なぜサインした雇用契約が法律で無効になるのか
企業経営理論 第42回
「あなたが新しい仕事を見つけて、いざ雇用契約書にサインしようとしている瞬間を想像してみてください。契約書には『1日10時間労働、残業代は基本給に含む、休日出勤あり』と書かれています」。お互いが納得してサインしたのに、その契約が法的に無効になる可能性が高い。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、職場のルールの4段重ね、36協定、就業規則、有期労働契約、均衡待遇・均等待遇までをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
サインしたのに、無効になる契約書
新しい仕事が決まり、雇用契約書にサインする場面を想像してください。契約書には「1日10時間労働、残業代は基本給に含む、休日出勤あり」と書かれています。かなりハードな条件ですが、どうしてもその仕事がやりたくて、納得してサインしました。社長もサインしています。
お互いが完全に合意して署名したのですから、有効な契約だと思いますよね。契約の世界では、双方の合意が大原則だからです。ところが労働法の世界では、このサインのうち法律に反する部分は、合意があっても無効になります。動画は、この不思議な現象の裏にある「層構造」を、パソコンにたとえて説明していきます。
職場のルールは4段重ね
動画のたとえでは、職場のルールはコンピューターの構造に似ています。いちばん下の土台にあって全体の限界を決めるのがハードウェア(法令)。その上で動く基本ソフトがOS(労働協約と就業規則)。そして、いちばん上に乗る個別のアプリの設定画面が個人の労働契約です。
- 法令:労働基準法、労働安全衛生法、民法など。いちばん強いルールです。
- 労働協約:労働組合と会社が結ぶ約束です。
- 就業規則:会社が独自に定める、職場のルールブックです。
- 労働契約:会社(使用者)と働く人(労働者)が、個別に結ぶ約束です。
ここで覚えておくべき大原則は、下のルールは上のルールに絶対に逆らえないということです。個別のアプリの設定でいくら「制限を解除する」にチェックを入れても、ハードウェアの限界を超えて動かすことはできません。条文では、組み合わせごとに次のように定められています。
- 労働契約と法律:労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効で、無効になった部分は法律の基準になります(労働基準法13条)。
- 労働契約と就業規則:就業規則で定める基準に達しない労働契約は、その部分について無効で、就業規則の基準になります(労働契約法12条)。
- 労働契約と労働協約:労働協約の基準に違反する労働契約の部分は無効で、協約の基準になります(労働組合法16条)。
- 就業規則と法令・労働協約:就業規則は法令や労働協約に反してはなりません(労働基準法92条1項)。反する部分は、その法令や協約の適用を受ける労働者との労働契約には適用されません(労働契約法13条)。
冒頭の契約書に戻りましょう。労働基準法32条は、休憩時間を除いて1週間に40時間、1日に8時間を超えて労働させてはならないと定めています。これに反する「1日10時間」という約束は、その分が自動的に無効になり、法律の基準である1日8時間に置き換わります。法律が、絶対的な防護壁になっているわけです。
(補足:動画の言い方を正確にすると、無効になるのは法律の基準に達しない「その部分」だけです。雇用契約書全体が紙切れになるわけではありません。たとえば、賃金の額や勤務地など、法律に反しない条件はそのまま有効です。)
(補足:動画にない話です。「残業代は基本給に含む」という約束(固定残業代)は、それだけで有効になるわけではありません。厚生労働省は、最高裁の判決(医療法人社団康心会事件、平成29年7月7日)を踏まえて、①通常の労働時間の賃金に当たる部分と、割増賃金に当たる部分を判別できること、②割増賃金に当たる部分が法定の計算額を下回るときは、差額を支払うことが必要だとしています。)
労働者に有利な場合だけは、例外
上のルールに反していても、労働者にとって有利になるなら、有効です。労働基準法で定める労働条件の基準は「最低のもの」だからです(同法1条2項)。たとえば、法律が1日8時間までと言っていても、就業規則で「うちは1日7時間で帰っていいですよ」と定めるのは、労働者に有利なので合法です。労働者を守るためなら、下から上に突き抜けてもかまわない、という考え方です。
