聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

フランチャイズのメリット・デメリット

事例Ⅰ 第52回

事例Ⅰ 立場で真逆。フランチャイズの効果と留意点7分47秒2026年8月5日公開

「この論点、本部側の視点で書くか、加盟する側の視点で書くかを間違えると、丸ごと点数を失うことがあるんです」。動画は、講師のこんな一言から始まります。メリットとデメリットの中身は知っているのに、立場を取り違えて書いてしまう。このページでは、立場の見極め方、立場ごとのトレードオフ、与件文のサイン、四つのマスでの整理、答案の型、誤答パターンと本番のチェックポイントを、動画の流れにそってまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

知識はあるのに、立場を間違えて点を失う

動画は、講師のこんな一言から始まります。この論点は、本部側の視点で書くか、加盟する側の視点で書くかを間違えると、丸ごと点数を失うことがある、というのです。聞き手は「メリットとデメリットの中身自体は知っているつもりです」と返します。ところが講師は、知識はあるのに立場を取り違えて書いてしまう人が本当に多い、と続けます。

聞き手が「知っているからこそ、逆に油断してしまうということですか」と言い換えると、講師は「まさにそこが今日の一番のテーマです」と答えます。動画がこの回で鍛えようとしているのは、知識の量ではなく、誰の立場で問われているかを見極める力です。

立場を間違えると、内容自体は合っているのに、点数にならないということですよね。

そうです。書いてある知識は正しくても、聞かれている主語とずれていると、評価されにくくなってしまいます。

このページでは、動画の流れにそって次の順にまとめます。

  • 立場の見極め:本部側の聞かれ方と、加盟者側の聞かれ方
  • 立場で変わる答えの軸:それぞれのトレードオフ
  • 与件文のサイン:どちらの立場か、メリットかデメリットかを読み取る手がかり
  • 四つのマスでの整理と、答案の型
  • 引っかかりやすい誤答パターンと、本番のチェックポイント

誰の立場で問われているかを見極める

聞き手が「この論点は、どんな聞かれ方をすることが多いんですか」と尋ねると、講師は典型的な聞かれ方を2つ挙げます。

  • 本部側:「多店舗展開の手段としてフランチャイズ化すべきかどうか助言してください」という聞かれ方。本部側の視点で答える設問です。
  • 加盟者側:「加盟することの効果と留意点を述べてください」という聞かれ方。こちらは加盟する側の視点です。
設問文「本部として」などの言葉事例企業どちらの立場の会社か両方から確認して立場を確定本部側多店舗展開の手段としてフランチャイズ化すべきか助言する加盟者側加盟することの効果と留意点を述べる
設問文と事例企業の両方から、どちらの立場かを確定します。

聞き手は「設問文に『本部として』とか『加盟する立場として』といった言葉が入っていることもあるんですか」と確認します。講師の答えは、入っていることもあるし、入っていなくても事例企業がどちらの立場かで自動的に決まっていることも多い、というものでした。設問文だけを頼りにしていると、立場を示す言葉がないときに迷ってしまいます。

立場の確認は2か所から

  • 設問文:本部としてか、加盟する立場としてか、立場を示す言葉が入っていないか
  • 事例企業:その会社はフランチャイズの本部か、加盟する側か

講師は「設問文と事例企業の立場、両方から確認する癖をつけておくといい」と言います。

設問文に「本部として」とか「加盟する立場として」といった言葉が入っていることもあるんですか。

入っていることもありますし、入っていなくても事例企業がどちらの立場かで自動的に決まっていることも多いです。設問文と事例企業の立場、両方から確認する癖をつけておくといいですね。

立場で答えの軸が変わる:二つのトレードオフ

聞き手が「本部側と加盟者側で、答えの軸そのものが変わってくるんですか」と尋ねると、講師は「変わります」と即答します。助言の軸は、立場ごとに次のようなトレードオフになります。

  • 本部側:成長のスピードと、チェーン全体の信用を保つことのトレードオフを助言する形になる。
  • 加盟者側:開業のしやすさと、自分の裁量が制約されることのトレードオフを助言する形になる。
本部側成長のスピードチェーン全体の信用を保つこと加盟者側開業のしやすさ自分の裁量が制約されること良い面と悪い面はセット良いことだけは享受できない
立場によって、天秤に乗るものが違います。
立場一方の軸もう一方の軸
本部側成長のスピードチェーン全体の信用を保つこと
加盟者側開業のしやすさ自分の裁量が制約されること

トレードオフっていうのは、常に良い面と悪い面がセットになっている、ということですか。

その通りです。フランチャイズ化にしても加盟にしても、良いことだけを享受できるわけではない、という前提を持っておくことが助言の出発点になります。

同じフランチャイズという言葉でも、立場によって天秤に乗るものが全然違うんですね。

与件文のサイン:立場とメリット・デメリットを読み取る

講師は、どちらの立場で問われているかは与件文の記述からも分かる、と言います。聞き手が「本部側のサインから教えてもらえますか」と促し、サインは立場ごとにメリットとデメリットの4種類が示されます。

