ロット生産
事例Ⅲ 第47回
「与件文でこの設定に出会ったとき、改善策の型がすぐ出てきますか」。動画は、ロット生産をめぐるこんな問いかけから始まります。このページでは、論点の出方、与件文のサイン、五つの管理ポイントでの整理、答案の型、やりがちな誤答、本番のチェックポイントを、動画の流れにそってまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
与件文でロット生産に出会ったとき、改善策の型は出てくるか
動画が扱うのは「ロット生産」、断続生産とも呼ばれる方式です。品種ごとにまとめて作り、次の品種に切り替えていく。知識としてはご存じのはずですが、与件文でこの設定に出会ったとき、改善策の型がすぐ出てきますか。講師はこう問いかけて、動画を始めます。
聞き手が本番で手が止まったのは、機能別の配置でロット生産をしていて、生産数量の増加にともなって工程のあちこちで仕掛品在庫が発生している、という与件文の一文でした。講師によると、これは生産・技術の事例では定番中の定番です。それなのに、在庫が多いんだから減らしましょう、で終わる答案がとても多い。どの引き出しを開けるかが決まっていないだけだといいます。
それ、本番でまさに手が止まったところです。機能別の配置でロット生産をしていて、生産数量の増加にともなって工程のあちこちで仕掛品在庫が発生している。この一文で固まってしまって。
そこなんです。生産・技術の事例では定番中の定番なんですが、在庫が多いんだから減らしましょう、で終わる答案がとても多い。どの引き出しを開けるかが決まっていないだけなんですよね。
引き出しは持っているのに、どれを開ければいいか分からない状態。まさに私です。
そこで動画は、この論点を与件文のどこで見抜き、どう答案に変換するかを、順に通していきます。このページも同じ順で、論点の出方、与件文のサイン、記述の整理、答案の型、誤答パターン、本番のチェックポイントとまとめます。
この論点は二次でどう出るか
講師によると、舞台はほぼ事例Ⅲです。出方は大きく二つあります。
| 出方 | 与件文の状況 | 問われること |
|---|---|---|
| 一つ目 | 生産数量の増加で、工程のあちこちに仕掛品在庫が発生 | 改善策の助言 |
| 二つ目 | 段取り替えの回数や時間の多さがボトルネック | ロット |
一つ目は、聞き手が一番よく見る形だと言った、先ほどのパターンです。二つ目は、段取り替えの回数や時間の多さがボトルネックになっている状況で、ロットサイズの設定や段取り改善の方向性を問うパターンです。講師は、この二つを持っていると与件文を読む目つきが変わる、と言います。
どちらも「ロット生産だから起きている問題」ということですか。
鋭いです。ロット生産は、品種の数も一品種あたりの生産量も中くらいの、中種中量の領域で、個別生産と連続生産のちょうど中間に位置する方式なんですよ。だから解答の軸も中間らしくなる。生産量の多い品種は連続生産寄りに、少ない品種は個別生産寄りに寄せる。この使い分けが、そのまま答案の骨格になります。
え、一つの工場の中で、品種によって寄せる方向を変えるんですか。全部を一つの方式にそろえるんじゃなくて。
そこが一番の勘どころです。そろえようとした瞬間に答案が崩れます。この話は誤答パターンでもう一度取り上げます。
与件文のどこを見たらロット生産の論点だと気づけるか
聞き手の問いは、与件文のどこを見たら、これはロット生産の論点だと気づけるのか、でした。講師は五つのサインを順に挙げます。
- 一つ目:方式の記述。「品種ごとにまとめて生産している」「同じ設備で複数の品種を交互に生産している」「段取り替えをして品種を切り替えている」。ここまであれば、方式の判定はほぼ確定です。
- 二つ目:課題の在りかを示す記述。「工程のあちこちで仕掛品在庫が発生している」「生産数量の増加に対応できていない」。これが出たら、ロットサイズとレイアウトの見直しが必要だというサインです。
- 三つ目:段取りの記述。「段取り替えの回数が多い」「段取りに時間がかかる」。段取り改善によって短納期化と生産性向上を狙える余地がある、という合図です。
- 四つ目:配置の記述。「同じ機械をまとめて配置している」。機能別のレイアウトです。ロット生産と相性のよい配置なので、方式の判定を裏づける情報になります。
- 五つ目:品種ごとのばらつき。「生産量に品種ごとのばらつきがある」「一部の品種だけ生産量が多い」。これが出たら、PQ分析を使った見直しのヒントです。
そこは素直に書いてあるんですね。
次が課題の在りかを示す記述。「工程のあちこちで仕掛品在庫が発生している」「生産数量の増加に対応できていない」。これが出たら、ロットサイズとレイアウトの見直しが必要だというサインです。
