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中小企業診断士 1次試験

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PM理論が明かすリーダーが組織の課題を診断する視点

企業経営理論 第37回

企業経営理論・人的資源管理 00414分52秒2026年5月5日公開

「病院で骨折の診断を受けるとき、レントゲンを撮れば、折れた骨が真っ白でギザギザの線として、くっきり映し出されますよね」。動画はこんなたとえから始まります。このページでは動画の流れにそって、アイオワ研究、オハイオ研究、ミシガン研究、PM理論、マネジリアル・グリッドの5つの理論と、リーダーの課題を診断する見方をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

レントゲンに映らない「リーダーの骨折」をどう診断するか

「病院で骨折の診断を受けるとき、レントゲンを撮れば、折れた骨が真っ白でギザギザの線として、くっきり映し出される」。動画は、こんなたとえから始まります。目に見えて分かりやすいというのは、人に強い安心感を与えます。

ところが、中小企業診断士として企業の現場に入り、組織やチームのマネジメントを診断しようとすると、その便利なレントゲンは使えません。ダメな管理職を前にして、いったいどこがどう折れているのか。「あの人はリーダーとして致命的だ」と感覚では分かっても、それを客観的に証明するのは、泥水の中をのぞき込むようなむずかしい作業です。

かといって、現場の空気感や直感だけで「このリーダーはダメですね」と切り捨てるわけにはいきません。診断士は、客観的で具体的な基準を使って状況を分析し、改善策を示さなければならないからです。そこで動画は、この「見えない骨折」を可視化する、組織のレントゲンを作っていきます。それが、リーダーシップの行動論です。

行動論:才能ではなく、行動のパターンで分ける

動画の出発点は、リーダーシップを「生まれ持った才能や圧倒的なカリスマ性」ではなく、「日常的にどんな行動をとるかというパターン」で分類する考え方です。これなら、行動を変えることで後天的に改善できます。現場のマネージャーにとっても、診断士にとっても、ここに希望があります。

(補足:動画にない話です。リーダーシップ論は、大きく「特性論(リーダーに向く資質を探す)」「行動論(リーダーの行動に注目する)」「状況適合論(条件適合理論。状況によって有効なスタイルが変わると考える)」の3つに分けて整理されることが多いです。この動画は、そのうちの行動論を扱っています。)

行動論の研究は、時代を追って視点が絞り込まれていきました。動画で紹介される5つの理論を、先に流れとして見ておきましょう。

① アイオワ研究(レヴィン)誰が決めるか:専制型・民主型・放任型② オハイオ研究行動を2つに絞る:構造づくり・配慮③ ミシガン研究(リッカート)従業員志向・生産志向と4つのシステム④ PM理論(三隅二不二)P機能(目標達成)とM機能(集団維持)⑤ マネジリアル・グリッド業績への関心 × 人への関心
意思決定の持ち方から始まり、仕事と人の2軸へ、さらに使いやすいマトリックスへと進みます。

アイオワ研究:決める権限を誰が持つか

歴史的な研究の最初の切り口は、「誰が物事を決めるのか」という権限の持ち方でした。これがアイオワ研究です。動画では、レヴィンという学者が、意思決定の権限を誰が持つかによって、リーダーのスタイルを3つに分類したと説明されます。

タイプ意思決定動画での評価
専制型リーダーが全部ひとりで決める短期的には作業が早く進むこともあるが、リーダーがいなくなると手が止まる
放任型個々の裁量にまかせきる組織としてのまとまりが生まれない
民主型メンバーみんなで話し合って決める主体性を引き出しつつ、共通の目標へ進める。最も理想的

聞き手は、これを学生時代のグループワークにたとえます。全部ひとりで勝手に決める仕切り屋がいると、周りは反発するか、思考停止に陥ります。逆に「みんな適当にやっておいて」という放置では、誰も何もせず、結局何も進みません。みんなで意見を出し合って決めるグループが、いちばん納得感があって成果も出る気がする。実際の観察結果も、まさにその通りだったというわけです。

(補足:動画にない話です。アイオワ研究は、レヴィンが、リピット、ホワイトとともに、児童のグループを使って行った実験です。報告は1930年代後半で、資料により1938年とも1939年とも書かれています。3つのスタイルは、英語ではそれぞれ authoritarian(専制型)、democratic(民主型)、laissez-faire(放任型)です。放任型の「レッセフェール」は、「なすがままにまかせる」という意味の言葉です。)

