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中小企業診断士 1次試験

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企業経営理論から中小企業政策まで、1次試験の論点を科目別の講義動画にまとめています。過去問の解説も1問ずつそろえています。

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アクセス制御と性能指標

経営情報システム 第25回

経営情報システム・情報セキュリティ 00216分28秒2026年4月11日公開

「スマートフォンやパソコンから大事なオンライン会議に参加しているとき、端末から送ったデータは、目的の相手だけに一直線に飛んでいくと思っていませんか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、有線・無線・リング型のアクセス制御方法と、帯域幅、レイテンシ、パケットロス、ジッタというネットワーク性能の指標をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

送ったデータは、本当に相手だけに届くの?

スマートフォンやパソコンから、大事なオンライン会議に参加しているとします。そのとき端末から送ったデータは、目的の相手だけに一直線に飛んでいくと思っていませんか。動画は、この問いかけから始まります。

動画では、私たちが普段使っているローカルエリアネットワーク(LAN)の世界では、ある端末が送信したデータは、同じLANにつながる全ての端末に届く仕組みだと説明されます。ボールを狙った1人に投げたつもりが、同じ部屋にいる全員に向かって飛んでいくようなイメージです。

そのうえで動画は、ネットワークの基礎から2つのテーマを掘り下げます。

  • アクセス制御方法:複数の端末が、いつデータを送るかを決めるルール。
  • ネットワーク性能の指標:通信環境が快適かどうかを、何で測るか。

同時に送ると「衝突」する

全員にデータが届く場所で、複数の端末が同時にデータを送ろうとすると、データがぶつかってしまいます。これを衝突(コリジョン)といい、衝突したデータは壊れて使い物になりません。

動画のたとえ:窓を閉め切った会議室

みんなが黙っているときは、1人の声が全員にきれいに届きます。ところが、何人かが同じタイミングで大声で話し始めると、声がぶつかり合って、誰が何を言っているのか分からなくなります。ネットワークでは、この状態が起きる危険がいつもあります。

そこで、衝突によるデータの破損を防ぐために、いくつかのルールが作られました。動画は、有線LAN、無線LAN、リング型の順に紹介します。

有線LAN:CSMA/CD「ぶつかったら直す」

動画では、有線LANの代表としてCSMA/CDという方式が出てきます。大事なのは後半のCD、コリジョンディテクション、つまり衝突の検知です。ネットワーク上のデータの流れを監視していて、衝突でデータが壊れたことを検知したら、少し待ってから再送信します。会議室でいえば、話がぶつかったら一度黙って、もう一度話し直すイメージです。

動画では、この方式はスター型やバス型と呼ばれるトポロジー(端末をケーブルでどうつなぐかという物理的な配置)で使われると説明されます。スター型は中心の集線装置から星のように各端末へつなぐ形、バス型は1本の太いケーブルに各端末をぶら下げる形です。どちらも、誰かが送ったデータが全員に届くという本質は同じで、1つの空間を共有しています。

集線装置端末端末端末端末スター型バス型ケーブル端末端末端末端末どちらも1つの空間を全員で共有
端末のつなぎ方(トポロジー)は違っても、送ったデータが全員に届く点は同じです。

ここで、聞き手が気になる点を尋ねます。

全員が今すぐ伝えたいと思って、頻繁に話し始めたらどうなるんですか。また一斉にぶつかりませんか。

そこがCSMA/CD方式の最大の弱点です。トラフィック、つまりネットワーク上を移動するデータの量が増えると、衝突が多くなります。衝突が増えれば、再送信もしなければいけません。

衝突した端末同士が同じタイミングで再送信すると、また衝突してしまいます。そこで各端末は、ランダムな時間だけ待ってから再送信する仕組みを持っています。動画はこれを、サイコロを振って待つ時間を決めるようなものと説明します。