在庫が多いという記述を、ロットサイズとレイアウトの話として読むわけですね。
そうです。三つ目、「段取り替えの回数が多い」「段取りに時間がかかる」。段取り改善によって短納期化と生産性向上を狙える余地がある、という合図です。
二つ目の出題パターンに直結する記述ですね。
配置の記述って読み飛ばしてしまうんですけど、方式とセットで意味を持つんですね。
ここは根拠として答案に使えるところです。そして五つ目が、「生産量に品種ごとのばらつきがある」「一部の品種だけ生産量が多い」という記述。
あ、それは品種ごとに寄せる方向を変える話につながりますか。
そのとおりです。これが出たら、PQ分析を使った見直しのヒントだと考えてください。生産量の多い少ないで、レイアウトと生産方式を使い分ける分析ですね。
記述を拾ったあと、どう整理するか
聞き手が次に聞いたのは、記述を拾えたとして、そこからどう整理していけばいいのか、という点です。講師はまず、与件文の製品と工程が、品種ごとにまとめて交互に生産するロット生産に当てはまるかを確認します。当てはまったら、この方式ならではの管理ポイントで記述を仕分けます。ポイントは五つです。
ロット生産の五つの管理ポイント
- 経済的なロットサイズを設定できているか
- 段取り替えの回数と時間を減らせているか
- 仕事の投入順序を適切に決められているか
- 能力と負荷を的確につかんで、余力を最小にできているか
- ロットサイズの乱れを防ぐ数量統制ができているか
与件文に「できていない」と書かれているものが課題の所在ですか。
そういうことです。チェックリストに与件文を当てる感覚ですね。特にロットサイズは、大きすぎても小さすぎても困るトレードオフを抱えています。
大きすぎると、一度にたくさん作るぶん仕掛品在庫がふくらんで、在庫のコストが増えます。小さすぎると、切り替えが頻繁になって段取り替えの回数が増え、生産性が落ちます。
料理の作り置きに似ていますね。まとめて大量に作れば準備は一回で済むけれど、冷蔵庫が食べきれない量でいっぱいになる。少しずつ作れば冷蔵庫はすっきりしますけど、そのたびに鍋を出して洗うことになる。
まさにその感覚です。鍋を出して洗う手間が段取り替え、冷蔵庫を占領している料理が仕掛品在庫。与件文でどちらが痛んでいるかを見極めるのが第一歩です。
在庫があふれているのか、切り替えに追われているのかで打ち手が変わる。
そうです。あわせて、生産数量に品種ごとの偏りがあるなら、PQ分析の考え方で、品種ごとに生産方式とレイアウトを使い分ける見直しも検討に入れます。
答案にするときの型
聞き手が求めたのは、そこから答案にするときの型です。講師の説明では、骨格はシンプルです。まず生産方式がロット生産だと明示する。次に五つの管理ポイントのうち欠けているものを課題として特定する。そのうえで、①生産管理面の対応、②期待される効果、の順で書きます。
①の対応に入る言葉の代表格は、経済的なロットサイズの設定、段取り替え時間の短縮、投入順序の適正化の三つです。②の効果は、仕掛品在庫の削減、生産性の向上、短納期化。ここまでで一つの答案になる、と講師は言います。
対応だけ書いて効果を忘れる、というのをやりがちです。
字数配分の話でもあります。対応策で字数を使いきると効果が入らない。対応を並べる部分を短めにして、末尾に「仕掛品在庫を削減し生産性を高める」という一句を必ず残す配分にすると崩れません。
先に効果の一句分を確保するんですね。二つの出題パターンで中身は変わるんですか。
変わります。仕掛品在庫が工程間に滞留している課題なら、骨格はPQ分析です。生産量の多い品種は製品別の配置に切り替えて連続生産化し、少ない品種は従来どおり機能別の配置での個別生産やロット生産にとどめる。
多い品種だけ専用のラインに寄せて、少ない品種はそのまま。それが骨格になるんですね。
もう一方の、段取り改善が課題のパターンでは、段取り作業を内段取りと外段取りに分けます。機械を止めないとできない準備作業が内段取り、止めずにできる準備作業が外段取りです。
その分け方が、そのまま改善策になるんですか。
なります。内段取りをできる限り外段取りに移す。これが第一手です。さらに踏み込むなら、機械を止めて行う内段取りを10分未満に収めるシングル段取り化まで検討します。
料理でいうと、煮込んでいる間に次の材料を切っておく感じですか。
いい置き換えです。鍋を火から下ろさないとできない作業か、火にかけたままできる作業か。この仕分けができていると、答案が精神論になりません。
やりがちな誤答
聞き手が気になったのは、「精神論になる」という言葉でした。そこで講師は、やりがちな誤答を四つ挙げます。
| 誤答 | まずい点 |
