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停止条件・解除条件・不法条件・随意条件の違いは?「無効」と「無条件」の結論を比較

民法 14011分21秒2026年10月20日公開

「不成就が確定していた解除条件」は、無効でしょうか、それとも無条件でしょうか。条件の問題は、結論の言葉を一つ入れ替えただけの選択肢が並ぶことが多い形です。動画は、条件の種類を順に確認しながら、「なぜそうなるのか」の理屈で結論を整理していきます。このページでは、停止条件と解除条件の違いから、既成条件、不能条件、不法条件、随意条件まで、民法127条から134条の結論を表と図にまとめました。まず動画を聞いてから、ここで「無効」と「無条件」の振り分けを確認してみてください。

3行でいうと

  • 停止条件は成就した時から効力が生じ、解除条件は成就した時から効力を失います。どちらもさかのぼるのは、当事者がそう意思表示したときだけです(127条)。
  • 条件の成否が法律行為の時にすでに決まっていた場合(131条)と、不能の条件(133条)は、「無効」か「無条件」かが問題です。不成就が確定した場合と不能の場合は、停止条件が無効、解除条件が無条件で同じ結論です。
  • 不法な条件(132条)は、しないことを条件にしても無効。債務者の意思のみに係る条件(134条)は、停止条件のときだけ無効です。

条件とは?期限との違い

条件とは、法律行為の効力の発生や消滅を、将来起こるかどうか分からない事実にかからせる特約のことです。「試験に合格したら」「転勤になったら」のように、起こるか起こらないか不確実な出来事が条件になります。期限は、来年の4月1日のように、いつか必ず到来する事実です。違いは不確実性です。

この回で扱うのは民法127条から134条までです。条件にはどんな種類があり、それぞれを付けた法律行為がどうなるのか。動画では、次の三つの柱で整理されます。

  • 停止条件と解除条件の違いと、効力が生じる・失われる時期
  • 条件の成否が法律行為の時点ですでに決まっていた場合の扱い(既成条件と不能条件)
  • 条件の中身に問題があって行為そのものが無効になる場合(不法条件と随意条件)

この単元は、「無効になるのか、無条件になるのか」という結論の言葉の取り違えを狙う形で出題されます。結論の丸暗記ではなく、なぜそうなるのかを軸に整理するのがコツです。

停止条件と解除条件の違い(127条)

条件には二つの種類があります。127条1項の停止条件と、2項の解除条件です。

  • 停止条件付きの法律行為は、停止条件が成就した時から効力を生じます。例:AさんがBさんに「Bさんが司法書士試験に合格したら、この自動車をあげる」と約束した。合格した時から贈与の効力が生じ、それまでは効力が生じていません。
  • 解除条件付きの法律行為は、解除条件が成就した時から効力を失います。例:AさんがBさんに建物を貸し、「Bさんが転勤になったら、この賃貸借は終了する」と定めた。契約は結んだ時から効力を持ち、転勤という条件が成就した時に効力を失います。
停止条件まだ効力なし効力あり成就した時から解除条件効力あり効力を失う成就した時から
停止条件は成就の時から動き出し、解除条件は成就の時から消える。どちらも成就の時より前にはさかのぼりません。

覚え方は簡単で、成就したら効力が動き出すのが停止条件、成就したら効力が消えるのが解除条件です。解除条件が成就すると、解除の意思表示をしなくても当然に効力が失われます。

停止条件と解除条件は、成就したときに何が起こるかが逆、ということですね。

その通りです。停止条件は成就で効力が生じる。解除条件は成就で効力が失われる。この向きを押さえておくと、このあとの結論も理屈で導けます。

さかのぼる?さかのぼらない?

ここで試験に出るのが、遡及の問題です。127条は、停止条件も解除条件も、成就した時から効力が生じる、あるいは失われると定めています。つまり、さかのぼりません。解除条件でいうと、成就するまでの間、法律行為は有効に効力を持っていたのですから、その間に生じた法律関係は、成就したからといって白紙に戻りはしません。賃貸借の例なら、転勤の前に支払われた賃料が、なかったことになるわけではないのです。

ただし3項があります。当事者が、条件が成就した場合の効果を成就の時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従います。ですから、解除条件が成就すると当然に契約の時までさかのぼって効力が消える、と理解するのは誤りです。さかのぼるのは、当事者がそのように特約したときだけです。

「起こらないこと」も条件になる?出世払いは?

