クフウヤ聞き流しラボWebテキスト(無料)NEW
中小企業診断士 1次試験

7科目を、聞き流しで一周する。

企業経営理論から中小企業政策まで、1次試験の論点を科目別の講義動画にまとめています。過去問の解説も1問ずつそろえています。

科目別の講義動画過去問完全解説ファイナルペーパーメンバーシップ
診断士 聞き流しラボ

経過勘定『前払費用・前受収益・未収収益・未払費用』

財務・会計 第46回

財務・会計・財務諸表・会計処理 0066分41秒2026年2月10日公開

「一見するとちょっと複雑に思えるかもしれないんですけど、なぜこれが必要なのか、その根本的な考え方を理解すればすっと頭に入ってくるはずです」。動画は、導入のなかでこう語ります。このページでは動画の流れにそって、経過勘定の目的、繰延べと見越しの違い、前払費用・前受収益・未払費用・未収収益の4科目を、資産と負債の見分け方とあわせてまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

経過勘定は何のためにある?

動画は、財務・会計の中でも特に重要な経過勘定を、聞き流しで学べるように要点を整理する、という導入で始まります。名前からして複雑そうですが、なぜこれが必要なのかという根本の考え方がわかれば、すっと頭に入ってくる、というのが動画の立場です。

経過勘定の目的は、企業の業績を期間ごとに正しく把握することです。ビジネスでは、お金の動き(キャッシュフロー)と、実際のサービスの提供や費用の発生の時期がずれることがよくあります。そのずれを調整して、その期に属する収益と費用を正確に対応させる。動画は、これを最も重要なポイントとしています。

(補足:会計では、お金を受け払いした時ではなく、収益や費用が発生した時に計上する考え方(発生主義)がとられています。経過勘定は、その考え方を決算で形にするための調整、と理解するとつながります。)

家賃で考える:半年分を払ったのに、使ったのは2か月

動画の具体例は、決算日が3月31日の会社です。2月1日に、半年分の家賃6,000円を前払いしたとします。この6,000円を、もし全額、支払った期の費用にしてしまったらどうなるか。動画では、まだ2か月分しか事務所を使っていないのに半年分の費用が計上されてしまい、その期の正確な利益が計算できない、と整理されます。

そこで登場するのが経過勘定です。経過勘定は、サービスの提供時期と費用の発生時期を、正しく対応させるための会計処理だと説明されます。

2月3月4月5月6月7月当期分 2,000円次期分 4,000円決算日 3月31日2月1日に半年分の家賃6,000円を前払い全額を当期の費用にすると4,000円多すぎる
動画の家賃の例を時間軸に置くと、当期分と次期分に分かれます。

動画の数字を確かめておきます。半年分6,000円なので、1か月あたり1,000円です。決算日までの2月・3月の2か月分は2,000円、次期の4月から7月までの4か月分は4,000円になります。2,000円+4,000円で6,000円に戻ります。

経過勘定は、大きく繰延べと見越しの2つに分かれます。動画は、この2つの違いを理解することが最初のステップだと言います。見分けるカギは、お金のやり取りとサービスの提供の、どちらが先かです。

繰延べ:先にお金、あとからサービスお金のやり取りサービス見越し:先にサービス、あとからお金サービスお金のやり取り
経過勘定は、お金とサービスの順番で2つに分かれます。

繰延べ:先にお金、あとからサービス

まず繰延べです。サービスの提供より前に、先にお金のやり取りがあるケースで、さきほどの家賃の例がまさにこれにあたります。

支払う側から見ると、これは前払費用です。家賃6,000円のうち、当期分の2月と3月の2,000円は費用でかまいません。けれど、次期分の4月から7月の4,000円は、次期の費用を前払いしたものと考えます。これは将来サービスを受ける権利なので、貸借対照表(BS)では資産として計上されます。

たとえ:権利は資産、義務は負債

動画は、聞き手の復唱も含めて「権利だから資産」「義務だから負債」という見方をくり返します。(補足:前払いした家賃は、次期に部屋を使える権利を先に買ったもの。お金そのものはもう出ていっても、その権利が会社に残っている、と考えます。)

