聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

経営資源の種類

4事例共通 第4回

共通編 その強み、人頼みか組織の強みか8分27秒2026年8月4日公開

「その強み、与件文からちゃんと根拠を拾えてます?」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、財務・物的・人的・組織の4分類を二次の現場でどう使うか、人的資源と組織資源の見分け方、解答の書き方、混同しやすい失敗をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

その強み、与件文からちゃんと根拠を拾えてます?

「その強み、与件文からちゃんと根拠を拾えてます?」って聞かれたら、今どう答えます?

うっ…正直、それっぽい記述に線を引いて、あとは勢いで書いてる気がします。

そうなんですよね。強みや弱みの記述自体は見つけられても、それが結局どんな種類の強みなのかまでは意識してない人、すごく多いんです。

種類、ですか。知識としては、財務とか人とか組織とか、資源の分類があるのは知ってるんですけど。

そうそう、そこです。知識はあるのに、実際に与件文を読むときにその分類を使ってない。今日はまさにそこを埋めていきたいんです。

あー、知識としては知ってるのに、使うタイミングが分かってないってことですね。

そうです。分類そのものを説明するんじゃなくて、二次の現場でどう使うかに絞って一緒に整理していきましょう。

根拠を具体化する道具として使う

お願いします。まず、この分類ってそもそも二次でどんな出方をするんですか?

直接「経営資源を分類しなさい」なんて聞かれることは、まずないんです。

え、じゃあどこで効いてくるんですか?

強みや弱みを聞かれる設問、それから戦略が実現できるかどうかを問う設問。そこで根拠を具体化する道具として使うんです。

具体化、というと?

「この強みは、結局どの種類の資源によるものか」を自分の中で一段掘り下げてから書く、ということです。それだけで解答の説得力がかなり変わってきます。

ただ強みを並べるんじゃなくて、その中身まで言い当てる感じですね。

まさにそれです。表面をなぞるだけの解答と、資源の種類まで踏み込んだ解答、採点者から見た印象は結構違うはずです。

直接「経営資源を分類しなさい」なんて聞かれることは、まずない強みや弱みを聞かれる設問戦略が実現できるかどうかを問う設問根拠を具体化する道具として使う「この強みは、結局どの種類の資源によるものか」
二次でどんな出方をするか

与件文のどのへんを見たら、この資源の話だと気づけるか

じゃあ実際、与件文のどのへんを見たらこの資源の話だって気づけるんですか?

まず分かりやすいのが財務資源です。自己資本の厚さとか、借入の余力、資金繰りに関する記述が出てきたら、ここに反応します。

お金まわりの話が出たら財務資源、と。

そうです。次に物的資源。工場や設備、立地、在庫、それから取引先との距離みたいな記述ですね。

「モノ」に関する話、ということですか。

はい。そして人的資源。熟練した職人さんの技術、経営者の経験、社員の専門性。こういう記述が出たら人的資源です。

これは割とイメージしやすいです。

最後が組織資源。社内の仕組みとか、企業文化、ルール、データベース、それから社内の非公式なつながり。こういうものですね。

財務資源自己資本の厚さ借入の余力資金繰りに関する記述物的資源工場や設備立地、在庫取引先との距離人的資源熟練した職人さんの技術経営者の経験社員の専門性組織資源社内の仕組み、企業文化ルール、データベース社内の非公式なつながり
与件文のどのへんを見るか

人的資源と組織資源の見分け方

人的資源と組織資源、なんだか似てる気がするんですけど…。

そこ、すごく大事な指摘です。実はこの二つ、二次の現場で一番混同しやすいところなんです。

どう見分ければいいんですか?

「その強み、特定の人がいなくなったら失われますか?」って自分に聞いてみてください。失われるなら人的資源、組織として再現できるなら組織資源です。

その人だけの技術なのか、仕組みとして残るものなのか、ってことですね。

その通りです。この区別、事業承継とか人材育成に関する設問で特に効いてきます。

事業承継の問題でも使うんですね。

はい。後継者に何を引き継ぐべきかを考えるとき、この見分け方が土台になってくるんです。

同じ「精度の高さ」でも、人的なのか組織的なのか変わる

たとえばどんな感じで見分けるのか、イメージで見せてもらえますか?

たとえば、こんな会社があったとして。ベテランの職人さんが一人で仕上げの精度を支えている工場があったとします。

よくありそうな設定ですね。

この場合、精度の高さそのものは、その職人さんがいなくなったら失われてしまいますよね。だから、これは人的資源です。

なるほど、まだ組織の力にはなってないってことですね。

そうです。でも、もしその会社に、仕上げの手順や検査基準をまとめた品質管理の仕組みがあって、他の社員でも一定の精度を再現できる状態だったらどうでしょう。

あ、それなら職人さん個人がいなくても回る、ということですか。

そうなんです。その場合は、精度の高さが組織資源として定着していると言えます。同じ「精度の高さ」でも、状態によって人的なのか組織的なのか変わるんです。

同じ強みでも、仕組み化されてるかどうかで分類が変わるんですね。

はい。だから与件文を読むときは、その強みが「まだ人に乗っているのか」「もう仕組みに乗っているのか」を意識して見ていくことが大事なんです。

「その強み、特定の人がいなくなったら失われますか?」失われる人的資源組織として再現できる組織資源ベテランの職人さんが一人で仕上げの精度を支えている工場仕上げの手順や検査基準をまとめた品質管理の仕組み他の社員でも一定の精度を再現できる状態同じ「精度の高さ」でも、状態によって人的なのか組織的なのか変わる
人的資源と組織資源の見分け方

まず拾う、そのあと仕分ける

実際に与件文を読むとき、この整理ってどういう手順でやればいいんですか?

