3C分析
事例Ⅱ 第35回
「3C分析って、顧客・自社・競合の3つの視点で整理する枠組みですよね。意味はもう知ってると思います」。動画はこの確認から始まり、知っているのに二次の本番で使いどころに気づけない、という悩みに進みます。このページでは動画の流れにそって、設問の出方、顧客・自社・競合の着眼点、市場の顧客層と標的顧客の違い、SWOTへの置き換えと与件文を読む手順、答案の型、誤答しやすい5つのポイント、ターゲットマーケティングとの違いをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
知っているのに、与件文で気づけない
動画は、3C分析の説明から入ります。講師が「顧客・自社・競合の3つの視点で整理する枠組みですよね。意味はもう知ってると思います」と切り出し、聞き手も「顧客と自社と競合、3つを見比べる感じですよね」と応じます。ところが聞き手は続けて、「二次の本番でどこで使えばいいのか、あんまりピンときてないです」と打ち明けます。
講師によると、知識としては知っているのに、与件文を読んでいるときに「ここは3つの視点で整理する場面だ」と気づけない受験生が本当に多いそうです。聞き手が「気づかないまま解答を書いちゃう人もいる、ということですか」と確かめると、講師は「そうです」と答えます。しかも厄介なのは、設問文に「3つの視点で整理せよ」とはっきり書いてくれるとは限らない点です。この動画は、枠組みの意味ではなく、どう見抜いて、どう使うかを埋める回です。
どんな設問で出るか:明示されないこともある
聞き手が「まず、この論点ってどういう設問で出てくるんですか」と尋ねます。講師の答えは、典型的には事例Ⅱの第1問あたりで、現状を分析させる設問として出る、というものです。出方は2通りあります。
- 3つの視点を明示して問われる:「自社の強みと競合の状況を整理せよ」のような形。
- 明示されない:単に「現状を分析せよ」とだけ書かれていて、実質的には同じ整理が求められている形。
明示されない場合に、使うべきかどうかをどう判断するのか。聞き手の問いに、講師は「現状把握を求められている設問だったら、まずこの枠組みを当ててみる、という姿勢が大事です」と答えます。ここに気づけるかどうかが、事例Ⅱで最初につまずくかどうかの分かれ目になる、と講師は言います。
顧客の分析:着眼点は2つ
聞き手が「与件文のどんな記述が出たら、これだと気づけばいいんですか」と聞き、講師は顧客の分析から順に見ていきます。顧客の分析の着眼点は2つです。
- 統計的な特徴:人口構成や年齢、世帯、所在地といった記述。デモグラフィック
変数の分析です。 - 価値観・ニーズ・生活様式の変化:こちらはサイコグラフィック
変数の分析です。
聞き手は「1次で聞いた言葉ですね」と反応し、統計的な特徴については「何人いてどういう年齢層か、みたいな話ですよね」と自分の言葉で言い換えています。もう1つのイメージを聞かれた講師は、たとえば健康志向が広がっている、時短のニーズが強まっている、環境への意識が高まっている、といった顧客側の考え方や生活の変化に関する記述だと説明します。
一番の落とし穴:市場の顧客層と自社の標的顧客
ここで聞き手が、こう口にします。「あ、そういえば、この顧客の分析って、自社が狙っているお客さんのことを書けばいいんですよね」。これは聞き手の思い込みで、講師は「そこ、一番の落とし穴なんです」と止めます。
ここで見ているのは、市場にどんな顧客層が存在するかであって、自社がどの顧客を狙うかではありません。狙いを定めるのは、この分析の後の工程です。ここではあくまで、市場全体を見渡して、どんな顧客層がいて、その顧客層がどう変化しているかを把握するのが役割だ、と講師は説明します。
聞き手は「市場全体の顧客層の話であって、自社の標的顧客の話じゃない、ということですね」と確認します。講師は、これが「一番多い失点パターン」だと言います。市場の顧客層の分析と自社が狙う顧客の話を混ぜてしまうと、そもそも整理の順番がおかしくなってしまう、という理由です。
え、そうなんですか。狙っている顧客のことじゃないんですか。
はい。狙いを定めるのは、この分析の後の工程なんです。ここではあくまで、市場全体を見渡して、どんな顧客層がいて、その顧客層がどう変化しているかを把握するのが役割です。
自社の分析:必ず競合との比較で見る
次は自社の分析です。見るのは2つ。競合に対して自社が持つ、持続的な競争優位につながる強みと、競合に対して自社が克服すべき弱みです。