でも、「みんなで決める民主型が良い」というのは、少し理想論で抽象的すぎませんか。明日から現場のマネージャーは、具体的にどう動けばいいんでしょう。

鋭いですね。アイオワ研究は意思決定のプロセスには答えを出しましたが、現場での具体的な行動指針としては、解像度が低かったんです。

そこで、リーダーが具体的にとるべき行動を、2つの側面に絞り込んで分析したのが、次のオハイオ研究です。

オハイオ研究:構造づくりと配慮

オハイオ研究では、リーダーの行動を構造づくりと配慮の2つに集約しました。

  • 構造づくり:業務の目標や手順を明確に示すこと。仕事の枠組みをかっちりと組み立てる行動です。
  • 配慮:部下への気配りや、アイデアの尊重を通じて、信頼関係を築く行動です。

この研究は、構造づくりと配慮の両方ができるリーダーが望ましいとしています。ここで聞き手は、もっともな疑問を出します。業務の手順をガチガチに決めることと、部下の意見を尊重して自由にさせることは、直感的には矛盾しませんか。厳格なルール作りと思いやりが、現場で本当に両立できるのでしょうか。

講師の答えは、「相反するように見えて、実は両輪」というものでした。ここが、この研究のいちばん画期的な発見だったとされます。

  • 配慮だけで構造づくりがない(優しいだけのいい人):仕事の手順が不明確になり、チームは迷走します。ただの仲良しクラブになってしまいます。
  • 構造づくりだけで配慮がない:手順は明確でも、人間関係が無視されて、チームは疲弊します。
  • だからこそ、仕事のインフラを整えたうえで、関係性を築く。両方を意識的に行う必要があるのです。

つまり、構造づくりと配慮は、どちらかを選べばどちらかが減るというトレードオフ(取引関係)ではなく、独立した2つのベクトルです。片方が高くても、もう片方が高いとは限りません。だから、2つを別々に見る必要があります。

(補足:動画にない話です。オハイオ州立大学の研究は、1940年代後半に始まったとされます(資料によって、始まりの年の書き方は異なります)。リーダーの行動を、部下に答えてもらう質問紙(LBDQ:リーダー行動記述質問紙)で測ったことでも知られます。また、構造づくりも配慮も高いリーダーが最も望ましい、という見方がある一方で、のちの実証研究では、常にそれが最良とは限らず、状況によって変わるという指摘も出ています。動画の最後の問いかけにも、この流れがつながっています。)

ミシガン研究:従業員志向と生産志向、そして4つのシステム

仕事のルールと人への配慮のバランスをとりながら、現場でどう意思決定をしていくべきか。このジレンマに、さらに細かくグラデーションをつけた研究が、ミシガン研究です。動画では、権限の委譲の度合いと、リーダーが「生産性」と「従業員」のどちらを向いているかという視点から、スタイルを4つに分類した、と紹介されます。

システム1 独善的専制型トップがすべて決めるシステム2 温情的専制型大枠はトップ。範囲内で部下も決めるシステム3 相談型基本方針はトップ。個別の問題は部下に任せるシステム4 参加型部下の意見を積極的に取り上げて活用する↑ トップダウン    部下の参加 ↓
上から下へ向かうほど、部下の参加が深まります。ミシガン研究ではシステム4が最も良いとされました。

動画の説明を、順に見ていきます。

  • 独善的専制型:文字通り、すべてをトップが決める完全なトップダウンです。
  • 温情的専制型:大枠の目標はトップが決めるが、決められた範囲内では、部下も決定できます。動画は「厳しくも優しい親」にたとえます。家の方針や門限は親が決めるが、お小遣いの使い道だけは子どもに決めさせるような、ある程度の自由がある状態です。ただし、まだトップダウンの域を出ていません。
  • 相談型:基本的な方針はトップが決めつつ、個別の問題は部下に任せます。
  • 参加型:部下の意見を積極的に取り上げ、それを建設的に活用します。

ミシガン研究では、生産性よりも従業員志向を重視する参加型がベストだとされています。ここで聞き手は、相談型と参加型の違いが気になる、と食い下がります。「意見を聞く」と「意見を活用する」は、現場の効果ではどれくらい違うのか。講師の答えは、「決定的な差が生まれる」でした。

