聞き流しラボby KUFUYA
社会保険労務士試験

重要論点を、毎日少しずつ。

労働基準法から国民年金法まで、社労士試験の重要論点を講義動画で解説しています。過去問は1問を1本の動画で解説します。

科目別の講義動画過去問を1問1本
社労士 聞き流しラボ

国民年金の任意加入被保険者(3つのタイプと要件)

国民年金法 007 被保険者 Part213分1秒2026年8月21日公開

「あなたはこの制度には入れません」と言われたら、どうしますか。動画はこんな問いから始まります。国民年金では、強制加入の条件から外れた人でも、自分から申し出れば加入できる道が用意されています。それが任意加入被保険者です。このページでは、3つのタイプの要件の違いと、「人」と「期間」を分けて覚えるみなし規定を図でまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

3行でいうと

  • 任意加入被保険者は、強制被保険者に当たらない人が、厚生労働大臣への申出によって加入する被保険者です(附則5条)。
  • 国内に住む人向けの2タイプ(①20歳以上60歳未満で老齢給付等を受けられる人、②60歳以上65歳未満の人)と、海外に住む日本国籍の人など向けのタイプ(③20歳以上65歳未満)があります。
  • 付加保険料では「人」を第1号とみなし、寡婦年金・死亡一時金・脱退一時金では「期間」を第1号の期間とみなします。

任意加入は「強制から外れた人」の入り口

前回見たとおり、国民年金の強制被保険者には住所や年齢などの要件があります。そこから外れると、年金を受け取るのに必要な期間が足りなくなったり、年金額が少なくなったりするおそれがあります。そこで、強制被保険者でない人が自分で申し出て加入できるようにしたのが任意加入の制度です。

対象はあくまで「強制被保険者でない人」です。第2号や第3号に当たる人は任意加入できませんし、第1号に当たる人はすでに強制的に加入しているので、任意加入の出番はありません。申出をすると、原則としてその申出をした日に被保険者の資格を取得します。

第3号の人が「自分でも保険料を払いたい」と任意加入することはできますか?

できません。任意加入は、強制被保険者にならない人のための制度です。第3号の人は、すでに国民年金に加入しています。

3つのタイプ

(参考)第1号被保険者国内に住む20歳以上60歳未満日本に住んでいる人① 老齢給付等を受けられる人②海外に住む日本国籍の人など③ 国内に住所がない人65歳からは特例の任意加入(次の講義)20歳60歳65歳70歳
①から②へは60歳でつながります。③は20歳から65歳未満まで、幅が広いのが特徴です。

① 国内に住む20歳以上60歳未満で、老齢給付等を受けられる人

年齢も住所も第1号の条件を満たしているのに、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができるという理由で第1号から外された人です。前回の「第1号から除かれる人」が、ここで任意加入の道を得るわけです。

② 国内に住む60歳以上65歳未満の人

60歳になると第1号からは外れます。それでも、老齢基礎年金を受け取るための期間が足りない人や、年金額を増やしたい人は、65歳になるまで任意加入できます。

たとえば

①と②は、リレーのバトンのような関係です。20歳から60歳の手前までが①、60歳でバトンを受け取って65歳の手前まで走るのが②。年齢の区切りがちょうどつながっています。

①と②には、「法律を適用しない特別な理由がある人」として厚生労働省令で定める人を除く、という規定があります。

③ 国内に住所がない20歳以上65歳未満の日本国籍の人など

日本国籍を有する人(その他政令で定める人)で、日本国内に住所がない20歳以上65歳未満の人です。海外で暮らしていても、日本の国民年金とのつながりを保てるようにした仕組みです。③には、①②のような省令による除外の規定がありません。

たとえば

引っ越しても、携帯電話の番号をそのまま使い続けられるようなものです。住む場所が海外に移っても、日本の年金とのつながりを手放さずにすみます。

国内居住型と国籍型を比べる

国内居住型国籍型①②③国内の住所必要必要不要国籍問わない問わない日本国籍など年齢20歳以上60歳未満60歳以上65歳未満20歳以上65歳未満省令による除外ありありなし口座振替の申出必要必要不要
③だけ「住所より国籍」。省令の除外も口座振替の申出も、③にはありません。

①②は「日本に住んでいること」が条件で、国籍は問いません。これに対して③は「日本国籍など」が条件で、住所が国内にないことが前提です。①②を国内居住型、③を国籍型と呼び分けると覚えやすくなります。①と②の違いは年齢の範囲だけなので、同じグループとして扱ってかまいません。

口座振替での納付の申出

①②の人は、任意加入の申出をするときに、保険料を口座振替で納めることを希望する旨(または、口座振替によらない正当な事由があるときはその旨)を、厚生労働大臣に申し出なければなりません。③の人には、この申出の規定がありません。

③だけ、別扱いが続きますね。

そうなんです。省令による除外がないのも③、口座振替の申出が求められないのも③。「③は例外が続く」とまとめて覚えておくと、ひっかけに強くなりますよ。

みなし規定:「人」と「期間」を分けて覚える

任意加入被保険者は第1号被保険者そのものではありませんが、いくつかの場面では第1号と同じように扱われます。このとき、何をみなすのかが場面によって違います。

「人」をみなす任意加入被保険者を第1号被保険者とみなす「期間」をみなす任意加入の期間を第1号の期間とみなす付加保険料を納められる寡婦年金死亡一時金脱退一時金
付加保険料は「人」、寡婦年金・死亡一時金・脱退一時金は「期間」。みなす対象が違います。

付加保険料の納付については、任意加入被保険者という人を第1号被保険者とみなします。一方、寡婦年金・死亡一時金・脱退一時金の規定では、任意加入していた期間を第1号被保険者としての期間とみなします。給付の中身はこの先の単元で学ぶので、ここでは「人」か「期間」かの違いを押さえておきましょう。なお、任意加入中に保険料を納めた期間は、保険料納付済期間にも入ります。

ちなみに、65歳になっても老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない人のためには、65歳以上70歳未満の特例による任意加入という別の制度があります(対象は昭和50年4月1日以前に生まれた人。2025年6月施行の改正で対象が広がりました)。こちらは次の講義で扱います。

まとめ

  • 任意加入は、強制被保険者に当たらない人が厚生労働大臣に申し出て加入する制度。第2号・第3号の人は対象外です。
  • ①②は国内居住型(国籍は問わない)、③は国籍型(国内に住所がない日本国籍の人など)。年齢は①20〜60歳未満、②60〜65歳未満、③20〜65歳未満。
  • 付加保険料は「人」を、寡婦年金・死亡一時金・脱退一時金は「期間」を第1号とみなします。

試験ではここに注目

  • ③だけ国籍要件があり、国内居住要件がない。①②は逆に、国内居住要件があり国籍は問いません。
  • ③の年齢は20歳以上65歳未満。①(60歳未満)と②(60歳以上)を足した幅です。
  • 省令による除外と口座振替の申出は①②だけ。③にはありません。
  • みなし規定は、付加保険料=人、寡婦年金・死亡一時金・脱退一時金=期間。
  • 任意加入被保険者には、保険料の免除の規定は適用されません(附則5条10項)。

3つのタイプを表で横に並べ、「③だけ違う所」を拾っていくのが得点への近道です。

NEXT

続けて聞く