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中小企業診断士 1次試験

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効率的ポートフォリオの仕組み『効率的フロンティアと資本市場線のグラフロジック』

財務・会計 第5回

財務・会計・ポートフォリオ・デリバティブ 0049分51秒2026年2月21日公開

「中小企業診断士の一次試験に向けて勉強中のあなた、財務会計の科目ってかなり壁を感じるポイントじゃないですか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、リスクとリターンのグラフ、2つの証券を混ぜたときの「く」の字、効率的フロンティア、安全資産を加えたときの資本市場線と市場ポートフォリオをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

証券投資の「壁」を、グラフの映像で越える

「中小企業診断士の一次試験に向けて勉強中のあなた、財務会計の科目ってかなり壁を感じるポイントじゃないですか」。動画はこんな問いかけから始まります。とくに証券投資論の分野は、数式やグラフばかりです。表面的な暗記だけで乗り切ろうとすると、本番で足元をすくわれがち、と動画は話します。

そこでこの回は、「なぜそのグラフの形になるのか」という理屈から解き明かします。動画のミッションは、リスクとリターンの最適解を見つけ出すことです。扱う重要概念は2つ。効率的ポートフォリオと、安全資産を含む効率的ポートフォリオです。通勤中や移動中でも、頭の中にグラフの映像をくっきり描けるように、というのが動画のお願いです。

まずは、グラフの基本構造です。頭の中で縦と横の線を引いてみてください。

  • 縦軸:リターン(期待収益)
  • 横軸:リスク(標準偏差)

つまり、グラフの右上ほどリスクもリターンも大きく、左上ほどリスクが小さいのにリターンが大きいことになります。この見方を頭に置いておくと、あとの話がすっと入ってきます。

数値例(動画にない設例・補足)

動画には具体的な数値が出てきません。そこで、イメージしやすいように、動画にない設例を用意しました。証券Aは期待収益率8%・標準偏差20%、証券Bは期待収益率3%・標準偏差10%、相関係数ρは0とします。あとで出てくる安全資産の利子率は1%です。

2つの証券を混ぜると「く」の字になる

ここに、2つの異なる証券を想像します。リスクもリターンも大きい証券Aは、グラフの右上。リスクもリターンも小さい証券Bは、左下です。動画は、この2つを組み合わせていくとグラフ上にどんな軌跡が描かれるか、と問いかけます。

普通に考えると、点Aと点Bを結んだ直線になりそうです。ところが実は、そうなりません。証券Bが100%の状態から少しずつ証券Aの割合を増やしていくと、2点を結ぶ線は、ひらがなの「く」の字のように、左へ膨らむカーブを描きます。左、つまりリスクが低い方向へグッと膨らむのです。

051015202468リスク(標準偏差・%)期待収益率(%)証券A証券B点C最小分散点ρ=1なら直線ρ=0の例の曲線
混ぜると、直線ではなく左へ膨らむ曲線になります(設例の数値)。

なぜ直線にならないのか。動画は、ここがポートフォリオ理論の核心だとして、相関係数(ギリシャ文字のρ、ローと読みます)を鍵に挙げます。相関係数が1ではない、つまり2つの証券がまったく同じ動きをしないとき、組み合わせの効果が生まれます。証券Aの割合が増えれば、もちろんリターンは増えていきます。それと同時に、異なる値動きが互いを打ち消し合うので、単体で持つよりも全体のリスクが減っていく、という説明です。

組み合わせの効果ですか。リターンが上がりつつリスクはむしろ減っていく。投資家にとっては、うれしい現象ですね。

その通りです。左へ左へとカーブしていって、いちばんリスクが低くなる限界の点に着きます。

左端に突き出たこの点を、動画は点Cと置きます。聞き手が「最小分散点とも呼ばれるところですね」と添えます。この点を最小分散点といいます。点Cを過ぎてさらに証券Aの割合を増やすと、ハイリスクな証券Aの影響が強くなるので、リターンと一緒にリスクも再び増え始めます。グラフは点Cを境に上向きに折り返し、最終的に証券Aが100%の点Aにたどり着きます。

設例で確かめてみましょう。証券Aの割合を変えたときの、期待収益率とリスク(標準偏差)です。

証券Aの割合期待収益率リスク
0%(Bだけ)3.0%10.00%
20%(点C)4.0%約8.94%
40%5.0%10.00%
60%6.0%約12.65%
100%(Aだけ)8.0%20.00%

Aを40%混ぜた場合、2点を結ぶ直線なら、リスクは20%×0.4+10%×0.6=14%になるはずです。実際には10%にとどまります。点Cはリスクが約8.94%で、Bだけを持つ10%よりも低くなっています。リターンを増やしながらリスクを下げられるのは、Bから点Cまでの区間だけで、点Cより右ではリスクも増えていきます。

