聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

集団間コンフリクト

事例Ⅰ 第11回

事例Ⅰ 集団間コンフリクト。水平か垂直かで、原因も施策も変わる9分52秒2026年8月11日公開

「『部門同士がぶつかっている』という記述、事例Ⅰの与件文でよく見ますよね」。動画はこんな問いかけから始まります。読んでも「何が原因で、何を書けばいいのか」がその場で決まらない。その悩みを、対立を水平的と垂直的の2種類に切り分けることで解いていきます。このページでは、出題場面と問われ方、与件文のサイン、原因と施策の整理、答案の型、混同しやすい5つの誤りを、動画の流れにそってまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

「部門同士がぶつかっている」と書いてあったら

動画は、事例Ⅰの与件文でよく見かける「部門同士がぶつかっている」という記述から始まります。聞き手も「よく見ます」と応じますが、正直そこから先が苦しいと言います。読んでも「じゃあ何が原因で、何を書けばいいのか」がその場で決まらない。この悩みに、講師は「対立を2種類に切り分けるだけで、答案の組み立て方がはっきり変わる」と答えます。

このページでは、動画の流れにそって次の順で整理します。

  • 対立の2種類(水平的と垂直的)と、この論点が出やすい場面・問われ方
  • 与件文でどこを見れば、横か縦かに気づけるか
  • 原因の組み立て方と、施策の整理の仕方
  • 答案への落とし込み方と、混同しやすい5つの誤り

水平的と垂直的:2種類に切り分ける

講師が示す2種類は、水平的と垂直的です。同じ階層同士がぶつかるのが水平的、上下の階層の間でぶつかるのが垂直的。今日の論点はこの2つに分けて捉えることだ、と講師は言います。

2種類、ですか。集団同士がぶつかってる、というだけの話じゃないんですね。

そうなんです。同じ階層同士か、上下の階層の間か、この2つに分けて捉えるのが今日の論点です。

言葉としては知ってます。でも、二次の現場でその2つ、どう見分ければいいんですか。

水平的同じ階層同士(横の関係)部門A と 部門B垂直的上下の階層の間(縦の関係)上位組織 と 下位組織最初に、どの集団とどの集団の対立かを確定する
横か縦か。ここを先に決めます。

見分け方は、このあと「サイン」の章でくわしく見ます。先に押さえておきたいのは、動画が最初にやるべきこととして挙げた手順です。それは、どの集団とどの集団の対立かを確定すること。聞き手は「部門A対部門Bの横の話なのか、上位組織対下位組織の縦の話なのか、ということですね」と言い換えています。講師は、ここを先に決めないと、書く原因も施策も変わってしまう、と念を押します。

この論点が出やすい場面

講師は、この論点が出やすい場面を3つ挙げます。そこに、上下関係の摩擦が加わります。

場面問われ方の例
組織構造を変えた直後(事業部制の導入、機能別組織からの再編、新部門の設置)「予想される問題点」
経営統合・買収の後「組織的な課題」「留意点」
複数部門が関わる新しいプロジェクトの立ち上げ立ち上げの際の課題
本社と現場、親会社と子会社上下関係の摩擦(この論点の出番)

あー、再編直後って混乱が起きやすいイメージ、確かにあります。

親会社と子会社みたいな、上下関係がある組織同士の話も入るんですか。

入ります。本社と現場、親会社と子会社のような上下関係の摩擦も、まさにこの論点の出番です。

問われ方は2つ:原因か、対応策か

しかも、問われ方にも型があります。「なぜ対立が生じるのか」という原因を聞くパターンと、「どう抑えるか」という対応策を聞くパターンです。

設問書くこと起きやすい事故
なぜ対立が生じるのか原因施策を書いてしまう
どう抑えるか対応策原因の説明で字数を使う

そこ、取り違えたら事故になりそうです。

まさにそこが事故ポイントです。原因を聞かれているのに施策を書いてしまう、施策を聞かれているのに原因の説明で字数を使ってしまう、これが起きやすいんです。

講師のアドバイスは、設問の要求を最初にはっきり確認する癖をつけることです。サインを拾う前に、まず「原因を聞かれているのか、対応策を聞かれているのか」を押さえます。

水平的コンフリクトを疑うサイン

ここから与件文のサインです。まず、水平的、つまり同じ階層・横の関係を疑うサインを、講師は3つ挙げます。

  • 複数の部門が、同じ資源(人員や設備、予算や時間)を取り合っている記述
  • 部門ごとに目標や評価指標が別々に設定されていて、方向がそろっていない記述
  • 部門間の業務が相互に依存しているのに、情報共有や調整の仕組みがない記述

