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中小企業診断士 1次試験

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商品回転率・人時生産性

運営管理 第3回

運営管理・流通・小売 00312分8秒2026年3月8日公開

「商品回転率、店舗管理関連の指標、在庫管理関連の指標。いずれもビジネスの現場では絶対に避けて通れない、いわば企業の健康診断の数値のようなもの」。動画はこんな紹介から始まります。このページでは動画の流れにそって、商品回転率の3つの式と回転率を上げる施策の光と影、人時生産性、品切れ率・サービス率・納期遵守率をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

3つの指標は「企業の健康診断の数値」

動画のテーマは、商品回転率、店舗管理関連の指標、在庫管理関連の指標の3つです。講師はこれらを「企業の健康診断の数値のようなもの」にたとえます。数字の裏には、いかに効率よく利益を生み、いかにお客さんの期待に応えるかという駆け引きが隠れている、という見方です。

  • 商品回転率:商品がどれだけ速く動いているか(資金が眠っていないか)。
  • 人時生産性:店舗の人が、1時間でどれだけ粗利益を稼いだか。
  • 品切れ率・サービス率・納期遵守率:お客さんをがっかりさせていないか。

商品回転率:棚の商品が何回入れ替わったか

商品回転率は、ある期間に商品がどれだけ動いたか(在庫が何回転したか)を表す指標です。数字が大きいほど、棚の商品がスピーディにお客さんの手に渡っています。商品が棚に止まっているのは「資金が眠っている」のと同じなので、速さを正確に測る必要があるのです。

計算の仕方は、分子と分母に何を使うかで3種類あります。

売価法売上高平均在庫高(売価)= 回数原価法売上原価平均在庫高(原価)= 回数数量法販売数量平均在庫数量(個数)= 回数分子と分母は同じものさしで揃える
回転率の式は3種類。どれを使うにしても、分子と分母の基準を揃えます。
方法分子分母
売価法売上高平均在庫高(売価)
原価法売上原価平均在庫高(原価)
数量法販売数量平均在庫数量

(補足:動画は原価法の分子を「売上高」と言っているように聞こえますが、原価法は売上原価を使います。上の表は売上原価で示しました。)

講師が「最大の鉄則」と呼ぶのが、分子と分母の基準を揃えることです。売価には売価、原価には原価、数量には数量。聞き手は、ここを間違えるとどうなるかを、こんなふうにたとえます。

売上高、つまり売価を分子にしているのに、分母を数量にしてしまうようなものですよね。りんごの重さをみかんの数で比べるみたいに。

まさにその通りです。手元にあるデータを適当に組み合わせて、実態と違う数字が出てしまう。現場でも意外とやってしまうミスなんですよ。

ちなみに、一番使われているのはどれなんですか。

売価法が最も一般的です。レジの売上データと連携しやすくて、直感的につかみやすいからです。

では、数字で確かめてみましょう(動画に数値例はありません。理解のために補いました)。年間売上高が1,200万円、期首の在庫が180万円、期末の在庫が220万円(いずれも売価)とします。平均在庫高は(180+220)÷2=200万円なので、売価法の回転率は1,200÷200=6回です。

同じ店で原価率が75%なら、売上原価は900万円、平均在庫高(原価)は200×0.75=150万円です。原価法でも900÷150=6回で、同じ値になります。数量法も、販売数量12,000個、平均在庫2,000個なら6回です。

ところが、売価の売上高1,200万円を原価の在庫150万円で割ると8回になってしまいます。基準が揃っていないため、実際より回転が速いように見える、という誤りです。

(補足:動画にない話です。回転率の式は、資料によって少しずつ違います。辞書や大学の資料では、売上原価を平均在庫高で割るのが本来の形とされ、売上高を分子にするのは、外部の人は売上原価が分かりにくいため、とされています。平成10年度版の中小企業庁の経営指標では、純売上高を材料・商品・貯蔵品の合計で割る形です(現行の算出方法かは未確認)。平均在庫の求め方にも注意が必要とされます。試験では問題文の指示にしたがい、分子・分母の基準を揃えることを最優先にしてください。)

