報酬制度とOJT・Off-JTで従業員を育てる仕組み
企業経営理論 第41回
「企業の健康診断って、人間ドックみたいに血液の数値で全部割り切れる、と思いがちじゃないですか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、時間給と成果給という2つの軸、成果給の4つの効果、ストックオプションなどの報酬の仕組み、OJT・Off-JT・自己啓発の3本柱をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
数字に映らない「人」の領域
動画は、企業の健康診断は人間ドックのように数字で割り切れるのではないか、という話から始まります。売上はいくら、利益は何パーセント。財務諸表を見れば、その会社の体力はひと目でわかる、と思われがちです。
けれども講師は、財務の数字は過去の結果を映すバックミラーにすぎない、と言います。その数字を根底で支えているのは、目に見えない意欲やスキルです。それをどう引き出して組織の推進力に変えるのか。白黒がはっきりしない、泥臭くて複雑な領域です。動画の最後には「レントゲンには映らない人の心をどう動かすか」という言葉も出てきます。
この回のテーマは報酬制度と能力開発の2つです。用語を丸暗記するのではなく、企業がなぜその報酬のかたちを選ぶのか、なぜその研修のかたちを選ぶのか、という背景から立体的に捉え直していきます。企業の成長の向きと、個人の成長の向きを、どうそろえるか。どんな経営者も頭を抱えるテーマ、と動画は言います。
給料の払い方は2つの軸:時間か、成果か
まずはいちばん基本の、給料の支払い方です。大きく分けると、時間を売るのか、結果を売るのかという違いになります。
時間に対して払う:時給・日給・週給・月給・年俸
時間に対して支払われる賃金は、いちばん古くからあって、いちばん馴染み深い制度です。働いた時間の長さに応じて、確実に対価が得られます。従業員にとっては、毎月決まった額が振り込まれる生活の安心感があります。家賃やローンのことを考えると、固定給はありがたいものですね。企業にとっても、計算が容易という利点があります。
ただし、経営側から見ると大きなリスクがあります。業績に関わらず、人件費という固定費が際限なく膨らんでいくことです。会社が赤字でも、払い続けなければいけません。
成果に対して払う:成果給(インセンティブ)
そこで出てくるのが、もう1つの軸、成果や行った仕事に対して支払われる成果給です。いわゆるインセンティブですね。
動画の聞き手は、ここで鋭い疑問を出します。「ただ頑張った分のご褒美をあげるから、もっと働いてね、という単純な話じゃない気がするんですけど」。講師は、目の前にニンジンをぶら下げる以上の、もっとシビアで戦略的な経営の意図が組み込まれている、と答えます。
試験の注目点:給料の2つの軸
- 時間に対する報酬=時給・日給・週給・月給・年俸など。メリットは生活の安心感と計算のしやすさ、リスクは業績と無関係に固定費が膨らむこと。
- 成果に対する報酬=成果給(インセンティブ)。時間基準の弱点(固定費化)を補う発想で導入される。
(補足:動画にない話です。成果給のうち、出来高払制その他の請負制で働く人については、労働基準法第27条が「労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」と定めています。成果に応じて払うといっても、成果が出なかったときに賃金がゼロになってよい、という意味ではありません。)
成果給に期待される4つの効果
動画は、成果給に期待される効果を、大きく4つに整理します。
① 成果主義・目標管理を徹底させる
評価の基準を数字に直結させることで、組織全体の意識を結果に向けさせます。「プロセスよりも結果を意識しろ」という、はっきりしたメッセージになります。
② 賃金総額を抑えつつ、成果を上げる
ここが、動画でいちばん「シビア」と言われる部分です。聞き手は、「会社全体で払う給料の予算の上限は固定したまま、成果を出した人にだけ手厚く配分する、ということですか」と確認します。講師は、非常に合理的なコストコントロールだと答えます。
企業が最も恐れるのは、利益が出ていないのに人件費だけが上がっていく状態です。成果給の比率を高めておけば、業績が良いときはたくさん払い、悪いときは自動的に人件費が下がる仕組みをつくれます。