相談型でも、ちゃんと部下の意見は聞いていますよね。それで十分ではないんですか。

相談型だと、部下は意見を求められても、どうせ最終的には上が決めるんでしょう、と冷めてしまう危険があるんです。

ああ、アリバイ作りみたいなものですね。聞きましたよ、という。

そうです。一方、参加型で自分のアイデアが実際の業務に組み込まれる体験をすると、これは自分たちのプロジェクトだという、強い当事者意識が芽生えます。

やらされ仕事ではなくなり、内発的な動機付けが高まることで、結果として組織全体の生産性が大きく上がる。意見を聞くという単なるポーズではなく、本気で活用するからこそ、従業員志向が最強の生産性向上ツールになる、というのが動画の説明です。

(補足:動画にない話です。ミシガン研究の中心にあるのは、リーダーの行動を「従業員志向」と「生産志向」の2つに整理した点です。そして、従業員志向のリーダーのほうが、業績も職務満足も高く、離職も少ない傾向を示したとされています。動画が紹介した4つに分ける考え方は、この研究グループを率いたリッカートが、組織の運営のしかたを「システム1〜4」に分けたものです。システム4が最も業績が高いというのが、リッカートの主張です。システム1は、資料により「搾取的専制型」とも呼ばれ、システム3も「協議型」と書かれることがあります。年代は1960年代とされますが、資料により書き方は異なります。)

PM理論:目標達成のPと、集団維持のM

ここまでで、リーダーシップの形がかなり見えてきました。仕事そのものへのアプローチと、人へのアプローチ。この2つの要素を、誰が見ても直感的に分かるマトリックスに落とし込んだのが、診断士試験でもおなじみの2つの理論です。

1つ目は、日本の学者である三隅二不二が提唱したPM理論です。リーダーの機能を、2つの軸で捉えます。

  • P機能(パフォーマンス):職務遂行機能。組織の目的を達成させる力です。目標達成のPと覚えましょう。
  • M機能(メンテナンス):集団維持機能。メンバー間のコンフリクト(対立)を解消し、人間関係を維持する力です。

結論として、PもMも両方高いPM型が、最も良いとされます。

M機能(集団維持)が強いpM型人間関係は良いが目標達成が弱いPM型最も望ましい成果もチームも強いpm型どちらも弱い最も望ましくないPm型成果は出すが集団維持が弱いM強M弱P弱P強P機能(目標達成)→ 強くなる
大文字は強い、小文字は弱いことを表します。両方とも強いPM型が最も望ましいとされます。

(補足:動画にない話です。PM理論は、三隅二不二が1966年に提唱したとされます。三隅は社会心理学者です。リーダーの行動を、P機能とM機能の強い・弱いで4つに分けます。PとMの両方が強いのがPM型、Pだけ強いのがPm型、Mだけ強いのがpM型、両方弱いのがpm型です。大文字は強い、小文字は弱いことを表します。P機能は、「目標達成のために計画を立てる」「進み具合を確認して、きびしく指導する」といった行動、M機能は、「声をかける」「話を聞く」「対立を和らげる」といった行動が代表例です。なお、P機能は目標達成機能、課題達成機能と表現されることもあります。)

マネジリアル・グリッド:業績への関心と人への関心

2つ目は、ブレークとムートンが提唱したマネジリアル・グリッドです。こちらは、リーダーの行動を「業績への関心」と「人への関心」という2つの軸で測定し、両方への関心が最も高い状態を9.9型(チーム型)として、ベストだとしています。

人への関心 ↑業績への関心 →1.1 無関心型9.1 権威・服従型1.9 カントリークラブ型9.9 チーム型5.5 中庸型
右上の9.9型(チーム型)が理想とされます。9.1は業績に全振り、1.9は人に全振りです。

どちらの理論も、リーダーシップをすっきりとモデル化していて、コンサルティングの現場で、共通言語として使いやすいツールだと動画は言います。

(補足:動画にない話です。マネジリアル・グリッドは、ブレークとムートンが1964年に発表したとされます。2つの軸は、それぞれ1から9までの目盛りで測ります。業績への関心が9で人への関心が1の「9.1型」、反対に、業績への関心が1で人への関心が9の「1.9型」は、極端な例です。代表的な5つは、次の通りです。呼び名は資料により多少異なるため、座標(業績・人の順)とあわせて覚えるのが安全です。)