本部のメリットのサイン「早く店舗網を広げたい」「自己資本が限られている」→ 他人の資本で急速に展開できる本部のデメリットのサイン「一部の加盟店の質が低い」「チェーンの評判が落ちた」→ 不適切な加盟者が全体の信用を損なう加盟者のメリットのサイン「経営の経験がない」「未経験で開業したい」→ 本部の指導・援助でリスクを抑えて開業加盟者のデメリットのサイン「独自のやり方をしたい」「自由に工夫したい」→ 統一性が優先され創意工夫の自由度が低い
与件文の記述から、立場とメリット・デメリットの両方が読み取れます。
  • 本部側のメリット:「早く店舗網を広げたい」「自己資本が限られている」という記述。他人の資本を活用して急速に展開できるメリットのサインです。
  • 本部側のデメリット:「一部の加盟店の質が低い」「チェーンの評判が落ちた」という記述。不適切な加盟者が全体の信用を損なうデメリットのサインです。
  • 加盟者側のメリット:「経営の経験がない」「未経験で開業したい」という記述。本部の指導や援助でリスクを抑えて開業できるメリットのサインです。
  • 加盟者側のデメリット:「独自のやり方をしたい」「自由に工夫したい」という記述。チェーンの統一性が優先されて、創意工夫の自由度が低いというデメリットのサインです。

本部側と加盟者側、両方のサインが同じ与件文の中に混ざっていることもあるんですか。

ありますね。加盟者側の企業の事例でも、本部の姿勢に触れる記述が出てくることがあるので、どちらの立場のサインかを都度確認しながら読む必要があります。

立場ごとに、メリットとデメリット、両方のサインを押さえておく必要があるんですね。

四つのマスで整理する

情報を整理するときも、まずやることは同じだと講師は言います。本部側の話か、加盟者側の話かを確定させる。そのうえで、メリットとデメリットを対で押さえるのがコツです。

本部側加盟者側メリットデメリット① 他人の資本で急速に展開② ロイヤルティで安定した経営基盤① 本部の経営指導や援助が受けられる② 未経験でも開業でき起業リスク軽減① 不適切な加盟者が全体の信用を損なう② 加盟者の責任意識や自助努力が欠如① 統一性が優先され創意工夫の自由度が低い② 加盟金やロイヤルティの支払い
立場ごとに、メリットとデメリットを2つずつ。この四つのマスを先に持ちます。
  • 本部側のメリット:他人の資本を活用して急速に展開できること。ロイヤルティで安定した経営基盤を作れること。
  • 本部側のデメリット:不適切な加盟者の存在がチェーン全体の信用を失わせること。加盟者の責任意識や自助努力が欠如するおそれがあること。
  • 加盟者側のメリット:本部の経営指導や援助が受けられること。事業の経験がなくても開業でき、起業のリスクを軽減できること。
  • 加盟者側のデメリット:チェーンの統一性が優先されて、創意工夫の自由度が低いこと。加盟金やロイヤルティの支払いが必要になること。

ロイヤルティは、本部側では経営基盤を支えるメリットとして、加盟者側では支払いが必要になるデメリットとして、同じものが立場によって逆の意味で出てきます。まさに「立場で真逆」の例です。

四つのマスを先に用意しておいて、そこに与件文の情報を当てはめていくイメージですか。

そうですね、白紙の状態から考えるより、四つのマスを先に持っておいたほうが、与件文を読みながら情報を仕分けしやすくなります。

事例の状況が、このどのマスに効いているかを結びつければいいんですね。

その通りです。与件文のどの記述が、このどのマスを裏付けているかを結びつけながら整理すると、答案の骨格が自然に決まります。

四つのマスの使い方

  • まず立場を確定する(本部側か、加盟者側か)
  • その立場のメリットとデメリットのマスを、先に頭に置いておく
  • 与件文の記述が、どのマスを裏付けているかを結びつける
  • 結びつけた内容から、答案の骨格が決まる

答案の型:本部側への助言

聞き手が「実際の答案では、どういう型で書けばいいんですか」と聞くと、講師はまず本部側への助言から示します。

  • 最初にメリット:他人資本を活用して自己資本の負担を抑えて、急速に店舗網を拡大できる、と書く。
  • 続けてデメリットと対応:一方で、加盟店の質のばらつきがチェーン全体の信用を損なうリスクがあるため、加盟店の選定基準や指導体制の整備で対応する、と書く。

動画の設例

自己資本の少ない本部が急いで店舗を増やした結果、一部の加盟店の対応の悪さが評判に響いている、という会社があったとします。講師は、この場合は拡大のメリットと信用のリスクを両方書けばよい、と言います。

答案の型:加盟者側への助言

加盟者側への助言では型が変わります。まず、本部の指導やブランドで、未経験でもリスクを抑えて開業できる、と書きます。聞き手が「こちらも『一方で』とデメリットを続けるんですか」と聞くと、講師は続けます。一方で、経営の自由度が制約されて、ロイヤルティの負担も生じる点に留意する、と書くのです。