ああ、固定費の怖さですね。
そうです。人件費を固定費から変動費へシフトさせながら、同時に業績向上に直結する動きを促す。まさに一石二鳥の戦略です。
聞き手は、経営の理屈としては完璧だが、誰かがたくさんもらう裏で、成果を出せなかった人の分は削られているわけだ、と率直に感想を述べています。いい面だけでなく、厳しい面もあることを押さえておきましょう。
③ 従業員のモチベーションを高める
自分があげた成果が直接、手元の収入に跳ね返るなら、当然やる気は出ます。自分の努力がダイレクトに数字として評価されるわかりやすさは、何ものにも代えがたいモチベーションの源泉になります。
④ 経営への参加意識を高める
動画が「組織論として最も興味深い」と紹介する効果です。ただの現場のプレイヤーではなく、自分も経営陣の一角なのだと思わせること。自分の出した成果が会社の業績につながり、それが結果的に自分の報酬を増やす、というサイクルを肌で実感してもらいます。
自分はこの会社の単なる歯車だ、という意識から抜け出して、自分の働きが会社の利益、ひいては自分の未来を左右するという、経営者に近い目線へシフトさせる。これが最大のねらいだと動画は言います。
試験の注目点:成果給に期待される4つの効果
- ①成果主義・目標管理の徹底 ②賃金総額の抑制(固定費を変動費へ) ③モチベーションの向上 ④経営への参加意識の向上。
- ②は「賃金総額を抑えつつ成果を上げる」という言い方で出てくる。人件費を固定費から変動費に近づける発想と結びつけて覚える。
- ④の参加意識は、次に見るストックオプションや従業員持株制度とつながる。
現金だけではない報酬:ストックオプション・持株制度・福利厚生
経営への参加意識を高める、という文脈で、毎月の現金以外にも、従業員と会社を強く結びつける報酬の仕組みがあります。動画が挙げる代表的なものは3つです。
- ストックオプション制度
- 従業員持株制度(企業が従業員に自社株を保有させる制度)
- 福利厚生(住宅補助制度など)
住宅補助のような福利厚生は、生活の安心に直結するので、イメージしやすいでしょう。難しいのはストックオプションです。
ストックオプションの仕組みを数字で見る
聞き手は、「決算のときに現金でドカンとボーナスをもらうのと、何が違うんですか」と尋ねます。講師はまず、ストックオプションは株式をただでプレゼントされる制度ではない、と念を押します。正しくは、あらかじめ決められた価格で自社の株式を購入できる権利、つまり新株予約権を付与される制度です。
動画のシミュレーションはこうです。今の株価が1株1000円。経営陣は従業員に、将来この会社の株を今の価格である1000円で買える権利を付与します。その後、従業員全員が必死に働いて画期的な製品を生み出し、業績が爆発的に伸びて、株価が5000円に跳ね上がりました。
ここで権利を行使します。市場では5000円で取引されている株を、決められていた1000円で会社から買えます。それをすぐ株式市場で売却すれば、1株あたり4000円の差額がそのまま個人の利益になります。会社の業績が上がり、市場の評価、つまり株価が上がれば上がるほど、従業員が得る利益も大きくなる仕組みです。
ただの固定ボーナスをもらうより、絶対にこの会社をでかくしてやる、という気になりますね。個人の利益と会社の成長が完全にリンクしている。
その熱狂こそが、ストックオプションの魔力なんです。
(補足:動画にない話です。ストックオプションは法律用語ではなく、会社法上は新株予約権の一種として扱われます。新株予約権は、株式会社に対して行使することで、その株式会社の株式の交付を受けられる権利です(会社法第2条第21号)。募集事項では、金銭の払込みを要しないこと(無償)とすることもでき(同法第238条第1項第2号)、特に有利な条件になる場合は、取締役が株主総会で理由を説明しなければなりません(同条第3項)。)
(補足:動画にない話です。動画の計算は、仕組みをつかむための単純化です。実際には、株価が行使価格を下回れば、権利を行使しなければよいだけで、権利は義務ではありません。また、非上場の会社では市場で売却できませんし、利益には税金がかかります。税制上の扱いは、税制適格の要件を満たすかどうかで変わるとされます。試験では、「あらかじめ決めた価格で買える権利」という本質を押さえれば十分です。)
