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宅地建物取引士試験

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定期借地権|3種類の違いを期間・用途・書面で比べると?

借地借家法 01311分47秒2026年8月24日公開

「突然ですが、人に貸した土地っていつかは確実に帰ってくると思いますか?」動画はこんな問いから始まります。ふつうの借地権は更新されやすいので、実は返ってこないことも。そこで生まれた、更新のない3つの借地権を比べます。このページでは動画の流れにそって、3つの期間・用途・書面の違いをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

3行でいうと

  • 借地権は、期間が終わっても更新されやすい権利です。でも、貸す側は期間が来たら確実に土地を返してほしい。そこで用意されたのが、更新のない借地権です。
  • 更新のない借地権は3つ。一般定期借地権(50年以上)、事業用定期借地権(10年以上50年未満で、専ら事業用)、建物譲渡特約付借地権(設定後30年以上たった日に建物を譲渡)です。
  • 3つの違いは「期間・用途・契約の形式」。とくに契約の形式は、書面等・公正証書・不要と3段階に分かれます。

貸した土地は、期間が来れば必ず戻ってくる?

動画は「人に貸した土地って、いつかは確実に帰ってくると思いますか?」という問いから始まります。ふつうは「期間が終わったら返ってくるでしょ」と考えますよね。ところが借地の世界では、そこがちょっと違います。

土地を借りて建物を建てている人(借地権者)にとって、その建物は生活や商売の場です。そこで借地借家法は、借地権者を守るために、期間が終わっても契約が更新されやすいしくみにしています。貸す側(借地権設定者)が更新を断るには、正当の事由が必要です。借りる側には心強いのですが、貸す側から見ると「いつ返ってくるかわからないなら、そもそも貸すのをためらってしまう」というのも、もっともな話です。

そこで、期間が来たら確実に契約を終わらせたい貸主のために、更新のない借地権が設けられました。

たとえば

図書館で借りた本には、はじめから返却日が決まっていますよね。更新のない借地権も、それと同じで、はじめから終わりの日を折り込んでおくイメージです。一方、ふつうの借地権は、期間が来てもそのまま借り続けやすい「延長できる貸し借り」です。

更新のない借地権は全部で3つあります。ただし並び方に注意してください。定期借地権と呼ばれるのは前の2つ(一般定期借地権と事業用定期借地権)で、3つ目の建物譲渡特約付借地権は別の制度です。今回のテーマが「定期借地権等」となっているのは、この3つ目もいっしょに比べるからです(法律の章の名前も「定期借地権等」です。教材によっては3つをまとめて「定期借地権」と呼ぶこともあるので、ここでは動画の分け方にそろえています)。

借地権(土地を借りて建物を建てる権利)ふつうの借地権更新されやすい更新のない借地権終わりが決まっている定期借地権(名前に「定期」がつく2つ)一般定期借地権22条事業用定期借地権23条+ 定期借地権とは別の制度(3つ目)建物譲渡特約付借地権24条
更新のない借地権は3つ。ただし「定期借地権」と呼ぶのは前の2つで、3つ目は別の制度です。

3つ目は定期借地権の仲間ではないんですね。なのに同じ回で習うのはどうしてですか?

「期間が終わったら更新されずに終わる」という結論が、3つに共通しているからです。だからまとめて、期間・用途・書面という同じ物差しで比べていきます。

① 一般定期借地権:期間は50年以上

1つ目は、条文の見出しでは単に「定期借地権」(借地借家法22条)とされているものです。動画では「長期の定期借地権」と呼ばれています。このページでは、あとで事業用と区別しやすいように一般定期借地権とよびます。

存続期間を50年以上として借地権を設定するとき、次の3つを特約で定められます。

  • 契約の更新がない(更新の請求や、土地の使用の継続による更新も含みます)
  • 建物を建て直しても、存続期間が延びない
  • 期間が終わるときに、建物を時価で買い取るよう請求する建物買取請求権を使わない

建物買取請求権って、なんですか?

借地契約が終わるとき、土地に建てた建物を貸主に時価で買い取ってほしいと請求できる、借りる側の権利です。ふつうの借地権にはあるのですが、一般定期借地権ではこの権利を使わないと決めておけます。

更新もなし、建て直しによる延長もなし、買取りもなし。3つがそろうと、期間が来たら本当に終わるんですね。

それにしても50年は長いですよね。いま20代の人なら、土地が戻ってくるのは70代になってから。契約したときの自分と、終わるときの自分が別人みたい、という時間感覚です。

契約の形式:書面または電子データ

この特約は、書面(公正証書による等)でしなければなりません。書面の代わりに電磁的記録(電子データのこと)で残してもかまいません(22条2項)。口約束ではダメ、という点が大事です。

用途は問わない

一般定期借地権のもう1つの特徴は、用途を限定していないことです。お店などの事業用でも、住むための建物でもかまいません。ここから、試験でよくねらわれるひっかけが出てきます。

つまり、事業用の建物でも、期間を50年以上にすれば公正証書でなくてよいんですか?

そのとおりです。公正証書は、公証役場で公証人に作ってもらう文書で、ふつうの契約書より重い手続きです。「事業用」という言葉につられて公正証書と答えてしまう人が多いのですが、50年以上なら、書面(電子データも可)で足ります。

事業用と聞くと、つい厳しいほうを選びたくなります。

② 事業用定期借地権:専ら事業用で、10年以上50年未満

2つ目は、対象が明確に絞られています。専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く)の所有を目的とする場合です(23条)。「専ら」は「そのためだけに」という意味なので、事業のためだけに使う建物、たとえば店舗・工場・事務所などです。住まいのための建物は対象外です。

期間は10年以上50年未満。さきほどの「50年以上」とちょうど分かれるのがポイントで、50年を境に、50年以上が一般定期借地権、50年未満が事業用定期借地権という分かれ方になっています。

事業用:10年以上50年未満一般:50年以上建物譲渡特約付30年以上たった日に建物を譲渡10年30年50年ちょうど50年は「一般」に入る
50年を境に、左が事業用、右が一般。ちょうど50年は「一般」のほうです。

ちょうど50年で設定したら、どちらに入るんですか?