(補足:動画にない話です。労働協約より有利な個別の約束を認めるかどうか(いわゆる有利原則)は、学説で見解が分かれるとされます。まずは「協約の基準を下回る契約の部分は無効」という点を押さえておくとよいでしょう。)
残業は違法のはずなのに、なぜ当たり前にあるのか
でも、1日8時間以上働いている人は世の中に山ほどいますよね。私も昔、終電まで残業したことがあります。みんな法律という限界を突き破って、違法状態になっているんでしょうか。
原則としては、法律の上限を超える労働は違法で、会社には罰則があります。ただ、繁忙期のように、どうしても終わらない仕事があるのも事実です。そこで法律は、ガチガチの制限をかける一方で、合法的にその制限を解除する特別な仕組みを用意しています。
例外を作るための、パッチプログラムのようなものですね。
それが労使協定です。事業場の労働者の過半数を代表する人(過半数代表者)、あるいは過半数で組織する労働組合と、会社が書面で結びます。その中でもっとも有名なのが、労働基準法36条にもとづく協定、いわゆる36協定(サブロク協定)です。
36協定を正しく結び、行政官庁(労働基準監督署長)に届け出ると、本来なら残業をさせた時点で犯罪として罰せられるところを、罰しなくてよい、という効果が生まれます。これを免罰効果といいます。残業をしてもらう「権利」が新しく生まれるのではなく、残業させても罰則を免れる盾を手に入れる、というロジックです。試験でも実務でも、この本質的な理解が大切です。
試験の注目点:法律の上限を超えたら
労働基準法32条に違反して労働させた場合には、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金という罰則があります(119条1号)。36協定は、この罰則を免れるための手続きだと整理できます。
(補足:動画にない話です。36協定を結んだだけでは、会社が労働者に残業を命じる根拠にはなりません。民事上の残業命令には、就業規則などで「業務上必要があれば残業を命じることがある」という定めが別に必要、というのが最高裁の考え方です(日立製作所武蔵工場事件、平成3年11月28日)。)
(補足:動画にない話です。36協定を結んでも、時間外労働には上限があります(36条3項〜6項)。原則は月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情があるときは、特別条項付きの協定で、年720時間以内、月100時間未満(休日労働を含む)、2か月〜6か月の平均が月80時間以内(休日労働を含む)にできます。ただし、月45時間を超えられるのは年6か月までです。)
(補足:動画にない話です。残業をさせたら、割増賃金を払わなければなりません(37条)。時間外労働は2割5分以上、月60時間を超えた分は5割以上です。休日労働については、法定休日(毎週少なくとも1回、または4週間で4日以上の休日。35条)に働かせた場合、3割5分以上の割増賃金が必要です。法定休日に働かせるときも、36協定が必要です。)
就業規則:会社全体のルールブック
法律という土台の話が見えてきたところで、次は私たちにいちばん身近なOS、会社全体のルールブックである就業規則に注目しましょう。これは、すべての会社が作らなければならないのでしょうか。
就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出る義務があるのは、常時10人以上の労働者を使用する使用者です(労働基準法89条)。変更したときも、同様に届け出ます。ここで気をつけたいのは、この10人にパートタイム労働者なども含まれる点です。正社員だけで数えるわけではありません。パートさんを含めて10人なら、小さなお店やオフィスでも対象になります。
(補足:動画にない話です。10人かどうかは、会社全体ではなく、事業場(支店や工場、店舗など)ごとに数えます。就業規則を作成・変更するときは、過半数組合(なければ過半数代表者)の意見を聴き、その意見を記した書面を添えて届け出ます(90条)。また、就業規則は労働者に周知しなければなりません(106条)。)
記載事項は3種類
就業規則は、好き勝手に書いていいわけではありません。記載事項は大きく3つに分かれます。