ある事実が起こらないことを条件にすることもできます。たとえば「来年中にBさんが転職しなかったら、AさんはBさんに祝い金を払う」という約束です。転職しないまま期間が過ぎて、転職しないことが確定した時に、停止条件が成就します。127条は、条件がどんな事実でなければならないかを限定していません。起こること、起こらないことのどちらでも、不確実であれば条件になります。内容が不法なら132条の問題ですが、起こらないことを条件にしたというだけで無効になることはありません。

条件か期限かで有名な例が出世払いです。「出世したら借金を返す」は停止条件でしょうか。判例は、これを条件ではなく不確定期限と考えています。出世した時、または出世しないことが確定した時に、返済の期限が到来します。借りたお金は返すつもりでいて、返せる時期が来るまで待ってもらう、というのが当事者の通常の意思だからです。債務は成立していて、時期だけが未定なのです。

既成条件(131条)|「無効」と「無条件」を振り分ける

ここからは、条件が成就するかどうかが、法律行為の時点ですでに決まっていた場合、つまり既成条件です。131条が定めています。

  • 1項:条件が法律行為の時にすでに成就していた場合。停止条件なら無条件、解除条件なら無効。
  • 2項:条件が成就しないことが法律行為の時にすでに確定していた場合。停止条件なら無効、解除条件なら無条件。
成就済み(131条1項)不成就が確定(131条2項)停止条件解除条件無条件無効無効無条件不能の条件(133条)は、不成就が確定した列と同じ結論無効=効力ゼロ / 無条件=条件を外した有効な行為
成就済みと不成就確定では、停止条件と解除条件の結論がきれいに入れ替わります。

四つの結論がありますが、丸暗記は不要です。「無効」は効力がゼロ、「無条件」は条件を外した通常の有効な法律行為、という意味です。そのうえで理屈を確認しましょう。

  • 停止条件は、成就すれば効力が生じる条件です。すでに成就していれば、いま効力を生じさせてよく、条件は意味を失って無条件。成就しないと確定していれば、効力が生じる見込みがないので無効。
  • 解除条件は逆です。成就すれば効力が消える条件なので、すでに成就していれば効力はゼロ、つまり無効。成就しないと確定していれば、消える見込みがなく、条件は意味を失って無条件。

131条3項は、1項と2項の場合に、当事者が、条件が成就したこと、あるいは成就しなかったことを知らない間は、128条と129条を準用すると定めています。当事者本人は、条件の成否が未定だと思っているからです。その間、相手方が条件成就によって得るはずの利益を害してはならず、条件付きの権利義務を処分することもできます。

不能条件(133条)|不成就が確定した場合と同じ結論

続いて不能条件です。実現することがそもそも不可能な事実を条件にした場合で、133条は次のように定めています。

  • 1項:不能の停止条件を付した法律行為は無効。例:「人間が羽ばたいて空を飛べるようになったら、100万円を払う」。
  • 2項:不能の解除条件を付した法律行為は無条件。例:「人間が羽ばたいて空を飛べるようになったら、この賃貸借は終了する」。

実現しないことが最初から確定している条件ですから、考え方は131条2項、つまり不成就が確定していた場合と同じです。結論も一致します。停止条件なら効力が生じる見込みがないので無効、解除条件なら効力が消える見込みがないので無条件です。133条は、不能という特別な場面を、131条2項と同じ扱いにする規定だと整理するとよいでしょう。条文の取り違えにも注意してください。停止条件の不成就が確定していた場合の根拠は131条2項、不能の解除条件の根拠は133条2項です。

不法条件(132条)|しないことを条件にしても無効

132条は、不法な条件を付した法律行為は無効とします。たとえば「Bさんが他人の家に放火したら、Aさんが100万円を払う」という約束は、不法な行為を条件としているので無効です。そして132条後段は、不法な行為をしないことを条件とするものも、同様に無効だと定めています。

不法な行為をすることを条件「放火したら100万円を払う」無効不法な行為をしないことを条件「放火しないなら100万円を払う」無効結論は「無効」であって「無条件」ではない(132条)
「しない」ことを条件にしても無効。条件だけ外して有効にはなりません。

「放火をしないなら100万円」は、悪いことを認めたわけではないので、有効ではないのですか?

