聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
行政書士試験

法令科目を、会話でほぐす。

憲法、行政法、民法を中心に、行政書士試験の論点を2人の掛け合いで解説します。

科目別の講義動画ファイナルペーパーアプリ
行政書士 聞き流しラボ

合併とは?吸収合併と新設合併の違いは『承継先』の1点!会社法2条27号・28号

会社法 16610分22秒2026年10月12日公開

ニュースで「A社とB社が合併へ」という見出しを見ても、会社が1つになるくらいのイメージしかなく、中身はよく分からない、という人は多いのではないでしょうか。会社法では、合併を2つのタイプに分けて定義しています。このページでは、「合併とは」から始めて、「吸収合併と新設合併の違い」を、会社法2条27号・28号にそって整理しました。「吸収合併 新設合併 違い」を調べている人も、まず動画を聞いてから、ここで表と図を見直すのがおすすめです。

3行でいうと

  • 合併とは、2つ以上の会社が契約によって1つに合わさることです(会社法748条)。株式会社だけでなく、合名会社・合資会社・合同会社の持分会社も行えます。
  • 吸収合併(2条27号)は消滅会社の権利義務の全部を存続する会社に、新設合併(2条28号)は設立する会社に承継させる合併です。
  • 吸収合併と新設合併の違いは、承継先が「すでにある会社」か「新しくつくる会社」かの1点。消える会社の数だけで決めつけないのがコツです。

合併とは?2つ以上の会社が契約で1つになること

ニュースで「A社とB社が合併へ」という見出しを見かけたことはありませんか。「会社が1つになる」というイメージは、大筋では合っています。ただ、会社法では合併を2つのタイプに分けて定義していて、この2つを区別できるようになるのが、合併を学ぶ最初の一歩です。

まず合併そのものの定義から。合併とは、2つ以上の会社が契約によって1つに合わさることをいいます。ポイントは「契約によって」という部分です。会社が自然に混ざり合うわけではなく、「合併します」という契約を結ぶところから始まります。会社法748条が、この合併契約の締結について定めています。

合併って、株式会社だけができるものなんですか?

実は株式会社だけではありません。持分会社も合併を行うことができます。合名会社、合資会社、合同会社の3つをまとめて、持分会社といいます。

じゃあ、株式会社と、その3つを合わせた4種類の会社が合併できるということですね。

そのとおりです。

ここまでを川にたとえると、2本の川が合流して1本の流れになるのが合併です。ただし、合流の仕方には2通りあります。それが吸収合併と新設合併です。

吸収合併とは?消える会社の権利義務を、残る会社が引き継ぐ

会社法2条27号の定義はこうです。会社が他の会社とする合併であって、合併によって消滅する会社の権利義務の全部を、合併後に存続する会社に承継させるもの。消滅する会社をA社、存続する会社をB社として考えましょう。

「権利義務」とは、その会社が持っている権利と、負っている義務のことです。プラスの権利も、マイナスの義務も、会社が抱えているものまるごとを指します。「承継」とは、それを引き継ぐことです。つまり吸収合併は、A社が持っている権利義務を、B社が引き継ぐ合併です。

引っ越しにたとえると

A社の家の荷物を、すでにあるB社の家に全部運び込みます。運び終わったA社の家は無くなって、B社の家だけが残る。これが吸収合併です。

A社B社荷物(権利義務)を全部運び込む消える吸収合併消滅会社残る吸収合併存続会社
吸収合併:運び込み先は、すでにある会社。消える会社は1社以上です。

このとき、無くなるA社を吸収合併消滅会社、残るB社を吸収合併存続会社といいます。作りは単純で、「吸収合併」の後ろに、消える側なら「消滅会社」、残る側なら「存続会社」がつくだけです。

もうひとつ大事なのが「全部」という言葉です。承継させるのは、消滅する会社の権利義務の全部。荷物を一部だけ残していくのではなく、全部運ぶ、と覚えましょう。

新設合併とは?消える会社の権利義務を、新しくつくる会社が引き継ぐ

次は会社法2条28号の定義です。2つ以上の会社がする合併であって、合併によって消滅する会社の権利義務の全部を、合併により設立する会社に承継させるもの。こちらは、消滅する会社をA社とB社、新しく設立する会社をC社として考えます。

引っ越しにたとえると

A社の家とB社の家、それぞれの荷物を全部、新築のC社の家に運び込みます。そして、A社の家もB社の家も無くなる。残るのは、新しく建てたC社の家だけです。

A社B社どちらも消えるC社新築新設合併設立会社(新しく設立)全部
新設合併:運び込み先は、新しく設立する会社。消える会社は2社以上です。

吸収合併ではB社が残りましたよね。新設合併は、もとからある会社は1社も残らないんですか?