ただ、トラフィックが多すぎると、待つ端末だらけになり、せっかく待ったのにまた衝突してしまいます。回線全体が再送信のデータで混み合い、通信速度が一気に落ちやすい、というのが動画の説明です。

(補足:自作の設例です。2台だけが衝突したとします。待ち時間の候補が2通りなら、2台が同じ候補を選んで再び衝突する確率は1/2です。Wikipedia(CSMA/CD)によると、候補は衝突のたびに4通り、8通りと増えるので、確率は1/4、1/8と下がり、最初の衝突のあと続けて3回ぶつかる確率は 1/2×1/4×1/8=1/64です。)

(補足:動画の言い方の訂正・単純化です。動画では、現在の有線LAN、いわゆるイーサネット規格ではCSMA/CD方式が主流だと説明されます。しかしWikipedia(CSMA/CD)によると、1999年以降は全二重通信でスイッチングハブを使う構成が一般的になり、衝突を回避する必要性がほとんどなくなりました。10ギガビット・イーサネットなど後発規格では、CSMA/CDはサポートされていません。「データが同じLANの全端末に届く」という説明も、共有バスやリピータハブの話で、スイッチングハブはアドレスに基づいて中継します。ただしIPAの基本情報技術者試験のシラバスVer9.2の用語例には、CSMA/CD、CSMA/CA、トークンパッシングが並びます。IEEE 802.3の規格本文は確認できませんでした。)

無線LAN:CSMA/CA「ぶつからないよう先に待つ」

では、スマートフォンなどで使う無線LANはどうでしょうか。動画では、電波は目に見えず、有線のようにぶつかってから検知して対処するのは、技術的にも効率の面でも非常に難しいと説明されます。そこで無線LANでは、CSMA/CAという別のルールが採用されています。

CAはコリジョンアボイダンス、つまり衝突の回避です。有線が衝突を検知して事後に対応するのに対して、無線はそもそも衝突を事前に回避しようと動きます。やり方は、データを送る前に送信状況を調べ、他の端末が送信中なら、その通信が終わるまでじっと待ちます。そして他の端末が送信中でないことを確認してから、初めて自分のデータを送ります。

有線:CSMA/CD無線:CSMA/CA送信しながら監視するまず送信状況を調べる衝突を検知する送信中なら終わるまで待つランダム時間待つ空いたのを確認して送るもう一度送信する衝突を事前に避ける
動画の整理:ぶつかってから直す有線と、先に待ってぶつからないようにする無線。

(補足:Wikipedia(CSMA/CA)によると、実際には他の端末の送信が終わったあとも、ランダムな待ち時間をとってから送信を始め、衝突が起きたら待ち時間の範囲を広げます。事前に回避するといっても、衝突が絶対に起きないわけではありません。互いの電波が届かない「隠れ端末」の問題にはRTS/CTSで対処しているとも書かれています。IEEE 802.11の規格本文は確認できていません。)

Wi-Fiの2つの接続形式

動画では、Wi-Fiの接続形式には主に2種類あると紹介されます。1つは、アクセスポイント(通常はルーター)を介して接続するインフラストラクチャモードです。基盤となる中心の機器があり、みんなそこに向かって空気を読みながらデータを送る形です。

もう1つは、アクセスポイントを一切介さず、無線LAN端末だけで構成する形式です。スマートフォン同士を近づけて直接データを送り合うような、その場限りのネットワークとして説明されます。字幕ではこの形式の名前が「adモード」としか読み取れず、発話を確定できませんでした。ここでは、アドホックモードのことと思われると断っておきます(英語版Wikipediaでは、基盤なしに端末同士が作る形をアドホックネットワークと説明しています)。