(補足:動画の説明を、もう少し正確にしておきます。動画は「相関係数が1ではない時」に組み合わせの効果が生まれるといいます。相関係数は−1以上+1以下の値をとり、1のときだけ直線で、1より小さければ線は左へ曲がります。ただし、動画の説明のようにBより左に点Cが突き出る「く」の字になるかどうかは、相関の低さによります。設例では、相関係数が証券Bのリスク÷証券Aのリスク=10÷20=0.5より小さいときに、く字になります。相関係数を0.8にすると、Aを5%混ぜただけでリスクは約10.32%に増え、Bよりも左へは出ません。逆に相関係数が−1なら、Aを3分の1混ぜた時点でリスクがゼロになります。)

051015202468リスク(標準偏差・%)期待収益率(%)ABρ=1(直線)ρ=0(本文の例)ρ=−1(リスク0の点)
相関係数が低いほど、左へ大きく膨らみます(A・Bは本文と同じ設例)。

効率的フロンティア:上半分だけが選ばれる

ここで動画は、合理的な投資家の心理を考えます。前提は、リスク回避的な投資家です。く字のグラフは、点Cを境に、上半分(点Cから点Aへ向かう曲線)と下半分(点Cから点Bへ向かって下がる曲線)に分かれます。横軸のある1点、つまり同じリスクを取る場所で縦に線を引くと、上半分と下半分の2か所で交わります。リターンが低い下半分の点と、リターンが高い上半分の点です。

(補足:設例では下半分は点B(リスク10%)で終わるので、2か所で交わるのは、リスクが点Cから点Bの範囲にあるときです。)

リスクがまったく同じなら、わざわざリターンの低い方を選ぶ人はいませんよね。

その通りです。だから下半分は、選択肢から完全に除外されます。残るのは上半分だけです。

この、選ばれた上半分の曲線が効率的フロンティアです。動画は「有効フロンティア」とも呼ばれると紹介し、「くの字の上半分」という映像と、この言葉をセットで記憶に焼きつけてほしいと言います。

051015202468リスク(標準偏差・%)期待収益率(%)リスク10%リターン5%リターン3%効率的フロンティア(点C〜点A)下半分は選ばれない
同じリスクなら、リターンの高い上半分だけが残ります。

設例でも確かめられます。リスクが10%の場所で縦線を引くと、下半分には証券Bだけを持つ点(期待収益率3%)があり、上半分には、Aを40%・Bを60%で混ぜた点(5%)があります。同じ10%のリスクなら、5%のほうが明らかに有利です。

(補足:動画は2つの証券だけを扱っているので、効率的フロンティアは「くの字の上半分」になります。証券が3つ以上になると、組み合わせの結果は線ではなく、広がりを持った領域になるのが一般的です。その場合の効率的フロンティアは、領域の左上の縁に当たる曲線、と説明されます。)

試験の注目点(動画の整理にそって)

  • グラフは、リスク(標準偏差)を横軸、リターン(期待収益)を縦軸にとる。
  • 相関係数が1でなければ、組み合わせの効果でリスクが下がり、曲線は左へ膨らむ。
  • 点Cは最小分散点。そこから上へ向かう半分が効率的フロンティア。

安全資産を加えると:点Fと資本市場線

ここまでは、市場の変動リスクがある危険資産、つまり証券Aと証券Bの話でした。動画はここから、新しい要素を加えます。収益率が変動する可能性がほぼ0の資産があったら、どうなるか。聞き手は「国債のようなものですよね」と受け、講師は、このようなリスクが0の資産を安全資産と呼び、その期待収益率をリスクフリーレートと説明します。

(補足:現実の国債には、満期前に売るときの価格変動や、発行体の信用のリスクがまったくないわけではありません。理論上のリスクフリーに近いものとして国債が例に挙げられる、と考えておくのが安全です。)

安全資産はグラフ上で、どう表現されるでしょうか。リスク、つまり横軸が0なので、縦軸の上にピタッと打たれる1つの点になります。これを点Fとします。

頭の中のグラフには、いま、上半分の効率的フロンティアと、縦軸上の点Fがあります。次に、点Fと危険資産の組み合わせである効率的フロンティアを結ぶ直線を引くシミュレーションをします。ここでも投資家は、同じリスクならリターンを最大にしたいと考えるので、直線の傾きをできるだけ急にしたい。そこで直線をどんどん上へ持ち上げていくと、最終的に効率的フロンティアのカーブとギリギリで触れ合う限界のラインに到達します。交差ではなく、ピタリと接する線、つまり接線です。

051015202468リスク(標準偏差・%)期待収益率(%)点F(安全資産)Fを半分・Tを半分点T市場ポートフォリオ資本市場線借り入れて投資効率的フロンティア
点Fから引いた接線が資本市場線、接点が点Tです。

カーブと交差するのではなく、ピタリと接する線、接線ですね。

はい。点Fから曲線に向かって引いたこの接線が資本市場線です。念押ししておきますが、点Fからの接線が資本市場線ですよ。

この資本市場線と効率的フロンティアが接している点について、聞き手が接点は何かと尋ね、講師は素晴らしい着眼点だと受けて、この接点を点T、市場ポートフォリオと説明します。

