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中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

部門間の対立を協調で解く着眼点

事例Ⅰ 第33回

事例Ⅰ 組織・人事 部門間の対立を協調で解く着眼点8分35秒2026年8月8日公開

「コンフリクトという論点、1次知識としては馴染みがあると思うんですが、二次の答案では対立をどう解消するかまで、ちゃんと書けていますか」。動画はこんな問いかけから始まります。対立の指摘まではできても、解消法が「話し合いましょう」で止まってしまう。このページでは、対立は悪ではないという前提、与件文のサイン、原因と解消法の対応、設例、答案の型、誤答しやすいパターンを、動画の流れにそってまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

対立の「指摘」だけで終わっていませんか

動画は、事例Ⅰの組織・人事で問われるコンフリクト(対立)の論点を、「答案でどう書くか」という視点で整理していきます。講師が最初に投げかけるのは、こんな問いです。コンフリクトは1次知識としてはなじみがあるはずだが、二次の答案では、対立をどう解消するかまで、ちゃんと書けていますか。

聞き手の答えは正直です。対立が起きている、という指摘まではできる。でもその後、どう解消すればいいかとなると、「話し合いましょう」くらいしか書けない。講師は、それはすごくよく見る答案だと言います。原因の特定はできても、解消法が抽象的なまま止まってしまうのです。

聞き手はもうひとつ、自分の癖を打ち明けます。対立は基本的に悪いものだと思っていて、とにかく無くすべきだという前提で書いてしまう、というものです。

対立が起きている、という指摘まではできるんです。でもその後、どう解消すればいいかとなると、話し合いましょう、くらいしか書けなくて。

それ、すごくよく見る答案です。原因の特定はできても、解消法が抽象的なまま止まってしまう。

このページでは、動画の流れにそって、対立に対する基本の前提、出題のされ方、与件文のサイン、原因と解消法の対応、設例、答案の型、誤答しやすいパターンの順にまとめます。

対立は悪ではない:目指すのは「協調的な解消」

聞き手が「対立は無くすべきもの」と話したところで、講師は「そこ、実は誤解しやすいポイントなんですよ」と切り出します。対立は必ずしも悪ではありません。適度な緊張は、改善や革新を促す建設的な側面も持っているからです。

だからこの論点は、対立をゼロにすることではなく、協調的に解消することが目指す方向になります。

え、そうなんですか。組織の中で対立が起きているなら、それは問題だと思っていました。

適度な緊張は、改善や革新を促す建設的な側面も持っているんです。だからこの論点は、対立をゼロにすることではなく、協調的に解消することが目指す方向になります。

なるほど、ゼロにするのではなく、協調的に、というのが今日のキーワードになりそうですね。

そうです。

今日のキーワード

  • 対立は必ずしも悪ではない(適度な緊張には建設的な側面がある)
  • 目指すのは、対立をゼロにすることではなく協調的に解消すること

この前提は、動画の中で何度も戻ってきます。与件文のサインを拾うときも、解消法を書くときも、そして最後の誤答の話でも、「対立を悪と決めつけない」「協調的に」が軸になります。

二次ではどう聞かれるか

次に講師は、この論点が二次でどう出るかを整理します。多い聞かれ方は次のようなものです。

  • 「部門間の対立をどう解消するか」
  • 「機能別組織の縦割りをどう乗り越えるか」
  • 「組織変革やM&A後の摩擦をどう和らげるか」

聞き手は「機能別組織やM&Aの論点と、セットで出てくることが多いんですね」と受け止めます。講師の答えは、その通りで、対立の原因を特定して、協調的に解決する助言を求められる、という点は共通している、というものでした。

機能別組織やM&Aの論点と、セットで出てくることが多いんですね。

はい。対立の原因を特定して、協調的に解決する助言を求められる、という点は共通しています。

つまり、組織構造やM&Aの設問だと思って読んでいても、求められているのは「対立の原因を見つけ、協調的な解消を助言する」ことかもしれません。設問の聞かれ方から、この論点の出番を見抜く姿勢が大切です。

