聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

VRIO分析でその強みが本当に真似されないかを検証する

4事例共通 第8回

共通編 その強み、本当に真似されない?9分55秒2026年8月4日公開

「与件文を読んで、『あ、これは強みだな』って見つけられるようになった人ほど、次の壁にぶつかりやすいって知ってましたか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは、強みを4つの問いに通す使い方、問いごとに与件文のどこに反応するか、答案での書き方とやってしまいそうな失敗を、動画の流れにそってまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

強みは拾えるのに、手が止まる

与件文を読んで、「あ、これは強みだな」って見つけられるようになった人ほど、次の壁にぶつかりやすいって知ってましたか。

え、強みを見つけられるようになったのに、まだ壁があるんですか。

そうなんです。強みは拾えるのに、「この強みって、本当に競争優位につながるものなんですか」って聞かれると、急に手が止まる人が多いんですよ。

あー、それ分かります。知識としては、強みの中身を4つの視点でチェックする枠組みがあるのは知ってるんです。でも、実際に与件文の強みに当てはめようとすると、どこから手をつけていいか分からなくなるんですよね。

まさにそこなんです。今日は、SWOTで拾った強みを、その4つの問いに通してかけて、「本当の強み」まで掘り下げる使い方を、じっくりやっていきましょう。

見つけるのではなく、検証する

お願いします。まず、この論点って二次だとどういう出方をするんですか。

一番多いのは、「この強みは持続的な競争優位につながるか」とか、「なぜ他社に模倣されずに済んでいるのか」っていう、強みの質そのものを聞いてくる設問です。

質、ですか。強みがあるかないか、じゃなくて。

そうです。単に強みを列挙するだけの解答だと、点数が伸びにくいんですよ。その強みが、なぜ崩れにくいのか、なぜ他社が簡単には追いつけないのか、そこまで説明できているかどうかで評価が変わってきます。

なるほど。「強みがあります」で終わらせずに、「なぜ強いままでいられるのか」まで書く、ということですね。

その通りです。だからこの論点は、強みを見つけるための道具じゃなくて、見つけた強みを検証するための道具だと考えると、使いどころがはっきりします。

見つける、じゃなくて検証する。その感覚、大事そうですね。

経済性:「儲かっているか」ではない

では次に、与件文のどこを見たらこの4つの問いにつながるのか、一つずつ見ていきましょう。まず経済性ですけど、これ、与件文のどこに反応すればいいと思います?

えっと、儲かっているかどうか、みたいな話ですか?

そこ、間違えやすいポイントなんです。経済性は「儲かっているか」ではなくて、その強みが外部環境の機会や脅威にちゃんと対応できているか、という意味なんですよ。

あ、儲かってるかどうかの話じゃないんですね。外部環境との対応、ということは、与件文の機会や脅威の記述と、その強みがかみ合っているかを見る、ということですか。

そうです。だから経済性を検討するときは、強みの記述だけを見るんじゃなくて、機会や脅威として書かれている外部環境の記述と、セットで読む必要があるんです。

強み単体じゃなくて、外部環境とのかけ合わせで見る。分かりました。次は希少性ですか。

強みの記述(与件文)機会や脅威の記述(外部環境)セットで読む経済性外部環境の機会や脅威に対応できているか「儲かっているか」という意味ではない
経済性は、強みを外部環境とセットで見る

希少性:同業他社がすでに持っているか

はい。希少性は、同業他社がその強みをすでに持っているか、それとも少数しか持っていないか、という視点です。

これは分かりやすいです。与件文に「同業他社にはない」とか「唯一」みたいな言葉があれば反応すればいいんですよね。

そうですね。ただ、はっきり「唯一」と書いてなくても、業界の中でその会社だけが持っている設備や関係性が具体的に描写されていたら、希少性のサインだと考えていいです。

明言されてなくても、具体的な描写の中に埋め込まれていることもある、ということですね。

模倣困難性:一番の勝負どころ

その通りです。そして、この4つの中で一番の勝負どころになるのが、模倣困難性です。

模倣困難性、これは他社が真似しにくいかどうか、ですよね。

そうです。他社がその強みを獲得したり開発したりするのに、多大なコストや時間がかかるかどうか、を見ます。ここで与件文にどんな言葉が出てきたら反応すべきか、想像つきますか。

