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中小企業診断士 2次試験

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1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

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損益分岐点関連公式の使い方

事例Ⅳ 第15回

事例Ⅳ 損益分岐点関連公式。単価か数量かで変わる計算の使い方9分6秒2026年9月11日公開

「今日は事例Ⅳの現状分析で欠かせない、損益分岐点にまつわる一連の公式を、二次の答案でどう使うかという視点で整理していきましょう」。動画はこの言葉から始まります。このページでは、与件文の4つのサイン、基本式、単価か数量かの見極め、現状分析と改善策の書き方、営業レバレッジ、評価の向きの混同を、動画の流れにそってまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

公式は暗記しているのに、手が止まる

事例Ⅳの現状分析で欠かせない、損益分岐点にまつわる一連の公式を、二次の答案でどう使うかという視点で整理していきます。

それ、まさに困っている論点なんです。損益分岐点売上高とか安全余裕率とか、公式そのものは暗記しているのに、与件文を読んでいると、どこでどれを使えばいいのか手が止まってしまうんです。

わかります。計算はできるのに、いつ持ち出せばいいか分からない、というパターンですよね。

はい、まさにそれです。本番で気づけずに終わって、あとで模範解答を見て「あそこで使うやつだった」と悔しい思いをしたことがあります。

講師によると、この論点は事例Ⅳの現状分析でとにかく出番が多いそうです。複数の事業や店舗があって、そのうちどれが収益的に脆弱かを、損益分岐点比率や安全余裕率で評価させる問題が繰り返し出ています。

あー、「A事業とB事業、どちらが危ないか」を数字で言い当てる問題ですね。

そうです。しかも単純な計算だけでなく、販売単価が下落した場合や、販売数量が減少した場合というように費用構造が変わる条件を与えて、損益分岐点売上高がどう動くかを問う応用問題もよく出ます。

その条件が変わるパターン、実は一番怖いんです。公式に数字を当てはめるだけだと思って油断すると、単価と数量の違いで足元をすくわれる気がします。

するどいです。そこが今日の核心の一つです。さらに、計算結果を踏まえて改善策を記述させる問題ともセットになりやすいので、計算と記述の両方に効く論点だと思ってください。

計算問題だけじゃなくて、記述の根拠にも使うんですね。

与件文の4つのサイン

与件文のどこを見たらこの論点を疑えばいいか、という話です。一つ目は、複数の事業部や店舗のうち、特定の事業だけ営業利益がマイナス、あるいは赤字が続いているという記述です。

それ、事例Ⅳの与件文でよく見る言い回しですよね。「一方でC事業は赤字が続いている」みたいな。

まさにそれです。二つ目が、「変動費」「固定費」という言葉そのものや、原価・費用の内訳に関する記述。三つ目が、販売単価の値上げ・値下げ、販売数量の増減など、売上構造の変化に関する記述です。

単価と数量、どちらの話をしているかは、注意して読まないといけなさそうです。

そのとおりです。そして四つ目が、「今後どうすべきか」「収益性を改善するにはどうすればよいか」という助言を求める設問文。この4つのどれかが出たら、損益分岐点の論点を疑ってください。

4パターンあると分かると、逆に見つけやすくなる気がします。

① 特定の事業だけ赤字営業利益がマイナス、赤字が続いている② 変動費・固定費の言葉原価・費用の内訳に関する記述③ 単価・数量の変化値上げ・値下げ、販売数量の増減④ 助言を求める設問文「今後どうすべきか」「収益性を改善するには」損益分岐点の論点を疑うどれか1つでも出たら
与件文の4つのサイン

情報を整理する軸は基本式

見つけた後は、情報を整理する軸が必要です。基本式はここから始まります。利益は、売上高から変動費と固定費を引いたものです。

基本式

利益=売上高×(1-変動費率)-固定費

変動費率というのは、売上高のうちどれくらいが変動費に消えるかの割合ですよね。たとえば変動費率が60%なら、売上100万円のうち60万円が変動費に消える、ということですか。

その理解で合っています。この式から、損益分岐点売上高は、固定費÷(1-変動費率)で求まります。損益分岐点比率は、損益分岐点売上高÷売上高。安全余裕率は、売上高から損益分岐点売上高を引いた差を売上高で割ったものです。

目標利益達成売上高、というのもありましたよね。

はい、(固定費+目標利益)÷(1-変動費率)で求めます。損益分岐点売上高の式に、目標利益を上乗せしただけの形なので、セットで覚えておくと迷いません。

利益売上高×(1-変動費率)- 固定費損益分岐点売上高固定費÷(1-変動費率)損益分岐点比率損益分岐点売上高÷ 売上高安全余裕率(売上高-損益分岐点売上高)÷ 売上高目標利益達成売上高(固定費+目標利益)÷(1-変動費率)
損益分岐点まわりの公式

たとえば、こんな小さなお店があったとして、家賃みたいに売上に関係なくかかる固定費と、材料費みたいに売れた分だけ増える変動費があったら、どこまで売れば赤字を脱するかを知りたくなりますよね。その「どこまで」が損益分岐点売上高、ということですか。

いい例えです。しかも、そのお店で材料の仕入れ値が上がって変動費率が上がったら、同じ利益を出すのにもっと売らないといけなくなります。損益分岐点売上高が上に動くわけです。逆に家賃が下がれば、少ない売上でも黒字になりやすくなります。