聞き手が「ポイントは何ですか」と聞くと、講師は「必ず競合との比較で見る」ことだと答えます。技術や品質、顧客との関係、立地、ブランド、対応の柔軟さ。こうした強みの記述があったとしても、それが競合と比べてどうなのかという視点が抜けると、単なる自社紹介になってしまう、という注意です。聞き手が「うちにはこういう強みがあります、で終わっちゃうことですか」と言い換えると、講師は「そうです」と受け、強みを列挙するだけで競合との比較になっていない答案は本当に多い、と続けます。「競合に対して」自社がどう優位なのかまで言葉にすることが大事です。
弱みの見方も同じです。人手不足や認知度の低さ、設備の制約、販路の狭さといった記述を、競合に対して克服すべき点として拾います。強みだけでなく、弱みも必ずセットで見ておく、というのが講師の念押しです。
競合の分析:障壁の強みと攻めどころの弱み
最後が競合の分析です。ここも2つあります。自社の事業領域を決めるうえで障壁となる競合の強みと、自社にとっての攻めどころとなる競合の弱みです。
聞き手は「障壁となる強みっていうのは、競合が強すぎて自社が入り込めない領域、ということですか」と理解を言葉にし、講師は「その通りです」と認めます。そのうえで、忘れられがちなのがもう片方の、攻めどころとなる競合の弱みだと指摘します。障壁となる強みだけ書いて、攻めどころを落とす答案が本当に多い、というのです。
聞き手は「自分もやりそうな気がします。競合の強いところばかり気にして、弱いところまで見る発想がなかったです」と正直に話します。講師は、競合の弱みを見つけられると、そこが自社の戦い方のヒントになる、と説明し、強みと弱みの両方をセットで拾う癖をつけるよう勧めます。
| 視点 | 拾うもの | 落としやすい点 |
|---|---|---|
| 顧客 | 統計的な特徴、価値観・ニーズの変化 | 標的顧客を書く |
| 自社 | 競合に対する強みと弱み | 強みの列挙だけ |
| 競合 | 障壁となる強み、攻めどころの弱み | 弱みを落とす |
SWOTに置き換えると迷いがなくなる
聞き手が「この3つの情報、実際どう整理すればいいんですか」と聞くと、講師は「ここが一番実戦的なところです」と言って、3つの視点をそのままSWOTに置き換える考え方を示します。動画の対応関係はこうです。
- 顧客は機会
- 競合は脅威
- 自社は強みと弱み
この対応を持っておくと、3つの視点で問われても、強みと弱みで問われても、機会と脅威で問われても、同じ与件文の読み方で対応できる、と講師は言います。聞き手が「設問文の聞き方が違っても、読み取り方自体は同じでいい、ということですか」と確認すると、講師は「その通りです」と答えます。
つまり、設問文の聞き方が違っても、読み取り方自体は同じでいい、ということですか。
その通りです。だから、設問文に3つの視点が明示されていなくても、機会と脅威、あるいは強みと弱みという言葉が出てきたら、この枠組みで読んだ内容がそのまま使えるんです。
与件文を読む手順:4段階
聞き手が「実際に与件文を読むときの手順みたいなものはあるんですか」と聞き、講師が示した手順は次の4段階です。
- 与件文を読みながら、顧客・自社・競合の3つの箱に情報を振り分ける。
- 次に、自社の箱を強みと弱みに分ける。
- 顧客の箱からは、誰に何を売れるかという芽を拾う。
- 競合の箱からは、避けるべき戦いと攻めどころを拾う。
聞き手は「振り分けてから、自社を分解して、顧客と競合からそれぞれ材料を拾う、という流れですね」とまとめます。講師は、この手順を頭に入れておくと、与件文を読みながら情報が迷子にならずに済む、と言います。
答案の型:現状分析と助言をつなぐ
整理の仕方が分かったところで、聞き手は「実際に解答へ落とし込むときは、どういう型を使えばいいんですか」と尋ねます。講師が示した型は2つです。
現状分析を書くときの型
「顧客は〜という層が〜を求めており、競合は〜という強みを持つ一方〜が弱い。自社は〜という強みを持つが、〜という弱みがある」
分析を踏まえて助言を書くときの型
「自社の〜という強みを、〜という顧客層に対して〜という形で提供し、競合の〜という強みとの直接競争を避ける」
聞き手は前者を「顧客、競合、自社の順番で、それぞれの要点を並べていく感じですね」、後者を「自社の強みを、顧客に、競合との競争を避けながら提供する、という組み立てですね」と受け止めます。講師は、現状分析の設問と、施策を助言する設問がセットになっているとき、この2つの型をつなげて使うイメージを持っておくといい、と言います。
字数が限られるとき