型呼び名の例特徴
9.9チーム型業績にも人にも最大の関心。理想とされる
9.1権威・服従型業績に全振りで、人への関心が低い
1.9カントリークラブ型人間関係に全振りで、業績への関心が低い
5.5中庸型どちらもほどほど
1.1無関心型どちらにも関心が低い

PM理論とグリッドは、何が違うのか

ここで聞き手が、鋭いツッコミを入れます。PM理論の「職務遂行」と「集団維持」、マネジリアル・グリッドの「業績への関心」と「人への関心」。使っている言葉のラベルが違うだけで、本質的には、さっきのオハイオ研究の「構造づくり」と「配慮」から、ほぼ何も変わっていないのでは。なぜ、別々の理論として覚える必要があるのか、と。

講師は、「本質を見抜いていますね」と認めたうえで、こう答えます。行きつく先は「仕事と人の両立」という同じ結論です。しかし、レントゲンのレンズのピントを合わせる位置が違うのです。

ピントの位置のちがい

  • PM理論:リーダーが組織の中で果たしている機能や役割、つまり外に向かって現れている客観的な行動の結果に焦点を当てます。
  • マネジリアル・グリッド:リーダー自身の頭の中にある関心や思考、つまり内面的な価値観の度合いを測定します。

外に現れる機能として見るか、内面にある関心として見るか。この違いが、診断のしかたを変えます。動画は、現場のシナリオで確かめます。ものすごい営業成績をたたき出すのに、部下が次々とメンタルを崩して辞めていく、ゴリゴリの営業課長がいたとします。コンサルティングの現場で、よく出会うケースです。

見るレンズ診断の言い方改善の方向
PM理論目標達成のP機能は非常に高いが、集団維持のM機能が欠落している(Pm型)。行動面の偏りとして捉える外的な行動のスキルが足りないので、やり方を教える
マネジリアル・グリッド業績への関心は9と最大だが、人への関心は1しかない。9.1型のマインドセット(思考の型)に陥っている本人の価値観そのものを変えるアプローチが必要

どちらのレンズを使うかで、診断士が提案する改善策も、まったく変わってきます。動画の聞き手は、「点と点が線でつながりました。ただの暗記科目だと思っていたものが、現場で使える立体的なツールキットになる感覚です」と話します。

試験の注目点:理論と提唱者・軸の取り違え

  • アイオワ研究:レヴィン。専制型・民主型・放任型の3つ。「誰が決めるか」の研究。
  • オハイオ研究:構造づくりと配慮の2軸。2つは独立している(トレードオフではない)。
  • ミシガン研究:従業員志向と生産志向。リッカートの4つのシステムで、最も良いのはシステム4(参加型)。
  • PM理論:三隅二不二。P機能は目標達成(課題・職務遂行)、M機能は集団維持。PM型が最も望ましく、pm型が最も望ましくない。
  • マネジリアル・グリッド:ブレークとムートン。業績への関心と人への関心。9.9型(チーム型)が理想。
  • 「PM理論=三隅二不二」「グリッド=ブレークとムートン」「アイオワ研究=レヴィン」など、人物と理論の組み合わせは、そのまま問われやすい点です。

5つの理論を、一本の線でつなぐ

動画のまとめは、こうです。アイオワ研究の「誰が権限を持つか」という問いから始まり、オハイオ研究で「仕事のルール」と「人への配慮」の2軸が発見されました。そして、ミシガン研究で、従業員の意見を活用することが生産性を高めるというメカニズムが解明され、最終的に、PM理論やマネジリアル・グリッドという、使い勝手の良いマトリックスへと昇華していったのです。

これで、最初の曖昧な泥水がクリアになります。なんとなくの感覚ではなく、「このマネージャーはPの機能は高いが、Mが足りないから、チームが疲弊しているんだな」というように、きわめて高い解像度で、現場の課題を分析できるようになる。壊れていたレントゲンが治って、はっきりと組織の骨格が見えるようになる、と動画は結びます。

