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中小企業診断士 1次試験

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オプション取引|コールとプットは何が違う?

財務・会計 0016分40秒2026年2月21日公開

「買う権利や売る権利を売買するって、いったいどういうことなのか」。動画はこんな問いから始まります。将来の価格変動リスクに備えるための金融手法、オプション取引の入り口です。このページでは動画の流れにそって、コールとプットの仕組みと使い道を、為替の例でまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

3行でいうと

  • オプション取引は、将来のある日に、あらかじめ決めた価格で「買う(または売る)権利」を売り買いする取引です。
  • 買う権利がコール(輸入業者向き)、売る権利がプット(輸出業者向き)。権利の代金がオプションプレミアムです。
  • 権利の買い手は、得なときだけ使えばよく、損失はプレミアムだけに限られます。

オプション取引って、なにをする取引?

「半年後にドルで代金を払わなきゃいけないのに、円安が進んだら困る」。輸出入をするビジネスでは、為替レートの動きは自分ではコントロールできません。そんな将来の不確実さを管理する道具として使われるのがオプション取引です。

ひとことでいうと、「買う権利」や「売る権利」そのものを売り買いする取引です。この権利を手に入れるために、手数料のようなお金を払います。これをオプションプレミアムといいます。まず、次の3つの言葉を押さえておきましょう。

  • 権利行使価格:買う(または売る)ときの、あらかじめ決めた価格
  • 満期日:権利を使える期限の日
  • オプションプレミアム:権利を手に入れるために払う代金(保険料のようなもの)

たとえば

オプションは、未来の価格に対する保険のようなものです。保険に入るときに保険料を払いますよね。何も起きなければ保険料は戻りませんが、いざというときに助けてもらえます。オプションのプレミアムも、同じ感覚です。

コールオプション:買う権利

コールオプションは、特定の資産を、将来の特定の日に、あらかじめ決めた価格で買うことができる権利です。輸入業者が、将来の円安リスクをヘッジ(回避)するために使う、典型的な道具です。

具体例で考えましょう。あなたは輸入業者で、将来ドルで決済しなければなりません。いまのレートで、1ドルを130円で買う権利を、プレミアム1円を払って購入したとします。この130円が権利行使価格です。満期日の市場価格によって、結果は次のように変わります。

満期日の市場価格呼び名結果(1ドルあたり)
135円(円安)インザマネー権利を行使。+4円
130円(同じ)アットザマネー使う得も損もない分かれ目。−1円
127円(円高)アウトオブザマネー権利は放棄。−1円

135円になったときは、市場より5円も安い130円で買えるので、135−130−1(プレミアム)=4円の利益です。逆に127円になったら、権利を使うと損になります。権利は使わず(放棄して)、市場で普通に127円でドルを調達すれば大丈夫。このとき失うのは、最初に払ったプレミアムの1円だけです。

損益(円/ドル)0権利行使価格 130円−1+4+4円の利益損失はプレミアム1円だけ分岐点 131円125130135満期日の市場価格(円/ドル)
コールの買い手は、130円を超えたところから右上がりに利益が伸びます。

権利を使わない、という選択もできるんですか?

できます。「買う権利」であって「買う義務」ではないからです。損になるなら放棄して、市場で買えばいい。だから損失はプレミアムの1円に限られるんです。

損失を限定しつつ、利益を追求できる。それがオプションの大きな特徴なんですね。

なお、プレミアムまで含めて損益がちょうどゼロになる損益分岐点は、131円です(行使価格130円+プレミアム1円)。動画で「ちょうど分かれ目」といわれる130円は、権利を使うほうが得か損かの分かれ目、と考えるとすっきりします。動画では、コールの買い手の損益図が「カタカナの「ル」の右側みたいに右肩上がり」とも紹介されていました。

プットオプション:売る権利

コールの反対がプットオプションです。特定の資産を、あらかじめ決めた価格で売ることができる権利で、輸出業者が使うイメージです。輸出業者は、将来受け取るドルが、円高で価値が下がってしまうリスクを抱えているからです。