与件文のサイン4つ

聞き手が次に知りたかったのは、与件文のどんな表現から、この論点だと気づけばいいのか、という点です。講師が挙げた着眼点は4つあります。

部門間の対立・縦割りセクショナリズム集団間コンフリクトそのもののサイン情報が共有されない連携が悪い不完全なコミュニケーション・ネットワークのサイン部門ごとに目標や利害が食い違う利害関係の対立や競合のサイン組織が未成熟新旧の対立未熟な組織内関係のサイン
与件文の表現から、どのサインかを見分けます。
与件文の表現疑うサイン
部門間の対立・縦割り・セクショナリズム集団間コンフリクトそのもの
情報が共有されない・連携が悪いコミュニケーション・ネットワークの不完全さ
部門ごとに目標や利害が食い違う利害関係の対立や競合
組織が未成熟・新旧の対立未熟な組織内関係

1つ目の「部門間の対立」「セクショナリズム」「縦割り」は、そのまま集団間コンフリクトのサインです。2つ目の「情報が共有されない」「連携が悪い」という記述は、コミュニケーション・ネットワークの不完全さを示します。3つ目の「部門ごとに目標や利害が食い違う」は、利害関係の対立や競合のサインです。4つ目の「組織が未成熟」「新旧の対立」は、未熟な組織内関係のサインになります。

セクショナリズムという言葉が出てきたら、すぐこの論点を思い出せばいいんですね。

そうです。次に「情報が共有されない」「連携が悪い」という記述。これはコミュニケーション・ネットワークの不完全さのサインです。

連携が悪い、くらいの表現でも拾っていいんですか。対立という言葉が出てこなくても。

はい、拾ってください。それから「部門ごとに目標や利害が食い違う」という記述は、利害関係の対立や競合のサインです。

目標そのものがバラバラになっている、というパターンですね。

そうです。そして「組織が未成熟」「新旧の対立」という記述は、未熟な組織内関係のサインです。

ここで大事なのは、「対立」という言葉が出てこなくても拾うことです。「連携が悪い」程度の表現でも、講師は拾ってくださいと言っています。与件文を読むときは、言葉の強さではなく、部門や集団の間で何が噛み合っていないのかに注目しましょう。

まず要因を3つで特定する

着眼点がそろったら、いよいよ整理の手順です。講師は「ここが核心です」と言って、まず要因を特定することを求めます。集団間コンフリクトの要因は3つです。

集団間コンフリクトの要因

  • 不完全なコミュニケーション・ネットワーク
  • 利害関係の対立や競合
  • 未熟な組織内関係

聞き手は、さっきの与件文の着眼点と、そのまま対応していることに気づきます。講師もその通りだと答え、対応させて覚えておくと与件文から拾いやすくなる、と言います。整理すると次のとおりです。

  • 「情報が共有されない」「連携が悪い」 → 不完全なコミュニケーション・ネットワーク
  • 「部門ごとに目標や利害が食い違う」 → 利害関係の対立や競合
  • 「組織が未成熟」「新旧の対立」 → 未熟な組織内関係

「部門間の対立」「縦割り」「セクショナリズム」は、その全体を指すサインです。この表現を見つけたら、次は原因がどの要因にあたるのかを、与件文の記述から探します。

原因に対応させて、協調的な解消法を当てはめる

要因を特定したら、もう一度、先ほどの前提に立ちます。コンフリクトは常に悪ではないという点です。そこを押さえたうえで、協調的な解消法を当てはめます。講師が挙げた解消法は3つです。

原因(要因)の3つ不完全なコミュニケーション・ネットワーク利害関係の対立や競合未熟な組織内関係対応させて書く協調的な解消法の3つコミュニケーション機会を増大させる仲介者を設ける人事交流を深める
原因を特定してから、解消法を対応させて書きます。

協調的な解消法

  • コミュニケーション機会を増大させる
  • 仲介者を設ける
  • 人事交流を深める

原因と解消法を、ペアで整理するイメージですね。

まさにそのイメージです。原因を特定せずに解決策だけ並べる答案が多いので、必ず対応させて書いてください。

動画は、どの要因にどの解消法を1対1で当てるかまでは示していません。示しているのは、原因を特定したうえで、その原因に合う解消法を対応させて書くという姿勢です。具体的な当てはめ方は、次の設例で見てみましょう。

