聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 1次試験

7科目を、聞き流しで一周する。

企業経営理論から中小企業政策まで、1次試験の論点を科目別の講義動画にまとめています。過去問の解説も1問ずつそろえています。

科目別の講義動画過去問完全解説ファイナルペーパーメンバーシップ
診断士 聞き流しラボ

コロケーション・ホスティング・SaaSの違いとは?外注形態を完全比較

経営情報システム 第44回

経営情報システム・経営とIT 00210分4秒2026年4月18日公開

「ちょっと想像してみてほしいんですけど。ある企業が社内にすごいお金をかけて立派なサーバールームを作ったとするじゃないですか。なのに、そのシステムを管理できるたった1人の優秀なIT担当者が、ある日突然やめちゃったと」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、ITアウトソーシングの3つの効果と、コロケーション・ハウジング、ホスティング、ASP・SaaSという委託範囲の違いをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

サーバールームはあるのに、管理できる人がいない

ある企業が、社内に大金をかけて立派なサーバールームを作ったとします。ところが、そのシステムを管理できる優秀なIT担当者は、たった1人だけ。その人がある日突然やめてしまったら、どうなるでしょう。動画は、こんな想像から始まります。ランプが点滅する巨大な箱を前に、残された社員は途方に暮れるしかありません。笑い話のようですが、動画では、実際に多くの企業が陥ってきた罠だと説明されています。

だからこそ、ITを自社だけで抱え込まない方向に企業が向かっている。その入り口が、今回のテーマであるITアウトソーシング、つまりITに関する業務を外部の企業に委託することです。動画は、これを単なる流行ではなく、経営を根本から強くするための戦略として位置づけています。

横文字が多くて頭が痛くなりがちですが、動画の合言葉は「どこからどこまでを相手に任せるのか、その境界線を1つずつ追っていけば論理的に分かる」。このページも、その順番で進めていきます。

なぜ外に出すのか:期待できる3つの効果

まず「なぜ導入するのか」です。用語を暗記するだけでなく、目的と結びつけて覚えるのが大事だと動画は強調します。導入によって見込める効果は、大きく3つ挙げられています。

  • IT人材の不足解消
  • 資金繰りの改善
  • 自社の中核事業へのリソース集中

聞き手も言うとおり、言葉で言うのは簡単でも、具体的にどの形態のどこからその効果が生まれるのかが気になるところです。その答えが、このあとの「委託範囲の違い」にあります。

(補足:動画にない話です。中小企業基盤整備機構のJ-Net21は、アウトソーシングが最初はコスト削減を目的に、情報システムや経理などのバックオフィス分野で広がったと説明しています。現在は中核事業への集中や人材不足の解消など、目的が多様化しているとしています。)

全体像:委託範囲のグラデーション

ITアウトソーシングには、委託する範囲の違いでいくつかの種類があります。動画が委託範囲の狭い順に取り上げるのは、次の3グループです。

ハウジング・コロケーションホスティングASP・SaaS場所提供者の施設提供者側提供者側機器自社が準備所有権も自社提供者が準備所有権は提供者提供者のサーバー運用・保守基本は自社提供者が実施提供者が管理アプリ−−ライセンスは購入しない
動画の説明を整理した図です。黄色は自社側、青は提供者側、−は動画で触れていない部分です。
形態借りるもの運用・保守(動画では)
コロケーション・ハウジング設置場所基本は利用者
ホスティングサーバーそのもの提供者が実施
ASP・SaaSサーバー上のアプリ提供者が管理

動画の最後には、これを「委託範囲のグラデーション」と呼び、右に行くほど任せる範囲が広がって身軽になっていくイメージだ、と整理されます。

(補足:動画にない話です。IPAが公表している試験のシラバスの用語例には、ASP、アウトソーシング、ホスティングサービス、ハウジングサービス、SaaSといった語が並んでいます。ITパスポート試験のシラバスでは、Ver.6.5のPDFで確認しました。ただし、取得した範囲では各語の定義文までは確認できませんでした。)

コロケーションとハウジング:場所だけを借りる

委託範囲がいちばん狭いのが、コロケーションとハウジングです。動画のたとえは、こうです。こだわりの車を持っているけれど、自宅に駐車場がないので、貸しガレージだけを借りる。つまり、借りるのは場所だけです。

貸しガレージ自分の車を置くコロケーション・ハウジングレンタカー貸出中車ごと借りるホスティングタクシー必要なときだけ乗るASP・SaaS
動画のたとえです。借りる範囲が、場所だけ、車ごと、乗る機能だけ、と広がっていきます。

具体的には、サーバーなどを利用者が自分で準備して、サービス提供者の施設内に設置場所を借りる方式です。借りるのはあくまでサーバー機器の保管場所なので、基本的なサーバーの運用は利用者の担当になります。

ちょっと待ってください。それだと、OSのアップデートや深夜のトラブル対応の手間は、自社に残ったままじゃないですか。どうせなら全部任せたほうが楽なのに、なぜわざわざ中途半端なアウトソーシングをするんですか。

