聞き流しラボby KUFUYA
社会保険労務士試験

重要論点を、毎日少しずつ。

労働基準法から国民年金法まで、社労士試験の重要論点を講義動画で解説しています。過去問は1問を1本の動画で解説します。

科目別の講義動画過去問を1問1本
社労士 聞き流しラボ

年次有給休暇の比例付与とは?週1日のパートでも有給がもらえる仕組み

労働基準法 058 年次有給休暇 Part39分34秒2026年7月5日公開

「週に2日とか3日だけ働くパートタイマーやアルバイトの人は、有給休暇ってもらえないと思いますか?」。動画はこんな素朴な疑問から始まります。前回は、フルタイムで働く人が半年働いて8割以上出勤すれば10日もらえるという基本のルールを学びました。今回はその応用編で、働く日数が少ない人の有給休暇のもらい方を扱います。このページでは動画の流れにそって、比例付与の対象、日数、出勤率のルールをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

3行でいうと

  • 働く日数が少ない人にも有給休暇はあります。働く日数に比例して日数が減る仕組みが比例付与です。
  • 対象は、週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下の人(週で数えない場合は年216日以下)です。
  • もらえる日数は比例しても、出勤率8割以上という条件はフルタイムの人と同じです。

週2日・3日のパートさんにも有給休暇はある?

前回の復習です。雇い入れから6か月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には、10労働日の年次有給休暇が与えられます(労働基準法39条1項)。ところが、これは週5日ほどフルタイムで働く人を想定した数字です。週に2日、3日しか働かない人にも、同じ10日をあげなければならないのでしょうか。かといって、「日数が少ないからゼロ」では不公平ですよね。

そこで用意されているのが比例付与です。働く日数や時間に応じて、有給休暇の日数を調整する仕組みで(39条3項)、フルタイムの人と全く同じではないけれど、ちゃんと公平にもらえるようになっています。

たとえば

スマホゲームのログインボーナスに似ています。毎日ログインするヘビーユーザーには豪華なボーナスがあり、週に2〜3回しかログインしないライトユーザーにも、ささやかなボーナスがありますよね。ログイン日数に応じてボーナスが変わるように、働く日数に応じて有給休暇の日数が変わるのが比例付与です。

比例付与の対象になる人は?

大事なのは2つの条件を両方満たすことです。

  • 週の所定労働時間が30時間未満であること(施行規則24条の3第1項)
  • 週の所定労働日数が4日以下であること(施行規則24条の3第4項)

所定労働時間とは、会社と契約で決めた「この時間働きます」という時間のことで、残業は含みません。いわゆる定時のイメージです。その定時が週30時間に届かない人が、まず対象の候補になります。1日8時間勤務なら、週4日で32時間になって30時間を超えてしまいますね。

比例付与の対象 = 次の両方を満たす人週の所定労働時間が30時間未満かつ 週の所定労働日数が4日以下働き方週30時間結果週4日・週28時間未満比例付与週4日・週32時間以上通常の10日週5日・週20時間未満通常の10日日数が4日以下でも週30時間以上、時間が短くても週5日なら対象外です
時間と日数の両方を満たしたときだけ比例付与になります。どちらか片方が外れると通常の10日です。

だから、1日の労働時間が短くても、契約上週5日勤務なら日数の基準で対象外です。この場合は原則どおり、6か月継続勤務・8割出勤で10日が与えられます。

週4日で1日8時間働いている人は、比例付与ですか?

週4日でも、週の所定労働時間が32時間なら30時間以上なので、比例付与にはなりません。通常どおり10日です。「時間」と「日数」の両方を見るのがコツです。

週で日数が決まっていない働き方は年216日で見る

シフト制などで、週の所定労働日数がはっきりしない働き方もあります。その場合は、日数の基準の代わりに1年間の所定労働日数が216日以下かどうかで判定します(施行規則24条の3第5項)。あくまで、日数が特定できない場合の例外的な基準です。

ここまでをまとめると、比例付与の対象は「週30時間未満で、週4日以下(決まっていなければ年216日以下)」の人です。

実際にもらえる日数は?

