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中小企業診断士 1次試験

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GDPの範囲とマクロ経済指標

経済学・経済政策 第2回

経済学・経済政策・マクロ経済学 00117分24秒2026年3月21日公開

「専門用語とかアルファベットの羅列をひたすら暗記するんじゃなくて、重要な知識の本質を理解する」。動画はこんな宣言から始まります。このページでは動画の流れにそって、GDPに入るもの・入らないもの、その例外、GDPからGNI、さらにNDP・DI・NIへとつながる指標の整理をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

暗記ではなく、「何を測る指標か」から入る

動画は、専門用語やアルファベットの羅列をひたすら暗記するのではなく、重要な知識の本質をつかむ解説にしたい、という宣言から始まります。丸暗記だと、本番で少しひねられただけで間違えてしまうからです。

今回のテーマは、GDPに含まれるもの・含まれないものと、GNPをはじめとする関連の経済指標です。動画は、試験対策でいちばん大事なのは、それぞれの指標が「国の経済のどの部分を、何のために測ろうとしているのか」という背景を理解することだと言います。流れは次のとおりです。

  • GDPに入るもの、入らないもの、その例外
  • 場所(国内)から人(国民)へ:GDPとGNI(旧GNP)
  • 総額から純額へ:NDPとNNI
  • 税と補助金の調整:DIとNI

GDPの大原則は「金額に換算できる付加価値」

聞き手が最初に確認します。GDP(国内総生産)は、お金が動けば何でも含まれるわけではないですよね、と。講師の答えは、GDPのいちばん根本的な原則は付加価値の金額換算が可能なものが含まれることだ、というものです。

例として挙がるのが、国内企業の株式の配当や、銀行預金の利子です。工場で車を作るような直接の物づくりではありませんが、資本を提供したことで生まれた付加価値の対価として金額に換算できるので、GDPに含まれる、という説明です。

(補足:配当や預金の利子は、企業が生んだ付加価値の「分け前」が出資者や預金者に渡ったものです。企業の付加価値はすでにGDPに入っていますので、配当や利子をさらに足し合わせるという意味ではありません。)

(補足:動画のパン屋の例は、100万円分のパンの売上をそのまま付加価値として話しています。実際の付加価値は、売上から小麦粉など仕入れた分を引いたものです。分かりやすさを優先した単純化です。)

GDPの2つの原則(動画の説明)

  • 金額に換算できる付加価値であること
  • 新たに生み出された付加価値であること

GDPに入らないもの

入らないものは2タイプです。金額に換算できないものと、お金は動いても新たな付加価値ではないものです。

金額に換算できない:家事と自給自足

代表は家事です。自分や家族で行う掃除や洗濯には、家事代行サービスを頼めば明確な価値がありますが、市場で取引されていないので客観的な値段がつけられません。そのため除外されます。農家ではない人の自給自足も同じで、聞き手の例が、ベランダの家庭菜園で育てて食べたトマトです。とても価値のある体験でも、市場で販売していないので、金額に換算できず、GDPには入りません。

価値はあるのに値札がついていないからノーカウント、って、ちょっともったいない気もしますね。

そうですね。ただ、市場で取引されていない以上、GDPの計算には入らないわけです。

お金は動くが、新たな付加価値ではない

こちらは「試験を作る側が非常に好んで出すポイント」と動画が強調する部分です。

  • 中古品の売買:聞き手が、ネットのオークションアプリで古いビンテージギターを20万円で買う例を出します。大きなお金は動きますが、そのギターの価値は新品として最初に売られた年のGDPにすでにカウントされています。転売は所有権が移っただけで、その年に新たに付加価値が生産されたわけではありません。二重にカウントすると国の経済規模がおかしくなるため、というのが動画の説明です。
  • 株価の上昇:持っている株式の資産価値が上がっただけで、新たにものやサービスが生産されたわけではないので、入りません。
  • 政府の移転支出:補助金や生活保護費は、政府から特定の個人や企業へお金を渡すだけの所得の移転で、その支給額自体が新たな付加価値を生むわけではありません。

お金が右から左へ移動しただけで、新しくピザが焼かれたわけじゃない、というイメージですね。

そういうイメージで間違いないです。

型例理由
市場の外家事、家庭菜園のトマト値段がつかない
過去の分中古品の売買計上済み
値上がり株価の上昇生産がない
所得の移転補助金、生活保護費渡すだけ

(補足:中古品の売買そのものは入りませんが、販売業者やアプリが受け取る仲介の手数料は、その年に新たに提供されたサービスの対価なので、GDPに入るとされています。また、政府が公共事業の発注や公務員の給与に使う「政府支出」はGDPに入ります。入らないのは、あくまで見返りを求めずに渡す移転支出です。)

例外:金額換算できなくても入るもの

ここで聞き手が「どんなルールにも例外はありますよね」と切り出します。講師は、その例外こそが試験で合否を分ける知識だと答えます。動画が挙げる例外は3つです。

政府の公共サービス

消防、警察、教育などです。警察官に「泥棒を捕まえてくれたから10万円払います」と市場価格で取引はしませんが、社会に価値は生み出しています。そこで市場価格がない代わりに、そのサービスを提供するのにかかった費用、つまり公務員の給料などを、そのまま生み出された付加価値の金額とみなしてGDPに含めます。