固定費や変動費率が動けば、損益分岐点そのものが動く、というのは直感的に分かります。

売上高の変化は、単価か数量かを見極める

ここからが本題です。売上高が変化する設問では、その変化が販売単価の変化なのか、販売数量の変化なのかを、必ず見極めてください。ここを見誤ると、計算全体が崩れます。

どう違うんですか。

単価が下がると、製品1個あたりの変動費は変わらないのに売上高が下がるので、変動費率は上がります。結果として、損益分岐点売上高は押し上げられます。

一方で、数量だけが変わる場合は違うんですか。

違います。数量だけが増減する場合は、単価も1個あたりの変動費も変わらないので、変動費率そのものは変わりません。だから、損益分岐点売上高への影響の出方が、単価変化のときとは違うんです。

同じ「売上が下がった」でも、単価要因か数量要因かで、変動費率が動くか動かないかが変わる、ということですね。

単価が下がる数量だけが増減1個あたりの変動費は変わらない単価も1個あたりの変動費も変わらない売上高が下がる→ 変動費率は上がる変動費率そのものは変わらない損益分岐点売上高が押し上げられる単価変化のときとは影響の出方が違う
単価が下がる場合と数量だけが変わる場合

そのとおりです。もう一つ注意点があって、変動費率が売上高の水準によって変わる、たとえば一定額を超えると率が変わる、という設問では、基本式をそのまま使えません。

そういうときはどうするんですか。

利益=売上高-費用、という関係に立ち返って、水準ごとに場合分けして計算します。公式を機械的に当てはめるのではなく、条件が変わるところで式を作り直す、という発想の切り替えが必要です。

公式を丸暗記しているだけだと、この場合分けに気づけなさそうです。

答案への落とし込み方

現状分析を問われたら、損益分岐点比率や安全余裕率の数値を評価して、その原因を変動費率や固定費の大きさに結びつけて書きます。

「数値が高い・低い」で終わらせずに、なぜそうなるかまで書く、ということですね。

そうです。改善策を問われたら、3つの方向で考えます。1つ目、売上高を増やす。単価を上げるか、数量を増やすかのどちらかです。2つ目、変動費率を下げる。3つ目、固定費を下げる。

売上・変動費率・固定費の3方向、という骨格ですね。

売上高を増やす単価を上げるまたは数量を増やす変動費率を下げる固定費を下げる与件文の根拠に合うものを選んで提案する
改善策を考える3つの方向

この3方向のうち、与件文の根拠に合うものを選んで提案してください。もう一つ、営業レバレッジという考え方にも触れておきます。限界利益÷営業利益で求める指標です。

営業レバレッジ=限界利益÷営業利益固定費が大きい会社ほど売上高が少し動いただけで利益の振れ幅が大きいハイリスク・ハイリターンな費用構造だ、という説明の仕方をすると、答案の説得力が増します
営業レバレッジ

聞いたことはありますが、どう使うのか、いまいちつかめていません。

固定費が大きい会社ほど、売上高が少し動いただけで利益の振れ幅が大きくなる、という構造を表しています。ハイリスク・ハイリターンな費用構造だ、という説明の仕方をすると、答案の説得力が増します。

固定費が重いほど、良いときも悪いときも振れ幅が大きくなる、というイメージですね。

混同しやすいポイント

損益分岐点比率と安全余裕率は、分子と分母の関係が逆だと講師は言います。ここを混同すると、評価の向きを取り違えます。

補足(動画の言い間違い):動画では「分子と分母の関係が逆」と言っていますが、動画の式では、損益分岐点比率も安全余裕率も分母は売上高で、違うのは分子です。損益分岐点比率は「損益分岐点売上高÷売上高」、安全余裕率は「(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高」で、2つを足すと100%になります(損益分岐点比率の式は日本語版ウィキペディア「損益分岐点」で確認。二次資料です。安全余裕率の式は確認できた資料がなく、補数の関係から導いています)。評価の向きが逆になる、という点は動画のとおりです。

あ、それ、私まさにやりました。「損益分岐点比率が高いほど良い」って一瞬思ってしまったことがあります。

それ、多くの受験生がやる間違いです。正しくは、損益分岐点比率は低いほど良く、安全余裕率は高いほど良い、という向きになります。

逆に覚えると、答案の評価がまるごとひっくり返りますね。

指標求め方よい向き
損益分岐点比率損益分岐点売上高÷売上高低いほど良い
安全余裕率(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高高いほど良い

もう一つの誤答パターンは、単価要因と数量要因を混同することです。単価下落は変動費率を上げて損益分岐点売上高を押し上げますが、数量減少は変動費率を変えません。ここを取り違えると、原因の説明そのものが間違った方向に進んでしまいます。

与件文が単価の話をしているのか、数量の話をしているのか、読み違えないようにしないといけないですね。

まとめ

今日の内容の整理

  • 事例Ⅳで複数事業の収益性を比較する場面で、この論点が出る
  • 与件文の4つのサインで気づく
  • 単価要因か数量要因かを見極めて公式を使う

答案では、現状分析を数値と原因で書いて、改善策は売上・変動費率・固定費の3方向、そして評価の向きと単価数量の混同に気をつける、ということですね。

そのとおりです。損益分岐点比率と安全余裕率、どちらが高いと良いのか迷ったら、分子と分母の関係に立ち返る。それだけでも、本番でのミスはかなり減らせます。

知識としては知っていたつもりでしたけど、使いどころまでこんなにクリアになったのは今日が初めてです。ありがとうございました。

こちらこそ、お疲れさまでした。

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