GT・動作改善・目で見る管理
事例Ⅲ 第39回
「生産現場の改善提案、書くたびに同じ手法ばかり出てきていませんか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、課題のタイプの見分け方、GT・動作の改善・目で見る管理それぞれの与件文のヒントと中身、状況・手法・効果の答案の型、混同しやすい点をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
改善提案が、毎回同じ手法になってしまう
「生産現場の改善提案、書くたびに同じ手法ばかり出てきていませんか」。動画は、この問いかけから始まります。聞き手は「あー、それ私です」と応じます。気づくと毎回「標準化を進める」と書いてしまい、代わり映えしない気がしているそうです。
講師は、実はそこが、多くの受験生が同じところで詰まっているポイントだと言います。そして、改善提案の引き出しは、与件文の課題の性質を見れば自然と絞り込める、と続けます。今日扱うのは、生産現場の改善提案で頻出する次の3つの手法です。
- グループテクノロジー(GT)
- 動作の改善
- 目で見る管理
聞き手は、名前は知っているものの、どの場面でどれを使えばいいのかは正直あやふやだと打ち明けます。
名前は知ってます。でも、どの場面でどれを使えばいいのか、正直あやふやで。
そこなんです。この3つは別々の課題に対応する手法なので、与件文の状況をどう見極めて使い分けるかが今日のテーマです。
出てくるのは、事例Ⅲの改善提案の設問です。このページでは、課題のタイプの見分け方、与件文のヒント、3つの手法の整理、答案の型、混同しやすい点の順に、動画の流れにそってまとめます。
課題のタイプを先に見分ける
講師によると、与件文の課題が「工程が煩雑」「作業員の動きが非効率」「情報が共有されていない」のどれに寄っているかで、使う手法が変わってきます。聞き手は「課題のタイプを見分けてから手法を選ぶ、という順番なんですね」と確認し、講師は「その通りです」と答えます。対応は次のとおりです。
| 課題のタイプ | 状況 | 手法 |
|---|---|---|
| 工程が煩雑 | 多品種少量生産で段取りが煩雑 | GT |
| 動きが非効率 | 作業員の動きや手順に着目 | 動作の改善 |
| 情報が未共有 | 進捗や状況を共有できない | 目で見る管理 |
動作の改善は、IEの一部である手法です。この対応を聞いた聞き手は、3つの関係を確かめます。
3つとも独立した手法なんですね。てっきりセットで使うものかと思ってました。
セットで書く必要はないんです。与件文の課題に一番合う手法を選んで、具体的に書くことが大事です。
与件文のどこを見れば気づけるか
聞き手が「与件文のどこを見ればどの手法か気づけるんですか」と尋ねると、講師は「いくつか型があります」と答え、手法ごとに記述を挙げていきます。
まずGTのヒントになるのは、「多品種の部品を個別に生産している」「形状や工程が似た部品でも別々に扱っている」という記述です。聞き手は「似ているのに別々に扱っている、というのがポイントなんですね」と受け止めました。あわせて、「段取りに時間がかかる」「多品種少量生産で非効率」という記述も、GTによる類似部品のグループ化のヒントになる、と講師は言います。
動作の改善のヒントは、「作業員の動きにムダがある」「移動や持ち替えが多い」「作業姿勢に無理がある」といった記述です。講師は、人の動き方そのものに着目した記述だと整理します。
目で見る管理について、聞き手が「情報系の記述ですか」と聞くと、講師は「そうです」と答えます。「進捗状況が分からない」「情報が共有されていない」「異常に気づくのが遅れる」という記述が出たら、目で見る管理のヒントです。
モノ・人・情報で課題を切り分ける
では、与件文を読むとき、この3つを頭の中でどう整理すればいいのか。講師の提案は、まず課題を「モノの流し方の問題か」「人の動き方の問題か」「情報の見え方の問題か」の3つに分類してみる、というものです。聞き手は「モノ・人・情報、で切り分けるんですね」と受けました。
切り分けたあとで、それぞれの手法の中身を見ていきましょう。
GT:似た性質のものをまとめて、ムダを減らす
GTは、多種類の部品を形状・寸法・素材・工程などの類似性に基づいて分類し、多品種少量生産に大量生産的な効果を持たせる考え方です。段取り時間や工程間運搬、加工待ちを減らして、加工時間やコストの削減につなげます。
GTのポイント
- 分類の基準:形状・寸法・素材・工程などの類似性
- 減らすもの:段取り時間・工程間運搬・加工待ち
- つなげる先:加工時間やコストの削減
たとえるなら、スーパーで買い物するとき、似た売り場をまとめて回ると行ったり来たりが減るのと似てますね。
いい例えですね。まさにそれです。似た性質のものをまとめることで、段取りや移動のムダが減ります。
動作の改善:身体・配置・設備の3つの観点
動作の改善は、次の3つの観点から、作業員の動作のムダを見直すことです。
- 身体の使い方
- 作業場の配置
- 設備や工具の設計
料理でいうと、よく使う調味料を手の届く範囲に置いておくと、動線が短くなるのと同じ発想ですか。
まさにそうです。動作研究は、IE、インダストリアル・エンジニアリングという枠組みの中の、方法研究という部分に位置づけられます。
聞き手は、IEと動作の改善の関係を確かめます。
IEって、動作の改善そのものではないんですか。
違います。IEはもっと広い枠組みで、標準作業や時間の設定、動作分析、時間分析なども含みます。目的は、低コスト化とリードタイム短縮の2点に整理されます。動作の改善は、その中の一部と考えてください。
なるほど、動作の改善はIEの一部品なんですね。
