連続生産
事例Ⅲ 第44回
「生産の事例で、与件文に『標準品を続けて作っている』と書いてあったのに、解答の方向を外した経験、ありませんか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、事例Ⅲの問われ方、与件文のサイン、四つの軸での仕分け、解答の型、四つの落とし穴、本番のチェックポイントをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
与件文に「標準品を続けて作っている」と書いてあったのに
生産の事例で、与件文に「標準品を続けて作っている」と書いてあったのに、解答の方向を外した経験、ありませんか。
あります。標準品という記述は読めていたのに、解答のどこにつながるか分からず素通りしました。
そこなんです。生産方式の論点は、知識は持っているのに、与件文のどの一言で発動させるかが分からず眠らせたまま終わってしまう。
本当に眠らせてました。連続生産という言葉は一次でさんざん扱ったのに、本番だと手が止まるんです。
では今日は、連続生産を二次の現場でどう見抜き、どう解答へ変換するか、その使い方だけに絞りましょう。
ぜひお願いします。
事例Ⅲの問われ方は二つ
出てくるのは基本的に生産・技術の事例、事例Ⅲです。問われ方は大きく二つあります。
二つ、ですか。
一つは、その企業の生産方式が実態に合っているかを評価させる問われ方。もう一つは、生産計画や工程設計の面から改善策を提案させる問われ方です。
| 問われ方 | 内容 |
|---|---|
| 一つ | 生産方式が |
| もう一つ | 生産計画や |
生産方式が妥当かを、正面から聞かれることもあるんですね。
聞かれないことも多いです。むしろ品質・コスト・納期のどれかが崩れている事例で、そもそも生産方式や生産計画の立て方が実態に合っていない、という切り口から改善提案へつなげるのが典型ですね。
納期遅れの話をしているつもりが、じつは生産方式の話だった、ということですか。
そうです。しかも、生産量の多い少ないで製品ごとに配置を切り替える分析とセットで問われることも多いんですよ。
生産量と品種で製品を仕分ける、PQ分析ですね。
ええ。生産方式の見直しやレイアウト変更を提案する設問の根拠として使う場面が、いちばん多いと思ってください。
反応すべき記述は二系統
では、与件文のどんな記述が出たら反応すればいいんですか。
反応すべき記述は二系統あります。一つ目は、連続生産が成り立っている側のサインです。
成り立っている側、というのは。
標準品や規格品を一定期間続けて、あるいは反復して生産している。専用の設備や専用ラインで生産している。受注の前に作って在庫を持つ見込生産である。少品種多量生産である。この四つですね。
ばらばらに書いてあっても、同じことを指しているんですね。
そうです。与件文は一箇所にまとめてくれません。前半に標準品、後半に専用ライン、と散らして書かれます。読みながら同じ束にくくる意識が要るんです。
散らばったものを束ねる、ですか。
買い物メモが冷蔵庫とスマホと手帳に分かれているのと同じです。三箇所を突き合わせて初めて、今夜は鍋にするつもりだったと分かる。
管理が崩れている兆候
断片を集めて献立を当てる感じですね。ということは、二つ目は逆のサインですか。
はい。管理が崩れている兆候です。生産計画どおりに進まない、ラインが頻繁に止まる、材料の入荷が遅れる、作業ミスが多い、品質不良が出る、日程計画の変更が多い。この手の記述です。
それ、私は単に現場が混乱している話だと読んでいました。
多くの人がそう読みます。でも連続生産の企業でこれが並んでいたら、ラインを止めない管理が効いていないというサインなんです。気づけば改善提案の材料がまとめて手に入ります。
営業と製造の話が出てくる事例もありますよね。
いいところですね。販売予測と生産計画がずれている、営業部門と製造部門の情報連携が弱い、という記述もこの論点に直結します。理由は解答の型のところで話しますね。
四つの軸で仕分ける
では、見つけたあと情報はどう整理すればいいんでしょう。
四つの軸で仕分けるのが速いです。注文の時期、品種と数量、物の流し方、レイアウトの四つですね。
注文の時期は、受注生産か見込生産か、ですか。
そうです。品種と数量は多品種少量か中種中量か少品種多量か。物の流し方は個別生産かロット生産か連続生産か。レイアウトは機能別か製品別です。
軸が四つもあると、混乱しませんか。
それが混乱しないんです。四軸はひとまとまりで対応しているので。標準品・見込生産・少品種多量・連続生産・製品別レイアウト。これが一つの組です。
一つ分かれば、残りも決まるということですか。
決まりやすい、が正確ですね。対になるのが、個別受注品・受注生産・多品種少量・個別生産・機能別レイアウトの組です。片方に寄せるだけで整理が済みます。ただし軸そのものは独立です。典型的な組み合わせにすぎないので、最後は与件文の記述で一軸ずつ確認してください。
手がかりが一言しかなくても引っ張れるんですね。
製品ごとに生産量で分けて考える
ええ。もう一つ実戦で効くのは、会社全体を一つの方式に決めつけず、製品ごとに生産量で分けて考えるやり方です。
製品ごとに、ですか。
生産量の多い製品には製品別の配置で連続生産、少ない製品には機能別の配置で個別生産。工程のあちこちに仕掛品在庫がたまっている場合、この振り分けがそのまま改善提案の根拠になります。
全部を連続生産にしろ、という話ではないんですね。