実際の設問は字数が限られていることが多く、全部を均等に書こうとすると破綻する、と講師は言います。どこを削るのかという聞き手の問いに、講師は「後続の設問で使う要素を優先して残してください」と答えます。この設問はあくまで現状分析なので、分析だけで完結させず、その後の施策につながる材料を選んで書くのが実戦的、という考え方です。聞き手も「この設問だけで綺麗にまとめようとするんじゃなくて、後の設問で使う分を意識して取捨選択する、ということですね」と確認しています。
誤答しやすい5つのポイント
聞き手の「混同しやすいポイントや、誤答しやすいところを教えてください」に対して、講師は5つを挙げます。
| 誤り | 動画での注意 |
|---|---|
| ① 顧客の視点に標的顧客を書く | 市場に存在する顧客層の分析。ターゲット選定は次の工程 |
| ② 3つの視点で問われていると気づかない | 現状把握を求められたら枠組みを当てる習慣 |
| ③ 競合の弱みを拾わない | 障壁の強みと攻めどころの弱みをセットで |
| ④ 強みの列挙だけ | 「競合に対して」の相対的な視点が要る |
| ⑤ 分析と施策を混ぜる | 現状分析に打ち手まで書くと字数の無駄 |
1つ目は、顧客の視点に自社の標的顧客を書いてしまうことです。聞き手は「さっき聞いて自分もやりそうだと思いました」と言います。2つ目は、3つの視点で問われていると気づかないことです。設問文に明示されていない場合があるので、現状把握を求められたら、この枠組みを当ててみる習慣をつけるよう、講師は言います。3つ目は、競合の弱みを拾わないこと、4つ目は、強みを列挙するだけで競合との比較になっていないことです。「競合に対して」という相対的な視点が抜けると、単なる自社紹介になってしまいます。
5つ目は、分析と施策を混ぜてしまうことです。現状分析を求められている設問に打ち手まで書いてしまうと、字数を無駄にしてしまいます。講師は、設問が何を求めているかをまず確認する癖をつけるよう勧めます。
5つ並べてみると、視点を混ぜる、気づかない、片方だけ拾う、比較を忘れる、分析と施策を混ぜる、どれも「役割を混同する」というところに集約されそうですね。
いい整理です。
ターゲットマーケティングとの違い
最後に、講師は隣接する論点との違いを押さえます。それがターゲットマーケティング、つまり市場細分化、市場ターゲティング、市場ポジショニングの3つの工程です。聞き手は「これも意味は知ってます。でも、今日の話とどう役割が違うんですか」と尋ねます。
講師の整理は、今日扱っている枠組みは現状を把握するための道具で、顧客・自社・競合を見て、今どういう状況にあるかを整理する役割だ、というものです。それに対してターゲットマーケティングは、その現状把握を踏まえて、狙いを定める道具です。聞き手が「現状把握が先にあって、その後に狙いを定める、という順番なんですね」と確認し、講師は「そうです」と答えます。
だから、現状分析を求められている設問でいきなりターゲットの絞り込みまで書いてしまうと、設問の求めている段階とずれてしまいます。どちらの工程を問われているのかを、設問文をよく見て見極めてください、と講師は言います。
動画が強調した確認ポイント
- 設問が現状把握を求めているか(3つの視点と明示されていなくても)
- 顧客の記述が、市場の顧客層か、自社の標的顧客か
- 強みは競合との比較になっているか、競合は強みと弱みの両方を拾ったか
- 字数が限られるとき、後続の設問で使う要素を残したか
- 分析を求められているのか、狙いを定めること(ターゲットマーケティング)を求められているのか
まとめ
動画の整理
- 3C分析は、設問文に明示されないこともある。現状把握を求められたら、まずこの枠組みを当ててみる
- 顧客は、統計的な特徴と価値観・ニーズの変化を見る。書くのは市場の顧客層で、自社の標的顧客ではない
- 自社は競合との比較で強みと弱みを、競合は障壁となる強みと攻めどころとなる弱みを、どちらもセットで拾う
- SWOTへの置き換え:顧客は機会、競合は脅威、自社は強みと弱み。設問の聞き方が違っても読み方は同じ
- 答案は現状分析の型と助言の型をつなげる。字数が限られるときは後続の設問で使う要素を優先する
- 誤答の5つは、どれも役割の混同。ターゲットマーケティングは、現状把握の後に狙いを定める工程
聞き手は動画の最後に、顧客・自社・競合の3つの視点で与件文を振り分け、SWOTに置き換え、市場の顧客層と自社の標的顧客を混同せず、競合は強みと弱みの両方を拾い、字数が限られるときは後続の設問で使う要素を優先する、とまとめています。講師は、設問文にこの枠組みが明示されていなくても、現状把握を求められたら反射的にこの3つの視点を思い出す、そこまでできれば、事例Ⅱの入り口で失点することはなくなる、と締めくくります。知っていることと、与件文の前で使えることは別です。