「50年以上」は50年ちょうどを含むので、一般定期借地権です。「10年以上50年未満」の「未満」は50年を含みません。専ら事業用の建物でも、49年なら事業用定期借地権ですが、50年にした瞬間に範囲から外れます。

1年の違いで扱いが変わるんですね。気をつけます。

この場合も、更新はなく、建物買取請求権もありません。条文をもう少し細かく見ると、期間が30年以上50年未満のときは、一般定期借地権と同じように、更新や建物買取りなどをしない旨を特約で定める形(23条1項)。10年以上30年未満のときは、更新や建物買取請求権などの規定が最初から適用されません(23条2項)。動画では、この2つをまとめて「法定更新や建物買取請求権等の規定は適用されない」と説明しています。

ここが違う:契約は公正証書

そして3つの中で決定的に違うのが契約の形式です。事業用定期借地権の設定契約は、必ず公正証書によってしなければなりません(23条3項)。書面ならOK、ではなく、公正証書でなければならない。ここが3つの中でいちばんきびしい形です。理由をあれこれ考えるより、「事業用といえば公正証書」と結びつけて覚えてしまうのがコツです。

③ 建物譲渡特約付借地権:建物を買い上げて終わる

3つ目は名前のとおり、建物を譲渡する特約がついた借地権です(24条)。借地権を消滅させるため、設定後30年以上を経過した日に、土地の上の建物を借地権設定者(貸主)に相当の対価で譲渡すると定めることができます。

建物を譲渡するというのは、貸主にあげてしまうんですか?

あげるのではなく、相当の対価で譲るんです。当然に渡すのではなく、それに見合ったお金を払って譲り受けます。借りている側が建てた建物を、貸している側が買い上げる形で、借地の関係を終わらせるのがこの制度の特徴です。

「30年以上を経過した日」というのは、いつなんでしょう。

設定してすぐではなく、30年以上たった先の日を決めておくわけです。ちょうど30年の日でも、35年後の日でもかまいません。

この制度は、期間や用途に特別な制限はありません。契約の形式も、書面等による必要はありません。3つの中で唯一、書面が要らないのがこの3つ目です。

なお、借地権が建物譲渡で消えたあとも、元の借地権者や建物の賃借人がそのまま建物を使い続けている場合があります。その人が請求すれば、貸主との間で建物の賃貸借がされたものとみなされます。期間は定めのないものが原則です(借地権者が請求し、借地権の残り期間があるときは、その残り期間)。建物の賃料は、当事者の請求により裁判所が決めます(24条2項)。追い出されずに、建物の賃借人として使い続けられる、ということです。

3つを並べて比べてみよう

ここまでの内容を、横並びの表にまとめます。

一般定期借地権事業用定期借地権建物譲渡特約付借地権条文22条23条24条期間50年以上10年以上50年未満30年以上経過後に譲渡用途制限なし専ら事業用居住用は不可制限なし更新なしなしなし建物買取請求をしない買取請求をしない相当の対価で譲渡書面書面または電子データ公正証書が必須書面等は不要
3つとも「更新なし」は共通。違いは期間・用途・建物の扱い・書面です。

共通点は3つとも更新がないこと。違いは期間・用途・建物の扱い・書面の4つです。一般定期借地権と事業用定期借地権は「建物買取請求をしない」ですが、建物譲渡特約付借地権は買取請求ではなく、建物を「譲渡」して終わる点も、言葉の違いとして区別しましょう。

書面のところは「縦に読む」

ゆるいきびしい不要書面等電子データも可公正証書必ず公証役場で建物譲渡特約付24条一般定期借地権22条事業用定期借地権23条
書面のところだけ縦に読む:不要、書面等、公正証書の3段階です。

書面のところだけ縦に読むと覚えやすい気がします。

その読み方はおすすめです。1つ目は書面または電子データ、2つ目は公正証書、3つ目は書面等が不要。全部ちがうんですね。期間の数字も「50年以上」「10年以上50年未満」「30年以上」と、この2つの列(期間と書面)で覚えれば十分です。

まとめ

  • 更新のない借地権は3つ。一般定期借地権(22条)、事業用定期借地権(23条)、建物譲渡特約付借地権(24条)
  • 期間は「50年以上」「10年以上50年未満」「30年以上たった日に建物を譲渡」。用途を絞るのは事業用(専ら事業用)だけ
  • 契約の形式は、一般が書面(電子データも可)、事業用が公正証書、建物譲渡特約付は書面等が不要

試験ではここに注目

  • 一般定期借地権は50年以上(50年ちょうどを含む)で、用途の制限はなし。事業用の建物でも、公正証書は必須ではなく書面(電子データ可)でよい
  • 事業用定期借地権は10年以上50年未満で、専ら事業用(居住用は不可)。契約は公正証書によらなければならない
  • 建物譲渡特約付借地権は、設定後30年以上たった日に建物を相当の対価で譲渡する特約。この特約に書面等は不要
  • 「事業用」という言葉だけで公正証書と決めつけない。50年以上なら書面でよく、10年以上50年未満で専ら事業用なら公正証書
  • 3つとも更新はない。ただし建物買取請求権を「使わない」(一般・事業用)のと、建物を貸主に「譲渡する」(建物譲渡特約付)のは別の話なので、用語を取り違えない
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