(補足:回転率の逆数が商品回転期間です。回転率6回なら、365÷6≒61日、つまり在庫を約2か月分抱えている計算になります。)

回転率を上げる3つの施策と、光と影

回転率を高めるには、適切な販売計画の策定、売れ筋商品への絞り込み、売れ行きに応じたこまめな発注の3つが挙げられます。必要な分だけ、細かく発注する。式でいえば、分母の在庫をできるだけ小さく保ちながら、分子の売上を作っていく行動です。

販売計画の策定売れ筋への絞り込みこまめな発注在庫を少なく保ち、回転率を上げる光:メリット破損・劣化・陳腐化を防ぐ在庫管理コストが減る資金繰りが良くなる影:デメリット発注費用が増える仕入単価が上がりやすい品切れ・機会損失の恐れ
回転率を上げる施策には、光と影の両面があります。

光の面では、商品の破損・劣化・陳腐化を防げます。広い倉庫が要らなくなるので在庫管理コストも減り、何より資金繰り(キャッシュフロー)が良くなります。仕入れた商品がすぐ現金に変わり、次の一手を打ちやすくなります。

影の面は3つあります。まず、こまめな発注は発注回数を増やすので、配送コストや受け入れの人件費などの発注費用が増加します。次に、1回の量が小口になるため、大量仕入れの割引が効かず仕入単価が高くなりやすいこと。そして一番やっかいなのが、ぎりぎりの在庫で回すために品切れや機会損失のリスクが高まることです。

テレビで紹介されて急に売れ出したときに、棚が空っぽだと、お客さんは次から来なくなるかもしれませんね。

そうなんです。だから回転率は、ただ在庫を減らせばいいという話ではありません。全体のバランスを見てコントロールするのが、マネージャーの腕の見せどころです。

試験の注目点

  • 回転率は高いほど在庫効率がよい。ただし、品切れのリスクや発注費用の増加とのバランスで考える。
  • 式は、分子と分母の基準(売価・原価・数量)を揃える。

(補足:動画にない話です。商品の効率を粗利益率×商品回転率で測る交差比率という指標もあります。たとえば粗利益率30%・回転率6回なら180%です。粗利益率40%・回転率3回の商品は120%、粗利益率20%・回転率8回の商品は160%で、一見利幅の小さい商品のほうが、効率はよいと分かります。売価ベースで計算する解説が見られますが、解説により定義は異なります。)

人時生産性:1人が1時間で稼いだ粗利益

オペレーションを実際に回しているのは現場のスタッフです。そこで出てくるのが、店舗管理の要となる指標人時生産性(読みは「にんじせいさんせい」)です。従業員1人が1時間あたりにどれだけの粗利益を生み出したかを示します。

人時生産性(円/人時)粗利益総労働時間例:粗利益360万円 ÷ 総労働時間1,080時間= 約3,333円(1人が1時間で稼ぐ粗利益)※社員3人×160時間+パート6人×100時間人時売上高(補足)売上高 ÷ 総労働時間営業利益・付加価値分子に使う場合もある
分子は売上高ではなく、粗利益。ここが人時生産性のポイントです。

式はとてもシンプルで、粗利益 ÷ 総労働時間です。数値例で見ましょう(これも補足です)。月の売上が1,200万円、粗利益率が30%なら粗利益は360万円。社員3人が各160時間、パート6人が各100時間働くと、総労働時間は480+600=1,080時間です。人時生産性は360万円÷1,080時間で約3,333円になります。

ポイントは、売上高ではなく粗利益で見ることです。スタッフが走り回ってたくさん売っても、それが赤字覚悟の大幅値引きなら、お店に利益は残りません。先ほどの小口発注で仕入単価が上がり、原価が膨らんでいる場合も同じです。たとえば売上を1,300万円に増やしても、値引きで粗利益が330万円に下がれば、人時生産性は330万円÷1,080時間で約3,056円。忙しくなったのに、効率は下がっています。

