POSシステム|レジの「ピッ」で何がわかる?
「スーパーやコンビニのレジで鳴る、あの『ピッ』という音。実は、その裏で店の経営を左右する緻密な情報管理が動いている」。動画はこんな話から始まります。このページでは動画の流れにそって、POSシステムの効果、コーザルデータ、JANコードとバーコードの種類までをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
3行でいうと
- POSは、レジでバーコードを読み取り、「どの商品が・いつ・いくつ売れたか」を1品ずつ記録するしくみです。
- 効果は2つ。レジや値札付けの作業が楽になる(ハード面)と、売れ方のデータで売上を伸ばせる(ソフト面)です。
- 試験では、コーザルデータの4種類、JANコードの構造、PLU方式とノンPLU方式(書籍だけ例外)がよく問われます。
レジの「ピッ」の裏で、何が動いている?
スーパーやコンビニで鳴る、レジの「ピッ」という音。あの一瞬の裏側では、店の経営からマーケティングまでを左右する情報管理が動いています。
そのしくみがPOSシステムです。POSはPoint of Salesの略で、日本語では販売時点情報管理といいます。レジで商品のバーコードを読み取ることで、どの商品が、いつ、いくつ売れたのかを、単品単位で集計するシステムのことです。
POSの効果は「ハード面」と「ソフト面」
ハード面:作業がぐんと楽になる
POSがなかった時代、店員さんは何千種類もある商品の値段を暗記するか、価格表を見ながらレジに手で打ち込んでいました。さらに、商品ひとつひとつに値札シールをペタペタ貼る値札付けという、膨大な店内作業もありました。特売日には、何万個もの商品にシールを貼り直す大仕事です。
「ピッ」と読み取るだけで値段がわかるようになり、レジも店内の作業も大きく効率化されました。これがハード面(物理的な作業)のメリットです。
ソフト面:データ分析で売上を伸ばす
ただし、POSの本当の威力は作業の効率化だけではありません。ソフト面、つまりデータ分析を通じて売上を伸ばせることにこそ、進化があります。
- どの商品がいつどれだけ売れたかが正確にわかるので、店の勘や経験にたよらず、「なぜこの商品が急に売れ始めたのか」と仮説を立てて検証する(仮説検証型)ことができます。
- 自分の店だけでなく外部のPOSデータも使えば、「今、ほかの店ではこれが大ヒットしている」というトレンドをいち早くつかみ、自分の店でも展開できます。
- 売れ筋商品だけでなく、まったく売れない死に筋商品も、データで管理できます。
「誰が買ったか」までわかる:ID付きPOS
バーコードを読み取るだけでは、商品が売れたことはわかっても、誰が買ったかまではわかりません。そこで登場するのが、ポイントカードや会員アプリです。これらを使って集めたデータを顧客ID付きPOSデータ(ID-POS)といいます。
購買履歴と顧客IDをひも付けると、「この年代の、この地域の人は、週末の夜にこの商品を買う傾向がある」といった、一人ひとりに合わせたマーケティングが立てられます。
ポイントカードって、ただのおまけだと思っていました。
お客さんにはお得なおまけですが、お店にとっては「顧客」と「商品」をつなぐ強力な鍵なんです。
何気なく出していたカードが、そんな役目をしていたんですね。
コーザルデータ:価格以外で売上を動かすもの
試験対策として特に大事なのがコーザルデータです。コーザル(causal)とは「原因となる」という意味。ビジネスでは、価格以外で売上に影響を与える要因を示すデータのことをいいます。大きく4つあります。
- 販促データ:どんなキャンペーンやチラシ広告を打ったか
- 棚割りデータ:棚に商品をいくつ並べたか(フェイス数など)
- 気象データ:気温や天候
- 地域イベントデータ:近所のお祭りや花火大会などがあるか
たとえば
雨が降ってきた途端、いちばん目立つ場所に傘やタオルが並ぶ。近くで花火大会がある日に、レジ横に冷たい飲み物が山積みになる。これは偶然ではなく、コーザルデータにもとづいた店の意思決定です。「明日は気温が3度下がるからおでんの具材のフェイス数を増やそう」「近所でお祭りがあるからお酒とスナックを入口付近に置こう」といった具合です。
バーコードとJANコード
バーコードは、数字や文字・記号をスキャナーで簡単に読み取れるように、太さの違う線で表したものです。人が読むための数字のコード部分と、機械が読み取る線の部分(バーコードシンボル)でできています。
日本の商品で使われている規格がJANコード(Japan Article Number)です。国際的にはEANコードと呼ばれる世界共通のコードで、アメリカ・カナダで使われるUPCとも互換性があります。だから、JANコードの付いた商品は、海外のレジでもそのままスキャンできます。
標準タイプは13桁、短縮タイプは8桁
JANコードには、13桁の標準タイプと、8桁の短縮タイプがあります。13桁の中身は、次の3つのパートでできています。
- GS1事業者コード(7桁・9桁・10桁のどれか):企業を識別する番号。先頭の2桁が国コードです。
- 商品アイテムコード(5桁・3桁・2桁):その企業が、商品ごとに自分で割り当てる番号です。
- チェックデジット(1桁):汚れやかすれで、スキャナーが読み間違えていないかを確かめる、いわば自己診断用の数字です。
8桁の短縮タイプは、粒ガムやリップクリームのように、パッケージが小さくて13桁のバーコードが印刷できない商品に使います。事業者に対して、8桁のGTINを商品1つごとに貸し出すしくみです(動画では「ワンショットキー」と説明されていました。GS1 Japanの公式資料では「ワンオフキー方式」と書かれています)。長い企業コードを省いて、その小さな商品専用の短い番号をひとつだけ発行するイメージです。
一度使ったアイテムコードは使い回せない
販売終了したお菓子のコードを、新商品のジュースに使い回してもいいでしょうか。答えはだめです。使い回すと、ジュースをスキャンしたのに画面に昔のお菓子の名前と値段が出る、といった大混乱が起きます。一度与えられた番号は、その商品だけの永久欠番です。
国コード45・49は「原産国」ではない
日本の企業がGS1事業者コードを取得すると、バーコードの先頭は45か49になります。ここで「45で始まるから日本製だ」と考えるのが、試験の代表的なひっかけです。
この国コードが表すのは、商品の原産国ではなく、発売元・製造元・ブランドオーナーなど、供給責任者の国です。原材料が外国産で、海外の工場で作ったシャツでも、供給責任者である日本の企業が自社のコードを付ければ、45か49から始まります。
PLU方式とノンPLU方式:価格はどこにある?
