聞き流しラボby KUFUYA
社会保険労務士試験

重要論点を、毎日少しずつ。

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社労士 聞き流しラボ

国民年金法の総則(調整期間・用語の定義・日本年金機構)

国民年金法 001 総則 Part214分30秒2026年8月21日公開

家計簿をつけていて「このままだと赤字が続きそう」と気づいたら、どうしますか。動画はこんな問いから始まります。国民年金の財政にも、赤字になりそうなら先に手を打っておく仕組みがあります。このページでは、その「調整期間」と、試験で何度も使う用語の定義、日本年金機構と権限の委任を図でまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

3行でいうと

  • 財政のバランスが保てない見込みのときは、調整期間を設けて年金額(付加年金を除く)を抑えめに改定します。開始年度も終了年度も政令で定めます。
  • 保険料納付済期間には、第1号で保険料を納めた期間などに加えて、第2号・第3号の期間も入ります。保険料免除期間は全額・4分の3・半額・4分の1の4種類です。
  • 実際の事務は日本年金機構が行い、厚生労働大臣の権限は地方厚生局長、さらに地方厚生支局長に委任できます。

調整期間:赤字になる前に手を打つ仕組み

政府は少なくとも5年ごとに、国民年金の財政の「現況及び見通し」を作ります。その際、必要な積立金を持ちながらも、おおむね100年間の財政均衡期間を通して収支のバランスが保てないと見込まれるときは、年金の給付額を調整します。この調整をする期間が調整期間です(16条の2)。

財政均衡期間(おおむね100年)の収支が保てない見込み調整期間(給付額を抑えめに改定)平成17年度制度上の開始平成27年度初めて実際に調整終了年度政令で定める調整期間中は、財政の見通しを作るたびに終了年度の見通しも作成・公表します
開始も終了も政令で決まります。付加年金は調整の対象外です。

調整といっても、年金額を減らすわけではなく、本来の改定よりも抑えめに改定するということです。この仕組みは一般にマクロ経済スライドと呼ばれます。対象は年金たる給付の額で、付加年金は除かれます。

調整期間の開始年度は法律ではなく政令で定められていて、制度上は平成17年度から始まっています。ただ、実際に調整が行われたのは平成27年度が最初です。調整が不要になれば、その終了年度も政令で定めます。また、調整期間中に財政の見通しを作るときは、調整期間の終了年度の見通しもあわせて作り、公表しなければなりません。

政令で決まるということは、法律には具体的な年度が書かれていないんですか?

そうです。法律には「政令で定める年度から」とだけあり、平成17年度という具体的な年度は政令のほうに書かれています。

なお、2025年(令和7年)の年金制度改正法の附則には、国民年金と厚生年金の調整期間の見通しに大きな差があり、老齢基礎年金の水準が下がる見込みのときは、両方の調整を同時に終わらせるための法制上の措置をとる、という規定が置かれました。改正法の公布後に最初に作られる財政の見通し(次の財政検証。2029年の予定)の結果を受けて判断する、という先の話です。

用語の定義:試験で何度も使うことば

政府及び実施機関

「政府及び実施機関」とは、厚生年金保険の実施者である政府と、実施機関である共済組合等をまとめた言い方です。共済組合等とは、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団の3つを指します。

保険料納付済期間

保険料納付済期間(4つを合算)第1号:保険料を納めた期間督促・滞納処分で徴収された分も含む第1号:産前産後の免除期間2026年10月からは育児期間の免除も第2号の期間20歳前・60歳以後は老齢基礎年金では合算対象期間第3号の期間原則としてすべて保険料納付済期間
第2号・第3号の人は自分で国民年金の保険料を払いませんが、その期間は納付済期間に入ります。

第1号の期間のうち、保険料を納めた期間が中心です。督促や滞納処分で徴収された保険料も「納めた」に含みます。一方、4分の3・半額・4分の1の一部免除を受けて残りの額を納めた期間は、納付済期間ではなく、次に見る保険料免除期間のほうに入ります。