(補足:費用は給与だけではありません。政府サービスの付加価値は、公務員の給与(雇用者報酬)に、設備のすり減り分である固定資本減耗などを加えたものとして計算される、と説明されています。)

持ち家の帰属家賃

講師は「非常に特殊でよく出題される」と紹介します。自分の持ち家に住んでいる人は、自分に家賃を振り込んだりしません。しかし経済では、持ち家に住むことは、家賃を払って住むのと同じだけの居住サービスを消費している、と考えます。

これを測らないと困ったことが起きます。国民全員が賃貸アパートから持ち家に引っ越したとしましょう。実態の生活水準は何も変わらないのに、家賃の支払いが消えるので、国のGDPが急に減ってしまいます。経済が縮小したように見えてしまう矛盾を防ぐため、「同じような家を市場で借りたらいくらになるか」を計算し、家賃を払っているものとしてGDPに含めます。これが帰属家賃です。

賃貸に住む家賃の支払いがある家賃の支払いがGDPに入る持ち家に住む家賃の支払いは0円見積もらないとGDPが減って見える持ち家に住む帰属家賃を見積もる同じ家を借りたらいくらかで計上
実態は同じ暮らしなのに、GDPが変わって見えるのを防ぎます。

農家の自家消費

さっきの家庭菜園のトマトは入らないという話と、農家の自家消費はどう違うんでしょうか。

趣味の家庭菜園は市場での生産活動ではありませんが、農家は日常的に市場で販売するために農作物を生産する経済主体ですよね。

プロとして作っているということですね。

農家が自分で生産して自分で食べた分は、「もし市場に出して売っていればいくらになったか」という市場価格で計算して、GDPに含めます。売ったと仮定して、実態の経済活動を正確に反映させるわけです。

例外金額の決め方
政府の公共サービス提供にかかった費用で評価
持ち家の帰属家賃同じ家を借りたら払う家賃で評価
農家の自家消費市場に出したら付く価格で評価
入る(原則)金額に換算できる、新たに生まれた付加価値市場で売買される財・サービス、配当・預金の利子入る(例外・見積もって計上)政府の公共サービス(費用で評価)持ち家の帰属家賃農家の自家消費(市場価格で評価)入らない家事・自給自足(家庭菜園など)中古品の売買・株価の上昇政府の移転支出(補助金・生活保護費)
動画の説明を3つのグループに整理しました。

場所から人へ:GDPからGNIへ

ここまでのGDPは、国内という場所で作られた付加価値でした。ここから動画は、国内ではなく国民、つまり人が作った付加価値に注目する指標へ移ります。昔よくニュースで聞いたGNP(国民総生産)です。

試験対策として必ず知っておくべき点として、動画はこう言います。従来GNPと呼ばれていた指標は、現在は概念が見直されてGNI(国民総所得)という名称で呼ばれている、と。

計算の考え方は、聞き手の「海外に赴任してバリバリ働いたら」という例が分かりやすいです。海外での稼ぎは日本の国内生産には入りませんが、日本国民としての稼ぎにはなります。そこで、日本のGDPから出発して、次のように調整します。

  • 海外で働く日本国民が生み出した所得、つまり海外からの要素所得を足す。
  • 日本国内にいる外国人が生み出した所得は、すでに日本のGDPに含まれているが、日本国民ではないので、海外への要素所得として引く。
GDP(国内総生産)国内で生まれた付加価値+ 海外からの要素所得海外で稼いだ日本国民の所得− 海外への要素所得日本国内で稼いだ外国人の所得GNI(国民総所得)日本国民が生んだ価値
場所の指標から人の指標へは、足し算と引き算です。

つまり、GNI=GDP+海外からの要素所得−海外への要素所得です。場所から人への変換が、足し算と引き算でできます。

(補足:ここでいう「国民」は、国籍ではなく居住者のことだと説明されます。長く海外に移り住んで現地が生活の中心になった人の所得は、日本のGNIの対象から外れる扱いです。動画の赴任は、短い期間を思い浮かべると分かりやすいでしょう。)

(補足:GNPからGNIへの名称変更は、国際的な統計基準の見直しに伴うものです。名目の金額では同じ大きさで、実質値にするとき、輸出入の価格の変化による購買力の差(交易利得・損失)を反映するかどうかが違う、とされています。)

総額から純額へ:NDPとNNI

ここからが受験生を悩ませる「アルファベットの呪文」のセクションです。動画は、NDP、NI、DIなどの指標を、暗記ではなく意味のまとまりとして一気に整理していきます。

まずNDP(国内純生産)です。NDP=GDP−固定資本減耗。動画は「固定資本」と略して話していますが、これは生産設備などのすり減って消耗した分、つまり動画の言う減価償却費にあたるものです。