では、何日もらえるのでしょうか。原則は、週5日以上働く人が半年後に10日でした。週4日の人は、半年働いて8割以上出勤すれば7日です。「比例だから8日くらい?」と思いがちですが、7日と法令(施行規則の表)で決まっています。週1日の人でも1日もらえます。週の日数ごとに、半年後の日数は次のとおりです。

  • 週4日:7日(年の日数なら169日〜216日)
  • 週3日:5日(121日〜168日)
  • 週2日:3日(73日〜120日)
  • 週1日:1日(48日〜72日)
継続勤務期間(年)働く日数半年1.52.53.54.55.56.5〜週5日以上10111214161820週4日78910121315週3日566891011週2日3445667週1日1222333表の数字は付与される日数(1日単位)
黄色は動画の例(週4日は7日から8日へ、週1日は1日から)。日数は勤続とともに増えます。

なお、動画の中で「週3日なら1日」と言っている箇所がありますが、これは言い間違いです。正しくは、週3日は半年で5日(上の表のとおり)です。

この日数も、勤続年数が長くなるほど増えていきます。原則の仕組みと同じです。たとえば週4日勤務の人が1年半働くと、7日から8日に増えます。長く働くメリットもちゃんとあるわけです。ゲームでいえば、ログイン日数が少ない人でも、1か月、2か月と続けるうちにボーナスが少しずつ豪華になっていく「継続ボーナス」のようなものですね。

なお、この表の日数は、通常の労働者の週所定労働日数(5.2日)との比率をもとに決められたものです(施行規則24条の3第2項・第3項)。試験では表の暗記までは求められにくいので、「週4日は半年で7日、週1日は半年で1日」といった端の数字と、比例付与の仕組みを押さえておけば十分です。

たとえば

週4日勤務のAさんが、入社して半年間、8割以上出勤したとします。Aさんはフルタイムの人の10日ではなく7日の有給休暇をもらえます。1年半たって、また8割以上出勤していれば8日です。

出勤率8割のルールは全員共通

動画で「ここがすっごく大事なポイント」と強調されていたのが出勤率です。有給休暇をもらうには、全労働日の8割以上出勤する必要がありました。この要件は、比例付与の人にも適用されます。

週1日勤務の人でも、決められた出勤日の8割以上は出勤していないと、有給休暇は発生しません。たとえば、働く日が全部で50日なら、そのうち40日以上の出勤が必要です。「働く日数が少ないから免除」にはなりません。

例:週1日勤務で、働く日が全部で50日あったら40日以上 出勤欠勤10日全労働日の8割以上(40÷50)付与日数比例して変わる出勤率8割全員共通
日数は比例、出勤率8割は共通。ここが試験の狙いどころです。

付与される日数は比例して少なくなるのに、出勤率の基準もゆるくなるんですか?

いいえ、出勤率は同じ8割です。付与される日数は違っても、出勤率の基準はフルタイムの人もパートタイムの人も共通なので、そこを混同しないようにしましょう。

もう一つ大事な補足:年5日の取得義務

動画にはありませんが、関連して覚えておきたい点があります。使用者は、年次有給休暇が10日以上与えられる労働者に対して、そのうち5日を、基準日から1年以内に、時季を定めて取得させなければなりません(39条7項)。比例付与の人でも、付与日数が10日以上になる場合、たとえば週4日で勤続3年半以上、週3日で勤続5年半以上の人には、この義務が及びます。逆に、付与日数が10日未満の人は対象外です。

また、動画の最後で予告があったように、有給休暇を使った日の賃金の計算方法は複数あり、会社が選べます。次回の年次有給休暇 Part4で学びます。

まとめ

  • 働く日数や時間が少ない人には、日数を調整して与える比例付与があります。
  • 対象は週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下(週で決まらなければ年216日以下)の人。
  • 週4日は半年で7日、週1日は半年で1日。勤続年数とともに日数は増える。
  • 出勤率8割以上の要件は、フルタイムの人と共通。

試験ではここに注目

  • 日数は比例、出勤率の要件は共通。「出勤率の要件が緩和される」は誤りです。
  • 対象は週30時間未満かつ週4日以下の両方。週5日勤務なら、時間が短くても対象外で、原則どおり10日です。
  • 週で日数が決まらない場合は年216日以下で判定する。
  • 週30時間という数字は、あとで学ぶ雇用保険でも出てくる大事な数字です。
NEXT

続けて聞く