- 絶対的必要記載事項:かならず書かなければならない事項です。始業・終業の時刻、休憩、休日、休暇、交替制の就業時転換、賃金の決定・計算・支払の方法、締切り・支払の時期、昇給、そして退職(解雇の事由を含む)が入ります(89条1号〜3号)。
- 相対的必要記載事項:その制度を設ける場合にだけ、書かなければならない事項です。退職手当、臨時の賃金等(賞与など)と最低賃金額、食費・作業用品などの負担、安全・衛生、職業訓練、災害補償・業務外の傷病扶助、表彰・制裁、そして事業場の全労働者に適用される定めがあります(89条3号の2〜10号)。
- 任意的記載事項:会社が自由に書いてよい事項です。会社の理念などがあたります。
ちょっと待ってください。退職金は、絶対に欠かせない重要な事項では。それが相対的必要記載事項なのは、なぜですか。
多くの人が「重要だから絶対的」と誤解するところです。実は、日本の法律では、会社は労働者に退職金を支払う義務をそもそも負っていません。退職金制度を設けるかどうかは、会社の自由なんです。
退職金のない会社に、「規則に退職金のルールを書きなさい」とは言えませんね。
そのとおりです。ただし、制度を設けるなら、誰に、どういう計算で、いつ支払うのかを明記しなければなりません。制度があるのに社長の気分次第で金額が変わったら、労働者が不利益を被るからです。制度の存在をきっかけにして、書く義務が生まれる。これが相対的ということです。
臨時の賃金(ボーナス)や、表彰・制裁のルールも同じ理屈です。たとえば、ペナルティを科す制度をつくるなら、何をしたらどんな罰則があるのかを、あらかじめ明記しなければなりません。「絶対」という言葉の響きだけで丸暗記すると、つまずきます。そもそも義務ではない制度だから相対的だと理解すれば、すっきりします。
試験の注目点:退職と退職手当は別物
混同しやすいのですが、「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」は絶対的必要記載事項、「退職手当(退職金)の定め」は相対的必要記載事項です(89条)。前者は辞め方のルール、後者はお金の制度、と区別しましょう。
(補足:動画にない話です。制裁として減給をするときにも、上限があります。1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、総額も、1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない、とされています(91条)。また、就業規則は、合理的な労働条件が定められていて、労働者に周知されていれば、その内容が労働契約の内容になります(労働契約法7条)。)
労働契約:いちばんミクロな約束
ここからは、いちばんミクロな労働契約の世界です。使用者と労働者が、個別に結ぶ約束ですね。動画は、株式会社の代表取締役などは労働者ではなく、経営を担う使用者側だと補足しています。
(補足:動画にない話です。労働者かどうかは、肩書きだけでなく、実際の働き方で判断されます(労働基準法9条は、事業に使用され、賃金を支払われる者を労働者と定義しています)。そのため、取締役でも、従業員としての仕事を兼ねている「使用人兼務取締役」は、その部分について労働者として扱われることがあります。)
期間の壁:有期労働契約は原則3年まで
労働契約には、ずっと働き続ける無期労働契約と、期間が区切られている有期労働契約があります。通常の会社員は無期ですが、有期契約にはいろいろな縛りがあります。いつまでも不安定な有期契約で縛りつけるのは、労働者にとって酷だからです。原則として、1回の有期労働契約の期間は3年までと決められています(労働基準法14条1項)。
この「3年の壁」には、例外があります。
- 一定の事業の完了に必要な期間を定める契約:3年を超えて定められます。たとえば、完成まで6年かかる巨大なダムの建設プロジェクトで、そのために人を雇う場合です。事業そのものに明確な終わりがあるので、その期間に合わせて契約してもよい、ということです。
- 5年まで延長される契約:①高度の専門的な知識・技術・経験をもつ労働者(その知識を必要とする業務に就く場合)、②満60歳以上の労働者との契約です。
60歳以上の方の期間を長く設定できるのは、なんとなくわかります。でも、年収1000万円を超えるようなスーパーエンジニアは、強い立場なのでは。なぜ、特別扱いなんですか。
