聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

組織文化の逆機能

事例Ⅰ 第46回

事例Ⅰ 強い組織文化が変革を阻む。逆機能と形成要因の使い方8分23秒2026年8月5日公開

「組織文化って、1次のときにひと通り勉強していますよね」。動画は、講師のこんな問いかけから始まります。知識としては知っていても、二次の答案でどう使うかとなると途端に難しくなる論点です。このページでは、問われ方、与件文のサイン、逆機能と形成要因の枠組み、診断と打ち手の答案の書き方、やりがちな誤答を、動画の流れにそってまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

組織文化は知っているのに、答案では手が止まる

動画は、講師が「組織文化って、1次のときにひと通り勉強していますよね」と切り出すところから始まります。聞き手も、価値観や行動様式が組織に根付いている、というイメージは持っています。ところが講師は、知識として知っていても、二次の答案でこれをどう使うかというと途端に難しくなる論点だと言います。

聞き手が引っかかっているのは、与件文に「一体感がある」といった記述があっても、それを解答にどうつなげればいいか分からない、という点です。動画の主題は、強い組織文化が変革を阻む、その逆機能です。このページでは、次の順番で動画をたどります。

  • どう問われるか(設問の聞き方のパターン)
  • 与件文のどこを見れば、この論点だと気づけるか
  • 組織文化を逆機能と形成要因の二面で捉える枠組み
  • 答案の書き方(診断と打ち手の2段階)
  • やりがちな誤答と、本番のチェックポイント

この論点は、こう問われる

講師によると、この論点が出るときは聞き方にパターンがあります。たとえば次のような問われ方です。

  • 「変革が進まない原因は何か」
  • 「新しい取り組みが定着しない理由と対応を助言せよ」

変化がうまくいかない理由を、組織文化の面から診断させる感じですか。

その通りです。強すぎる、あるいは古い組織文化が変化を妨げている構図を見抜いて、打ち手まで助言する形で問われます。

組織構造そのものより、目に見えにくい部分を診断させる設問、というイメージですね。

そうです。数値や制度の話ではなく、社員の意識や行動パターンに切り込む設問だからこそ、着眼点を押さえておく価値が大きいんです。

ここで押さえたいのは、診断だけでなく打ち手まで求められる、という点です。「原因は何か」と「どう対応するか」の両方に答えられる形で、組織文化を使うことになります。

頻度についても動画で触れています。聞き手が「事例Ⅰでよく出てくるテーマ、というイメージがあります」と言うと、講師は「はい」と答え、組織構造や人事施策と並んで繰り返し登場するテーマだと言います。聞き手が「組織構造の設問と同じくらいの頻度で出てくる、ということですね」と確認すると、講師は「そうです」と受けています。だからこそ、組織文化のサインを見逃さない読み方を、早いうちに身につけておく価値があります。

与件文のサイン:どこで組織文化だと気づくか

聞き手の次の質問は、与件文のどこを見たらこの論点だと気づけるか、でした。講師は、いくつかのサインを挙げます。大きく分けると、逆機能のサイン、強い文化のサイン、形成要因のサインです。

過去の成功体験に縛られる昔のやり方から抜け出せない保守化・固定化(逆機能のサイン)社員の考え方が画一的新しい発想が出てこない組織の画一化(逆機能のサイン)創業以来の一体感価値観が共有されている強い文化のサインプラスにもマイナスにも部署が物理的に近い似た経歴・帰属意識が高い形成要因のサイン文化をつくる側の記述
与件文の記述を見たら、どのサインかを考えます。

まず逆機能のサインです。「過去の成功体験に縛られている」「昔のやり方から抜け出せない」という記述が出たら、保守化・固定化という逆機能のサインです。聞き手は「過去にうまくいった方法にこだわり続けている、という書き方ですね」と受けています。

講師は、ここで厄介な点を付け加えます。頭では変化の必要性を分かっていても、実際の行動に移せないという形で表れる、ということです。危機感はあるのに、動けない状態です。聞き手が「分かっているのに動けない、というのがポイントなんですね」と確認し、講師は「そうです」と答えています。

もう一つの逆機能のサインは、「社員の考え方が画一的」「新しい発想が出てこない」という記述です。これは、組織の画一化のサインになります。

一方で、プラスに見える記述もありますよね。

あります。「創業以来の一体感」「価値観が共有されている」という記述は、組織文化が強く形成されているサインです。ただしこれは、プラスにもマイナスにも働く、という点に注意が必要です。

強い一体感が、そのまま良いこととは限らないんですね。

その通りです。

聞き手が冒頭で悩んでいた「一体感がある」という記述は、まさにここに当たります。プラスに見える記述でも、変革の場面では障害になりうる。この見方が、この論点の入口です。

三つ目が形成要因のサインです。講師は、「部署が物理的に近い」「メンバーが似た経歴」「帰属意識が高い」という記述が出たら、組織文化を形成する要因そのものが働いているサインとして読む、と言います。

