商品識別コードとRFID
運営管理 第2回
「アルファベットの略語や、何桁かといった数字のルールがたくさん出てきて、なんとなく丸暗記になってしまいがち」。動画はこんな悩みから始まります。このページでは動画の流れにそって、集合包装用商品コード(GTIN-14)とITFシンボル、RFID、トレーサビリティ、GLN、GTIN、GS1-128とAI、EPCとSGTINを、桁数の理由からまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
略語と桁数、丸暗記になっていませんか?
動画はこんな悩みから始まります。ITFは何桁、GLNは何桁、と呪文のように唱えても、本番で緊張すると「あれ、0をいくつ足すんだっけ」となってしまう。そこで動画は、スーパーの裏口で見かける段ボール箱や、アパレルショップのセルフレジといった身近な風景と、専門用語を結びつけながら進みます。先に全体の地図を置いておきます。
| コード | 何を識別する? | ポイント |
|---|---|---|
| GTIN (JANコード) | 商品(単品) | 13桁(短縮は8桁) |
| 集合包装用 商品コード | ケース・段ボール | 14桁・ITFシンボル |
| GLN | 企業・事業所・場所 | 13桁・EDIで使う |
| SGTIN | 商品1つ1つ | GTIN+シリアル番号 |
| AI+GS1-128 | 重量・期限・ロットなど | AIは2〜4桁 |
なお、JANコードはGTINのうち日本で使う13桁(と短縮の8桁)の呼び名です。
集合包装用商品コード(GTIN-14)とITFシンボル
まず物流の最前線から。集合包装用商品コードは、複数の商品をまとめて入れた段ボールなどに付ける、通常14桁のコードです。このコードをバーコードにして外箱にドンと印刷したものをITFシンボルと呼びます。スーパーの裏口で店員さんが運ぶ段ボールの側面にある、太い枠線に囲まれた大きなバーコードがそれです。
ITFは Interleaved Two of Five の略で、5本のバーのうち2本が太い、という意味です。周りを囲む太い枠はベアラバーといい、段ボールのように印刷の精度を出しにくい素材でも、読み取りミスを減らすために必ず付けます。
中身の商品にはJANコードがあるのに、外箱専用のバーコードがなぜ必要なんですか。
段ボールに缶コーヒーが24本入っているとします。外箱にコードがなければ、倉庫の作業員は箱を開けて中の缶のバーコードを読み、「A社のコーヒーが24本だな」と確かめるしかありません。毎日何万箱もそれをやったら、物流が止まってしまいます。
ITFなら、箱を開けずに外箱のバーコードを読むだけで中身が分かるわけですね。
そうです。何の商品がいくつ入っているかを一瞬で把握できるので、仕分けやピッキングが速くなる。これが最大のメリットです。
次に、14桁の中身です。構成は論理的で、先頭の1桁がインジケータ、続く12桁が中に入っている商品のJANコードの先頭12桁、最後の1桁がチェックデジットです。
ここで気になるのが、JANコードのチェックデジットをなぜ外すのか、という点です。チェックデジットは、数字の並び全体から決まった計算式で求める検算用の1桁です。先頭にインジケータを足して数字の並びが変われば、元のチェックデジットは意味をなしません。だから外して、14桁全体であらためて計算し直した1桁を最後に置くのです。
インジケータは、荷姿や入数の違い、販売促進の単位などを区別する数字です。インジケータの数字そのものが何個入りかを表すわけではなく、1から順に割り当てて区別します(動画は「1桁目を見るだけで、6個入りの小さいパッケージか、24個入りの大箱かが分かる」というイメージで話しています)。
補足:インジケータと、14桁にそろえるだけの「0」
- インジケータに使うのは1〜8です(GS1 Japanの資料)。同じ商品で荷姿が違う場合、内箱と外箱の区別、通常品と販促品の区別などに、集合包装の識別が必要になるたび1から順に使います。9は計量商品用で、一般の集合包装には使いません。
- JANコードの前に「0」を付けて14桁にしてITFシンボルで表示することもありますが、この0はインジケータではなく、集合包装用商品コードでもありません。
RFID:電波で非接触、しかも一括読み取り
次はバーコードをさらに進化させたRFIDです。電波を使って、ICタグ(RFIDタグ)のデータを非接触で読み書きするシステムのことです。身近なところでは、交通系の電子マネーなどにも使われている技術です。アパレルショップのセルフレジで、かごに服を何着も入れたまま指定の場所に置くだけで、「Tシャツ2枚、デニム1本、合計いくらです」と表示される、あの体験がRFIDの力を物語っています。
| 比べる点 | バーコード | RFID |
|---|---|---|
| 読み取り | 光で読む 1つずつ向きをそろえる | 電波で読む 非接触・一括 |
| 情報の更新 | 印刷したら変えられない | 書き換え・追記ができる |
| コスト | 安い | タグ1枚が10円前後 |
| 弱点 | 汚れ・向き | 金属(水も) |
