聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

需要予測

事例Ⅲ 第41回

事例Ⅲ 需要予測。欠品と過剰在庫が同時に起きる工場10分59秒2026年8月23日公開

「今日のテーマは『需要予測』です。事例Ⅲの与件文で欠品と過剰在庫の話が出たとき、迷わずこの論点に手が伸びますか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、生産計画の出発点としての需要予測、問われ方、与件文の着眼点、整理の仕方、解答への落とし込み、混同しやすい四つのポイント、本番のチェックポイントをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

需要予測と在庫管理は、直しにいく場所が違う

今日のテーマは「需要予測」です。事例Ⅲの与件文で欠品と過剰在庫の話が出たとき、迷わずこの論点に手が伸びますか。

うーん……在庫の話が出ると、つい発注のやり方をどう直すか、という方向に頭がいってしまいます。

そこなんです。需要予測と在庫管理は近いのに、直しにいく場所が違う。取り違えると、内容は正しいのに設問に刺さらない答案になります。

あ、それ本番でやっている気がします。書けたつもりなのに点が伸びない、というやつですね。

生産計画の出発点としての需要予測

まず扱う範囲を切り分けます。需要予測には、工場の新設や設備能力の決定という数年単位の判断に使う長期のものと、人員計画・生産計画・在庫管理に直結する中短期のものがあります。

二次で問われるのは、どちらですか。

ほぼ中短期です。生産計画の出発点としての需要予測、今日はここだけを扱います。

出発点、という言い方をするんですね。

そこが肝です。生産計画は、需要予測から始まり、生産能力に合わせた大日程計画になり、そこから月単位の中日程計画、週や日単位の小日程計画へと落とされていきます。

需要予測生産計画の出発点大日程計画生産能力に合わせる中日程計画月単位小日程計画週や日単位
生産計画は、需要予測から落とされていく

一番上流がずれていたら、その先が全部……。

ずれます。だから精度が低い、更新頻度が低いというのは、欠品、過剰在庫、リードタイムの長期化といった問題の根本原因になりやすいんです。

症状はバラバラでも、大元がひとつということがあるんですね。

需要予測の問われ方:典型は三つ

では問われ方。典型は三つです。一つ目は、見込生産の企業で生産数量の決定が勘や経験に頼っていて、欠品と過剰在庫が同時に起きている、という課題設定。

同時に、というのが不思議です。足りないのか余っているのか、どっちなんだと。

いい引っかかり方です。それが精度の低さの現れで、作りすぎる製品と足りなくなる製品が同じ工場に並んでしまう。

全体の量ではなく、どれをどれだけ、の当て方がずれているんですね。

二つ目は、営業部門の受注情報や販売動向が生産部門にタイムリーに伝わらず、生産計画が古い情報のまま作られている、という課題。情報共有の仕組みづくりと絡めて問われます。

予測する力ではなく、予測に使う材料が届いていない、と。

そのとおり。三つ目は、季節性や流行で需要変動が大きいのに、長いスパンでまとめて計画を立てているため対応しきれない、というパターン。更新頻度とセットで問われます。

型課題設定
一つ目見込生産で、数量の決定が勘や経験頼み。欠品と過剰在庫が同時に起きている
二つ目受注情報や販売動向が生産部門にタイムリーに伝わらず、古い情報のまま計画
三つ目季節性や流行で需要変動が大きいのに、長いスパンでまとめて計画