相互依存、というのはどういう状態を想像すればいいんですか。

たとえば、営業は受注を優先したい、製造は稼働の平準化を優先したい、というふうに部門ごとの優先順位がずれている、というイメージです。

なるほど、優先順位が違う部門同士が同じ仕事でつながっている、という状態ですね。

その通りです。

この営業と製造の話は、講師自身が「考え方を直感的につかむための一般的な例で、特定の年度の事例の話ではない」と断っています。それでも、こうしたズレが与件文に書かれていたら反応してほしい、というのが講師の言い分です。あわせて、事業部と総務・経理のような管理部門との関係や、事業部同士の関係についての言及も、水平的コンフリクトの代表的な現れ方として覚えておきます。

垂直的コンフリクトを疑うサイン

垂直的、つまり上下の関係を疑うサインも、講師は3つの形で示します。

  • 指示命令の系統が機能していない、現場が本社の方針に従っていない、という記述
  • 権限の配分が偏っている、あるいは誰が決めるのかが曖昧、という記述
  • 親会社と子会社、本社と支店・工場のような上下関係がある組織間の摩擦

上からの指示が現場まで届いていない、みたいなイメージですか。

はい。それから、権限の配分が偏っている、あるいは誰が決めるのかが曖昧という記述もそうです。

経営層の考えが現場に伝わらない、という記述も入りますか。

入ります。経営層の方針が現場に伝わっていない、逆に現場の実情が上に上がっていない、という記述も垂直的コンフリクトのサインです。上と下、どちらの向きの断絶も対象になります。

水平的のサイン垂直的のサイン資源の取り合い指示命令が届かない目標・指標がバラバラ権限配分が偏り・曖昧依存なのに調整なし方針・実情が伝わらないどちらにも効くサイン環境が不透明・先行きが読めない組織文化の異なる集団の統合
サインから、横か縦かを見分けます。

横にも縦にも効くサイン:不透明な環境と文化の違い

聞き手が「両方に共通して効くサインってあるんですか」と聞くと、講師は2つ挙げます。

  • 「環境が不透明」「先行きが読めない」という記述。目標がまとまりを欠く土壌になるので、対立が大きくなりやすい前提として使えます。
  • 組織文化が異なる集団が一緒になった記述、つまり統合・合併・提携の場面。出身組織ごとの派閥や、待遇・昇進をめぐる対立に直結しやすいサインです。

環境が読めないと、部門ごとにバラバラな判断をしてしまう、ということですね。

そうです。

それは統合・買収系の設問で覚えておくと便利そうですね。

その通りです。

原因の組み立て:横は3点、縦は3点

サインを拾えて、集団の組み合わせも確定したら、原因を組み立てます。講師は横と縦で、それぞれ3点を示します。

横だと分かったら、相互依存の強さ、目標の不統一、限られた資源の競合の3点です。縦の場合は、階層が機能していない、権限配分のゆがみ、正当性の欠如の3点で組み立てます。

この3つって、どれか1つだけ書けばいいんですか。

いえ、この3つは同時に成り立つことが多いので、与件文から拾えたものを並べれば、それがそのまま原因の骨格になります。

なるほど、3点セットで考えるイメージですね。

聞き手は、縦の3点のうち「正当性の欠如」が具体的に何を指すのかを尋ねます。講師の説明は、上位の指示や意思決定が、下位から見て「なぜそれに従うべきか」が納得できない状態、という意味です。権威が正当性を失っている、というイメージで捉えてください、と講師は言います。

施策の整理と、答案への落とし込み

施策側にも型があります。講師は施策を、次の3系統に整理しておくと、どの事例でも当てはめやすくなると言います。

  • 目標を共通化する打ち手
  • 調整の仕組みをつくる打ち手
  • 権限と責任を明確にする打ち手
横の原因(3点)縦の原因(3点)相互依存の強さ階層が機能していない目標の不統一権限配分のゆがみ限られた資源の競合正当性の欠如目標を共通化する調整の仕組みをつくる権限と責任を明確にする
原因は横と縦で3点ずつ。施策は3系統で整理します。

聞き手が「原因の整理と、施策の整理、両方に型があるのが心強いです」と言うと、講師は実際の解答の型を示します。動画の言い方をそのまま並べます。

動画が示した解答の型

  • 原因を問われた場合:「部門間で何かが相互に依存しているのに調整の仕組みがない、部門ごとの目標が不統一である、限られた資源を取り合っているため、対立が生じる」
  • 対応策を問われた場合:「全社共通の目標・評価指標を設定して方向を揃える、部門横断のチームや定例の情報共有の場を設けて調整する、権限と責任の範囲を明確化する。以上により対立を抑制し組織を活性化する」

3点セットをそのまま文章にする感じですね。

そうです。

動画で原因の型として示されたのは、部門間の場合の3点です。縦(上下関係)の場合の文章の型は、動画では示されていませんでした。縦の原因の3点(階層が機能していない、権限配分のゆがみ、正当性の欠如)を、先ほどの横の型と同じように並べていく、というのが素直な使い方だと思いますが、あくまでページ側の読み方です。