トークンパッシング:衝突が起きない順番待ち

有線の「ぶつかったら直す」と、無線の「ぶつからないよう待つ」を見てきたところで、聞き手が根本的な疑問を投げかけます。

そもそも、衝突が絶対に起きない仕組みは作れないんですか。完璧な順番決めをしてしまえばいいような気もします。

いい質問ですね。実は全く別のアプローチでそれを実現した方式があります。それがトークンパッシング方式です。

動画では、端末が輪っかのようにつながるリング型のトポロジーで使われるアクセス制御方式と説明されます。ネットワークの中を、送信権を表すデータ「トークン」が周回しています。送りたい端末は、データが付加されていない空のトークン(フリートークン)が自分のところに来たときに、送りたいデータをトークンに付して送信します。データが付加されたトークンは、ビジートークンという名前に変わり、目的のコンピューターまでデータを運びます。

動画のたとえ:路線を回るタクシー

空車のタクシー(フリートークン)が目の前に来たら、データという乗客を乗せます。乗せるとビジートークンになって目的地へ向かい、乗客を降ろしたらまた空車になって次の人を迎えに行きます。車は1台しかないので、交通事故、つまり衝突は起きません。

動画は、衝突をどう処理するかではなく、そもそも衝突が起きない環境をつくる方式だと整理します。

端末A端末B端末C端末D空送信権(トークン)が回っているフリートークン来たときだけ送信できるビジートークンデータを載せて運ぶ
動画のたとえでは、トークンは路線をぐるぐる回る1台のタクシーです。

(補足:動画にない話です。Wikipedia(トークンパッシング)によると、CSMA/CDと比べて負荷が大きくてもスループットが落ちず、周回時間を制御すれば遅延を予測できる利点があります。バス型に適用したトークン・バス(IEEE 802.4)もあります。リング型のトークンリング(IEEE 802.5)は、Wikipedia(トークンリング)によると、IBMが2002年1月に製品の営業活動を終了しました。)

3つの方式を見比べる

ここまでの動画の説明を、表にまとめます。表の内容は、動画の言い方に沿っています。

方式使われる場面衝突への考え方
CSMA/CD有線LAN(スター型・バス型)ぶつかったら検知し、待って再送
CSMA/CA無線LAN先に空きを確認し、事前に回避
トークンパッシングリング型トークンを持つ端末だけが送信

ネットワークの性能は何で測る?

ここから動画は後半に入ります。データがルールを守って出発できても、通信環境そのものが悪ければ、動画は止まり、オンライン会議もカクカクになります。ネットワークの性能は、どんな指標で測るのでしょうか。動画は、まず帯域幅とレイテンシの2つを挙げます。

直感的に理解したいので、さっきの道路のたとえをそのまま使えませんか。

もちろんです。ネットワークを道路にたとえると分かりやすいですよ。まず帯域幅は、単位時間あたりに転送可能なデータの最大容量のことです。

動画では、帯域幅は道路でいえば車線の数や道路の幅です。1車線の細い道より、6車線の高速道路のほうが、1分間に通り抜けられる車の数は圧倒的に多くなります。つまり帯域幅が広いと、1度にたくさんのデータを通せます。

もう1つのレイテンシは、転送要求を出してから、実際にデータが送られてくるまでに生じる通信の遅延時間です。道路でいえば、車が目的地に到着するまでの所要時間に当たります。

帯域幅:1度に通せる量(車線の数)細い道(車線が少ない)広い道(車線が多い)レイテンシ:着くまでにかかる時間細い道でも着くのは早い10車線の道でも制限が遅いと着くのが遅い道の広さと到着の速さは別問題
動画のたとえ:帯域幅は道の広さ、レイテンシは到着までの時間。

動画が強調するのは、帯域幅とレイテンシは全く別の指標だという点です。10車線もある超巨大な高速道路を作っても、制限速度が時速10kmなら、目的地に着くまでの時間はものすごく遅くなります。太い回線を契約したのに、なぜか反応が遅い。そんなトラブルは、レイテンシが大きいことが原因のこともある、と動画は説明します。

(補足:Wikipedia(帯域幅)によると、帯域幅は本来は周波数の範囲(ヘルツ)を指す語で、通信ではデータの転送レートの意味でも使われます。)