設問としては、どんな形で出てきますか。

「生産計画の精度向上策を述べよ」「欠品と過剰在庫を防ぐ施策を述べよ」といった聞き方です。事例Ⅲの生産管理系では優先度の高い引き出しですね。

では、与件文のどこで気づけばいいんですか。

与件文の着眼点

着眼点を挙げます。まず「生産数量を担当者の勘と経験で決めている」「属人的に生産量を決定している」。

客観的なデータに基づいていない、精度が低い可能性が高いサインですね。

二つ目は「欠品と過剰在庫が同時に発生している」。機会損失と廃棄ロスの両方、という書かれ方もします。

両方が並んでいたら、もう疑っていいと。

疑ってください。三つ目は「営業部門の情報が生産部門に伝わっていない」「部門間の情報共有が進んでいない」。予測に使う情報が現場に届いていない状態です。

仕組みづくりと精度向上をセットで候補にするんですね。

そうです。四つ目は複合的で、「需要の変動が大きい」とあるのに「生産計画を月単位など長いスパンでしか見直していない」と書かれているパターン。

変動の速さに、見直しの速さが追いついていないということですか。

まさに。この二つは離れた段落にあることが多く、結びつけて読めるかで差がつきます。五つ目は「見込生産を行っている」「完成品在庫を持って販売している」。

見込生産だと、なぜ優先度が上がるんですか。

受注が入る前に数量を決めるからです。予測が生産計画にも在庫管理にも共通の出発点になる。受注生産中心なら、優先度はやや下がります。

1「生産数量を担当者の勘と経験で決めている」「属人的に生産量を決定している」2「欠品と過剰在庫が同時に発生している」機会損失と廃棄ロスの両方、という書かれ方も3「営業部門の情報が生産部門に伝わっていない」「部門間の情報共有が進んでいない」4「需要の変動が大きい」「生産計画を月単位など長いスパンでしか見直していない」5「見込生産を行っている」「完成品在庫を持って販売している」
与件文の着眼点5つ

拾った記述は、どう整理すればいいですか。

拾った記述の整理:見込生産か受注生産か、情報の質と更新のスパン

最初にやるのは、事例企業が見込生産型か受注生産型かの確認です。

見込生産型なら重要度が高い、ということですよね。

精度がそのまま欠品や過剰在庫に直結しますから。一方、受注生産型では受注そのものが需要の実数なんです。

あ、予測しなくても実数が手元にある、と。

そこで課題になりやすいのは、受注情報を生産計画にどれだけ速く反映できるかという別の論点。混同しないよう入口で切り分けます。

入口を間違えると全部ずれますね。

切り分けたら二つの軸で並べ直します。一つ目は「情報の質」。数量の決定に、実績データや最終消費者に近い販売情報という客観的なものを使っているのか、勘と経験なのか。

二つ目は、更新の話ですか。

「更新のスパン」です。予測と生産計画をどれくらいの頻度で見直しているか。日単位に近いのか、月単位のように長いのか。

両方書いてあったら、どちらから書けばいいんでしょう。

与件文でどちらが強く描かれているかで決めます。ここ、夕飯の買い出しに置き換えると分かりやすいですよ。

買い出し、ですか。

何人分いるかを冷蔵庫も見ずに勘で買うのが「情報の質」の問題。予定が毎日変わるのに週に一度しか買いに行かないのが「更新のスパン」の問題です。

同じ「余る・足りない」でも、冷蔵庫を見ればいいのか、買い物の回数を増やせばいいのかで打ち手が変わるんですね。

きれいな言い換えです。本番でも、「勘と経験」が強く書かれていれば情報の質を、「変動が大きいのに月単位」が強ければ更新のスパンを直しにいきます。

強く描かれているほうから優先するんですね。

見込生産型重要度が高い精度が欠品や過剰在庫に直結する受注生産型受注そのものが需要の実数課題は受注情報の反映の速さ(別の論点)二つの軸で並べ直す情報の質客観的な情報か勘と経験か更新のスパン日単位に近いか月単位のように長いか買い出しなら冷蔵庫も見ずに勘で買う買い出しなら予定が毎日変わるのに週に一度しか買いに行かない
見込生産か受注生産かの切り分けと、二つの軸

解答への落とし込み

では解答への落とし込み。基本の型は、情報収集や情報共有の仕組みで需要予測の精度を高め、更新頻度の改善とあわせて生産計画に反映し、欠品と過剰在庫を防止する、という組み立てです。

字数配分は、どう考えますか。

現状の問題を端的に一文。勘と経験、情報が伝わっていない、更新頻度が低い、のどれかですね。次に対応策を一つか二つ選び、その問題に対応づけて二文から三文。

最後は効果ですね。

欠品の防止、過剰在庫の防止、キャッシュフローの改善、リードタイムの短縮、このあたりの言葉で締めます。

現状の問題を端的に一文勘と経験、情報が伝わっていない、更新頻度が低い対応策を一つか二つ選ぶその問題に対応づけて二文から三文効果で締める欠品の防止、過剰在庫の防止、キャッシュフローの改善、リードタイムの短縮
解答の組み立て