設例:営業部門と製造部門の納期対立

聞き手は、頭では分かるが、実際の与件文でどう表れるのかを具体的にイメージしたい、と言います。そこで講師が出したのが次の設例です。

講師の設例

営業部門と製造部門を抱える中堅メーカー。新商品の納期をめぐって、両部門が対立しています。営業部門は、顧客に約束した短納期を守りたい。製造部門は、品質を確保するために必要な工程を省略できない。それぞれの目標が最初から食い違っています。さらに、両部門の間で情報のやり取りが少なく、営業が受けた注文の詳細が、製造側に十分伝わっていません。

営業部門約束した短納期を守りたい製造部門品質のために工程を省略できない対立目標の食い違い(利害関係の対立)情報共有の不足(コミュニケーション)解消法を対応させて書くコミュニケーションの機会を増やす+ 両部門をつなぐ仲介者を置く
原因が二つなら、解消法も二つ組み合わせて書きます。

これはさっきの、利害関係の対立や競合、というパターンですね。

その通りです。さらに、両部門の間で情報のやり取りが少なく、営業が受けた注文の詳細が、製造側に十分伝わっていない、という記述もあったとしましょう。

それは、不完全なコミュニケーション・ネットワークですね。目標の食い違いと、情報共有の不足が、同時に起きているということですか。

まさにそこです。原因は一つとは限りません。

この設例のポイントは、原因が一つとは限らないことです。目標の対立(利害関係の対立や競合)と、コミュニケーション不足(不完全なコミュニケーション・ネットワーク)の両方を拾ったうえで、「コミュニケーションの機会を増やす」「両部門をつなぐ仲介者を置く」という二つの解消法を対応させて書く。講師はそう説明します。

原因が複数あれば、解消法も複数を組み合わせて書けばいいということですね。こういう具体例があると、与件文のどこを拾って、どう対応させるか、かなり見えてきます。

その通りです。

答案の基本の型

整理ができたところで、聞き手は「では実際の解答は、どういう型で書けばいいんでしょうか」と尋ねます。講師が示した基本の型は、原因の特定から具体策へという流れです。

① 対立の原因を特定情報共有不足/目標・利害の食い違い/関係の未成熟② コミュニケーションの場をつくる③ 仲介や調整役を置く④ 人事交流(ローテーション)で相互理解を深める⑤ 余裕があれば上位目標共通の上位目標で部分最適から全体最適へ
原因の特定から始めて、具体策につなげます。

まず、対立の原因を特定します。情報共有の不足なのか、目標や利害の食い違いなのか、関係の未成熟なのか。そのうえで、コミュニケーションの場をつくり、仲介や調整役を置き、人事交流、いわゆるローテーションで相互理解を深める、という流れで書きます。

原因の特定から始めて、具体策につなげるんですね。

はい。さらに余裕があれば、部門を束ねる共通の上位目標を掲げて、部分最適から全体最適へ向かわせる、という要素を加えてもいいです。

講師は「組織を活性化して、全体最適に導く、という骨格で書けば筋の通った解答になります」と言います。ここでの「上位目標」は、基本の型の後ろに余裕があれば足す要素という位置づけです。

上位目標:部分最適から全体最適へ

聞き手は「上位目標という言葉、初めて聞くと難しそうですが、要は各部門がバラバラに見ている目標を、一つにまとめ直すということですね」と言い換えます。講師は「その理解で大丈夫です」と応じました。

設例で言えば、どうなるのか。聞き手の問いに、講師はこう答えます。たとえば、部門を超えて「顧客満足度の高い商品を、約束通りの品質で届ける」といった、両部門が共有できる目標を掲げる、というイメージです。

納期を守りたい営業と、品質を守りたい製造、それぞれの主張の上に、両方を包み込む目標を置く、ということですね。

そうです。部分最適だけを見ていると、営業と製造はどこまでも対立し続けます。でも両部門が同じ上位目標を見るようになれば、対立ではなく協力の関係に変わっていく可能性があります。

