専有部分と共用部分|区分所有法の基本5用語
「同じ“家”でも、マンションと一戸建てでは法律のルールが違う」。動画はこんな話から始まります。1つの建物に何十世帯も暮らすマンションには、専用のルールが必要だからです。このページでは動画の流れにそって、区分所有法の土台になる5つの用語を、シェアハウスのたとえも使いながらまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
3行でいうと
- マンションは1つの建物に何十世帯も住むので、一戸建てにはない特別なルール(区分所有法)があります。
- 土台になるのは、専有部分・共用部分・敷地利用権・区分所有者・管理組合の5つの用語です。
- 共用部分には「法定」と「規約」の2種類があり、登記の扱いが正反対。ここが試験の定番です。
なぜマンションには特別なルールがあるの?
一戸建てなら、家も土地も自分だけのもの。でもマンションでは、1つの建物の中で、隣にも上の階にも他人が暮らしています。廊下やエレベーターはみんなで使い、土地もみんなで使います。
そこで、一戸建てでは考えなくてよいことを決めた法律が建物の区分所有等に関する法律、通称区分所有法です。まずは、この法律の土台になる5つの用語を1つずつ押さえましょう。
① 専有部分:自分だけの部屋
マンションを買うとき、建物1棟をまるごと買う人はまずいません。「305号室」のように、建物の一部分を区切って所有するのがふつうです。この区切って所有する部分を専有部分、専有部分を所有する権利を区分所有権といいます。マンションの一室を買うとは、法律的には区分所有権を手に入れることです。
専有部分になるための2つの条件
- 構造上の独立性:隣や上下の部屋との境が、壁・床・天井などでしっかり区切られていること
- 利用上の独立性:独立した出入口があり、そこから外へ出入りできること(玄関を出て、共用の廊下を通って外に出られる形でもかまいません)
2つが両方そろって、はじめて区分所有権の対象になります。片方だけでは専有部分になりません。
たとえば
シェアハウスを思い浮かべてください。鍵のかかる個室は、壁で区切られていて、廊下に出る自分専用のドアもあります。これが専有部分のイメージです。一方、みんなで使うリビングやキッチンは、次に出てくる共用部分のイメージです。
② 共用部分:みんなで使うところ
エレベーターホールや廊下のように、住んでいる人が共同で使う部分が共用部分です。法律上は「専有部分以外の建物の部分」などと定められていて、専有部分でなければ共用部分、という関係になっています。共用部分には2種類あります。
法定共用部分
エントランス・廊下・階段、建物の基礎のように、構造上、そもそも独立した部屋になり得ない部分です。もともと区分所有権の対象にならないので、「ここは共用部分です」という登記をする必要がなく、登記することもできません。
規約共用部分
集会室や管理人室のように、本来は独立した部屋にできるのに、建物のルールブックである規約によって、あえて共用部分にした部分です。見た目はふつうの部屋なので、登記しなければ、共用部分であることを第三者に対抗(主張)できません。
法定共用部分は登記できないのに、規約共用部分は登記しないと主張できない。似ているのに真逆なんですね。
廊下は誰が見ても共用なので、登記の出番がありません。でも集会室は見た目がふつうの部屋ですよね。登記がないと、買いに来た人が「売り物の部屋」と勘違いしかねないんです。
当たり前すぎるか、見た目でわからないか、の違いなんですね。
一部の人だけが使う「一部共用部分」
下の階が店舗、上の階が住宅という複合型のマンションで、住宅の人だけが使うエントランスのように、一部の区分所有者だけが使うことが明らかな共用部分もあります。これを一部共用部分といいます。一部共用部分は、それを使う区分所有者だけの共有になり、管理もその人たちで行うのが原則です(全員の利害にかかわることなどは、全員で行います)。住宅専用エントランスの掃除代や電球代を、下の階のお店の人が原則として負担しなくてよいのは、このためです。
③ 敷地利用権:足もとの土地の権利
マンションを建てるには土地が必要です。専有部分を持つための、建物の敷地についての権利を敷地利用権といいます。
ポイントは、敷地利用権は所有権のこともあれば、借地権のこともあるということ。土地は借りていて、建物だけを区分所有しているマンションも実際にあります。「マンションなら土地はみんなの共有」と思い込まないように注意しましょう。
④ 区分所有者:部屋の持ち主
区分所有権を持っている人、つまり専有部分を所有する人が区分所有者です。シンプルですが、ここまでの用語が全部この言葉でつながります。
⑤ 管理組合:自動的に入る団体
区分所有者は全員で、建物や敷地を管理するための団体をつくります。一般に管理組合とよばれるもので、法律上当然にできあがります。
「当然に」ということは、加入の申込みをしなくても入っているんですか?
そうです。部屋を買った瞬間に組合員になり、売れば自動的に組合員ではなくなります。
じゃあ、持ち主のまま「管理組合には入りたくないので抜けます」は…
できません。町内会に少し似ていますが、区分所有者である限り必ず入っていて、抜けられないという強い仕組みなんです。
5つの用語のつながり
専有部分を持っている人が区分所有者。区分所有者たちは、足もとの土地について敷地利用権を持ちながら、共用部分をいっしょに使い、全員で管理組合をつくっています。これが区分所有法の基本の形です。
試験ではここに注目
- 専有部分は「構造上の独立性」と「利用上の独立性」の両方が必要(片方が欠けるひっかけに注意)
- 法定共用部分は、共用部分である旨の登記ができない
- 規約共用部分は、登記しないと第三者に対抗できない
- 敷地利用権は所有権に限らず、借地権のこともある
- 区分所有者は当然に管理組合の構成員になり、自分の意思で抜けることはできない
区分所有法は2026年4月1日に大きな改正が施行されました(令和8年度試験の出題対象)。ただし、この回で扱った定め(5つの用語の1条〜4条と、一部共用部分の11条・16条)は、改正の前後で変わっていません。