本部側への助言① メリット他人資本で自己資本の負担を抑え急速に拡大② 一方で加盟店の質のばらつきが信用を損なう③ 対応策加盟店の選定基準や指導体制の整備で対応加盟者側への助言① メリット指導・ブランドでリスクを抑えて開業できる② 一方で経営の自由度の制約と、ロイヤルティの負担③ 添える留意する旨と抑える工夫を添える
メリット、一方で、対応策の順に、両にらみで書きます。

講師は、メリットとデメリットを両にらみで書いて、デメリットには抑える工夫を添えるのが基本だと言います。本部側では、デメリットの「信用を損なうリスク」に対して「選定基準や指導体制の整備」という対応が添えられていました。

デメリットを書くときも、ただ悪い点を並べるだけでなく、対応策とセットにするのがポイントなんですね。

そうです。対応策まで書けると、助言としての完成度がぐっと上がります。

(補足:動画にない答案例の書き方です。本部側なら「他人資本を活用して自己資本の負担を抑え、急速に店舗網を拡大できる。一方、加盟店の質のばらつきが信用を損なうリスクがあるため、選定基準や指導体制を整備して対応すべきである。」のように、メリット、一方で、対応策を1つの流れにつなげると、型として使いやすくなります。実際の設問では、問われている内容と字数に合わせて調整してください。)

みんなが引っかかる誤答パターン3つ

聞き手が「この論点で、みんなが引っかかりやすい誤答パターンはどんなものですか」と聞き、講師は3つを挙げます。

  • メリットの取り違え:一番多い誤りです。他人の資本を使って拡大できるのは本部側の話なのに、それを加盟者側のメリットとして書いてしまう。逆に、指導が受けられるのは加盟者側なのに、それを本部側に書いてしまうケースもあります。
  • 片側だけを書く:メリットだけ、あるいはデメリットだけを書くパターンです。助言問題では両方が求められていることが多い、と講師は言います。
  • 万事解決と書いてしまう:フランチャイズ化すれば万事解決、というように書いて、質のばらつきや信用リスクという最大のデメリットを落としてしまうパターンです。
誤答ずれるところ防ぐには
メリットの取り違え他人資本の活用を加盟者側に書く立場を確定してからマスに仕分ける
片側だけ助言に必要な両面が欠けるメリットもデメリットも書く
万事解決と書く最大のデメリットを落とすデメリットと対応策までセット

良い面だけ書いて満足してしまう、ということですね。

そうです。デメリットとその対応策までセットで書いて初めて、助言として成立します。

立場の見極めと、メリットデメリットの対応関係、この二つを意識するだけで、答案の安定感が変わりそうですね。

ええ、この二つを押さえておけば、どちらの立場から問われても慌てず書けるはずです。

試験ではここに注目

  • 設問文と事例企業の両方から、本部側か加盟者側かを確定しているか
  • 与件文の記述が、四つのマスのどれを裏付けているかを結びつけているか
  • メリットとデメリットの両方を書き、デメリットに抑える工夫を添えているか

本番で使うチェックポイント

聞き手が「最後に、本番でこの論点を使うときのチェックポイントをまとめてもらえますか」と頼み、講師は3つを順に挙げます。

順確認すること
1本部側か加盟者側か、立場を確定する
2メリットとデメリットを対で整理する
3答案で両方を書き、デメリットには抑える工夫を添える

そのあと聞き手は、最後の見直しで確認する点を自分の言葉で整理します。本部側と加盟者側のメリットを取り違えていないか。片側だけになっていないか。最大のデメリットを落としていないか。講師は、この四つのチェックポイントを持っておけば、立場を問われたときに慌てずに答案を組み立てられる、と受けています。動画では「四つ」の内訳を番号で分けては示していませんが、会話に出てきた項目は上の3つと、この見直しの3点です。

知識としては知っている論点だからこそ、最後の見直しでこのチェックポイントを使うと安心ですね。

そうですね、知っている論点ほど、立場の思い込みで失点しやすいので、最後のひと押しとして役立ててください。

まとめ

動画の整理

  • 知っている論点ほど、立場の取り違えで失点しやすい。誰の立場で問われているかを見極める
  • 聞かれ方は2つ:多店舗展開の手段としてフランチャイズ化すべきか助言する(本部側)、加盟することの効果と留意点を述べる(加盟者側)。設問文と事例企業の両方から確認する
  • 答えの軸は立場で変わる。本部側は成長のスピードと信用の維持、加盟者側は開業のしやすさと裁量の制約のトレードオフ
  • 与件文のサインは、本部側・加盟者側それぞれにメリット用とデメリット用がある。混在することもあるので、都度どちらの立場かを確認する
  • 四つのマスを先に持ち、与件文の記述を仕分けて結びつける
  • 答案は、メリット、一方で、対応策の順に両にらみで書く
  • 誤答は、メリットの取り違え、片側だけ、万事解決と書いて最大のデメリットを落とすこと

動画の最後に、講師は「知っている論点ほど、立場の思い込みで失点しやすいので、最後のひと押しとして役立ててください」と話しています。知識があることと、問われている立場に合わせて書けることは別です。立場を確定し、対で整理し、デメリットには抑える工夫を添える。この流れを最後の見直しにも使ってください。

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