聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

ドメインと事業の軸の定め方

4事例共通 第7回

共通編 誰に・何を・どう、事業の軸の定め方9分33秒2026年8月4日公開

「事業ドメインって、1次のときにさんざん勉強したと思うんですけど、二次の答案でちゃんと使えてますか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、設問での聞かれ方、与件文を読む3つの切り口、提案で維持するものと変えるもの、答案に書く型、やりがちなミスをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

事業ドメイン、二次の答案でちゃんと使えてますか

事業ドメインって、1次のときにさんざん勉強したと思うんですけど、二次の答案でちゃんと使えてますか。

うーん、意味は分かってるつもりなんです。標的顧客とか顧客機能とか技術とか。でも、それが与件文のどこに出てきて、どう答案に反映すればいいのか、正直あやふやです。

そこなんですよね。知識としては持っているのに、本番でどこで使えばいいか分からない。これ、すごく多い悩みです。

はい。設問文に「ドメイン」って言葉が出てこないことも多いじゃないですか。だから、これを使う設問だって気づけないまま終わってしまうこともあって。

そうなんです。だからこそ今日は、意味の確認じゃなくて「どこで気づいて、どう使うか」だけに絞って話していきます。

二次の設問では、どういう聞かれ方をするのか

お願いします。まず、二次の設問だと、この論点ってどういう聞かれ方をするんですか。

一番分かりやすいのは「今後の事業ドメインをどう再定義すべきか助言せよ」みたいな、そのものずばりの聞き方ですね。

あ、それなら分かりやすいです。

ただ、それだけじゃないんです。「新規事業への進出は自社の強みに合っているか」とか、「新市場開拓をどう進めるべきか」みたいな設問でも、実はこの考え方が土台になっていることが多いんですよ。

え、ドメインって言葉が出てこなくてもですか。

そうです。新市場開拓でも新製品開発でも多角化でも、提案するときに「それって今までの延長線上の話なのか、それとも大きく踏み出す話なのか」を説明する必要があるでしょう。そこで効いてくるのがこの論点です。

なるほど、提案の"踏み込み具合"を説明するための土台になってるんですね。

そういうことです。だから設問文に「ドメイン」って単語がなくても、事業の方向性を助言する系の設問では、常に頭の片隅に置いておく論点だと思ってください。

そのものずばりの聞き方「今後の事業ドメインをどう再定義すべきか助言せよ」「ドメイン」という言葉が出てこない設問「新規事業への進出は自社の強みに合っているか」「新市場開拓をどう進めるべきか」新市場開拓でも新製品開発でも多角化でも「今までの延長線上の話なのか、それとも大きく踏み出す話なのか」を説明する必要がある
設問での聞かれ方

与件文のどこを見たらこの論点だと気づけるのか

分かりました。じゃあ次に気になるのが、与件文のどこを見たらこの論点だって気づけるのか、ってところなんですけど。

ここは3つの切り口で読むのがコツです。1つ目が標的顧客。つまり「誰に売っているか」「どんな客層を狙っているか」の記述。

顧客の属性とか、ターゲット層の話ですね。

そうです。2つ目が顧客機能。「どんなニーズに応えているか」「顧客が何のためにこの商品やサービスを求めているか」という記述です。

それってつまり、商品そのものじゃなくて、その商品が満たしている目的みたいなことですか。

まさにそこがポイントです。そして3つ目が技術、つまり独自能力。「どんな技術やノウハウで応えているか」の記述ですね。

標的顧客「誰に売っているか」「どんな客層を狙っているか」顧客機能「どんなニーズに応えているか」「顧客が何のためにこの商品やサービスを求めているか」技術(独自能力)「どんな技術やノウハウで応えているか」
与件文を読む3つの切り口

標的顧客と、顧客機能と、技術。この3つの記述が与件文のどこかに散らばっているってことですか。

その通りです。与件文を読みながら、この3つのどれに当たる記述かを頭の中で仕分けしていくイメージを持ってもらえるといいです。

標的顧客・顧客機能・技術の3つに仕分ける

仕分けって、具体的にはどうやるんですか。

事業内容の説明が出てきたら、それを標的顧客・顧客機能・技術の3つに振り分けていくんです。この3次元がはっきり定義できている企業ほど、事業の軸がぶれていないことが多いんですよ。

逆に言うと、3つのうちどれかが曖昧だと。

そう、そこがドメイン再定義が課題になっている企業のサインです。たとえば標的顧客ははっきりしているのに、顧客機能の記述が薄い、みたいなケースですね。

3次元が全部くっきりしている企業と、そうじゃない企業とでは、与件文の書かれ方も違ってくるんですか。

違いますね。軸がしっかりしている企業は、標的顧客・顧客機能・技術それぞれについて具体的な記述があることが多いです。逆に曖昧な企業は、どれか一つの記述だけが薄かったり、抽象的な言い回しに留まっていたりします。

見る点軸がしっかりしている企業曖昧な企業
与件文の書かれ方3つそれぞれに具体的な記述があることが多いどれか一つが薄い、または抽象的
事業の軸ぶれていないことが多いドメイン再定義が課題になっているサイン

じゃあ、読んでいて「ここの記述が薄いな」と感じたら、それが再定義のヒントになるかもしれないってことですね。

そのとおりです。3次元をそれぞれ意識しながら読むだけで、与件文の中の情報の濃淡に気づきやすくなりますよ。

新しい提案では、どれを維持して、どれを変えるのか

じゃあ、新しい提案をするときは、この3次元をどう扱えばいいんですか。

ここが一番大事なところです。新市場開拓でも新商品開発でも多角化でも、3次元のうちどれを維持して、どれを変えるのかを明確にすることが、提案の踏み込み度合いを伝えるコツになります。