そこが面白いところです。労働法は弱い労働者を守るための法律ですが、高い専門性をもつ人は、会社と対等に交渉できる力があります。国が過保護に「3年までですよ」と守る必要がない。むしろ本人が、5年単位の大型契約でしっかり稼ぎたいこともあるんです。
(補足:動画にない話です。ここでいう「高度の専門的知識等」は、厚生労働大臣の告示(平成15年厚生労働省告示第356号)で決まっています。博士の学位をもつ人、公認会計士・医師・弁護士・税理士・社会保険労務士・技術士などの資格をもつ人、特許発明の発明者などが含まれます。年収1,075万円以上という要件がつくのは、そのうちの一部の類型(一定の経験年数のある技術者・システムエンジニア・デザイナーなど)です。博士や弁護士などには、年収の要件はありません。動画の「年収1000万円超のエンジニア」は、あくまで一例と考えてください。)
無期転換ルール:通算5年の壁
もうひとつの大切なルールが、無期転換ルールです。同じ使用者との有期労働契約が通算で5年を超えた場合、労働者は、現在の契約期間が満了する日までの間に、無期労働契約の締結を申し込むことができます。使用者は、この申込みを承諾したものとみなされ、満了日の翌日から無期労働契約になります(労働契約法18条)。労働条件は、契約期間を除いて、原則として今までと同じです。
(補足:動画にない話です。契約と契約の間に、6か月以上の空白期間があると、その前の契約期間は通算に入りません。ただし、その前の契約期間が1年に満たないときは、契約期間に応じて、より短い空白期間が基準になります。)
無期転換の特例:高度専門職と、継続雇用の高齢者
会社としては、ずっと有期契約で柔軟に扱いたいので、無期転換を避けたいという動機が働きそうです。ここでも、一定の条件を満たせば特例が認められます。専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(有期雇用特別措置法)による、次の2つです。
- 高度専門職:年収1,075万円以上で、5年を超える一定の期間内に完了するプロジェクトに従事する場合、そのプロジェクトの期間中は、無期転換の申込権が発生しません。ただし、発生しない期間の上限は10年です。
- 継続雇用の高齢者:定年に達した後、引き続いて雇用される有期雇用労働者は、その継続雇用の期間中、無期転換の申込権が発生しません。
動画では、高度専門職は自力でキャリアを築けること、高齢者の再雇用は、いったん定年まで勤め上げたあとなので、別の枠組みで柔軟な働き方を提供するほうが合理的だから、という理由が語られます。
(補足:動画にない話です。これらの特例は、自動的に使えるわけではありません。事業主が、対象労働者の能力が有効に発揮されるような雇用管理に関する計画を作り、都道府県労働局長の認定を受けることが必要です。また、定年後に別の会社で雇用される場合は、グループ会社(特殊関係事業主)を除いて、特例の対象になりません。)
同じ職場の公平さ:均衡待遇と均等待遇
有期雇用のルールが整備されるなかで、現代の職場でもっとも繊細な問題が浮かび上がってきました。働き方改革関連法の核心部分でもある、同じ職場で働く人たちの間の公正さです。正社員と非正規社員とで、やっていることは同じなのに、給料がまったく違う、という待遇格差の問題ですね。
これを是正するために、同じ企業内で、2つの重要な規定が整備されました。キーワードは均衡待遇と均等待遇です。根拠は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム・有期雇用労働法)で、比べる相手は、同じ企業の正社員など「通常の労働者」です。
均衡待遇(8条):違いに応じたバランス
均衡とは、バランスをとるという意味です。事業主は、短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、通常の労働者の待遇との間に、不合理と認められる相違を設けてはなりません。判断するときは、職務の内容(業務の内容と、それに伴う責任の程度)、職務内容と配置の変更の範囲、その他の事情のうち、その待遇の性質や目的に照らして適切と認められるものを考慮します。違いがあること自体は認められていますが、その違いが不合理であってはならない、ということです。