目で見る管理:状況を一目で分かるようにする
目で見る管理は、進捗状況や正常・異常といった状況を一目で分かるようにして、現場で発生する問題点を職場全員で共有し、早めに気づいて対応できるようにする仕組みです。
部活で、今日の練習メニューをホワイトボードに書いて、誰が見ても今何をやる時間か分かるようにする、みたいな感じですか。
そのイメージで大丈夫です。
講師は続けて、目で見る管理は、生産や運搬の指示を見える形で表示するカンバン方式とも関連が深い考え方で、JITの現場でよく一緒に語られる、と話します。
答案の型:状況・手法・効果
聞き手が「実際に答案を書くとき、どういう型で組み立てればいいですか」と尋ねると、講師は次の型を示します。
答案の型
「〜という状況、つまり与件文の根拠に対して、GTか動作の改善か目で見る管理のいずれかを導入することで、〜を実現する」
聞き手は、3つを全部詰め込みたくなる、と言います。講師は、そこが落とし穴だと言います。機械的に全部書くのではなく、与件文の課題の性質に一番合う手法を選んで、具体的に書くことが重要です。
課題が複数あるときはどうするんですか。
複数の課題が与件文にある場合は、それぞれに対応する手法を使い分けて書きます。工程の課題にはGT、動作の課題には動作の改善、というように、課題ごとに手法を割り当てるイメージです。
具体的な文章のイメージを聞かれた講師は、こんな会社を例に挙げます。多品種の部品を個別に生産していて、段取りに時間がかかっている、という記述があった場合です。その場合の書き方は次のとおりです。
講師が示した書き方
「類似した形状・工程の部品をGTによってグループ化し、段取り時間と工程間の運搬を削減することで、生産性を高める」
なるほど、状況・手法・効果の3点がひとつの文に全部入っているんですね。
そうです。効果まで書かずに手法名だけで終わらせると、それだけで説得力が弱くなります。状況に対応した手法を選び、必ず効果まで書き切ってください。
私、これまで手法名を並べるだけで満足してました…反省です。
よくある失点パターンなので、今のうちに直しておきましょう。
混同しやすい3つのポイント
聞き手が「GTとセル生産方式、正直ごっちゃになってます」と打ち明ける場面から、講師は混同しやすい点を順に挙げていきます。
1つ目は、GTとセル生産方式です。講師によると、GTは部品や工程を分類する考え方で、セル生産方式はその分類を活かした生産方式そのものです。分類という考え方と、それを使った実際の生産のやり方、という関係で覚えます。聞き手は「考え方と、その考え方を活かした形、という上下関係なんですね」とまとめました。
2つ目は、動作の改善とIEです。講師は、動作の改善イコールIEだと誤解しないように、と念を押します。動作研究はIEの方法研究のうちの一部で、IEはもっと広い枠組みです。聞き手も「IEの中に方法研究があって、その中に動作研究がある」と確認していました。
3つ目は、目で見る管理と5S活動です。目で見る管理は「情報や状況の可視化」、5Sは「現場そのものの整理整頓」です。別物ですが、関係はあります。5Sが整っていることが、目で見る管理を機能させる前提になるからです。現場が整理整頓されていないと、異常があっても一目で気づけません。聞き手は「5Sが土台にあって、その上で目で見る管理が機能する、という順番なんですね」と受け止めました。
| 混同しやすい組 | 違い |
|---|---|
| GTと | 分類の考え方と、それを活かした生産方式 |
| 動作の改善と | IEの方法研究の一部。IEはもっと広い |
| 目で見る管理と | 情報・状況の可視化と、現場の整理整頓 |
3つ全部を並べると、点にならない
講師は、もう一つ先回りして注意を挙げます。時間が足りないからと、3つの手法を全部並べて書いてしまう受験生がいる、という話です。聞き手が「それ、点数につながらないんですか」と聞くと、講師はこう答えます。
字数の中でどれも中途半端になって、根拠と効果まで書き切れなくなるんです。与件文の課題に一番合う手法を1つか2つ選んで、そのぶん根拠と効果を厚く書く方が評価されます。
手数を増やすより、1つを深く書く方がいいんですね。
答案を書く前の確認(動画の整理)
- 与件文の課題は、工程の煩雑さ・作業員の動きのムダ・情報共有の不足のどれに寄っているか
- 一番合う手法を1つか2つ選んだか(機械的に並べていないか)
- 状況・手法・効果が、効果まで書き切れているか
まとめ
動画の整理
- 改善提案の引き出しは、与件文の課題の性質を見れば絞り込める。手法を先に決めず、課題のタイプを先に見極める
- 課題が「工程の煩雑さ」ならGT、「作業員の動きのムダ」なら動作の改善、「情報共有の不足」なら目で見る管理
- 課題は、モノの流し方・人の動き方・情報の見え方で切り分ける。3つは独立した手法で、セットで書く必要はない
- 答案は「状況・手法・効果」を1つの文に入れる。手法名だけで終わらせず、効果まで書き切る。課題が複数なら課題ごとに手法を割り当てる
- 混同に注意:GTは分類の考え方でセル生産方式はその生産方式。動作の改善はIEの一部。目で見る管理は可視化で、5Sがその前提
- 全部を並べず、1つか2つに絞って根拠と効果を厚く書く
動画の最後に、聞き手は「今日、モヤモヤしていたところがすっきりしました。与件文をもう一度、課題のタイプを意識して読んでみます」と話しています。講師の締めくくりは、3つを機械的に並べるのではなく、与件文の記述に一番合う手法を選んで、状況・手法・効果の型で書く。それだけで、改善提案の引き出しはぐっと増えます、というものでした。
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