従業員持株制度と福利厚生
従業員持株制度は、企業が従業員に自社株を保有させる仕組みです。動画では、毎月の給与から自社株を買って保有してもらうことで、従業員が自社の株価に日常的に関心を持つようになる効果がある、と説明されています。会社と従業員の一体感を醸成するわけですね。
講師は、これらをまとめて、同じ船に乗る運命共同体をつくるための究極のインセンティブ設計だと言います。
(補足:動画にない話です。従業員持株制度は、会社が奨励金を上乗せする形をとることが多いとされ、実務では資産形成を支える福利厚生に近い位置づけと説明されることもあります。会社によって設計が異なるため、細かい仕組みは資料により異なります。)
試験の注目点:成果給と結びつく報酬の仕組み
- ストックオプション=あらかじめ決められた価格で自社株を購入できる権利(新株予約権)。株価が上がるほど従業員の利益が大きくなる。株を「ただでもらう」制度ではない。
- 従業員持株制度=従業員に自社株を保有させる制度。株価への関心と一体感を高める。
- 福利厚生(住宅補助制度など)=生活の安心につながる報酬。
- いずれも、会社の成長と個人の利益を結びつけ、経営への参加意識を高めるねらいがある。
やる気に「火をつけた」あとは能力開発へ
ここまでで、報酬を使って従業員のやる気に火をつける構造がわかりました。けれども、いくらストックオプションでやる気の炎を燃やしても、肝心のスキルがなければ空回りして、会社の業績は上がりません。
動画はこれを「土壌(報酬制度)をつくったら、次にどんな種をまいて、どう育てるか」とたとえます。ここからが能力開発です。能力開発とは、研修などを通じて従業員の能力を高めること。その手段は、大きく3本柱で構成されます。
柱1:OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)
いちばんお馴染みの手法です。実際に業務を行いながら実施される研修のこと。先輩にくっついて、実際の作業を通じて仕事を覚えます。最も即効性のある、実践的なトレーニングです。
OJTのメリット
- 短い期間で研修ができる。
- コストが低くて済む。外部の講師を呼んだり、特別な研修施設を借りたりする必要がありません。
- その会社独自の実際の業務内容に応じた、きめ細かい指導ができる。
OJTのデメリット
聞き手が出す心配は、「教える上司や先輩が、めちゃくちゃ教育下手だったら」というものです。「俺の背中を見て覚えろ」という職人気質の人だったり、自分のノルマで手一杯で、教えてくれなかったりする。講師は、それこそがこの制度の最大の弱点だと認めます。
- 短期思考の研修になりがち。現場での指導なので、どうしても目の前のタスクをこなすための、その場しのぎになりやすい。
- 効果が指導者のスキルや余裕に依存する。運の要素が強く、聞き手の言葉を借りれば「ガチャみたい」。
- 体系的になりにくい。現場のトラブル対応のついでに教わるので、基礎から順序立てて学ぶ研修にはなりにくい。
技術伝承ではOJTに工夫が要る
企業にとって致命傷になりかねないのが、技術伝承の場面です。ベテランのすごい技術を若手に伝えたいのに、教えるのが下手な上司に当たってしまえば、貴重な技術が途絶えるかもしれません。
そこで動画が紹介する、効果的な手法がこれです。熟練作業員を通常の生産ラインや業務から外して、専任にし、若手の指導にあたらせる。自分の仕事の「ついで」に教えるのではなく、若手に教えること自体を自分の仕事にしてもらうわけです。トッププレイヤーを現場から抜くのは一時的な痛手ですが、会社のコア技術が失われるよりは、はるかにましな投資、と動画は言います。これなら「上司に余裕がない」というデメリットもカバーできます。
講師は、診断士を目指すあなたが将来コンサルタントとして企業の現場に入り、若手が育っていない現状を見たら、まず教える側の専任化ができているかをチェックするとよい、と実践的な視点も添えています。
試験の注目点:OJT
- メリット=短期間で実施できる/低コスト(外部講師・研修施設が不要)/自社の実際の業務に即したきめ細かい指導。