動画の例を見てみましょう。スーパーのレジ打ちで、正社員の店長候補は、全国転勤があり、売上の責任も負っています。一方、パートのスタッフは地元の店舗から動かず、時間になれば帰れます。同じレジ打ちという仕事をしていても、背負っている責任の重さが違うので、待遇に差があるのは合理的なバランス、つまり均衡だと言える、というわけです。
均等待遇(9条):同じなら同じ扱い
一方の均等待遇は強烈です。職務の内容が通常の労働者と同じで、さらに、雇用関係が終了するまでの全期間にわたって、職務内容と配置が変更される範囲も通常の労働者と同じと見込まれる人(「通常の労働者と同視すべき」短時間・有期雇用労働者)については、短時間・有期雇用労働者であることを理由に、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはなりません。
動画の例では、契約社員でも、全国転勤もこなし、店舗の売上責任も負わされていて、実態が正社員とまったく変わらないのに、「君は契約社員だからボーナスはなしね」とするのは、違法になります。
そして重要なのは、以前はパートタイム労働者などにしか適用されていなかった均等待遇のルールが、法改正によって有期雇用労働者にも拡大されたという点です。これにより、日本中の職場で、待遇の見直しを迫られました。
(補足:動画にない話です。このパートタイム・有期雇用労働法は、2020年4月1日に施行されました(中小企業は2021年4月1日から)。それ以前は、有期雇用労働者については、労働契約法に「不合理な労働条件の禁止」の規定があるだけでした(旧20条)。なお、均等待遇が適用されるのは、有期雇用労働者全員ではなく、通常の労働者と同視すべき人に限られる点にも注意してください。)
(補足:動画にない話です。短時間・有期雇用労働者から求められたときは、事業主は、通常の労働者との待遇の相違の内容や理由を説明しなければなりません。説明を求めたことを理由とする解雇などの不利益な取扱いは禁止されています(14条2項・3項)。)
全体をつなげてみる
ここまでの話は、ひとつの大きな物語としてつながっています。
- 弱い立場になりがちな労働者を守るために、国は労働基準法という、破れない下限を設けた。
- それでも現実のビジネスを回すために、36協定という例外のパッチ(免罰効果)を用意した。
- 会社の中では、就業規則というOSを走らせ、透明性を保つ。
- 個別の労働契約では、弱い立場の人を守りつつも、高度専門職や高齢者には柔軟な例外を認める。
- 最後に、同じ職場で働く者同士の公正さを、均衡待遇と均等待遇で担保する。
このロジックがわかっていれば、診断士試験で複雑な引っかけ問題が出ても、「この法律は誰の何をどう守ろうとしているのか」という視点から、答えを導きやすくなります。数字や用語の暗記だけでなく、社会の仕組みの設計思想を理解することが、いちばん大切です。
試験の注目点(このテーマで押さえたいこと)
- ルールの優劣は、法令>労働協約>就業規則>労働契約。ただし労働者に有利なら有効
- 36協定は免罰効果(残業の権利が生まれるわけではない)。届出が必要
- 就業規則は常時10人以上(パートを含む)。絶対的・相対的・任意的の3種類、退職手当は相対的
- 有期契約は原則3年、例外は事業の完了・高度専門職・満60歳以上(5年)。通算5年超で無期転換
- 均衡待遇は不合理な差の禁止(8条)、均等待遇は差別的取扱いの禁止(9条)
最後の問い:ルールの未来
動画は最後に、ひとつの問いを投げかけます。ここまで見てきた層構造や契約のルールは、すべて「ひとつの会社という物理的な場所に集まって、定められた時間働く」という、20世紀的な働き方を前提にしています。けれども今は、リモートワークが当たり前になり、AIが人間の業務を代替し、国境を超えたギグワークも広がっています。労働時間や事業場という概念そのものが、溶けつつあります。複数の会社と同時に契約する働き方も増えるなかで、これまで絶対的だったピラミッド構造も、揺らぎ始めています。
今日の知識は、現在のルールを知るだけでなく、未来の働き方の波にどう向き合うかを考える武器にもなります。ぜひ、ご自身のこれからの働き方と照らし合わせて、ルールの未来を想像してみてください。
(このページの条文は、令和8年4月1日時点で施行されている内容にもとづいています。)
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