|---|---|
| ロット | 課題設定を間違える |
| 在庫を減らすことだけ提案する | 根本原因に踏み込めず点が伸びない |
| 全品種を一律に連続 | 少ない品種までかえって非効率 |
| 「時間をかけて丁寧に段取りする」と書く | 改善の方向が示せていない |
一つ目は、ロット生産と連続生産を同じものとして扱うことです。ロット生産は複数の品種を交互に生産する方式、連続生産は単一の標準品を専用ラインで継続生産する方式で、混ざると課題設定を間違えます。
交互に作るのか、一つを作り続けるのか。そこが分かれ目なんですね。
二つ目は、仕掛品在庫が増えているという課題に、在庫を減らすことだけを提案してしまうことです。根本原因であるロットサイズの設定、段取り替えの多さ、レイアウトのミスマッチに踏み込まないと、点が伸びません。
私が書いていたのはこれです。在庫の話を、在庫のまま返していました。
多くの人が通る道です。三つ目は、すべての品種を一律に連続生産へ切り替えようとすること。生産量の少ない品種まで専用ラインに乗せると、かえって非効率になります。
さっきの、そろえようとした瞬間に崩れる、というのはこれですね。
そうです。生産量の多寡に応じて品種ごとに使い分けるのが典型的な解答で、一律化はその逆をいく。四つ目が、いま出た精神論。段取り改善を「時間をかけて丁寧に段取りする」と書いてしまうパターンです。
丁寧にやるのは悪くない気がしますけど、何が足りないんですか。
改善の方向が示せていないんです。内段取りを外段取りに移す、さらにシングル段取りを目指す。ここまで書いて初めて助言として成立します。
方向を示さなければ、助言になっていないということですね。
講師はもう一つ、先回りして注意を加えます。方式の判定を、機能別の配置という記述だけで決めないことです。判定の主役は、品種ごとにまとめて交互に生産しているかどうかです。
配置の記述は裏づけであって、決め手ではないと。
そうです。配置はこちらが変える打ち手の側でもありますから、製品別に切り替える提案ができるわけです。
試験ではここに注目
- 方式の判定の主役は、品種ごとにまとめて交互に生産しているか(配置の記述は裏づけ)
- 全品種を一律にそろえず、生産量の多寡に応じて品種ごとに使い分けているか
- 対応が「内段取りを外段取りへ、さらにシングル段取り」のように方向を示しているか
本番で使うチェックポイント
聞き手の頼みに応えて、講師は本番で使うチェックポイントを四つに絞ります。
本番の四つのチェックポイント
- 品種ごとにまとめて交互に生産という記述で、方式を判定する
- 五つの管理ポイントに与件文を当てて、できていないところを課題として特定する
- 仕掛品在庫が課題ならPQ分析で品種ごとに使い分け、段取りが課題なら内段取りの外段取り化。出題パターンで打ち手を切り替える
- 対応策を書いたら、効果の一句を必ず最後に残す
判定してから、チェックリストで課題を絞り込む。
三つ、仕掛品在庫が課題ならPQ分析で品種ごとに使い分け、段取りが課題なら内段取りの外段取り化。出題パターンで打ち手を切り替える。四つ、対応策を書いたら効果の一句を必ず最後に残す。
方式の判定、課題の特定、打ち手の切り替え、効果まで書ききる。この四つですね。
そのとおりです。この論点は、与件文の記述が素直な分だけ、気づけるかどうかより、気づいたあとに何を出せるかで差がつきます。今日の手順を、そのまま本番へ持っていってください。
まとめ
動画の整理
- ロット生産は中種中量で、個別生産と連続生産の中間。生産量の多い品種は連続生産寄りに、少ない品種は個別生産寄りに寄せる使い分けが答案の骨格
- 二次では主に事例Ⅲ。仕掛品在庫が工程のあちこちに発生するパターンと、段取り替えの多さがボトルネックのパターンがある
- 与件文のサインは五つ:品種ごとにまとめて交互に生産、仕掛品在庫、段取り替えの多さ、同じ機械をまとめて配置、品種ごとの生産量のばらつき
- 五つの管理ポイントに与件文を当てて課題を特定する。ロットサイズは大きすぎても小さすぎても困る
- 答案は、ロット生産と明示、課題の特定、①生産管理面の対応、②期待される効果の順。効果の一句を必ず残す
- 誤答は四つ:ロット生産と連続生産の混同、在庫を減らすだけの提案、一律の連続生産化、「丁寧に段取りする」という精神論
動画の最後で講師は、この論点は与件文の記述が素直な分だけ、気づけるかどうかより、気づいたあとに何を出せるかで差がつく、と話しています。方式の判定、課題の特定、打ち手の切り替え、効果まで書ききる。この四つを、そのまま本番へ持っていってください。
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