一つの記述からでも、複数のサインを同時に読み取れる場合があるんですね。

あります。だからこそ、一つの記述を見つけたら、それが逆機能のサインなのか、形成要因のサインなのか、両方の可能性を考えるくせをつけるといいですよ。

枠組みは「逆機能」と「形成要因」の二面

サインに気づいたら、次は整理です。この論点をどんな枠組みで考えればいいかと聞かれた講師は、組織文化は「逆機能」と「形成要因」の二面で捉えると答えます。まず逆機能から見ていきます。

逆機能は2つ

① 保守化・固定化過去の成功体験に依存必要性は分かっても行動が困難に② 組織の画一化多くの社員が同じ考え方になり新しい発想・実践が阻害変化の必要性を認識しても新しい発想・行動が生まれにくい
逆機能は2つ。どちらも「変われない」状態につながります。

一つ目は保守化と固定化です。過去の成功体験に依存して、変化の必要性を認識できても、実際の行動が困難になってしまうことです。聞き手は「頭では分かっていても、体が動かない、という感じですか」と言い、講師は「まさにそのイメージです」と応じています。

二つ目は組織の画一化です。多くの社員が同じ考え方になってしまい、新しい発想や実践が阻害されることです。

たとえるなら、長年同じ道を歩き続けてきた集団が、新しい道を示されても、みんな同じ方向にしか足が向かない、という感じですか。

いいたとえですね、まさにそういう状態です。

聞き手のこのたとえは、2つの逆機能を一度に表しています。長年歩いた道に足が向くのが保守化・固定化、みんな同じ方向にしか向かないのが画一化です。

形成要因は5つ

次に形成要因です。講師は、これは五つあると言います。近接性、同質性、相互依存性、コミュニケーション・ネットワーク、そして帰属意識の高揚です。それぞれの意味は、動画では次のように説明されています。

形成要因意味
近接性成員が物理的に近くにいること
同質性成員同士が似ていること
相互依存性互いに依存し合う関係にあること
コミュニケーション・ネットワーク情報の経路が形成されていること
帰属意識の高揚ロイヤルティを高める機会が設けられていること

聞き手は「五つも要因があると覚えるのが大変そうですが」と心配します。講師が勧める整理は、三つのグループに分けるイメージです。

物理的・構造的な近さ近接性相互依存性人と人のつながり方同質性コミュニケーション・ネットワーク心理的な結びつき帰属意識の高揚
5つの要因は、3つのグループで覚えます。
  • 近接性と相互依存性:物理的・構造的な近さ
  • 同質性とコミュニケーション・ネットワーク:人と人のつながり方
  • 帰属意識の高揚:心理的な結びつき

先ほどの与件文のサインも、この五つに結びつけて読めます。「部署が物理的に近い」は近接性、「メンバーが似た経歴」は同質性、「帰属意識が高い」は帰属意識の高揚、というように、記述を形成要因の言葉に置き換えて読むわけです。

逆機能と形成要因は表裏一体

聞き手は、ここまでの内容をこう整理しました。今ある文化が変革の障害になっているなら逆機能で診断して、望ましい文化を根付かせたいなら形成要因を操作する、という使い分けですね、と。

講師は、この2つが表裏一体の関係にあると補います。同じ同質性や一体感が、平時には結束力という強みになり、変革が必要な局面では抜け出しにくさという弱みに転じる、というだけの話だと言います。

同じ同質性・一体感(性質そのものは同じ)平時結束力という強み変革が必要な局面抜け出しにくさという弱み良い悪いではなく、局面で意味が変わる
性質は同じでも、置かれた局面で強みにも弱みにもなります。

良い悪いではなく、今その組織が置かれている局面によって、同じ性質の意味が変わる、ということですね。

その通りです。目的に応じてどちらの枠組みを使うかを切り替えるのが、この論点の使い方の核心です。

つまり、組織文化そのものに正解の良し悪しがあるわけではありません。問われている局面が「変革が必要な場面」なら、強みに見えたものが障害として見えてくる。この切り替えができるかどうかが、答案の差になります。

答案の書き方:診断と打ち手の2段階

いよいよ解答への落とし込みです。聞き手が「実際に解答へ落とし込むときは、どう書けばいいですか」と聞くと、講師は設問の聞き方に応じた型を示します。

逆機能を問われたら

逆機能を問われたら、保守化・固定化と画一化の両方を診断する型で書きます。講師が示した型は次の通りです。

逆機能を診断する型(動画の例)

「過去の成功体験への依存による保守化・固定化と、価値観の画一化により、変化の必要性を認識しても新しい発想・行動が生まれにくくなっている」

二つの逆機能を一文に収め、最後に「変化の必要性を認識しても、新しい発想・行動が生まれにくい」という結果までつなげているのがポイントです。

活性化・変革を助言する設問なら

聞き手は「活性化や変革を助言する設問だったら、どう書きますか」と続けます。講師は、まず既存文化のどこが変化の障害になっているかを一文で示し、そのうえで具体的な打ち手につなげる、という流れが基本だと言います。聞き手は「診断と打ち手、この二段階で書くんですね」と確認しています。