うーん、技術力が高い、みたいな言葉ですか。

そこもよく誤解されるところなんです。「技術力があるから」とか「品質が高いから」だけだと、その強みがなぜ真似されにくいのかの理由になっていないんですよ。

あ、技術力が高いこと自体は、模倣困難性の理由にはならないんですね。

そうです。反応すべきなのは、「長年」「独自」「地域との深い関係」「培ってきた」といった言葉です。これらは、時間をかけないと再現できない、という模倣困難性そのものを表しているんです。

時間をかけないと再現できない。だから長年とか培ってきた、という表現に反応するんですね。

反応する言葉「長年」「独自」「地域との深い関係」「培ってきた」これだけでは理由にならない「技術力があるから」「品質が高いから」時間をかけないと再現できないという模倣困難性そのものを表す言葉
模倣困難性で反応する言葉

たとえば、こんな会社があったとして、創業から何十年もかけて地域の生産者と信頼関係を築いてきた、という記述があったとします。この場合、その信頼関係自体は他社が一朝一夕には作れないものですよね。

たしかに、お金を出せばすぐ買えるものじゃないですもんね。時間そのものが壁になっている、というか。

まさにそうです。長年の経験や暗黙知、地域との関係というのは、お金で瞬時に買えないからこそ、模倣困難性が高いと判断できるんです。

なるほど、時間軸で考えると分かりやすいです。最後は組織、ですね。

組織:個人依存か、仕組みか

はい。組織は、その強みを組織全体で使いこなす仕組み、体制やルール、文化があるかどうかを見る問いです。

これはどう与件文から拾えばいいんですか。

ポイントは、その強みが特定の個人に依存しているのか、それとも仕組みとして根付いているのか、という違いです。

個人依存か、仕組みか。

そうです。これは経営資源の中での人的資源と組織資源の区別とも関係が深い視点で、「あの人がいるから」なのか、「うちのやり方として定着しているから」なのかを見分ける、ということです。

属人的な強みなのか、会社の仕組みとしての強みなのか、を見分けるんですね。

特定の個人に依存「あの人がいるから」特定の従業員や経営者個人の話仕組みとして根付いている「うちのやり方として定着しているから」部署や制度、社内の慣行の話強みの担い手が誰なのかを与件文から確認する
組織は、個人依存か仕組みかを見分ける

順番に当てはめる手順

その通りです。ここまでの4つの問いを、与件文の強みに順番に当てはめていくのが、この論点の基本的な使い方になります。

順番に当てはめる、ということは、実際に整理するときはどういう手順で進めるんですか。

まず、SWOTで「強み」として拾った記述を一つ手元に置きます。そこから経済性、希少性、模倣困難性、組織の順に、その記述が当てはまるかどうかを一つずつ確認していくんです。

一気に4つ全部を考えるんじゃなくて、順番にチェックしていく感じですね。

そうです。特に模倣困難性のところでは、さっき話した「長年」「独自」「地域との深い関係」「培ってきた」という言葉が出てきていないか、意識して探してみてください。

キーワードを探す感覚で読む、ということですね。組織の問いのところは、どう整理すればいいですか。

組織のところは、その強みの担い手が誰なのかを与件文から確認します。特定の従業員や経営者個人の話として書かれているのか、それとも部署や制度、社内の慣行として書かれているのか、そこを見分けてください。