(補足:自作の設例です。転送時間を「遅延+データ量÷帯域幅」で見積もる単純なモデルで検算しました。待ち行列や往復のやり取りは考えていません。)

  • 1MBのファイルを、遅延20msで送ります。帯域幅100Mbpsなら約100ms、1Gbpsなら約28msです。
  • 10KBの小さなデータなら、100Mbpsで約20.8ms、1Gbpsで約20.08msです。帯域幅を10倍にしても、ほとんど変わりません。

大きなファイルなら帯域幅が効き、小さなやり取りでは遅延が効きます。「太い回線なのに反応が遅い」を、数字にした例です。

パケットロスとジッタ

動画は、ネットワークの品質を下げる要因として、さらに2つのキーワードを挙げます。1つはパケットロスです。通信内容であるパケット、つまりデータが破損したり消失したりすることです。道路で荷物を運ぶトラックから、段ボールがポロッと落ちてどこかへ行ってしまう状態にたとえられます。オンライン会議の音声なら、肝心な単語のデータが消えて、聞こえなくなる現象です。

もう1つがジッタで、信号の時間的なずれや揺らぎのことです。データは通常、一定の間隔で連続して送られてきます。トラックが1秒に1台ずつ、等間隔できれいに到着する状態です。ところが、ネットワークの混雑などで、あるトラックは3秒遅れ、次のトラックは遅れなしで、前のトラックに追突しそうになりながら到着します。届くタイミングが不規則になり、これが音声や映像の乱れを引き起こす、と動画は説明します。

ふつう:一定の間隔で届くジッタ:届くリズムが乱れるパケットロス:途中で消える×
丸は1つずつのパケット。左から右へ時間が進みます。

(補足:IETFのRFC 3393(2002年)は、パケット遅延の変動を、選んだパケットの一方向遅延の差で表す指標を定めています。パケット損失と遅延にも、RFC 2680と2679(1999年)が指標を定めています。この2つは旧版で確認しました。)

(補足:自作の設例です。1秒ごとに5個のパケットを送り、それぞれの遅延が0.1、0.1、1.6、0.8、0.1秒だったとします。到着の間隔は1.0、2.5、0.2、0.3秒で、等間隔になりません。隣り合うパケットの遅延の差は、0.0、+1.5、-0.8、-0.7秒です。遅延がばらつくと、音声や映像は乱れます。)

動画の締めくくり

動画の最後は、ここまでの内容をつなぎ合わせます。アクセス方法で衝突をいかに避けるかを工夫し、帯域幅、レイテンシ、パケットロス、ジッタという指標で、通信の健康状態を測る。これが全部噛み合って、初めて快適なインターネットが実現している、という整理です。

動画は、これらは暗記項目にとどまらず、トラブルのとき「調子が悪い」で終わらせず、再送信が頻発しているのか、パケットロスが起きているのかと原因を推測する武器になる、とも言います。

試験の注目点(動画が挙げた用語)

動画は、診断士1次試験でこれらは非常に重要なポイントになると述べています。診断士試験での出題範囲や出題の形は、このページでは確認していません。

まとめ

動画の内容のおさらい

  • LANでは、送ったデータが同じ空間の全員に届くと動画は説明します。同時に送ると衝突が起きます。
  • 動画では、有線はCSMA/CD(衝突を検知して待ち、再送)、無線はCSMA/CA(先に空きを確認して衝突を避ける)、リング型はトークンパッシング(トークンを持つ端末だけが送る)です。
  • 動画では、帯域幅は1度に通せる量、レイテンシは到着までの時間で、別の指標とされます。
  • 動画では、パケットロスはデータの消失、ジッタは届くタイミングの揺らぎです。

最後に、補足で確かめた点です。現在の有線LANではスイッチングハブと全二重通信が一般的で、CSMA/CDは初期のイーサネットの方式です。CSMA/CAも、衝突が絶対に起きないわけではありません。

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