせたRAID10(RAID1+0)は、ミラーリングした組をさらにストライピングする方式で、4台以上が必要です。速度と安全性の両方をねらえる代わりに、使える容量は合計の半分になります。
ITパスポートのシラバスの用語例には「RAID」とだけ挙がっているので、まずはRAID0とRAID1の区別を確実にしておけば十分です。また、RAIDはディスクの故障には強くなりますが、うっかり消したファイルやウイルスによる被害までは防げません。バックアップの代わりにはならない、という点も覚えておきましょう。
まとめ
- RAID=複数のディスクを組み合わせて、1台の大きなディスクのように扱う技術(バケツを並べるイメージ)
- バックアップソフトは「アプリ」の話、RAIDは「ディスクの組み方」の話
- 冗長=あえて重複させて、信頼性・安全性を高める考え方
- RAIDの番号は優劣ではなく記録方式の違い。特に大事なのはRAID0とRAID1
試験ではここに注目
- RAID0=ストライピング=データを分けて書く=速度重視。安全性を高めるものではない
- RAID1=ミラーリング=同じデータを複数のディスクに書く=安全性重視(2台構成なら使える容量は半分)
- 「RAIDは番号が大きいほど信頼性が高い」は誤り
- 「速度」ならRAID0、「安全性・データの保護」ならRAID1と、目的の言葉で見分ける
ITパスポートのシラバス(Ver.6.5)では、システム構成の用語例にRAIDが挙がっています。過去には、ミラーリングで使える記憶容量を計算させる問題も出ています。「分ける(ストライピング)」と「そっくり複製する(ミラーリング)」のイメージを、目的とセットで覚えておきましょう。
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