- デメリット=短期思考になりがち/指導者のスキル・余裕に左右される/体系的な研修になりにくい。
- 技術伝承では、熟練作業員を通常業務から外して若手の指導に専任させる方法が有効。
(補足:動画にない話です。厚生労働省の能力開発基本調査では、OJTは「日常の業務に就きながら行われる教育訓練」とされ、そのうち計画書を作って教育担当者・対象者・期間・内容などを決めたものを「計画的なOJT」と呼んでいます。「その場しのぎ」「指導者次第」になりがちな弱点に対し、計画的に行うという対処の考え方があります。)
柱2:Off-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)
いくら教え方を工夫しても、現場のやり方をなぞるだけという性質である以上、体系的な学びが不足するという弱点は残ります。動画のたとえでは、親方から秘伝のタレの作り方を教わるのがOJT。自社秘伝のタレしか知らない料理人は、新しい味覚のトレンドには対応できません。そこで、外の世界を知るOff-JTが登場します。
Off-JTは、業務の場を離れて行われる研修です。会議室に集まって専門家の講義を受けたり、外部のビジネススクールに行ったりするイメージです。料理人でいえば、外部の料理学校で最新の知識や、多国籍のスパイスについて学んでくるようなものです。
Off-JTのメリット
- 現場では教えにくい体系的な知識を、順序立てて得られる。
- 自社内のメンバーだけでは得られない、新しい知識や視点を外部から持ち帰れる。「現場の常識を疑うためにも外の空気は必要」と聞き手も言っています。
Off-JTのデメリット
- コストが高い。外部講師を招いたり、外部の施設へ派遣したりするため。
- 機会損失が出る。従業員を通常業務から完全に引き離すので、その間は売上をつくる時間が減ります。
- 実務で活かせるかが不明確。一般的な知識や理論を学ぶことが多いため、それが本当に自社にあった実務能力として現場で活かせるのかがはっきりしません。
聞き手は、研修から帰ってきた直後はモチベーションが高く、専門用語を並べるのに、いざ実務に戻ると「それ、うちの現場でどう使うの」となり、結局元のやり方に戻ってしまうパターンだ、と指摘します。講師はそれを「翻訳の壁」と呼んでいます。学んだ理論を、自社の現場の言葉に置き換える作業が必要だ、ということですね。
試験の注目点:Off-JT
- メリット=体系的な知識を順序立てて得られる/外部から新しい知識・視点を持ち込める。
- デメリット=外部講師・施設でコストが高い/業務から離れる間の機会損失/一般的な知識が自社の実務に活かせるか不明確。
- OJTとの違いは「業務の場を離れるかどうか」。OJTは仕事をしながら、Off-JTは業務を離れて行う。
(補足:動画にない話です。能力開発基本調査の枠組みを紹介する資料では、OFF-JTは「業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練」と説明されています。命じられて受ける研修である点が、次の自己啓発との違いです。)
柱3:自己啓発
能力開発の最後の手段が自己啓発です。会社が主導して「これを受けなさい」と指示する研修ではなく、従業員自身が自発的に行う能力開発をいいます。具体的には、社外のビジネスセミナーへの参加、業務に関連する通信教育の受講、資格取得に向けた学習などが該当します。休日や仕事終わりの時間を使って、自らの意思で勉強するわけですね。
(補足:動画にない話です。厚生労働省の調査では、自己啓発を「労働者が職業生活を継続するために行う、職業に関する能力を自発的に開発し、向上させるための活動」と定義しています。)
それでも会社が支援する理由
聞き手は、「それは個人の勝手な活動で、会社が関与するのはなぜか」と疑問を出します。講師は、現代の経営において非常に重要なポイントだと答えます。企業側は、この自己啓発を積極的に奨励し、さまざまな支援をします。業務に関連したものには費用の援助を行ったり、試験前の休暇といった時間的な配慮を行ったりする場合が多いのです。
意地悪な見方をすれば、会社がお金を出してMBAや資格を取らせても、「資格が取れたので、もっと給料のいい会社に転職します」とやめてしまうリスクがあります。講師もそのリスクは認めます。それでも企業が支援する、構造的な理由があるというのです。
