聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 1次試験

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集中から3層アーキテクチャとAPIまで

経営情報システム 第42回

経営情報システム・システム開発 0099分43秒2026年4月14日公開

「スマホでネットショッピングをしていて、購入ボタンをタップした瞬間のことを想像してみてください」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、集中処理と分散処理、クライアントサーバシステムの2層と3層、そしてクライアントとサーバをつなぐWeb APIまでをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

購入ボタンを押した一瞬の裏側

スマホのネットショッピングで、購入ボタンをタップした瞬間を思い出してください。1秒もたたないうちに「注文が完了しました」の画面に切り替わります。動画は、この一瞬の裏側では「誰がどの処理を担当するのか」という緻密な役割分担が、ものすごいスピードで働いている、という話から始まります。

システムの処理方法は、大きく2つのアプローチに分けられます。

  • 集中処理:1つのコンピューターに処理を集中させる。
  • 分散処理:複数のコンピューターに処理を分散させる。

この回は、この2つの違いから出発して、クライアントサーバシステム(2層・3層)を経て、最後にWeb APIという窓口にたどり着く流れです。IPA(情報処理推進機構)の試験シラバスでも、集中処理と分散処理、クライアントサーバシステムは基本の項目として並んでいます。

集中処理:巨大な頭脳にまかせる

集中処理は、ホストコンピューター(またはメインフレーム)と呼ばれる大型のコンピューターが、すべての処理を行う構成です。そこに複数の端末が接続され、端末は基本的に処理をしません。動画の言い方では、巨大な頭脳が1つドーンとあって、手足の端末がたくさんくっついているイメージです。

ホストコンピューター(メインフレーム)処理はすべてここで行う端末端末端末端末端末は基本的に処理をしないホストが故障すると、全端末が使えなくなる
巨大な頭脳が1つあり、手足の端末がぶら下がる構成です。

全部を1つに任せるのは危うい気もしますが、動画はまず、はっきりしたメリットを挙げます。

全部を1つの巨大な頭脳に任せるのって、なんだか危ない気もするんですけど。何かいいことがあるんですか?

あります。全部の情報が1か所に集まるので、データに一貫性があります。システムの管理も一元化できるのが大きなメリットです。

データが矛盾したりバラバラにならないし、管理する人もその1つの頭脳だけ見ていればいい、ということですね。

そういうことです。ただ、デメリットもはっきりしています。

動画が挙げるデメリットは3つです。開発が大規模になるため初期費用が高いこと、ホストが故障すると接続しているすべてのコンピューターが使えなくなる致命的な弱点があること、そして後から大きくしにくい拡張性の低さです。容量が足りないからといって、何億円もする巨大なコンピューターをポンポン買い足すわけにはいかない、と聞き手も納得していました。

(補足:ホストコンピューターは、メインフレーム・汎用機とも呼ばれる大型コンピューターを指す言い方です。Wikipediaによると、もともとは端末の対比語、現在は分散システムの対比語として使われる語で、確認できたのは二次資料です。)

分散処理:手分けして働く

「1台が壊れると全部止まる」という弱点を克服するために生まれたのが、分散処理だと動画は説明します。複数のコンピューターで分散して処理を行う方法です。

最大のメリットは、1台が故障しても影響が限定的なことです。これがリスクの分散です。必要に応じてコンピューターを増やせるので、拡張性が高い点もメリットです。

設例(自作):5台に手分けすると

仮に、同じ能力のコンピューター5台で処理を分担していて、1台が故障したとします。残りの4台が動いていれば、全体の処理能力は4÷5=80%が残ります。1台ですべてを担う集中処理なら、故障した時点で処理能力は0%です。数字は、台数以外の条件を無視した単純な例です。

いいことずくめに見えますが、集中処理のメリットだった部分はどうなるのでしょうか。聞き手が鋭く突っ込みます。

さっきの集中処理のメリットだった部分は、大丈夫なんですか?