まず、強み・弱みとして拾った記述を一通り集めます。そのあとで、それぞれがさっきの4分類のどれに当たるかで振り分け直すんです。

拾ってから、あとで仕分けるイメージですね。

そうです。一気に両方やろうとすると混乱するので、まず拾う、そのあと仕分ける、と工程を分けるのがコツです。

仕分けるときに一番迷うのは、やっぱり人的と組織のところですか?

そうなんです。だからこそ「その人がいなくなったら失われるか」という問いを、仕分けの基準として先に持っておくと迷いにくくなります。

基準を先に決めておくんですね。

はい。基準を持たずに感覚だけで仕分けると、あとで解答を書くときにブレてしまいます。

資源の種類を言葉に乗せて書く

仕分けたあと、実際の解答にはどう落とし込むんですか?

強みを書くとき、資源の種類を言葉に乗せるんです。「熟練した技術者の経験という人的資源」とか、「長年培った品質管理の仕組みという組織資源」のように。

ただ強みを書くより、種類を添えるということですか。

そうです。それだけで、単なる強みの列挙より一段深い解答になります。

言葉選び一つで印象が変わりそうです。

特に事業承継や人材育成系の設問では、人的資源に偏った強みをどう組織資源化するか、という視点が効いてきます。

人に頼っている強みを、仕組みに変えていく方向で書く、ということですね。

その通りです。さっきの職人さんの例で言えば、仕上げの技術を人的資源のままにしておくのか、品質管理の仕組みに落とし込んで組織資源にしていくのか、という視点で解答を組み立てられるんです。

一つの例が、強みの説明にもそのまま使えるんですね。

そうです。この視点があるかないかで、解答の厚みがかなり変わってきます。

① まず拾う強み・弱みとして拾った記述を一通り集める② そのあと仕分ける4分類のどれに当たるかで振り分け直す③ 解答に書く資源の種類を言葉に乗せる「熟練した技術者の経験という人的資源」「長年培った品質管理の仕組みという組織資源」
与件文を読むときの手順

やってしまいがちな失敗

逆に、やってしまいがちな失敗ってどんなものがあるんですか?

一番多いのが、さっきの人的資源と組織資源の混同です。属人的な強みなのに「組織として盤石」と誤って評価してしまうパターンですね。

特定の人がいなくなったら消えてしまう強みを、仕組みだと思い込んじゃうんですね。

そうです。それからもう一つ、物的資源と財務資源を混同するパターンもあります。設備の話をしているのに、資金の話とごっちゃにしてしまう。

モノとお金、近そうで違いますもんね。

たとえば、こんな会社があったとして。借入金で新しい設備を導入した、という記述があったとします。

よくある書かれ方ですね。

この場合、導入した設備そのものは物的資源です。一方で、それを借りられた資金力や借入余力の方は財務資源。ここを分けて考える必要があるんです。

同じ一文の中に、物的資源と財務資源が両方混ざってる、ということですね。

そうです。「設備がある」だけを見て物的資源とひとくくりにしてしまうと、その設備を持てた背景にある財務資源の強さを見落としてしまいます。

一文からでも、複数の資源に切り分けて読む必要があるんですね。

はい。強み・弱みの記述は、一つの文に複数の資源が同居していることも珍しくないので、丁寧に切り分ける意識が大事です。

借入金で新しい設備を導入した、という記述導入した設備そのもの物的資源それを借りられた資金力や借入余力財務資源「設備がある」だけを見て物的資源とひとくくりにしてしまうと、背景にある財務資源の強さを見落としてしまう
同じ一文の中の物的資源と財務資源

分類は整理の道具であって、目的ではない

なるほど、混同しやすいポイント、他にもありますか?

あともう一つ気をつけたいのが、4分類にこだわりすぎて、与件文にない資源を無理に当てはめてしまうことです。

分類したい気持ちが先に立って、書いてないことまで作っちゃうってことですか。

はい。あくまで与件文に書かれている記述をもとに仕分けるのが大前提です。分類はあくまで整理の道具であって、目的ではないんです。

道具が目的になっちゃうと、本末転倒ですもんね。

そうなんです。与件文にない資源を無理に当てはめるくらいなら、分類しきれない記述はそのままにしておく方が安全です。

本番で使うときのポイント

最後に、本番で使うときのポイント、まとめてもらえますか?

まず、強み・弱みを拾ったら、財務・物的・人的・組織の4分類のどれに当たるか仕分けること。

それから、人的資源と組織資源は「特定の人がいなくなったら失われるか」で見分ける。

そうです。そして解答を書くときは、資源の種類を言葉に乗せて、一段深い説明にすること。

混同や、無理な当てはめには気をつける、と。

それだけ意識できれば、強み・弱みの解答の説得力、かなり変わってくるはずです。

次に与件文を読むとき、さっそく意識してみます。

ぜひ試してみてください。特に事業承継や人材育成が絡む事例では、この見分け方が解答の質を左右しますから。

人的資源と組織資源の見分け方、しっかり持って次の演習に臨みます。

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