逆に、家賃を受け取る大家さんの側から見ると、これは前受収益です。受け取った6,000円のうち4,000円は、まだ次期分のサービスを提供していないのに、事前にもらったお金です。これは将来サービスを提供する義務なので、貸借対照表では負債として扱われます。

(補足:大家さんの側でも、サービスを提供した当期の2か月分、2,000円は当期の収益です。ここで取り除くのは、次期にまわる4,000円だけです。払う側と受け取る側で、同じ4,000円が「次期に使う権利」と「次期に果たす義務」という、鏡のような関係になっています。)

まとめると、繰延べは、先にお金を支払えば前払費用で資産、先にお金を受け取れば前受収益で負債、という処理になります。

見越し:先にサービス、あとからお金

もうひとつが見越しです。こちらは繰延べと逆で、お金のやり取りより先に、サービスの提供が行われるケースです。

動画の例は、2月1日から7月31日までの6か月間のメンテナンスサービスで、料金6,000円はサービス終了時に一括で支払う、という取り決めだった、というものです。3月31日の決算時点では、2か月分、2,000円相当のサービスをすでに受けています。でも支払いはまだです。この「費用は発生しているが、まだ支払っていない」状態を記録するのが未払費用で、将来支払う義務なので負債になります。

(補足:この2,000円を、決算で当期の費用として計上しておくと、あとの動きがすっきりします。7月末に6,000円を支払うとき、そのうち2,000円は当期の分としてすでに計上済みで、次期の費用になるのは残りの4,000円です。6,000円が、当期2,000円と次期4,000円に、きれいに振り分けられます。)

サービスを提供する側から見ると、2か月分のサービスはもう提供済みで、収益は発生しています。でもお金はまだ受け取っていません。これが未収収益で、将来お金を受け取る権利なので資産として計上します。

見越しは、まだ支払っていない費用(未払費用)は負債、まだ受け取っていない収益(未収収益)は資産として計上する処理、とまとめられます。

試験対策の覚え方:頭に「未」がつくのが見越し

動画は、ここで試験対策の覚え方を紹介します。

ここで1つ、試験対策の覚え方があるんですよ。

おお、ぜひ聞きたいです。

見越し勘定は、未払費用と未収収益、どちらも頭に「未」がつくんです。

ああ、なるほど。

こう覚えておくと、繰延べの勘定と混同しにくくなります。

見越し未払費用未収収益頭に「未」繰延べ前払費用前受収益頭に「前」注意:未払金・未収入金も「未」で始まりますが経過勘定の4科目には入りません
動画の覚え方は、経過勘定の4科目の中で使います。

(補足:この覚え方は、経過勘定の4科目の中で使うものです。「未」で始まる科目はほかにもあり、たとえば未払金や未収入金は、経過勘定とは別の科目です。前払金や前受金も、前払費用・前受収益とは別の科目として区別されます。企業会計原則の注解では、経過勘定の4つは、継続して役務の提供を受ける、または提供する契約にもとづくものとして説明されている、とされています。)

4つの科目を整理する

ここまでに4つの科目が出てきました。動画では、聞き手が自分の言葉で整理し、講師が確認する形で、資産か負債かを固めていきます。

繰延べ(お金が先)見越し(サービスが先)費用の側(払う)前払費用資産費用の側(払う)未払費用負債収益の側(もらう)前受収益負債収益の側(もらう)未収収益資産色:資産=受け取る権利色:負債=果たす義務
4つの科目は、資産か負債かで見分けます。

まず前払費用。払ったけれど、まだサービスを受けていない分だから、将来サービスを受ける権利で資産。次に前受収益。もらったけれど、まだサービスを提供していない分で、将来サービスを提供する義務だから負債。

その通りです。

そして未払費用。サービスは受けたけれど、まだ払っていない分で、支払う義務があるから負債。最後に未収収益。サービスは提供したけれど、まだもらっていない分で、お金をもらう権利があるから資産。資産か負債か、という点がすごく重要ですね。

まさにその通りです。将来お金が出ていく、あるいはサービスを提供する義務があるものは負債。将来お金が入ってくる、あるいはサービスを受ける権利があるものは資産。この原則で考えると、非常に理解しやすいと思います。

科目どんな状態か貸借対照表
前払費用払ったが、まだサービスを受けていない資産
前受収益もらったが、まだサービスを提供していない負債
未払費用サービスを受けたが、まだ払っていない負債
未収収益サービスを提供したが、まだもらっていない資産