そこ、大事です。全部を一つの方式へ寄せる提案は、たいてい与件文と噛み合いません。
解答の型:連続生産の管理ポイントは二つの系統
整理はできました。これをどう解答の文章にするかが、いちばん自信がなくて。
型にしましょう。連続生産の管理ポイントは、二つの系統に分けられます。
二系統、ですか。
一つ目は生産体制を整える系統。工程設計や生産計画に重点を置く。長期の生産能力計画で需要量に見合ったラインを設計する。綿密な生産計画で同一製品を継続して生産する。
体制を作る側ですね。二つ目は。
ラインを止めない、崩さない系統です。材料の遅れ、作業ミス、品質不良、日程計画の変更といった、生産計画を乱す要因をなくす。
あっ、着眼点で出てきた崩れのサインが、そのまま対応策になっているんですね。
そうなんです。与件文に並んだ不具合を拾って、それを潰すと書けばいい。ここがこの論点のありがたいところですね。
逆に、書いていない不具合を勝手に足してはいけない、と。
そのとおりです。そしてもう一つ、見込生産である以上は需要予測の精度が成否を左右します。
予測が外れたら、作った分がまるごと在庫になりますもんね。
逆に予測を低く見れば欠品して機会損失になります。在庫は減らせばいいのではなく、適正水準に保つという向きで書いてください。だから対応策には、販売部門と製造部門、営業と工場の連携強化を必ず加えてください。説得力が一段上がります。
情報連携が弱いという記述に反応しろ、と言われた理由がここでつながりました。
答案の型と百字前後の配分
つながりましたね。型はこうです。与件文の課題に対し、生産計画・工程設計面の対応と部門間連携の強化により、需要量に見合った継続生産体制を構築し、生産効率を高めて効果を図る。
効果には何を入れるんですか。
コスト低減、納期短縮、在庫の適正化など、その事例で問題になっているものです。設問が求めているもので選んでください。
字数はどのくらいに収まりますか。
この骨格なら百字前後でも要素を落とさずまとまります。課題の指摘を短く、対応策を厚く、連携強化と効果を各一言。この配分だと、効果を書けずに終わる事故が減りますよ。
効果が書けずに終わるの、まさに私です。
間違えやすいところ:落とし穴が四つ
先に配分を決めておくと迷いません。ここからは間違えやすいところを潰しましょう。落とし穴が四つあります。
四つもあるんですか。
一つ目は個別生産方式との取り違えです。個別生産は多品種少量・受注生産・機能別レイアウトが基本で、連続生産とは対極にあります。
対極ということは、間違えると。
解答の方向がまるごとひっくり返ります。どちらの特徴を持つ企業なのかは、書き始める前に必ず確定させてください。
二つ目は何でしょう。
ロット生産方式との混同です。ロット生産は中種中量の折衷的な方式で、機能別レイアウトとの組み合わせが基本形になります。
多品種でも少品種でもない、真ん中のケースですね。
そうです。ここを連続生産だと即断する人がとても多い。与件文が品種の数をどう書いているか、一度確かめる癖をつけてください。
真ん中があると分かっているだけで違いますね。
違います。三つ目は、連続生産を受注生産と結びつけてしまう誤りです。連続生産は基本的に見込生産と結びつく発想なんですよ。
受注してから作る文脈で提案すると、どうなるんですか。
整合性が崩れます。在庫を先に作る前提の提案をぶつけることになり、与件文を読んでいない答案に見えてしまう。
在庫をどこで持つか、という論点も関係しますか。
関係はします。受注に対してどの時点で在庫を持つかという考え方があり、見込生産では完成品在庫の倉庫がその分かれ目になります。ここは深入りしません。
分かりました。四つ目は。
他の生産管理の考え方とのレイヤー混同です。JIT(ジャストインタイム)のような在庫を極小化する管理思想や、セル生産方式のような個別生産に向いた工程編成と、同じ土俵で比べてしまう誤りですね。
同じ生産管理の言葉だから、つい並べて書いてしまいそうです。
並べると次元のずれた答案になります。連続生産はあくまで物の流し方、生産方式の話です。階層が違うと切り分けてください。
階層が違う、は覚えやすいです。
ちなみにラインバランシング、各工程の所要時間のばらつきをならして手待ちや仕掛品を減らす手法は、連続生産と相性のいい改善策です。隣にある道具として知っておくと引き出しが増えます。
相性のいいものと、階層の違うもの。区別して持っておきます。
本番で使うときのチェックポイント
では最後に、本番で使うときのチェックポイントです。まず標準品・専用ライン・見込生産・少品種多量という記述を拾い、連続生産の型かを確定させる。
断片を束ねて確定させる、でしたね。
次に四つの軸で仕分け、製品ごとに生産量で分けられないかを検討する。そして、ラインが止まっている原因が与件文に列挙されていないかを探す。
崩れのサインは、そのまま対応策の材料でしたね。
最後に、生産計画・工程設計の対応と販売部門との連携強化を組み合わせ、需要量に見合った継続生産体制を構築するという型で書く。この四手順で大きく外すことはなくなります。
知っていることと使えることの差
知っていたことを手順に並べてもらうと、本番で動かせる気がしてきました。
知っていることと使えることの差は、手順を持っているかどうかだけです。次に生産の事例を解くとき、さっそく試してみてください。
動画で聞く
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