① 診断(逆機能)既存文化のどこが変化の障害かを一文で示す② 打ち手(形成要因)5つの形成要因のどれを動かすかを具体的に示す既存の強みは壊さない
診断と打ち手の2段階で書き、強みは残します。

診断から打ち手までの型(動画の例)

「外部人材の登用や多様な人材の交流により同質性を崩し、部門横断のコミュニケーションの場づくりと、新しい価値観の共有機会の設定により、望ましい組織文化への変革を図る」

この例文は、形成要因を逆手に取って打ち手にしています。講師は、同質性を崩す、コミュニケーション経路を新しく作る、帰属意識を新しい方向に向ける、といった形で、五つの形成要因のどれを動かすかを具体的に示すのがポイントだと言います。例文の部分を形成要因に対応させると、次のようになります。

動かす形成要因例文の打ち手
同質性外部人材の登用、多様な人材の交流
コミュニケーション・ネットワーク部門横断のコミュニケーションの場づくり
帰属意識の高揚新しい価値観の共有機会の設定

五つの形成要因を、そのまま打ち手のチェックリストとして使えばいいんですね。

その通りです。逆機能で診断して終わりにせず、必ず形成要因のどれかを動かす打ち手までセットで書く、という意識を持っておくといいですよ。

やりがちな誤答は3つ

聞き手が次に頼んだのは、この論点でやりがちな誤答でした。講師が挙げたのは3パターンです。

1つ目は、組織文化を良いものとしか捉えないことです。強い文化が変革を妨げる逆機能を見落としてしまうパターンで、一番多いと講師は言います。聞き手が「一体感や価値観の共有を、無条件に良いこととして書いてしまう、ということですか」と確認し、講師は「そうです」と答えています。

2つ目は、既存文化を全否定してしまうことです。変革の局面で、一体感や強みの源泉というプラス面まで壊す提案をしてしまうパターンです。講師は、既存の文化がその会社の強みの源泉になっている場合も多いので、変革が必要な部分と、残すべき部分を切り分ける視点が欠かせないと言います。

全部変える、ではなく、動かす部分を見極める、ということですね。

はい、既存の強みは残しつつ、障害になっている部分だけを動かす、というバランスが必要です。

3つ目は、「文化を変える」とだけ書いてしまうことです。形成要因のどれをどう動かすかという具体的な打ち手に落とし込めていないパターンです。聞き手は「近接性や同質性など、五つのうちどれを動かすのか、具体的に書けていない、ということですね」と整理し、講師は「その通りです」と答えています。抽象的な提案で終わらせず、形成要因のどれに手を打つのかまで書けるかどうかで、答案の説得力が変わる、と講師は言います。

誤答足りないこと
良いものとしか捉えない強い文化の逆機能の視点
全否定する残すべき強みの切り分け
「文化を変える」で終わる動かす形成要因の具体化

原因の見立てと打ち手を、必ずセットで書くようにします。

それが、この論点で点を落とさないための基本です。

答案を書く前に確認すること

  • 与件文の記述は、逆機能のサインか、形成要因のサインか(両方の可能性も考える)
  • 「一体感」「価値観の共有」を、変革の局面でも無条件に良いものとして書いていないか
  • 診断だけで終わらず、動かす形成要因まで書いたか
  • 既存の強みを壊す提案になっていないか

本番のチェックポイント3つ

動画の最後に、講師は本番でこの論点を使うときのチェックポイントをまとめます。

  • 一つ目:与件文の記述が、逆機能のサインなのか、形成要因のサインなのかを見分けること。
  • 二つ目:逆機能を問われたら、保守化・固定化と画一化の両方を診断すること。
  • 三つ目:打ち手を書くときは、五つの形成要因のどれを動かすかまで具体化し、既存文化の強みは壊さないバランスを意識すること。

逆機能と形成要因、その両輪で組織文化を扱えるようにします。

それができれば、この論点はもう本番で怖くありません。

まとめ

動画の整理

  • 組織文化は、「変革が進まない原因」「新しい取り組みが定着しない理由と対応」といった形で問われ、診断から打ち手まで書く
  • 与件文のサインは3系統:過去の成功体験・画一的といった逆機能のサイン、一体感・価値観の共有といった強い文化のサイン、近接・同質・帰属意識といった形成要因のサイン
  • 逆機能は2つ:保守化・固定化、組織の画一化。変化の必要性を認識しても、行動や新しい発想が生まれない
  • 形成要因は5つ:近接性、同質性、相互依存性、コミュニケーション・ネットワーク、帰属意識の高揚
  • 逆機能と形成要因は表裏一体。局面によって同じ性質が強みにも弱みにもなる
  • 答案は診断と打ち手の2段階。形成要因のどれを動かすかまで書き、既存の強みは残す

動画の最後に、聞き手は「ありがとうございます、整理できました」と話しています。1次で知識として持っている組織文化を、2次では「サインを読み、逆機能で診断し、形成要因で打ち手を書く」という手順に変える。これが、この動画の言いたいことです。まず動画を聞いて、与件文のサインから答案の型まで、流れをつかんでおきましょう。

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