鋭いですね。実は、システムの管理が分散されるため、データの一貫性を保つのが難しいのがデメリットなんです。

みんなで手分けして同じデータをいじると、どれが最新の正しい情報なのか分からなくなっちゃいそうですよね。

その調整が非常に難しいんです。

設例(自作):在庫の数がずれる

在庫が10個ある商品を、拠点AとBがそれぞれ自分のコピーを見て同時に1個ずつ販売したとします。正しくは10−1−1=8個のはずですが、AもBも「10−1=9個」と書き込めば、最後の記録は9個になってしまいます。こうしたズレを防ぐ調整が、分散処理の難しさの一例です。

観点集中処理分散処理
データの一貫性保ちやすい保つのが難しい
システム管理一元化できる分散される
故障したとき全体が停止影響は限定的
拡張性低い高い
初期費用高い動画では触れず

分散処理の2つの配置:水平分散と垂直機能分散

動画によると、分散処理には、コンピューターの配置の仕方で2つのアプローチがあります。

  • 水平分散システム:複数のコンピューターが対等な立場にある。
  • 垂直機能分散システム:サービスを提供する側と、サービスを受ける側が分かれている。
水平分散システム垂直機能分散システムPCPCPC対等な立場サーバ提供する側端末端末端末受ける側(クライアント)代表例:クライアントサーバシステムは右側
コンピューターの並べ方で、2つに分かれます。

私たちが普段使っているアプリは、まさに垂直機能分散にあてはまりそうだ、と聞き手は言います。その代表例がクライアントサーバシステムで、コンピューターをサーバとクライアントに分けて役割分担する仕組みです。サービスを提供する側がサーバ、私たちが使う端末側がクライアントです。

(補足:水平分散・垂直機能分散という呼び方と分け方は、動画の整理です。公的資料での定義は確認できていません。ちなみにIPAのITパスポート試験シラバスでは、クライアントサーバシステムは「分散処理方式の一つ」と位置づけられています。)

2層アーキテクチャ:端末が頑張る「ファットクライアント」

クライアントサーバシステムの構成には、さらに2層アーキテクチャと3層アーキテクチャがあります。層は「レイヤー」のことです。

2層アーキテクチャは、処理をクライアントとサーバの2層に分けて行う構成です。シンプルに2つに分けるのですが、主にクライアント側で処理を行うため、端末に負担がかかるという特徴があります。ユーザーの端末が頑張って計算するので、負担が大きいわけです。

クライアント側の処理が重くなることから、これをファットクライアントと呼ぶ場合もあります。ファットは「太った」という意味で、いろいろ詰め込んで重くなったクライアントのイメージです。聞き手は「自分のスマホが太って負担がかかっていると考えると、ちょっと嫌ですね」と笑っていました。

3層アーキテクチャ:役割を3つに分ける

端末の負担を減らすために進化したのが、3層アーキテクチャです。処理をデータベース層・ファンクション層・プレゼンテーション層の3層に分けて行います。

2層3層ファットクライアント画面表示+計算などの処理(負担が重い)サーバ(データ)プレゼンテーション層シンクライアントファンクション層(裏の計算)データベース層(データ管理)端末に負担がかかるクライアント側が軽い
太ったクライアントを、3つの層に分けて身軽にしたのが3層です。

3層に分けると何がうれしいのか。動画はそのメリットを、次のように説明します。

  • 各層の開発を並行して行える:画面の見え方を作るチーム、裏の計算をするチーム、データを管理するチームが、お互い邪魔せず同時に進められる。
  • 各層が独立しているため保守性が高い:一部を直したいときも、他の層に影響が出にくい。
  • クライアント側の処理が軽い:2層のファットクライアントに対して、こちらはシンクライアントと呼ばれる。

シンは「痩せた」というニュアンスで、ファットとの対比が覚えやすい、と動画は紹介しています。

層動画の説明例
プレゼンテーション層画面の見え方を作るWebブラウザ
ファンクション層裏側の計算(処理)アプリケーションサーバ
データベース層データを管理するデータベースサーバ

動画の整理を公的な資料と照らすと

動画は「データベース層」と呼びますが、IPAの基本情報技術者試験シラバス(Ver.9.2)の用語例では「プレゼンテーション層、ファンクション層、データベースアクセス層」と書かれています。診断士の過去問(令和2年度 経営情報システム 第4問)でも、これと同じ3つの名前の記述が正解の選択肢でした。呼び方に少し幅があるので、「画面・処理・データの3つの役割」で覚えておくと混乱しにくくなります。