人時生産性は、数値が高いほど経営効率がよいと判断します。分子の粗利益を増やすか、分母の労働時間を減らすか。従業員の働きやすさと、企業の稼ぐ力を結びつける数字です。なお動画によれば、実務では分析の目的に応じて、粗利益の代わりに営業利益や付加価値を使うこともあります。

(補足:資料により、分子や名前が違います。売上高を総労働時間で割ると人時売上高という別の指標になります。また、資料によっては分子を付加価値額とするものもあります。問題文で、どの分子を使うか確認してください。)

在庫関連指標:お客さんを裏切らない3つの数字

効率を追うあまり、一番大事なお客さんを見失ってはいけません。顧客の信頼を数値にする在庫関連の指標が3つあります。

受注500件のうち、品切れが10件だったときサービス率 98%品切れ率 2%品切れ率(欠品率)品切れ件数 ÷ 総受注件数 × 100サービス率100 - 品切れ率納期遵守率納期遵守件数 ÷ 総注文件数 × 100
品切れ率とサービス率は、同じことを裏と表から見た数字です。

1つ目は品切れ率(欠品率ともいいます)で、需要に対して商品を供給できなかった割合です。品切れ件数 ÷ 総受注件数 × 100(%)で表します。回転率を上げるデメリットで出てきた機会損失が、数字として表れたものです。

2つ目はサービス率で、品切れ率と裏表の関係にあります。100 - 品切れ率で、お客さんの要望に応えられた割合を示します。品切れ率が2%なら、サービス率は98%です。企業は、このサービス率をいかに100%に近づけるかという命題と戦っています。

3つ目は納期遵守率です。納期遵守件数 ÷ 総注文件数 × 100で、約束した期日通りに商品を届けられた割合を表します。ものがあるだけではだめで、約束の時間に届けるのが当たり前の品質として求められる今、企業への信頼度を測るバロメーターになります。たとえば注文500件のうち485件が期日通りなら、485÷500×100=97%です。

(補足:大学の資料では、サービス率は「顧客の注文に対して品切れを起こさずに対応できる比率」、欠品率は「品切れで納品できなかった比率」で、サービス率=1-欠品率とされます。ただし欠品率の測り方は、需要がある量以上になる確率で見る場合と、欠品となった需要量の比率で見る場合など、資料により異なります。納期遵守率の分母も、総注文件数か総納品件数かなど、資料によって違うため、公的な定義は確認できていません。問題文の定義にしたがってください。)

ネット通販で「明日届く」と書いてあったのに届かなかったら、次からそこでは買わなくなっちゃいますよね。

そうです。お客さんの信頼を失うのは一瞬ですからね。

まとめ:数字のレンズで日常を見てみよう

動画は最後に、1つの問いかけで終わります。スーパーやコンビニで棚を観察して、商品がぎっしり並んでいるか、少なめに保たれているかを見てみてください、というものです。品切れを防いでサービス率を高めることを優先しているのか、在庫を絞って回転率を高める戦略なのか。品出しの回数を減らして人時生産性を上げようとしているのかもしれません。

この回のまとめ

  • 商品回転率は売価法・原価法・数量法の3種類。分子と分母の基準を揃える(動画は売価法が最も一般的と説明)。
  • 回転率を上げる施策は、販売計画の策定・売れ筋への絞り込み・こまめな発注。メリットは劣化防止・コスト削減・資金繰りの改善。デメリットは発注費用の増加・仕入単価の上昇・品切れリスク。
  • 人時生産性=粗利益 ÷ 総労働時間。売上高ではなく粗利益で見る。高いほど経営効率がよい。
  • 品切れ率=品切れ件数 ÷ 総受注件数 × 100。サービス率=100 - 品切れ率。納期遵守率=納期遵守件数 ÷ 総注文件数 × 100。

どの指標も、単独で見るのではなく、つながりで見るのが大切です。回転率を上げると品切れ率が悪化しうる。値引きで売上を伸ばしても、人時生産性は下がりうる。どこを犠牲にして、どこで利益を出そうとしているのか。完璧を求めず、複数の指標の間でベストなバランスを探すのが経営だ、というのが動画のメッセージです。

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