そう考えたくなりますが、条文はそれを認めていません。本来してはならない行為なのに、それをしないことに対価を払う約束を有効にすると、法律が、不法な行為をするかしないかを金銭で取引することを認めてしまいます。それは公序良俗に反する、という発想です。

もう一つのひっかけは、結論の言葉です。不法条件も、不法な行為をしないことを条件とした場合も、結論は「無効」であって「無条件」ではありません。条件だけを無視して行為を有効のまま扱う、という処理にはなりません。また、132条は停止条件か解除条件かを区別していないので、不法な停止条件でも不法な解除条件でも、法律行為は無効になります。

随意条件(134条)|債務者の意思のみに係る停止条件

最後は随意条件です。134条は、停止条件付きの法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とします。たとえば、AさんがBさんに「気が向いたら、このパソコンをあげる」と約束する場合です。条件の成就が、債務を負う側の気持ち一つで決まるので、債務者が欲しなければ債務を負わなくてよいことになり、法律上の拘束を受ける意思があるとは認められません。だから無効なのです。

ただし、この条文には限定がたくさんついています。

停止条件?NO有効解除条件は対象外YES債務者の意思「のみ」で決まる?NO有効債権者の意思のみ他の事情も混じるYES無効(134条)
無効になるのは「停止条件」かつ「債務者の意思のみ」の場合だけ。どちらか欠ければ有効です。
  • 対象は停止条件だけです。債務者の意思のみに係る解除条件を付けても無効にはなりません。解除条件の場合は、一度は債務が有効に成立していて、債務者が自分の意思で消滅させる余地を残したものにすぎず、拘束力がないとまではいえないからだ、と説明されています。
  • 債務者の意思「のみ」に係る条件に限られます。債務者の意思と、その他の事情の両方にかかる条件、たとえば「私が転居したら」のように、本人の意思だけでなく他の事情にも左右される場合は有効です。
  • 債務者ではなく債権者の意思のみにかかる条件、たとえば「Bさんが望むなら、このパソコンをあげる」という約束は有効です。債務者は、債権者が望めば拘束されるのですから、拘束力があります。

結論を1枚の比較表で整理

ここまでの結論を、停止条件と解除条件に分けて並べます。「無効」と「無条件」を、条文の番号とセットで確認してください。

場面停止条件解除条件
成就済み
(131条1項)
無条件無効
不成就が確定
(131条2項)
無効無条件
不能の条件
(133条)
無効
1項
無条件
2項
不法条件
(132条)
無効無効
債務者の意思のみ
(134条)
無効有効
134条の対象外

表の上から3行目までは、「効力が生じる見込みがあるか」「効力が消える見込みがあるか」で説明できます。4行目の不法条件は、条件の中身そのものが問題なので、停止条件と解除条件で結論が分かれません。5行目の随意条件だけが、停止条件に限って無効になるという特別な扱いです。

試験ではここに注目

  • 不成就が確定した解除条件は無効、は誤り。無条件です(131条2項)。
  • 不成就が確定した停止条件は無条件、は誤り。無効です(131条2項)。また、この「無効」の根拠を133条2項とするのも誤りです(133条2項は、不能の解除条件が無条件になるという規定)。
  • 不法な行為をしないことを条件とした約束は有効、または無条件、は誤り。無効です(132条後段)。
  • 解除条件が成就すると、当然に契約の時までさかのぼって効力が消える、は誤り。さかのぼるのは特約があるときだけです(127条2項・3項)。
  • ある事実が起こらないことを停止条件とすることはできない、は誤り。できます。
  • 債務者の意思のみに係る解除条件も無効になる、は誤り。134条は停止条件が対象です。

補足:動画にない条文のポイント

※ここは動画では詳しく扱っていない補足です(令和9年4月1日基準の条文で確認)。

  • 128条は、動画では131条3項の説明の中で内容だけ触れられています。条文の言葉では、条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない、と定めています。129条も、条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる、と定めています。131条3項は、この二つを準用する規定です。
  • 135条は期限の規定です。法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、請求することができません(1項)。終期を付したときは、期限が到来した時に効力が消滅します(2項)。条件との違いは、冒頭でみた「必ず到来するか」という不確実性です。

まとめ

  • 停止条件は成就した時から効力が生じ、解除条件は成就した時から効力を失う。さかのぼるのは、当事者がそのように意思表示したときだけ(127条)。
  • 起こらないことも条件にできる。出世払いは判例上、条件ではなく不確定期限。
  • 成就済み(131条1項):停止は無条件、解除は無効。不成就が確定(131条2項):停止は無効、解除は無条件。
  • 不能の停止条件は無効、不能の解除条件は無条件(133条)。不成就が確定した場合と同じ結論。
  • 不法な条件は無効で、不法な行為をしないことを条件にしても無効(132条)。「無条件」ではない。
  • 債務者の意思のみに係る停止条件は無効(134条)。解除条件、債権者の意思のみ、債務者の意思と他の事情の混合は有効。
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