最大のメリットは、何といっても一括読み取りができることです。商品が重なっていても、電波が届けば瞬時にすべてのタグを認識します。タグには情報の書き換えや追記ができるので、物流で履歴をたどる(トレース)用途にも向きます。タグ自体も小さくて軽く、1枚10円前後まで安くなってきたため、商品1つ1つに付けることが現実的になりました。数メートル先からでも、金属の障害物さえなければ読み取れる、とも動画は言います。
補足:動画の言い方を正す点
- RFIDは Radio Frequency Identification の略です。動画の自動字幕は「アイデンティファイアー」と聞こえますが、一般にはIdentification(識別)と表記します。
- 弱点は金属だけでなく水も(GS1 Japanの資料では「水と金属に弱い傾向」)。周波数帯では、UHF帯(880〜960MHz)は水の影響を大きく受け、HF帯(13.56MHz)は比較的受けにくいとされます。
- タグの単価は、経済産業省の委託調査で国内のUHF帯パッシブタグが2019〜2021年に10円前後で横ばいとされています。動画の「10数円」は近い水準ですが、価格は時期や仕様で変わるので、数字は目安として覚えてください。
遠くから大量に読めるなら、A社とB社のトラックが隣り合って荷下ろしをしているとき、お互いのリーダーが相手の会社のタグまで読んでしまいませんか。
鋭い指摘です。まさにそれを防ぐために必要なのが、コード体系の標準化です。他社の商品を読んでも、「これは自社ではなくB社の製品コードだ」とシステムが正確に判別できるようにしておく。この標準化への要請が高まっています。
みんながバラバラの言葉を話すのではなく、共通の言語を決めておく、ということですね。
そのとおりです。標準化されたICタグを使って初めて、効率的で信頼性の高いトレーサビリティが可能になります。
トレーサビリティ:個別管理とロット管理
トレーサビリティは、追跡(トレース)と、できること(アビリティ)を合わせた言葉です。動画では、製品の生産・加工・流通の各段階で、原材料や製造元、販売先などの記録を保管し、情報をたどれるようにする仕組み、と説明します。不具合があったとき、いつ、どこで、誰が作って、どこへ運ばれたのかをさかのぼれるようにするわけです。
(補足:JIS Q 9000:2015(ISO 9000:2015と同内容)は、トレーサビリティを「対象の履歴、適用又は所在を追跡できること」と定義しています。)
情報の管理方法は大きく2つで、試験でもこの比較がよく問われると動画は言います。
| 比べる点 | 個別管理 | ロット管理 |
|---|---|---|
| 単位 | 1個ずつに シリアル番号 | 同じ条件の まとまりに識別記号 |
| 強み | 問題の製品を ピンポイントで特定 | コストを抑えて 追跡できる |
| 弱み | 数万〜数百万個に 番号を振る手間と費用 | 特定はまとまり の範囲まで |
| たとえ | 1人1人に名前 | 3年B組という クラス名 |
個別管理は、同じ種類の製品でも「これは1番、これは2番」と完全に別物として扱います。精度は高いものの、コストも手間も膨大になりがちです。そこで出てくるのがロット管理で、同じ工場・同じラインなど、同一条件で作った製品を1つのロットにまとめ、ロットごとに識別記号を付けます。個別管理よりずっと安くトレーサビリティを実現できる、コストと精度のバランス型です。
(補足:農林水産省の資料では、ロットを「ほぼ同一の条件下において生産・加工または包装された原料・半製品・製品のまとまり」と説明しています。ロットを小さくすると精度は上がりますが、分別管理や記録の手間が増えるので、費用対効果で決めます。)
試験の落とし穴:追跡できる仕組み ≠ 品質をよくする仕組み
トレーサビリティがあれば、安全性に問題が出たときの原因究明や、問題の製品の回収が簡単になります。ここまでは事実です。ところが試験では「トレーサビリティの導入によって、製造工程での品質管理を直接的に行うことができる」といった選択肢が出ることがあり、これは誤りです。トレーサビリティは辿ったルートの記録と追跡の仕組みであって、不良品を作らないための直接のコントロール(品質管理)ではありません。
レストランの厨房に防犯カメラをつけるようなものですか。
いい例えです。食中毒が起きたとき、どの食材が傷んでいたか、誰が調理したかは、カメラで後から確認できます。でも、カメラをつけたからシェフの腕が上がるわけでも、味がおいしくなるわけでもありません。カメラの役割と腕前は、別の話です。
GLN:企業や場所を識別するコード
ここから後半です。まずGLN(グローバルロケーションナンバー)。GS1という機関が定めた、企業や事業所などを識別する国際的なコードで、EDI(企業間の電子データ交換)にも使われます。構成は、先頭がGS1事業者コード、次が場所を表すロケーションコード、最後がチェックデジットで、合計13桁です。企業や場所を特定するのがGLN、商品を特定するのがGTIN、と分けて覚えましょう。
GTIN:どんな長さも14桁にそろえる
GTIN(グローバルトレードアイテムナンバー)は、国際標準の商品識別コードの総称です。動画が強調する最大のルールは「GTINは14桁で表す」ということです。ここで聞き手が混乱します。日本の一般的なJANコードは13桁、小さな商品の短縮版は8桁、アメリカのUPCは12桁ではなかったか、と。