対立の構図そのものを、視点を変えることで組み替えるイメージですね。

部門ごとに自分の目標だけを見ている状態が部分最適です。部門を束ねる共通の目標を置くと、全体として良い状態を目指す全体最適に向かいます。営業は納期、製造は品質、とそれぞれの主張を残したまま、その上に共通の目標を置くのがポイントです。

誤答しやすい4パターン

最後に、聞き手は混同や誤答しやすいポイントを尋ねます。講師が挙げたのは4つです。

対立はすべて悪と決めつけて排除建設的な側面も踏まえる「話し合う」だけの抽象的な解消法仲介者・人事交流・上位目標で具体化原因を特定せず解決策だけ並べる原因と解消法を対応させる力で抑え込む・回避や強制だけの解決双方が納得する協調的な解消
左が誤答のパターン、右が目指す書き方です。

1つ目は、コンフリクトをすべて排除すべき悪と短絡してしまうパターンです。機能的で建設的な側面を無視してしまいます。聞き手は「私が最初にはまっていたパターンですね」と返しています。

2つ目は、解消法を「話し合う」など抽象的に述べるだけで、仲介者や人事交流、上位目標といった具体策に落とし込まないパターンです。聞き手は「これも耳が痛いです」と返しています。

3つ目は、対立の原因を特定せずに、解決策だけを並べてしまうパターンです。原因と解消法が対応していないと、説得力のある答案になりません。

4つ目は、力で抑え込む、回避や強制だけの解決にしてしまい、協調的な解消に向かわないパターンです。いわゆるウィンウィンの解消を目指す必要があります。

なるほど、無理やり収めるのではなく、双方が納得する形を目指す、ということですね。

力で抑え込む解決は、その場では対立が収まったように見えても、不満がくすぶり続けて、また別の形で表面化しやすいんです。だからこそ協調的な解消が求められます。

表面上おさまっているだけで、根本は解決していない、ということですね。答案で「解決した」と書いても、それが力ずくの解決なら評価されにくそうです。

誤りのパターン書くべきこと
対立を悪と決めつける建設的な側面も踏まえる
「話し合う」だけ仲介者・人事交流・上位目標
原因なしで解決策だけ原因と解消法を対応させる
力で抑える・回避・強制双方が納得する協調的解消

答案を書く前の確認

  • 対立を「ゼロにする」前提で書いていないか
  • 原因を3つの視点(コミュニケーション・利害・組織内関係)で特定したか
  • 解消法が「話し合う」だけで終わらず、具体策になっているか
  • 原因と解消法が対応しているか。力ずくの解決になっていないか

まとめ

動画の整理

  • 対立は悪ではない。適度な緊張には建設的な側面があり、目指すのは協調的な解消
  • 出題は「部門間の対立の解消」「縦割りの克服」「組織変革やM&A後の摩擦」など。機能別組織やM&Aの論点とセットで出ることが多い
  • 与件文のサインは4つ:部門間の対立・縦割り・セクショナリズム/情報が共有されない・連携が悪い/目標や利害の食い違い/組織が未成熟・新旧の対立
  • 要因は3つ:不完全なコミュニケーション・ネットワーク、利害関係の対立や競合、未熟な組織内関係
  • 解消法は3つ:コミュニケーション機会の増大、仲介者を設ける、人事交流を深める。さらに余裕があれば共通の上位目標で部分最適から全体最適へ
  • 誤答は4つ:悪と短絡する/抽象的な「話し合う」/原因なしで解決策だけ/力で抑え込む・回避や強制だけ

動画の最後に、講師は「対立は悪ではないという前提に立ち、原因を三つの視点で特定し、コミュニケーション、仲介者、人事交流、上位目標という協調的な解消法を対応させて書く。これができれば、部門間対立や組織変革の設問で、一段深い答案が書けるようになります」とまとめます。

聞き手は「対立をゼロにしようとするのではなく、協調的にマネジメントする、という視点を持ち帰ります」と話し、今日の整理を次の演習ですぐ試してみると締めくくりました。対立を見つけたら、原因を特定して、原因に合う協調的な解消法まで書く。その流れを、次の演習から試してみてください。

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