産前産後の期間に保険料が免除された期間も、保険料納付済期間です。さらに、動画では扱っていませんが、2026年10月からは子を養育する第1号被保険者の保険料を一定期間(原則として子が1歳になるころまで)納めなくてよい仕組み(88条の3)が始まり、この期間も保険料納付済期間に入ります。

第2号・第3号の期間は、原則としてすべて保険料納付済期間です。ただし、第2号の期間のうち20歳前と60歳以後の期間は、老齢基礎年金については保険料納付済期間ではなく合算対象期間として扱われます。

保険料免除期間

保険料免除期間は、保険料全額免除期間・4分の3免除期間・半額免除期間・4分の1免除期間の4つを合算した期間です。いずれも第1号被保険者の期間についての話です。全額免除期間には、法定免除、申請による全額免除、学生納付特例の期間が入ります(改正法の附則で定める納付猶予制度の期間も全額免除期間に入ります。ただし学生納付特例と同じく、年金額には反映されません)。あとから追納した期間は、納付済期間の側に移るので免除期間から除かれます。

自分で納める免除全額免除納付 04分の3免除納付 1/4半額免除納付 1/24分の1免除納付 3/4
名前の割合は「免除される分」。4分の3免除なら、納めるのは4分の1です。

4分の3免除なのに、納めるのは4分の1なんですね。名前と逆みたいで混乱しそうです。

名前の割合は「免除される分」です。4分の3免除なら自分で4分の1、4分の1免除なら自分で4分の3を納めます。ここはひっかけの定番ですよ。

配偶者・夫・妻

国民年金法でいう配偶者・夫・妻には、婚姻の届出をしていなくても、事実上婚姻関係と同じ事情にある人(いわゆる事実婚)も含まれます。

日本年金機構と権限の委任

日本年金機構は、社会保険庁の廃止と同時に、平成22年1月1日に設立されました。国民年金の実際の事務は、厚生労働大臣が機構に行わせることになっています(109条の4)。第3号被保険者の認定、届出や裁定請求などの受理、保険料の徴収や滞納処分など、窓口の仕事の多くを機構が担います。

厚生労働大臣権限を委任地方厚生局長さらに委任地方厚生支局長日本年金機構事務を行わせる第3号の認定届出・請求の受理保険料の徴収滞納処分 など委任の対象外:財務大臣への委任に関する権限と国民年金基金(第10章)に関する権限
権限は「大臣→地方厚生局長→地方厚生支局長」と下りていきます。実際の事務は日本年金機構が担います。

一方、厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより地方厚生局長に委任でき、地方厚生局長に委任された権限は、さらに地方厚生支局長に委任できます(109条の9)。ただし、財務大臣への権限の委任に関する権限と、国民年金基金(第10章)に関する権限は委任の対象外です。

たとえば

会社でいえば、社長(厚生労働大臣)の決裁権の一部を支店長(地方厚生局長)、さらに営業所長(地方厚生支局長)へ任せていく一方、日々の窓口業務は専門の子会社(日本年金機構)に任せている、という形です。

まとめ

  • 調整期間は、財政均衡期間の収支が保てない見込みのときに年金額(付加年金を除く)を抑える期間。開始・終了の年度は政令で定めます。
  • 保険料納付済期間には、第2号・第3号の期間も入る。ただし第2号の20歳前・60歳以後は、老齢基礎年金では合算対象期間です。
  • 日本年金機構が事務を担い、大臣の権限は地方厚生局長→地方厚生支局長へ委任できます。

試験ではここに注目

  • 調整の対象から付加年金は除かれる。開始年度・終了年度は政令で定めます。
  • 一部免除で残りを納めた期間は免除期間。督促・滞納処分で徴収された期間は納付済期間。
  • 4分の3免除=納付4分の1、4分の1免除=納付4分の3。
  • 保険料免除期間は第1号の期間だけ。追納した期間は除かれます。
  • 権限の委任の対象外は、財務大臣への委任に関する権限と国民年金基金(第10章)の権限。

用語の定義は、このあと学ぶ給付の要件の土台になります。とくに「納付済期間」と「免除期間」の境目は正確に覚えておきましょう。

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