世の中にすでに普及しているコードを壊さず、データベース上で統一するために、足りない桁は先頭に0を足して14桁にそろえるルールを作った、というのが答えです。13桁のJANなら0を1個、12桁のUPCなら2個、8桁の短縮版なら6個足します。もともと14桁の集合包装用商品コードは、何も足しません。
補足:「全部14桁」は、そろえて扱うときの話
GTINそのものには8桁・12桁・13桁・14桁があります。14桁にそろえるのは、EDI(流通BMSなど)やGS1-128のAI(01)のように、データとして扱うときです。「GTINは全て14桁」と丸暗記するより、「どんな長さでも先頭の0で14桁の枠にそろえて扱う」と覚えると、正誤問題で迷いません。
GS1-128とAI(アプリケーション識別子)
GTINは「何の商品か」を表します。しかし実際の物流や商取引では、重量や賞味期限といった詳しい情報もバーコードに入れたい。それを実現するのがGS1-128です。数字だけのJANやITFと違い、アルファベットや記号も表せます。
そこで活躍するのがAI(アプリケーション識別子)です。AIは人工知能ではなく、これから続くのがどんな情報かを示す、2桁から4桁の識別番号です。データの先頭に特定のAIがあれば、システムは「ここから先は重量だな」「ここから先は賞味期限だな」と判別できます。ここから先はこのデータですよ、という案内の看板の役割です。
AIはバーコードでもRFIDでも共通のデータ表現に使えるように規格化されていて、現在は120種類以上の項目が決められています。GS1が定めた国際基準なので、海外との取引でもそのまま使えます。言葉が通じなくても、AIの番号を見れば世界中のシステムが「賞味期限が近い」と認識できる、という強みです。
補足:「ASCII128文字がすべて使える」ではない
動画は「コード128は、ASCIIの128文字をすべてコード化できる」と説明します。シンボルの規格(コード128)としてはそのとおりですが、GS1の規則でAIのデータに使える文字は、数字のほか定められた英数記号に限られます。漢字・かなは使えず、スペースや「@」も使えません。英数記号が使えるAIでも、長さが決まっています(ロット番号のAI(10)は英数記号20桁以内)。
EPCとSGTIN:バーコードとRFIDの橋渡し
最後の用語です。EPCは、GS1識別コードをRFIDで使うための形式(フォーマット)で、先ほどのGTINなどの標準コードが基礎になっています。だから既存のバーコードシステムとの整合性を確保しながら、電子タグのシステムを作れます。印刷されたバーコードの世界と、電波を使うRFIDの世界をつなぐ橋渡し役、というイメージです。
EPCの一例がSGTINです。Sはシリアル番号(連続番号)で、商品識別コードのGTINにシリアル番号を付け加えたものがSGTINです。
GTINだけだと、A社のコーラ500mlのペットボトル、という種類までしか分かりませんよね。シリアル番号が付くということは、さっきの個別管理のトレーサビリティにつながるんですね。
そのとおりです。GTINが同じ、つまり全く同じ種類の商品でも、SGTINなら1つずつ個別に識別できます。
同じMサイズの青いTシャツが2枚あっても、1着目と2着目を完全に区別できる。どちらか1着だけに製造上の欠陥があっても、ピンポイントで追跡できるわけですね。
ええ、点と点が線でつながりました。技術の進化とそれを支えるルールの組み合わせが、現代の流通を支えています。
まとめ
この講義の要点
- 集合包装用商品コード(GTIN-14):段ボールなどに付ける14桁。インジケータ1桁+JANの先頭12桁+再計算したチェックデジット1桁。バーコードの形がITFシンボルで、箱を開けずに中身が分かる。
- RFID:電波で非接触に読み書き。一括読み取り・書き換えができ、タグも安くなった。標準化が前提で、金属(と水)が弱点。
- トレーサビリティ:生産から流通までを追跡する仕組み。個別管理(精度高・コスト大)とロット管理(コスト小)。品質管理そのものではない。
- GLN:企業・場所を識別する13桁。GTIN:どんな長さも先頭の0で14桁にそろえる。
- GS1-128とAI:AIは2〜4桁の“看板”で、重量・期限などを表す。120種類以上。
- EPCとSGTIN:GTIN+シリアル番号で、商品1つ1つを識別でき、個別管理につながる。
動画は、桁数や略語を暗記に走らず、「なぜその桁数になったのか」「現場でどう役立つのか」という背景から覚えてほしい、と呼びかけます。迷ったとき、その背景がきっと正解に導いてくれます。
考えてみよう:すべてのモノがSGTINを持ったら?
動画は最後に、思考を深める問いを投げかけます。次にスーパーやコンビニで品出しの段ボールのバーコードを見たとき、あるいはセルフレジにRFIDタグ付きの商品を置いたとき、その裏で、どんな14桁の数字やシリアル番号が世界中の物流システムと会話しているのか。もし世界中のすべてのモノがSGTINを持ち、いつも自分の位置や履歴を発信するようになったら、私たちの買い物や生活はどう変わるでしょうか。