(補足:動画は3層の軽いクライアントを「シンクライアント」と呼んでいますが、シンクライアントという言葉は、端末側の処理を必要最小限にして、ほとんどの処理をサーバ側に集める方式全般を指すのが一般的です。Wikipediaでは、端末はこれまでのPCのまま、サーバ側に処理を集約する方式も広い意味に含めています(二次資料)。IPAのシラバスにも「シンクライアントシステム」の語があります。3層構成と同じ意味だと決めつけず、「クライアント側が軽い」という共通点でつかんでおくのが安全です。)

Web API:クライアントとサーバをつなぐ窓口

クライアントとサーバがきれいに役割分担できたとして、物理的に離れたシステム同士は、具体的にどうやってやり取りするのでしょうか。そこで登場するのがWeb APIです。動画は、クライアントとサーバの間をつなぐインターフェース、つまり窓口だと説明します。システム同士が会話するための、お問い合わせ窓口のようなものです。

クライアント(Webアプリ)Web API(窓口)サーバ① クライアントがWeb APIへリクエストを送る② Web APIが、取得・登録・更新・削除などを  サーバに指示する③ サーバが指示に基づいて処理する④ 結果がJSONやXMLの形式で  Web APIを通って返ってくる矢印:青=依頼の流れ/黄=結果の流れ
ボタンを押した瞬間に、この往復が一瞬で行われます。

クライアントのWebアプリが、まず窓口にリクエストを送るんですね。お願い事を投げる、と。

するとWeb APIは、その内容に応じて、必要なデータの取得・登録・更新・削除などを行うようサーバに指示を出します。

サーバはそれを受け取って、どうするんですか?

指示に基づいて処理を行い、その結果をJSONやXMLなどのフォーマットで、Web APIを通じてクライアントに返します。

JSONとXMLは、データを受け渡すときの共通のルールみたいなものですか?

はい。決められたフォーマットです。これでユーザーはアプリ上で、操作結果を受け取れます。

つまり、アプリのボタンを押した瞬間にWeb APIという窓口へリクエストが飛び、サーバが処理して、JSONなどの形式で結果が返り、画面に次の表示が出る。動画は、これが全部一瞬で行われていると話します。

(補足:動画は「Web APIがサーバに指示を出す」と説明しますが、窓口とサーバを別の登場人物として描いたのは、役割をつかみやすくするための簡略化と考えられます。実際には、Webサービスの入口としてサーバ側が用意している仕組みです。Wikipediaでも、Web APIはWebサービスとほぼ同義語とされています(二次資料)。)

(補足:JSONはIETFの標準RFC 8259(2017年12月)で、軽量でテキストベース、言語に依存しないデータ交換形式と説明されています。XMLはW3C勧告のXML 1.0(Fifth Edition、2008年11月26日)です。どちらもIPAのITパスポート試験シラバスVer.6.5に用語として載っています。)

まとめ:システムの進化の歴史

動画は最後に、ここまでを「システムの進化の歴史」としてまとめます。巨大な1つの頭脳に頼る集中処理から始まり、役割を分担する分散処理へ。さらに、2層のファットクライアントから、3層のシンクライアントへと細分化されていきました。そして、それらをWeb APIという窓口がスマートに結んでいます。

集中処理1台がすべて担当。止まると全停止分散処理複数台で手分け。1台の故障は限定的2層(ファット)クライアントが処理を抱えて重い3層(シン)3つの層に分担。クライアントは軽いWeb APIその間を窓口でつなぐ
動画が最後にまとめた「進化の歴史」の流れです。
  • 集中処理:ホストが全処理を行う。データの一貫性と管理の一元化が長所。初期費用が高く、故障で全停止し、拡張性が低い。
  • 分散処理:複数台で処理する。故障の影響が限定的で拡張性が高いが、データの一貫性を保つのが難しい。
  • 水平分散と垂直機能分散:対等な関係か、提供側と受ける側に分かれるか。クライアントサーバシステムは後者の代表例。
  • 2層と3層:2層はクライアントが重いファットクライアント。3層は3つの層に分け、各層の並行開発と保守性の高さ、軽いクライアントが長所。
  • Web API:クライアントとサーバをつなぐ窓口。結果はJSONやXMLなどの形式で返る。

次にアプリのボタンをタップするとき、見えない裏側でWeb APIが走り、JSONやXMLの形式でサーバと絶え間なくやり取りしている風景を、少しだけ想像してみてください。

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