そこがポイントでして、利用者が自分で機器を設置するので、機器の選定を自由に行えるんです。

ああ、特殊な機材を使いたい、という要望がある場合ですね。

ええ。自社特有の厳しい要件があって、市販のサーバーでは足りない場合でも、機器の選定も構成も自由自在です。サーバーの所有権も利用者に属します。

つまり、サーバーの完全なコントロール権は自分たちに残したまま、立派なサーバールームを自前で作るコストをかけずに、安全な場所だけを借りるわけです。

では、コロケーションとハウジングは何が違うのか。動画では、サービス提供者から借りる規模の違いだと説明されます。サーバーを置くためのスペース単位で比較的規模が大きいものがコロケーション、ラック単位で比較的規模が小さいものがハウジングです。ラックとは、サーバーを収納する棚のことです。

スペース単位(大)コロケーション広い空間をまとめて借りるラック単位(小)ハウジング棚単位で小さく借りる
動画の整理です。実際のサービス名の使い方は資料により異なります(本文の補足を参照)。

(補足:この区別は、資料によって扱いが異なります。Wikipediaの「ハウジングサービス」は、ハウジングサービスとコロケーションサービスを同じサービスの別名として説明し、現在は通信事業者以外が運営するデータセンターの機器設置サービスも含めて「ハウジング」と総称するのが一般的だとしています。一方、動画のように、スペース単位ならコロケーション、ラック単位ならハウジングと分けて覚える整理もあります。この区別そのものを一次資料で確認することはできませんでした。)

ホスティング:サーバーごと借りる

委託範囲を1段階広げると、場所だけでなく、機器そのものも相手のものを使う段階になります。これがホスティングで、動画によれば「レンタルサーバー」という名前でも知られています。サービス提供者側が準備したサーバーを貸与される形態です。

車のたとえなら、自分で車を買うのをやめて、レンタカーを借りる状態。サーバーの所有権は、利用者ではなくサービス提供者に属します。そして、ここが重要な点として、システムの運用や保守も提供者側で実施されます。

ここでようやく、冒頭の「IT人材の不足解消」につながります。機器の所有権を手放す代わりに、ハードウェアの故障対応のような重労働を、丸ごと相手にお願いできるからです。自社のIT担当者は物理的なマシンの管理から解放されて、自社の中核事業にリソースを集中できるようになります。

動画のたとえ:レンタカー会社に任せる

レンタカー会社が車検やメンテナンスを全部やってくれるから、自分たちは運転して目的地に向かうことだけに集中できる。同じように、ホスティングなら機器の面倒を提供者に任せて、自社のビジネスという目的に向かうことに集中できます。

(補足:Wikipediaの「ホスティングサービス」は、日本ではホスティングサーバーはレンタルサーバーのことだという認識が広がっているものの、本来のホスティングの意味からすると誤った認識だとされる、と書いています。個々のサービスで運用・保守を提供者がどこまで行うかは、資料で確認できませんでした。)

ASPとSaaS:ソフトウェアまで借りる

ここまでは、ハードウェア、つまり箱の話でした。委託範囲はさらに広がり、ついにソフトウェアまで借りる究極の形態になります。それがASPとSaaS(サース)です。動画のたとえでは、レンタカーすら借りずにタクシーに乗る感覚。必要なときに、必要な機能だけを使います。

仕組みとしては、サービス提供者が管理するサーバー上のアプリケーションソフトウェアを使います。最大のポイントは、利用者がソフトウェアのライセンスを購入しないことです。提供者のサーバーにアクセスして、サービスとしてアプリを使い、支払いは使った量や期間に基づく費用を提供者に払います。

(補足:クラウドの定義を示した米国のNIST SP 800-145は、SaaSを、クラウド基盤上で動くプロバイダのアプリケーションを利用する機能と定義しています。そして、ネットワーク、サーバー、OS、ストレージといった基盤を利用者は管理も制御もしない、としています。動画の「提供者が管理するサーバー上のアプリを使う」という説明と、同じ方向の内容です。)

(補足:動画はASPとSaaSをひとまとめに説明していて、両者の違いには触れていません。Wikipediaの「SaaS」は、ASPとSaaSは区別されずに使われることが多いと書いています。そのうえで、一般にSaaSという場合はシングルシステム・マルチテナント方式のものを指すとしています。マルチテナントとは、1つのシステム環境を複数の利用者で共有することです。ただし、これは二次資料の記述で、両者の違いを一次資料で確認することはできませんでした。)

資金繰りが改善するのは、初期投資がいらないから

動画の中盤では、冒頭で保留にされていた疑問が取り上げられます。3つの効果のうち、資金繰りの改善です。ソフトウェアは普通ライセンスを買って使うもの。ASPやSaaSだと、お金の面でどうなるのでしょうか。