理論提唱者見ている軸・分類
アイオワ研究レヴィン意思決定の持ち方:専制型・民主型・放任型
オハイオ研究オハイオ州立大学の研究構造づくり/配慮
ミシガン研究ミシガン大学の研究(リッカート)従業員志向/生産志向、システム1〜4
PM理論三隅二不二P機能(目標達成)/M機能(集団維持)
マネジリアル・グリッドブレーク、ムートン業績への関心/人への関心(各1〜9)

最後の問い:唯一絶対の正解はあるのか

動画の最後には、少し意地悪な問いが投げかけられます。今回紹介した理論は、すべて「最も理想的なリーダースタイルは、これだ」と、1つの正解を定めていました。アイオワ研究なら民主型、PM理論ならPM型、マネジリアル・グリッドなら9.9型です。どの理論も、仕事と人の両方を高い水準で満たすものを、絶対的な理想としていました。

でも、本当に、どんなときも、どんなチームでも、それが絶対にベストなのでしょうか。たとえば、明日までに対処しなければ会社がつぶれてしまうような、一刻を争う危機的な状況に陥ったとします。大火事になっている現場で、「みんなの意見を積極的に活用したいんだけど、どうやって消火しようか」と悠長に話し合う参加型のスタイルが、果たして正解になるのか。火事の現場で、話し合いはしていられません。

もしかすると、状況やメンバーの熟練度によっては、強い権限で指示を出す専制型や、目標達成に完全に振り切ったP型のリーダーシップこそが求められる瞬間も、あるのではないでしょうか。動画は、「リーダーシップに、いつでもどこでも通用する唯一の正解はあるのか」と問いかけ、自分の仕事の経験や、見てきた上司の顔を思い浮かべながら、状況に応じてどんなスタイルが最適かを考えてみてください、と締めくくります。

(補足:動画にない話です。この問いが、前のほうで触れた「状況適合論(条件適合理論)」につながります。状況によって、有効なリーダーシップのスタイルは変わる、という考え方です。行動論は、「仕事と人の両方が強いのが理想」と考えるのに対し、状況適合論は、「理想は状況しだい」と考える、と整理すると、違いがはっきりします。)

職場にあてはめると:中小企業の現場で

診断士として、中小企業で「社長の右腕の部長が、成果は出すが部下がどんどん辞める」という相談を受けたとしましょう。まず、PM理論のレンズで、行動の偏りを見ます。成果を追う行動(P機能)は強いのに、部下の話を聞く、対立を和らげるといった行動(M機能)が足りていない。つまり、Pm型だと診断できます。

つぎに、その部長自身の考えを探ります。業績への関心ばかりが強く、人への関心が低いなら、マネジリアル・グリッドでは9.1型です。もし本人が「人に気を配る必要はない」と本気で思っているなら、やり方を教えるだけでは足りません。価値観へのアプローチが必要になります。

さらに、意思決定のスタイルが専制型に偏っていないか、部下の意見を聞くだけで終わらせず、本当に仕事へ取り入れているか(相談型で止まっていないか)も、確かめます。こうして、アイオワ・オハイオ・ミシガン・PM・グリッドを順にあてれば、「あの人はリーダーとして致命的だ」という感覚が、客観的な言葉に変わります。

まとめ:レントゲンを手に入れる

  • 行動論は、才能ではなく行動のパターンでリーダーを見る。だから、診断でき、改善できる。
  • アイオワ研究は「誰が決めるか」(専制型・民主型・放任型)、オハイオ研究は「構造づくりと配慮」の2軸。
  • ミシガン研究は従業員志向を重視し、リッカートの4システムでは、意見を本気で活用する参加型(システム4)がベスト。
  • PM理論(三隅二不二)はP機能(目標達成)とM機能(集団維持)、マネジリアル・グリッドは業績への関心と人への関心。どちらも両方高い状態が理想。
  • PM理論は外に現れる機能に、グリッドは内面の関心にピントを合わせる。どちらのレンズを使うかで、改善策も変わる。
  • ただし、どんな状況でもベストなスタイルがあるとは限らない。状況しだいという視点が、次に続く。

動画の締めの言葉を、そのまま書き出します。次に、現場で迷える管理職に出会ったとき、今日手に入れたこのレントゲンが、きっとあなたの強力な武器になるはずです。診断士試験では、5つの理論の名前と、提唱者、そして見ている軸を取り違えないことが、得点につながります。

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