バーコードは、どの商品かを見分けるためのものです。では、値段はどこに入っているのでしょうか。ここでPLU方式とノンPLU方式の2つに分かれます。
PLU方式:価格はレジのデータベースにある
PLUはPrice Look Up(価格を探す)の略です。この方式のバーコードには、価格の情報が入っていません。あらかじめ店のコンピューターに「このバーコードの商品は、この価格」と登録しておき、レジでスキャンした瞬間に、データベースから価格を探し出して表示します。
だから、今日はこのお菓子を特売の100円にしよう、と決めたら、データベースの価格を書き換えるだけで済み、バーコードを作り直す必要はありません。コンビニで買うお菓子やペットボトル飲料のほとんどが、この方式です。
メーカーなどが、製造の時点で包装や容器にバーコードをあらかじめ印刷しておくことをソースマーキング(source=源流)といいます。基本的に、PLU方式はソースマーキングに当たります。ソースマーキングをするには、メーカーなどの事業者が、国際機関のGS1からGS1事業者コードを取得しておく必要があります。
ノンPLU方式:価格がバーコードの中にある
ノンPLUは「価格を探さない」方式で、バーコード自体に価格の情報が入っています。お店が独自にラベルプリンターでバーコードを作って貼るインストアマーキングが、これに当たります。
身近な例が、スーパーの肉や魚のパックです。同じ豚肉でも、グラム数によって1パックごとに価格が違います。メーカーが、同じバーコードをあらかじめ印刷することはできません。そこで、お店のバックヤードで重さを量り、価格を含んだバーコードをその場で発行して貼っているのです。
インストアマーキングは、お店の中だけで使う独自のコードなので、GS1事業者コードを取得する必要はありません。そのかわり、ソースマーキングと区別できるように、先頭は必ず02、または20〜29(20番台)と決められています。
先頭が45なら国産、というわけではないんですね。
そうなんです。45か49は「日本の事業者がコードを付けた」という意味で、原産国とは別の話です。試験でもひっかけとして狙われやすいところです。
例外:書籍はソースマーキングなのにノンPLU方式
ここで、試験対策として必ず覚えておきたい例外が書籍です。本は、出版社が製造の時点でバーコードを印刷するので、ソースマーキングです。ふつうなら、価格はデータベースで探すPLU方式のはずです。
ところが、本は再販売価格維持制度(いわゆる定価販売)が認められている特殊な商品です。お菓子のように、お店の都合で勝手に値段を変えることはできず、どこで買っても値段が変わりません。だから、データベースでいちいち価格を探す必要がなく、バーコードの中に価格情報が含まれています。つまり書籍は、ソースマーキングでありながら、ノンPLU方式が使われている、珍しい存在です。
(補足:動画にはない話ですが、本の裏表紙にはバーコードが2段に並んでいます。上段がISBN、下段は192で始まり、本の分類記号と本体価格(税抜)が入っています。)
まとめ
- POSは販売時点情報管理。バーコードを読み取り、単品単位で「いつ・何が・いくつ」売れたかを集計する
- ハード面のメリットはレジ・値札付けの効率化、ソフト面のメリットはデータ分析による売上向上(仮説検証・外部POSデータの活用)
- ID-POSは、ポイントカードなどで顧客IDと購買履歴をひも付けたデータ
- コーザルデータは、価格以外で売上に影響する4種類(販促・棚割り・気象・地域イベント)
- JANコード13桁は、GS1事業者コード(7・9・10桁)+商品アイテムコード+チェックデジット1桁
- PLU方式はバーコードに価格なし(ソースマーキング)、ノンPLU方式は価格入り(インストアマーキング)
試験ではここに注目
- コーザルデータの4種類と、「価格以外の要因」という定義
- 国コードの45・49は原産国ではなく、供給責任者(発売元・製造元など)の国
- 商品アイテムコードは、販売終了した商品のものでも別の商品に使い回せない
- インストアマーキングの先頭は02か20〜29。ソースマーキングと区別できる
- 書籍は、ソースマーキングなのにノンPLU方式(価格がバーコードに含まれる)という例外
- 8桁の短縮タイプは、小さな商品向け。13桁が印刷できない場合に使う