字数配分と、悪影響の一言

聞き手が字数配分を尋ねると、講師は原因3〜4割、施策6〜7割が扱いやすい配分だと言います。原因はコンパクトに、施策は厚めに書くイメージです。

原因3〜4割施策6〜7割字数配分の目安(原因はコンパクト、施策は厚め)さらに、悪影響を一言添える意思決定の遅れモラールの低下ノウハウ共有の停滞
原因は短く、施策は厚く。最後に悪影響の一言です。

もう1つの工夫が、「対立が起きる」で終わらせないことです。講師は、対立がどこに悪影響を出すのかまで一言添えると答案が締まる、と言います。例は、意思決定の遅れ、モラールの低下、ノウハウ共有の停滞。こうした影響まで書けると評価が上がりやすい、というのが講師の見立てです。

原因だけで終わらず、その先の影響まで見せる、ということですね。

その通りです。

混同しやすい5つの誤り

最後に、混同・誤答しやすいポイントです。講師は5つ挙げます。

① 横と縦の取り違え原因と現象が噛み合わなくなる② 一律に「悪いもの」と扱う抑制・管理の語感で書くほうが安全③ 組織文化の逆機能と混同変われない=文化/ぶつかる=対立④ 施策が精神論に流れる共通目標・横断組織など仕組みで書く⑤ 統合・買収でメリット側に混ぜるコンフリクトはデメリット側に置く
動画が挙げた5つの注意点です。

1つ目は、横と縦の取り違えです。聞き手が「親会社と子会社の話に資源の取り合いを書いてしまう、みたいなことですか」と例を出し、講師は「まさにそれ」と認めます。逆に、事業部間の話に権限の正当性を書いてしまうこともあります。どちらも、原因と現象が噛み合わない答案になります。

2つ目は、コンフリクトを一律に「悪いもの」として扱うことです。適度な対立は緊張感や改善につながる面もあるので、設問が「解消せよ」と言っていない限り、抑制・管理という語感で書くほうが安全です。聞き手の言葉でいえば、全部なくそう、という書き方はしすぎないほうがいい、ということです。

3つ目は、組織文化の逆機能との混同です。「変われない」「前例踏襲」は組織文化の話、「部門同士がぶつかる」はコンフリクトの話。設問がどちらを問うているのかを見極めます。

4つ目は、施策が精神論に流れてしまうことです。「コミュニケーションを密にする」だけでは弱い。共通目標、横断組織、権限の明確化のように、仕組みとして書くことを意識します。

あ、私、施策に迷うとつい「コミュニケーションを増やす」って書きたくなります。

気持ちは分かりますが、それだけだと弱いので、必ず仕組み側の言葉に落とし込んでください。

5つ目は、統合・買収の設問での位置づけです。コンフリクトは「デメリット・留意点」側で使う論点です。聞き手が、シナジーやコスト削減のようなメリット側に混ぜて書いてはいけない、ということですね、と確認すると、講師は「その通り」と答えます。統合・買収では、メリットとデメリットをきちんと分けて、コンフリクトはデメリット側に置きます。

動画が強調した確認ポイント

  • 設問は原因を聞いているのか、対応策を聞いているのか
  • どの集団とどの集団の対立か(横か縦か)
  • 施策が精神論になっていないか(共通目標・横断組織・権限の明確化など、仕組みで書く)
  • 統合・買収の設問で、コンフリクトをデメリット側に置いているか

まとめ

動画の整理

  • 対立は、同じ階層同士の水平的と、上下の階層の間の垂直的に切り分ける
  • 出やすい場面は、組織構造の変更直後、統合・買収の後、複数部門のプロジェクト、上下関係の摩擦。問われ方は原因か対応策かの2つで、取り違えは事故のもと
  • サインは、横が資源の取り合い・目標のばらつき・依存なのに調整なし、縦が指示命令の不全・権限配分の偏り・上下の断絶。共通して、不透明な環境と文化の異なる集団の統合
  • 原因は、横が相互依存・目標の不統一・資源の競合、縦が階層の不全・権限配分のゆがみ・正当性の欠如の各3点。施策は、目標の共通化、調整の仕組み、権限と責任の明確化の3系統
  • 原因3〜4割、施策6〜7割。悪影響(意思決定の遅れ・モラール低下・ノウハウ共有の停滞)を一言添える
  • 誤りは5つ:横縦の取り違え、一律に悪者扱い、組織文化の逆機能との混同、施策の精神論、統合・買収でメリット側に混ぜること

動画の最後に、聞き手は「まず横か縦かを確定させて、それぞれの3点で原因を組み立てて、対応する3系統の施策を選ぶ、という流れですね」と整理しました。講師は、そこに悪影響への一言を添え、誤答パターンを避ければ、この論点は本番で十分に使いこなせる、と受けます。「部門同士がぶつかる」という一文を見たら、まず横か縦かを判定する。そこから始めてください、という言葉で動画は締めくくられます。

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