パン屋さんの例です。1年間に100万円分のパンを焼いて付加価値を生み出したとします。これがGDPです。しかしその過程で、10万円分の設備をすり減らして失っています。純粋に増えた価値を知りたいなら、総生産であるGDPから消耗分を引く必要があります。こうして導き出されるのが純生産のNDPで、動画の例なら90万円です。聞き手は、設備の消耗分を引くと考えると一気に腑に落ちた、と言っています。

この考え方は国民ベースの指標にも使えます。国民が作った付加価値の総額であるGNI(またはGNP)から固定資本減耗を引いたものが、国民の純額の指標です。字幕では動画の言い方がやや聞き取りにくい箇所がありますが、一般にはNNI(国民純所得)、旧来の言い方ではNNP(国民純生産)と呼びます。このページでは、あとに出てくるNI(国民所得)と区別するためNNIと書きます。

(補足:固定資本減耗は、会計上の減価償却費とまったく同じではありません。設備を今の価格で買い替えるとしたらいくらかを基準に測る、とされています。動画の「減価償却費」という説明は、理解のための近似とみてください。)

税と補助金を調整する:DIとNI

動画はさらに一段階の調整を加えます。DI(国内所得)は、NDPから間接税と補助金の影響を取り除いた指標です。なぜ必要なのでしょうか。

  • 私たちが市場で買うものの価格には、消費税などの間接税が上乗せされています。この税金分は価格を高く見せていますが、企業が新たに生み出した真の付加価値ではありません。
  • 逆に、政府の補助金が入っている商品は、本来の価値より安く市場に出回っています。

こうした政府による価格のゆがみを調整し、生産要素に対して実際に支払われた本来の所得を正確に測るために、間接税と補助金の影響を取り除くのです。国民ベースの純額の指標であるNNIから同じように調整したものが、NI(国民所得)です。

(補足:動画は「間接税と補助金の影響を差し引く」と言いますが、計算では間接税を引き、補助金を足します。補助金のぶん安くなっていた価格を元に戻す、という向きです。つまり、DI=NDP−間接税+補助金、NI=NNI−間接税+補助金です。)

総額(そのまま)純額−固定資本減耗税・補助金−間接税+補助金国内場所GDP国内総生産NDP国内純生産DI国内所得国民人GNI国民総所得NNI国民純所得NI国民所得国内→国民:+海外からの要素所得 −海外への要素所得総額→純額:−固定資本減耗純額→右の列:−間接税+補助金
国内か国民か、総額か純額か、税の調整があるか。この3つで決まります。

聞き手の感想が、全体のまとめになっています。これらは無秩序に並んでいるのではなく、国内か国民か、総額か純額か、税や補助金の調整の有無かという明確なルールに沿って、経済の異なる断面を切り取っているだけだ、ということです。

数値例で確かめる(このページの自作の設例)

動画にはない数値例です。次の前提の架空の経済(単位は億円)で、順に計算してみましょう。

  • GDP:500
  • 海外からの要素所得:30、海外への要素所得:20
  • 固定資本減耗:80
  • 間接税:40、補助金:10
指標計算金額
GNI500+30−20510
NDP500−80420
NNI510−80430
DI420−40+10390
NI430−40+10400
GDP500NDP420DI390GNI510NNI430NI400
設例の数値(架空・億円)。上の3本が国内、下の3本が国民です。

検算にもなります。国内の指標に海外からの純受取(30−20=10)を足すと国民の指標になり、420→430、390→400と、きちんとつながります。

動画の最後の問いかけ:無料のデジタルサービスは?

動画の最後は、少し先を見据えた問いかけです。GDPには金額に換算できないものは含まれないと学びました。でも私たちが毎日使っている無料の検索エンジン、SNS、そしてウィキペディアのように世界中の人がボランティアで作る知識は、間違いなく社会に計り知れない価値を生み出しています。ところが料金が無料である以上、現在のGDPの計算ではゼロとして扱われます。

考えてみよう

もし、こうした無料で提供される巨大な価値を正確に測定できる新しい経済指標が生まれたら、私たちが信じている国の豊かさの定義はどう変わるでしょうか。動画は、経済学の最前線の謎に思いをめぐらせると学びがさらに面白くなる、と結んでいます。

まとめ

動画の要点

  • GDPに入るのは、金額に換算できる、新たに生み出された付加価値。家事・自給自足、中古品の売買、株価の上昇、移転支出は入らない。
  • 例外として、政府の公共サービス(費用で評価)、持ち家の帰属家賃、農家の自家消費は、見積もってGDPに入る。
  • 国内から国民へ:GNI=GDP+海外からの要素所得−海外への要素所得。GNIは従来GNPと呼ばれていた指標。
  • 総額から純額へ:固定資本減耗を引く(GDP→NDP、GNI→NNI)。
  • 税・補助金の調整:DIとNIは、価格のゆがみを取り除き、生産要素への本来の所得を測る。計算では間接税を引き、補助金を足す(補足)。

どの指標も、「なぜそう計算するのか」という背景を理解していれば、本番でひねられても論理的に答えを導けるはずだ、というのが動画の締めくくりです。

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