残りません。もとの会社は全部消えて、新しく設立された会社だけが残ります。だから残る側を、存続会社ではなく設立会社と呼ぶんです。消える側は新設合併消滅会社、設立する側は新設合併設立会社です。

問題文に「存続する会社」とあれば吸収合併、「設立する会社」とあれば新設合併。この言葉が、見分けるポイントになります。

吸収合併と新設合併の違いを比較表で整理

観点吸収合併新設合併
根拠条文会社法2条27号会社法2条28号
権利義務の承継先合併後に存続する会社
(すでにある会社)
合併により設立する会社
(新しくつくる会社)
合併後に残る会社存続会社(もとからある)設立会社(新設)だけ
消滅する会社の数1社以上2社以上
消える側の呼び名吸収合併消滅会社新設合併消滅会社
残る側の呼び名吸収合併存続会社新設合併設立会社
定義の言い回し「会社が他の会社とする合併」「2以上の会社がする合併」

どちらも、消滅する会社の権利義務の全部を承継させる点は同じです。だからこそ、違いは「承継先が存続会社か、設立会社か」の1点に絞って考えるのが近道です。

合併は「2つ以上の会社が合わさる」と最初に聞きました。吸収合併で消える会社が1社でいいなら、数が合わなくないですか?

鋭いですね。数えているのは消滅する会社だけなんです。吸収合併では、消滅する会社のほかに、残る存続会社がいます。A社が1社消えて、B社が残るなら、合わさる会社は合計で2社。だから定義と矛盾しません。

新設合併は、残る会社がいないから、消える会社が2社以上になるんですね。

そうです。2つ以上の会社が合併して、その全部が消えるので、A社とB社の2社が消えてC社ができる、というイメージです。

権利義務の承継先は、どんな会社?すでにある会社新しく設立する会社吸収合併会社法2条27号消滅会社は1社以上新設合併会社法2条28号消滅会社は2社以上消える会社の数で決めつけない。承継先を見る
見分けるのは承継先の1点です。2社が消えても、承継先が既存の会社なら吸収合併です。

試験での問われ方:ひっかけに注意

では確認です。次のケースは、何合併でしょうか。

  • A社が消滅して、その権利義務の全部が、すでにあるB社に承継される → 吸収合併
  • A社とB社が消滅して、その権利義務の全部が、合併によって新しく設立されるC社に承継される → 新設合併
  • A社とB社の2社が消滅して、その権利義務の全部が、すでにあるC社に承継される → 吸収合併(ひっかけ)

3つ目が少しひっかけです。消滅する会社が2社なので新設合併と思いがちですが、承継先がすでにあるC社なので吸収合併です。吸収合併で消滅する会社は1社以上ですから、2社が消えても吸収合併になります。消滅する会社の数だけで決めつけず、承継先が存続会社か設立会社かで見分けましょう。

試験ではここに注目

  • 吸収合併は2条27号、新設合併は2条28号。条文番号の入れ替えに注意します。
  • 「存続する会社」なら吸収合併、「設立する会社」なら新設合併。承継先の言葉を探します。
  • 消滅する会社が2社でも、承継先がすでにある会社なら吸収合併。数だけで判断しません。
  • 承継させるのは、消滅する会社の権利義務の全部。一部ではありません。
  • 合併を行えるのは株式会社だけではなく、持分会社(合名・合資・合同)も含まれます。

補足:動画にない条文のポイント

※ここは動画にない補足です。①効力が生じて権利義務を承継するタイミングも違います。吸収合併では存続会社が効力発生日に、新設合併では設立会社がその成立の日に、消滅会社の権利義務を承継します(会社法750条1項、754条1項。いずれも株式会社が承継先の場合)。②合併契約に定める事項も、吸収合併では存続会社と消滅会社の商号・住所や効力発生日など(749条1項)、新設合併では設立会社の目的・商号・本店の所在地・発行可能株式総数など(753条1項)と、違いがあります。具体的な手続の流れは、動画でも次の回で扱うとされています。

まとめ

  • 合併とは、2つ以上の会社が契約によって1つに合わさること。持分会社も行える。
  • 吸収合併(2条27号):権利義務の全部を、存続する会社に承継させる。消滅会社は1社以上。
  • 新設合併(2条28号):権利義務の全部を、設立する会社に承継させる。消滅会社は2社以上。
  • 違いは承継先の1点。消える会社の数だけで判断しない。
NEXT

続けて聞く