SWOTで「強み」として拾った記述を一つ1 経済性2 希少性3 模倣困難性4 組織当てはまるかどうかを一つずつ確認
強みを4つの問いに通す順番
問い見るところ
経済性外部環境の機会や脅威に対応できているか
希少性同業他社がすでに持っているか、少数しか持っていないか
模倣困難性獲得・開発に多大なコストや時間がかかるか
組織組織全体で使いこなす仕組み、体制やルール、文化があるか

解答の書き方:希少性と模倣困難性の2点

担い手を確認する、という作業ですね。ここまで整理できたら、次はいよいよ解答に書く段階だと思うんですけど、どう書けばいいんですか。

よく出るのは、「この強みは持続的か」というタイプの設問です。この場合、4つの問いのうち、希少性と模倣困難性の2点を中心に書くのが実践的です。

あれ、経済性と組織は書かなくていいんですか。

書けるなら触れてもいいんですが、字数が限られている中で4つ全部を機械的に書こうとすると、どれも中途半端になってしまうんです。持続性を問われたときに一番効くのは、希少性と模倣困難性の2点なんですよ。

なるほど、優先順位をつけて、絞って書く、ということですね。

そうです。具体的には、他社にはない、という希少性の面と、なぜ他社が真似できないのか、という模倣困難性の理由を、与件文の具体的な記述で裏付けながら書きます。

「強みだから優位性がある」だけで終わらせちゃダメ、ということですよね。

その通りです。「強みだから優位性がある」で終わる解答と、「なぜ他社が真似できないのか」まで書いてある解答とでは、説得力がまったく違います。ここまで書けると、他の受験生と差がつくポイントになります。

「この強みは持続的か」と問われたら希少性他社にはない模倣困難性なぜ他社が真似できないのか与件文の具体的な記述で裏付けながら書く経済性と組織は、書けるなら触れてもいい
持続的かと問われたときの書き方

やってしまいそうな失敗

理由まで書く、というのが差になるんですね。ここまで聞いていて、逆にやってしまいそうな失敗も気になるんですけど、ありますか。

いくつかあります。一つ目は、さっきも触れた通り、4つの問いを全部機械的に書こうとして、字数内に収まらなくなるパターンです。

あー、全部盛り込もうとして、結局どれも浅くなる、というやつですね。

そうです。二つ目は、経済性の問いを「儲かっているか」という単純な意味で誤解してしまうパターンです。正しくは、外部の機会や脅威への対応力の話なので、そこを取り違えると的外れな解答になります。

さっき最初に私がやった間違い方ですね。

そうですね、多くの受験生がそこでつまずきます。三つ目は、与件文に書かれていない一般論で、模倣困難性の理由を済ませてしまうパターンです。

一般論、というのは、たとえばどんな感じですか。

「技術力があるから優位性が高い」みたいに、与件文に書かれていない抽象的な理由づけで終わらせてしまうことです。これだと、与件文に根拠がない、ただの一般論になってしまいます。

与件文の言葉を使わずに、自分の頭の中の理屈で説明してしまう、ということですね。

そうです。模倣困難性の理由は、必ず与件文の中の「長年」「独自」「地域との深い関係」といった具体的な記述に紐づけて書くこと。これが一番大事なポイントです。

失敗内容
一つ目4つの問いを全部機械的に書こうとして、字数内に収まらない
二つ目経済性を「儲かっているか」と誤解する(正しくは外部の機会や脅威への対応力)
三つ目与件文にない一般論で模倣困難性の理由を済ませる

まとめ

与件文の言葉から離れない、ということですね。今日の話、整理すると、強みを見つけたらそこで終わりじゃなくて、そこから検証する、という段階があるんだと分かりました。

本番でこの論点を使うとき

  • SWOTで拾った強みを一つ選んで、経済性、希少性、模倣困難性、組織の順に当てはめてみる
  • 持続性を問われたら希少性と模倣困難性の2点に絞って、なぜ他社が真似できないのかまで、与件文の具体的な記述で裏付けて書く

強みを検証する視点、しっかり持って、次の演習に臨んでみます。

LISTEN

動画で聞く

NEXT

続けて読む