(補足:動画は資本市場線を「究極のライン」と呼び、場面によって「同じリスクならリターンを最大に」「同じリターンでリスクを最小に」と説明します。どちらも同じ点Tを指す説明です。設例で言い換えると、点Fからの直線の傾き(リスク1%あたりの上乗せリターン)が最も大きくなる点がTです。設例の傾きは、Aだけだと(8−1)÷20=0.35、Bだけだと(3−1)÷10=0.20、点Tは約0.403です。点Tは、Aが約46.7%・Bが約53.3%の組み合わせで、期待収益率は約5.33%、リスクは約10.75%です。この傾きは、一般にシャープ・レシオと呼ばれる指標に当たります。)

投資家は、線の上のどこかを選ぶだけ

では、点Tが分かると、投資家の行動はどう変わるのでしょうか。動画によると、リスクをもっとも嫌う投資家は、すべてを安全資産、つまり点Fに投資します。それ以外のすべての投資家は、自分の好みに応じて、この資本市場線上のどこかに必ず位置することになります。

つまり、点Fと点Tを結んだ直線の上で、安全資産と市場の比率を変えるだけでいいということですか。

まさにその通りです。安全資産と市場を任意の比率で組み合わせるだけで、最高効率の投資ができます。

さらに動画は、点Tの方向へ直線を伸ばしていけば、より高いリスクとリターンの組み合わせも選べると言います。複雑だった危険資産の組み合わせの悩みが、安全資産の登場によって、1本の直線に集約されるわけです。設例で、線の上のいくつかの位置を見てみましょう。

FとTの持ち方期待収益率リスク
Fだけ(100%)1.0%0%
Fを半分・Tを半分約3.17%約5.37%
Tだけ(100%)約5.33%約10.75%
Tを150%(Fはマイナス50%)7.5%約16.12%

(補足:点Tより右へ伸ばすのは、手持ちの資金より多く、安全資産の利子率で借りてTに投資するイメージです。式の上では、安全資産をマイナスに持つことになります。設例の最後の行です。リスクが約16.12%のとき、危険資産だけで作れる効率的フロンティア上の点は、Aを80%・Bを20%混ぜた期待収益率7.0%です。それに対して資本市場線の上なら7.5%になります。安全資産が加わると、同じリスクでより高いリターンが狙える、ということです。)

(補足:ここまでの話は、全員が同じ予想を持ち、同じ利子率で自由に貸し借りできるといった前提を置いた、理論上の話とされています。資料により前提の書き方が異なるので、手元のテキストの説明も確認してください。)

理論の美しさと、現実とのギャップ

動画は、今日の要点を振り返ります。グラフがく字に膨らみ、その上半分だけが選ばれる、これが効率的フロンティア。縦軸のリスクフリーレートである点Fから引かれる究極の接線が資本市場線。そして、資本市場線と効率的フロンティアの接点が市場ポートフォリオの点T。この3つのキーワードとグラフの映像が頭に入っていれば、一次試験の選択肢で迷わないはずだと、動画は話します。

最後に、動画は少し面白い視点を投げかけます。理論上、すべての投資家は接点T、つまり市場を持つことが最適解だとされています。でも、この点Tに含まれる市場ポートフォリオは、世の中のすべての危険資産を完璧な比率で保有している状態です。聞き手が「それは途方もない規模ですね」と受けるとおり、世界中のあらゆる危険資産を正確に把握して、その比率でポートフォリオを組むことは、本当に可能なのでしょうか。動画は答えを示さず、理論の美しさと現実の市場とのギャップを、試験勉強の合間に考えてみてほしい、と締めくくります。

(補足:動画にない話です。一般に、市場ポートフォリオは各資産を時価総額に応じた比率で持つものと説明されます。現実には、すべての資産の把握が難しいことに加えて、期待収益率・リスク・相関は将来の予想で、正確な値は分からないという事情があります。こうした点が、理論と現実のギャップとして考えられます。)

まとめ

  • グラフは、縦軸がリターン(期待収益)、横軸がリスク(標準偏差)。
  • 2つの証券を混ぜると、相関係数が1ではないとき、組み合わせの効果でリスクが減り、左へ膨らむ「く」の字の曲線になる(動画の説明)。
  • く字の最も左の点Cが最小分散点。同じリスクなら高いリターンが選ばれるので、上半分だけが効率的フロンティア。
  • リスク0の安全資産は縦軸上の点F。その期待収益率がリスクフリーレート。
  • 点Fから効率的フロンティアに引いた接線が資本市場線。接点Tが市場ポートフォリオ(動画の整理)。
  • リスクをもっとも嫌う投資家は点Fだけ。ほかの投資家は、FとTの比率を変えて資本市場線の上のどこかを選ぶ(動画の説明)。
  • 理論上は全投資家が市場ポートフォリオを持つことになるが、現実に完璧な比率で組めるかは別の問題、と動画は問いかける。
キーワードグラフ上のイメージ動画の説明
効率的フロンティアく字の上半分(点C→点A)同じリスクなら高いリターン
資本市場線点Fから曲線への接線点Fからの接線
市場ポートフォリオ接点T全員が目指す理論上の点

動画は、複雑なグラフを暗記するのではなく、「なぜそのグラフの形になるのか」を映像で理解することが、本番で迷わないための近道だと繰り返します。まずグラフを頭に描けるか、通勤中にでも一度、確かめてみてください。

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