迷ったときは、動画の整理を次の順番で当てはめてみてください。

  • お金のやり取りとサービスの提供は、どちらが先か。お金が先なら繰延べ、サービスが先なら見越し。
  • 自分は、サービスを受ける(払う)側か、提供する(もらう)側か。費用の側なら「〜費用」、収益の側なら「〜収益」。
  • その分は、将来受け取る権利か、将来果たす義務か。権利なら資産、義務なら負債。

設例で:仕訳と利益のずれを確かめる

動画は仕訳までは示しません。ここでは動画の数字を使った設例で、決算整理の仕訳と、処理をしなかったときに利益がどうずれるかを確かめます。前提は、決算日3月31日で、支払いや受け取りのときは、全額をいったん費用や収益にしてあった、というものです。単位は円です。

科目決算整理の仕訳(設例)
前払費用(借)前払費用 4,000/(貸)支払家賃 4,000
前受収益(借)受取家賃 4,000/(貸)前受収益 4,000
未払費用(借)保守料 2,000/(貸)未払費用 2,000
未収収益(借)未収収益 2,000/(貸)売上 2,000

金額は、半年分6,000円のうち、次期にまわる4か月分(4,000円)と、当期に発生済みの2か月分(2,000円)です。前払費用と前受収益は、すでに全額を費用・収益にしてあるので、次期の分を取り除きます。未払費用と未収収益は、当期に発生しているのにまだ計上していないので、加えます。

科目処理をしないと当期の利益
前払費用費用が4,000円多すぎる4,000円少なく出る
前受収益収益が4,000円多すぎる4,000円多く出る
未払費用費用が2,000円足りない2,000円多く出る
未収収益収益が2,000円足りない2,000円少なく出る

(補足:実務では、翌期のはじめに、これらを元に戻す再振替仕訳を行うのが一般的です。ここでは立ち入りません。)

最後の問い:経過勘定がなかったら?

動画の締めくくりは、講師からの問いかけです。もし経過勘定というルールがまったく存在しなかったら、企業の財務諸表は、いったいどのように変わってしまうでしょうか。そして経営者は、その数字を見て、どのような判断を下すことがあるでしょうか。動画は答えを出さず、そこまで考えるとこのルールの本質的な重要性がより深く見えてくるはず、と締めくくります。

上の表は、その考えるヒントになります。処理をしないと、ある期の利益が多く出たり少なく出たりして、実態からずれます。しかも、そのずれ方は、いつ払ったか、いつ受け取ったかという、お金のタイミングで決まってしまいます。期ごとの業績を正しく比べるという経過勘定の目的が、そのまま答えにつながります。

たとえば、動画の例(2月1日に半年分の家賃6,000円を払う)で前払費用の処理をしなければ、当期の利益は4,000円少なく出てしまいます。経営者がそのずれた数字をもとに、費用を抑えるべきか、投資をふやすべきかを決めたら、実態とは違う判断になりかねません。ルールがある理由は、こうした誤解を防ぐことにあります。

まとめ

動画の流れのまとめ

  • 経過勘定の目的は、期間ごとの業績を正しく把握すること。お金の動きと、サービス提供・費用発生の時期のずれを調整して、その期の収益と費用を対応させる。
  • 大きく2つ。先にお金のやり取りがあるのが繰延べ、先にサービスがあるのが見越し。
  • 繰延べ:先に払えば前払費用で資産、先にもらえば前受収益で負債。
  • 見越し:まだ払っていない費用が未払費用で負債、まだもらっていない収益が未収収益で資産。
  • 見越しの2つは、どちらも頭に「未」がつく。ただし未払金・未収入金は経過勘定ではない(補足)。
  • 判断の軸は、資産は将来お金やサービスを受け取る権利、負債は将来お金を払う、またはサービスを提供する義務。

動画の説明は、4つの科目を「権利か義務か」で整理する形に絞って、仕組みをつかみやすくしています。補足で見たように、仕訳や、似た名前の別の科目との区別までは扱っていません。まずは、お金とサービスのどちらが先か、そして資産か負債か、の2つの軸で4科目を見分けられるようにしておきましょう。

LISTEN

動画で聞く

NEXT

続けて読む