使った量や期間に基づく費用を払うということは、ずっと払い続けるわけですよね。最初に買い切ったほうが、長期的には安上がりで、資金繰りにもいいんじゃないですか。

それがですね、自社専用のシステムを買い切りで導入しようとすると、大きな初期投資が一気に発生するんです。数百万円とか数千万円とか。

ああ、最初に手元の現金がごっそりなくなるわけですね。

そうなんです。手元の現金が減れば、新しい事業への投資ができなくなります。それが資金繰りを圧迫する原因なんです。

これに対して、ASPやSaaSのように使った量や期間に基づく費用を払う形なら、その莫大な初期投資がいりません。毎月の少額の経費として処理できるので、手元に現金を残しておける。だから資金繰りの改善につながる、というのが動画の説明です。動画は「ライセンスを購入しないことの財務的なインパクトは非常に大きい」と締めくくります。

(補足:動画にない話です。聞き手の疑問を、自作の設例で数字にしてみます。買い切り型は初期費用が600万円で、毎年の保守費が90万円。SaaS型は年240万円(月20万円)とします。実在の価格ではなく、考え方を見るための数字です。)

  • 1年目の支出:買い切り型は600+90=690万円、SaaS型は240万円。
  • 3年目までの累計:買い切り型870万円、SaaS型720万円。
  • 4年目までの累計:どちらも960万円で並ぶ。
  • 5年目までの累計:買い切り型1,050万円、SaaS型1,200万円。
累計の支出(万円)5001,0001,5000123456利用した年数(年)買い切り型SaaS型4年で並ぶ(960万円)
自作の設例です(実在の価格ではありません)。最初に出ていく現金は、SaaS型のほうが小さくなります。

この設例では、4年を過ぎると総額では買い切り型のほうが少なくなります。つまり聞き手の疑問は、長く使えば当たることもあるわけです。でも、動画の主張は「総額が安くなる」ではありません。最初に手元の現金が大きく減らないこと、つまり資金繰りの話です。1年目だけ見ると、設例では450万円も出ていくお金が違います。Wikipediaの「SaaS」も、長期利用では割高になる可能性を欠点に挙げています。

3つの効果は、どの形態から生まれるのか

ここまでの話を、冒頭の3つの効果に結びつけてみましょう。動画の説明では、ホスティングは運用や保守を提供者に任せられるので、IT人材の不足解消と、中核事業へのリソース集中につながります。ASPとSaaSはライセンスを購入しないので、初期投資がいらず、資金繰りの改善につながります。

IT人材の不足解消中核事業へのリソース集中資金繰りの改善ホスティング運用・保守を任せるASP・SaaSライセンスを買わない
動画の流れを矢印にしました。コロケーション・ハウジングとの対応は動画では述べられていません。

一方、コロケーションとハウジングについては、動画は3つの効果との対応を述べていません。その代わりに強調されているのは、機器の選定も構成も自由で、所有権も利用者に残る、つまり完全なコントロール権を手放さないという性格です。

覚えるときの手がかり(動画の整理)

  • 動画では、スペース単位で比較的大きいものをコロケーション、ラック単位で比較的小さいものをハウジングと整理しています。
  • 動画では、サーバーの所有権は、コロケーション・ハウジングでは利用者、ホスティングでは提供者に属します。
  • 動画では、ASPとSaaSは、ライセンスを購入せず、使った量や期間に基づく費用を払います。
  • ただし、コロケーションとハウジングの区別や、ホスティング・ASP・SaaSの範囲は、資料によって異なる場合があります。問題文の書き方に合わせて読みましょう。

最後の問い:何を外に出してはいけないのか

動画は最後に、考えるための問いを投げかけます。いまや、場所から機器、保守、運用、そしてソフトウェアに至るまで、外部の企業に便利に委託できる時代です。

けれども、だからといって全部を外に出せばいいわけではありません。すべてを外部から調達できる時代に、逆に、絶対に外部に委託してはいけない、自社に残すべき本当の中核部分とは何なのか。動画は、便利に何でも任せられる時代だからこそ、自社の価値の源泉がどこにあるのかを問い直すことが必要かもしれない、と語りかけて終わります。答えは動画では示されません。ご自身でも少し考えてみてください。

まとめ

動画の流れのまとめ

  • ITアウトソーシングは、ITに関する業務を外部企業へ委託すること。期待できる効果は、IT人材の不足解消、資金繰りの改善、中核事業へのリソース集中の3つ。
  • コロケーション・ハウジングは、サーバーを利用者が準備して、設置場所だけを借りる。動画ではスペース単位(大)がコロケーション、ラック単位(小)がハウジング。
  • ホスティングは、提供者が準備したサーバーを借りる。所有権は提供者にあり、運用・保守も提供者側。IT人材の不足解消と中核事業への集中につながる。
  • ASP・SaaSは、ライセンスを購入せず、提供者のサーバー上のアプリをサービスとして使う。初期投資がいらず、資金繰りの改善につながる。
  • 右に行くほど任せる範囲が広がる。ただし全部を外に出せばよいわけではなく、自社に残す中核を考えることが大切。

用語の暗記ではなく、「どこからどこまでを相手に任せるのか」という境界線でとらえると、横文字の混乱がほどけていきます。細かい区別は資料によって違うこともあるので、まず動画の整理で大づかみにつかみ、問題文の表現に合わせて読む。この順番で復習してみてください。

LISTEN

動画で聞く

NEXT

続けて読む