同じく、権利行使価格130円、プレミアム1円で、「1ドルを130円で売る権利」を買ったとします。

  • 満期日に円高が進んで125円になったら:権利を行使して130円で売ったほうが有利です(インザマネー)。市場より5円高く売れるので、プレミアムの1円を引いても、1ドルあたり4円の利益です。
  • 逆に円安が進んで135円になったら:権利は使わず、市場で135円で売ったほうが得です(アウトオブザマネー)。この場合も損失はプレミアムの1円だけです。
損益(円/ドル)0権利行使価格 130円−1+4+4円の利益損失はプレミアム1円だけ分岐点 129円125130135満期日の市場価格(円/ドル)
プットの買い手は、130円を下回るほど、左上がりに利益が伸びます。

損益図は、動画では「カタカナの「ト」のよう」と紹介されていました。損益分岐点は、行使価格からプレミアムを引いた129円です。

覚え方

プット出る、つまり「プットは輸出」。輸出業者が円高から身を守るために使う、と結び付けて覚えられます。

コールとプットのちがいを整理

コールプット買う権利売る権利権利輸入業者(ドルを買う側)輸出業者(ドルを売る側)使う人円安(ドルが高くなる)円高(ドルが安くなる)怖い動き市場価格が行使価格より高い市場価格が行使価格より低い得する時右上がり左上がり損益図
「プットは出る」=輸出、と覚えるとコールとの取り違えを防げます。

ヨーロピアンとアメリカン:いつ使える?

買う権利・売る権利のほかに、もうひとつ区別があります。権利をいつ行使できるかというタイミングの違いです。

  • ヨーロピアンタイプ:満期日の、その特定の日にしか権利を行使できません。少し制限が厳しいイメージです。
  • アメリカンタイプ:満期日までの期間中であれば、いつでも権利を行使できます。より柔軟です。
アメリカンタイプ満期日までの期間中、いつでも権利を行使できるヨーロピアンタイプこの間は行使できない満期日購入満期日
アメリカンのほうが自由。名前は、地域とは関係ありません。

ヨーロピアンとアメリカン、どっちがどっちか迷いそうです。

試験対策としては、「アメリカンのほうが自由」と覚えるのがいちばんです。期間中いつでも使えるのがアメリカン、満期日の1日だけがヨーロピアンです。

動画の最後の問い:オプションを「売る」側はどうなる?

ここまでは、権利を買う側(買い手)の話でした。動画は最後に、「反対側で、オプションを売る側は、どんな損益構造になっているのか」という問いを残して終わります。ここでは、その考え方のヒントを書いておきます(動画では答えは出ていません)。

売り手は、プレミアムを受け取る代わりに、買い手が権利を行使してきたら応じなければなりません。だから、損益は買い手を上下にひっくり返した形になります。買い手の得は、そのまま売り手の損です。

損益(円/ドル)0権利行使価格 130円売り手の利益は最大+1円買い手の損失は最大−1円買い手売り手:損失に上限なし125130135満期日の市場価格(円/ドル)
売り手の損益は、買い手を上下にひっくり返した形。買い手の得は売り手の損です。
  • コールの売り手:利益は受け取ったプレミアムが上限。市場価格が上がるほど損失が膨らみ、理論上は上限がありません。
  • プットの売り手:利益は受け取ったプレミアムが上限。市場価格が下がるほど損失が膨らみますが、価格は0円より下がらないので、損失には上限があります(行使価格−プレミアムまで)。

企業が為替の変動という、コントロールできないリスクにどう立ち向かうのか。オプション取引は、その答えの一つとして、いまの企業のリアルな戦略でもあります。

まとめ

  • コールは買う権利(輸入業者向き)、プットは売る権利(輸出業者向き)
  • 権利を手に入れる代金がオプションプレミアム。買い手の損失は、最大でもプレミアムだけ
  • 市場価格と権利行使価格の関係で、インザマネー・アットザマネー・アウトオブザマネーが決まる
  • コール買いの損益図は右上がり、プット買いは左上がり
  • ヨーロピアンは満期日だけ、アメリカンは期間中いつでも権利を行使できる

試験ではここに注目

  • コールは「買う権利」、プットは「売る権利」。輸入業者・輸出業者との対応(プットは出る=輸出)
  • 買い手の損失はプレミアムに限定される。コールの買い手の利益は理論上、上限がない
  • 損益は「市場価格−行使価格−プレミアム」(コール)など、プレミアムを引いて計算する
  • インザマネー(行使すると得)/アウトオブザマネー(行使しないほうが得)/アットザマネー(市場価格=行使価格)の意味
  • ヨーロピアンは満期日のみ、アメリカンは期間中いつでも行使できる
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