全部変えちゃダメなんですか。

全部変えると、それはもう別の会社になってしまいますよね。だから普通は、どれか1つか2つを軸として残しながら、残りを広げたり変えたりする形で提案するのが自然です。

たとえばどんな感じになるんですか、イメージが湧かなくて。

じゃあ、たとえば、こんな会社があったとして考えてみましょう。地元のお客さんを相手に、宿泊と温泉を提供している旅館があるとします。あくまで仮の例ですよ。

この旅館が、標的顧客を地元客中心から、観光客やインバウンドまで広げたいと考えたとします。そのとき顧客機能を「宿泊」のままにしておくのか、「非日常の体験を味わってもらう」まで広げるのか、というところが論点になりますよね。

標的顧客を広げるなら、顧客機能も広げないと噛み合わない気がします。

いい着眼点です。そして技術、つまり独自能力の面では、その旅館が持っている温泉の泉質や地元食材を活かした調理のノウハウは、そのまま活かせる強みですよね。

つまり、標的顧客と顧客機能は広げるけど、技術は今までのものを活かす、という提案になるわけですね。

仮の例:地元のお客さん相手に宿泊と温泉を提供する旅館標的顧客地元客中心→ 観光客やインバウンドまで広げる顧客機能「宿泊」→ 「非日常の体験を味わってもらう」まで広げる技術(独自能力)温泉の泉質、地元食材を活かした調理のノウハウ→ そのまま活かす
仮の旅館の3次元

そうです。こうやって3次元それぞれについて「維持するのか、広げるのか、変えるのか」を整理すると、提案が思いつきじゃなくて筋道立ったものに見えてくるんです。

答案に書くときの言い回し

これ、答案に書くときはどういう言い回しになるんですか。

型としては、「標的顧客は◯◯のまま、または広げる。顧客機能は◯◯のまま、または変える。技術は◯◯を活かす」というふうに、3次元それぞれに触れながら書くのがおすすめです。

標的顧客は◯◯のまま、または広げる顧客機能は◯◯のまま、または変える技術は◯◯を活かす3つ全部に触れる1つだけに偏ると説得力が弱く見える
答案に書く型

3つとも必ず触れるってことですね。

そうです。3つのうち1つだけに偏った答案は、どうしても説得力が弱く見えてしまいます。逆に3つ全部に触れておくと、それだけで体系立った提案に見えるんですよ。

なるほど。じゃあ「技術だけを軸にして、顧客機能を新しい市場に展開する」みたいな書き方もありなんですか。

もちろんです。むしろそれくらい、どの軸を固定してどの軸を変えるかをはっきり書く方が、読み手には伝わりやすいです。「技術は維持、顧客機能と標的顧客は広げる」のように、軸をくっきりさせるのがコツですね。

やりがちなミス

分かりました。ここまでで、二次でどう出るか、与件文の着眼点、整理の仕方、解答への落とし込み方まで教わったんですけど、逆にやりがちなミスってありますか。

一番多いのが、「何を売っているか」というモノやサービスそのものだけに注目してしまって、顧客機能、つまりそのモノで何を満たしているかを見落としてしまうパターンです。

それって、どういうことですか。

よく言われる考え方に、鉄道会社が自分たちの事業を「鉄道業」だと狭く定義してしまって衰退した、という話があります。今回のケースはこの逆で、モノだけを見て、その先にある顧客のニーズを見落としてしまう失敗です。

あー、商品そのものに気を取られて、それが満たしているニーズを見落とすってことですね。

そうです。2つ目のミスは、標的顧客・顧客機能・技術のうち、どれか1つだけで事業ドメインを説明してしまうことです。

さっき言ってた「3つとも触れる」の逆パターンですね。

まさにそれです。技術の話だけをして終わる答案とか、標的顧客の話だけで終わる答案は、どうしても片手落ちに見えてしまいます。

3つ目のミスもあるんですか。

はい、これが意外と多いんですが、現状のドメインを確認せずに、いきなり再定義の提案から入ってしまうパターンです。

今どうなっているかを整理する前に、いきなり「こうすべき」って書いちゃうってことですか。

そうなんです。まず与件文から現状の3次元を読み取って整理し、そのうえで「だからここを変える」という順番を踏まないと、なぜその提案なのかの根拠が弱く見えてしまいます。

現状把握が先、提案は後、という順番を忘れないようにします。

1つ目のミス「何を売っているか」というモノやサービスそのものだけに注目し、顧客機能を見落とす2つ目のミス標的顧客・顧客機能・技術のうち、どれか1つだけで事業ドメインを説明する3つ目のミス現状のドメインを確認せずに、いきなり再定義の提案から入る
やりがちなミス3つ

まとめ

そうですね。今日の内容を整理すると、まず設問にドメインという言葉がなくても、事業の方向性を問う設問では常にこの論点を意識すること。

与件文を読むときは、標的顧客・顧客機能・技術の3つに事業内容の記述を仕分けていくこと。

3つのどれかが曖昧なら、それがドメイン再定義の課題になっているサインでしたね。

そうです。そして提案するときは、3次元のどれを維持してどれを変えるのかを明確にして、3つとも答案の中で触れること。

モノそのものだけに注目して顧客機能を見落とさないこと、1次元だけで説明しないこと、現状確認を飛ばして提案に飛びつかないこと、この3つも気をつけます。

そうやって整理しておけば、設問にドメインという言葉が出てこなくても、この論点を使うべき場面できちんと気づけるようになるはずです。

知識はあるのに使うタイミングが分からない、という状態から一歩抜け出せそうです。ありがとうございました。

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