対応策は、課題と一対一で決まる感じですか。

だいたい決まります。勘と経験に頼った数量決定が課題なら、実績データなどの客観的な情報をもとに需要予測を行い、属人的な判断への依存を解消する。

情報共有不足が課題なら、どうなりますか。

営業部門が持つ受注情報や販売動向を生産部門と共有する仕組みを構築し、精度の高い需要予測を行う、という形です。

変動が大きいのに更新頻度が低い場合は。

更新頻度を月単位から週単位や日単位に近い形へ短縮し、直近の販売動向を反映した計画に修正する、と書きます。

課題の書かれ方が決まれば、言い回しもほぼ決まるんですね。

課題対応策
勘と経験に頼った数量決定実績データなど客観的な情報で需要予測を行い、属人的な判断への依存を解消
情報共有不足受注情報や販売動向を生産部門と共有する仕組みを構築し、精度の高い需要予測を行う
変動が大きいのに更新頻度が低い更新頻度を月単位から週単位や日単位に近い形へ短縮し、直近の販売動向を反映

ただ、一つ先回りして注意を。精度をどれだけ高めても、それが生産計画に反映される仕組みがなければ効果は出ません。

予測はしているけれど、計画に活きていない、ということですか。

「需要予測は行っているが生産計画には反映されていない」とあれば要注意。どの部門がどのタイミングで反映するのかという体制まで含めると、実効性のある答案になります。

予測しっぱなしで終わらせない、という一手間ですね。

混同しやすいポイントを四つ

最後に混同しやすいポイントを四つ。どれも失点に直結します。

冒頭で私がつまずいた、発注のやり方に頭がいく、というやつですね。

それが一つ目です。需要予測の精度向上と、発注方式や在庫管理方式の見直し、定期発注方式・定量発注方式・二棚法・ABC管理は別の論点です。

どこで線を引きますか。

需要予測は、どれだけ売れる、どれだけ必要になるかを見積もる入力段階の話。発注方式や在庫管理方式は、見積もった数量をどう発注し管理するかという運用段階の話です。

課題が見積もりの精度自体にあるのか、そのあとの管理にあるのかを見極めるんですね。

需要予測(入力段階)どれだけ売れる、どれだけ必要になるかを見積もる発注方式・在庫管理方式(運用段階)見積もった数量をどう発注し管理するか定期発注方式・定量発注方式二棚法・ABC管理
需要予測と発注方式・在庫管理方式の線引き

そこです。二つ目は、受注生産への切り替えとの関係。どちらも欠品と過剰在庫の防止につながりますが、前提がまったく違う打ち手です。

二つ書けば点が増えそうで、両方書いてしまいそうです。

そこが落とし穴で、受注生産に切り替えられるなら需要予測という考え方自体の重要性が下がります。並べるのではなく、生産方式が見込生産か受注生産か、切り替えられるのかで判断します。

並べると、判断していないことが伝わってしまうんですね。

三つ目は、精度向上と、単なる部門間の情報共有の仕組みづくりを同一視すること。一般的なIT化の提案に流れてしまうパターンです。

でもさっき、仕組みを作るという対応策がありましたよね。

いい確認です。あれは精度を高めるための手段であって、目的ではありません。設問が求めているのが需要予測・生産計画の精度向上なのか、情報共有全般の改善なのかを確かめ、軸をぶらさないこと。

仕組みを作りました、で止めず、それで予測がこう良くなる、まで書くんですね。

四つ目は、需要予測の手法そのもの、移動平均法や指数平滑法といった計算方法を答案に持ち込む必要はない、ということ。

一次でやったので、つい書きたくなりそうです。

二次で問われるのは、どうすれば精度の高い需要予測ができる体制を作れるかという運用面。統計的な手法の計算過程は一次試験の範囲に近く、そこに字数を使うと聞かれていないことを書くことになります。

手法の名前ではなく、体制の話を書く。覚えました。

本番のチェックポイント

では本番のチェックポイントです。まず、見込生産型か受注生産型かを確認する。見込生産なら重要度が上がり、受注生産なら受注情報の反映速度という別の論点に寄ります。

次が、情報の質と更新のスパン、二つの軸ですね。

勘と経験に頼っていないか、変動の速さに見直しの頻度が追いついているか。強く描かれているほうから優先します。

解答は、現状の問題を一文、対応策を一つか二つ、効果で締める。

そして予測を生産計画に反映させる体制まで書けているか。最後に、発注方式や受注生産への切り替えと混ぜていないか、手法の計算に寄っていないかを確かめる。ここまで通せば、需要予測は事例Ⅲで心強い引き出しになります。

在庫の話が出たら反射的に発注方式、ではなく、どの段階の問題かをまず見る。そこから始めてみます。

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