- 自社内の現場研修だけでは、過去の延長線上の知識しか伝承されず、いずれ組織が硬直化する。
- かといって、全社員に高額な外部研修を一律で受けさせるのは、コスト的に不可能。
- だから、自ら外の世界に触れ、新しい知識や資格を獲得しようとする学習意欲のある人材の背中を押し、その新しい風を組織に還元してもらう。これを「未来への投資」として位置づけている。
試験の注目点:自己啓発
- 会社主導の研修ではなく、従業員が自発的に行う能力開発(社外セミナー、通信教育、資格取得の学習など)。
- 企業は、業務に関連するものに費用の援助や、試験前の休暇などの時間的な配慮を行うことが多い。
- 企業が支援する理由=現場研修だけでは組織が硬直化する/全員に外部研修を受けさせるコストは負担できない/意欲のある人材に新しい風を持ち込んでもらう。
3つの柱は互いを補い合うシステム
ここまで見て、動画は全体を俯瞰して、きれいな構造が見えてきたと整理します。
| 柱 | 役割 |
|---|---|
| OJT(現場の実務研修) | 仕事の基礎と、会社の文化を叩き込む |
| Off-JT(外部研修) | 現場を離れて、体系的な理論や新しい知識を入れる |
| 自己啓発 | それでもカバーしきれない、個々のキャリアに合わせた成長を、費用や時間の援助で自発的に磨いてもらう |
3つは独立しているのではなく、お互いの弱点を補い合うシステムです。講師は、知識やスキルという目に見えない資産を、いかにして企業内に蓄積していくか。そのためのポートフォリオ設計だ、と言います。
まとめ:万能な制度はない
動画の最後のまとめを整理します。どんな企業にも通用する完璧な報酬制度や、たった1つの万能な研修手法は存在しません。時間に対して払う安心感と、成果に対して払う刺激的なインセンティブ。現場で育てる手法、体系的に学ぶ手法、自発的な自己啓発。これらのメリットとデメリットを深く理解し、その企業が置かれている状況に合わせて、パズルのように組み合わせていくことが、変化に強い組織をつくる鍵になります。
| テーマ | ひとこと |
|---|---|
| 給料の2つの軸 | 時間に対して払う(安心感・固定費化のリスク)/成果に対して払う(成果給) |
| 成果給の4つの効果 | 成果・目標の意識づけ、賃金総額の抑制、モチベーション向上、経営参加意識 |
| 現金以外の報酬 | ストックオプション(新株予約権)、従業員持株制度、住宅補助などの福利厚生 |
| OJT | 短期間・低コスト・きめ細かい/指導者次第・短期思考・非体系的/技術伝承は専任化 |
| Off-JT | 体系的・外部の視点/コスト高・機会損失・実務への活用が不明確 |
| 自己啓発 | 従業員が自発的に行う。企業は費用援助と時間的配慮で支援する |
最後の問い:完全実力主義の組織で、技術伝承はうまくいくか
動画は最後に、今日の話を統合した、少し意地悪な問いを残します。もし企業が成果を極端に徹底し、個人の売上成績だけで給料がすべて決まる完全実力主義の組織をつくったとします。全員が自分の成果だけを最大化しようと、躍起になって働くでしょう。けれども、みんなが自分の成績だけを追い求めるライバル同士になった環境で、知識やコツを共有し合う現場での指導や、会社の未来のための技術伝承は、果たしてうまく機能するでしょうか。
聞き手が言うとおり、苦労して編み出した営業のコツを後輩に教えたら、自分の順位が下がって給料が減るかもしれません。個人の成果とモチベーションを極限まで引き上げることと、チームとして後進を育成し、組織の知を共有していくこと。この2つは、ときに衝突します。この矛盾をどうデザインして両立させるのか、一筋縄ではいかないこの問いこそが、診断士を目指すあなたが直面する、最もエキサイティングな課題かもしれない、と動画は結びます。
試験の答えがある問いではありません。ただ、成果給の弱点(個人主義に傾きやすい)と、OJTや技術伝承の前提(先輩が後輩に教える協力)が、同じ制度の中で食い違いうる、と考える練習になります。ここまで学んだ報酬制度と能力開発を、1つのつながった設計として見直してみてください。
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