合併とは?吸収合併と新設合併の違いは『承継先』の1点!会社法2条27号・28号
ニュースで「A社とB社が合併へ」という見出しを見ても、会社が1つになるくらいのイメージしかなく、中身はよく分からない、という人は多いのではないでしょうか。会社法では、合併を2つのタイプに分けて定義しています。このページでは、「合併とは」から始めて、「吸収合併と新設合併の違い」を、会社法2条27号・28号にそって整理しました。「吸収合併 新設合併 違い」を調べている人も、まず動画を聞いてから、ここで表と図を見直すのがおすすめです。
3行でいうと
- 合併とは、2つ以上の会社が契約によって1つに合わさることです(会社法748条)。株式会社だけでなく、合名会社・合資会社・合同会社の持分会社も行えます。
- 吸収合併(2条27号)は消滅会社の権利義務の全部を存続する会社に、新設合併(2条28号)は設立する会社に承継させる合併です。
- 吸収合併と新設合併の違いは、承継先が「すでにある会社」か「新しくつくる会社」かの1点。消える会社の数だけで決めつけないのがコツです。
合併とは?2つ以上の会社が契約で1つになること
ニュースで「A社とB社が合併へ」という見出しを見かけたことはありませんか。「会社が1つになる」というイメージは、大筋では合っています。ただ、会社法では合併を2つのタイプに分けて定義していて、この2つを区別できるようになるのが、合併を学ぶ最初の一歩です。
まず合併そのものの定義から。合併とは、2つ以上の会社が契約によって1つに合わさることをいいます。ポイントは「契約によって」という部分です。会社が自然に混ざり合うわけではなく、「合併します」という契約を結ぶところから始まります。会社法748条が、この合併契約の締結について定めています。
合併って、株式会社だけができるものなんですか?
実は株式会社だけではありません。持分会社も合併を行うことができます。合名会社、合資会社、合同会社の3つをまとめて、持分会社といいます。
じゃあ、株式会社と、その3つを合わせた4種類の会社が合併できるということですね。
そのとおりです。
ここまでを川にたとえると、2本の川が合流して1本の流れになるのが合併です。ただし、合流の仕方には2通りあります。それが吸収合併と新設合併です。
吸収合併とは?消える会社の権利義務を、残る会社が引き継ぐ
会社法2条27号の定義はこうです。会社が他の会社とする合併であって、合併によって消滅する会社の権利義務の全部を、合併後に存続する会社に承継させるもの。消滅する会社をA社、存続する会社をB社として考えましょう。
「権利義務」とは、その会社が持っている権利と、負っている義務のことです。プラスの権利も、マイナスの義務も、会社が抱えているものまるごとを指します。「承継」とは、それを引き継ぐことです。つまり吸収合併は、A社が持っている権利義務を、B社が引き継ぐ合併です。
引っ越しにたとえると
A社の家の荷物を、すでにあるB社の家に全部運び込みます。運び終わったA社の家は無くなって、B社の家だけが残る。これが吸収合併です。
このとき、無くなるA社を吸収合併消滅会社、残るB社を吸収合併存続会社といいます。作りは単純で、「吸収合併」の後ろに、消える側なら「消滅会社」、残る側なら「存続会社」がつくだけです。
もうひとつ大事なのが「全部」という言葉です。承継させるのは、消滅する会社の権利義務の全部。荷物を一部だけ残していくのではなく、全部運ぶ、と覚えましょう。
新設合併とは?消える会社の権利義務を、新しくつくる会社が引き継ぐ
次は会社法2条28号の定義です。2つ以上の会社がする合併であって、合併によって消滅する会社の権利義務の全部を、合併により設立する会社に承継させるもの。こちらは、消滅する会社をA社とB社、新しく設立する会社をC社として考えます。
引っ越しにたとえると
A社の家とB社の家、それぞれの荷物を全部、新築のC社の家に運び込みます。そして、A社の家もB社の家も無くなる。残るのは、新しく建てたC社の家だけです。
吸収合併ではB社が残りましたよね。新設合併は、もとからある会社は1社も残らないんですか?
残りません。もとの会社は全部消えて、新しく設立された会社だけが残ります。だから残る側を、存続会社ではなく設立会社と呼ぶんです。消える側は新設合併消滅会社、設立する側は新設合併設立会社です。
問題文に「存続する会社」とあれば吸収合併、「設立する会社」とあれば新設合併。この言葉が、見分けるポイントになります。
吸収合併と新設合併の違いを比較表で整理
| 観点 | 吸収合併 | 新設合併 |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 会社法2条27号 | 会社法2条28号 |
| 権利義務の承継先 | 合併後に存続する会社 (すでにある会社) | 合併により設立する会社 (新しくつくる会社) |
| 合併後に残る会社 | 存続会社(もとからある) | 設立会社(新設)だけ |
| 消滅する会社の数 | 1社以上 | 2社以上 |
| 消える側の呼び名 | 吸収合併消滅会社 | 新設合併消滅会社 |
| 残る側の呼び名 | 吸収合併存続会社 | 新設合併設立会社 |
| 定義の言い回し | 「会社が他の会社とする合併」 | 「2以上の会社がする合併」 |
どちらも、消滅する会社の権利義務の全部を承継させる点は同じです。だからこそ、違いは「承継先が存続会社か、設立会社か」の1点に絞って考えるのが近道です。
合併は「2つ以上の会社が合わさる」と最初に聞きました。吸収合併で消える会社が1社でいいなら、数が合わなくないですか?
鋭いですね。数えているのは消滅する会社だけなんです。吸収合併では、消滅する会社のほかに、残る存続会社がいます。A社が1社消えて、B社が残るなら、合わさる会社は合計で2社。だから定義と矛盾しません。
新設合併は、残る会社がいないから、消える会社が2社以上になるんですね。
そうです。2つ以上の会社が合併して、その全部が消えるので、A社とB社の2社が消えてC社ができる、というイメージです。
試験での問われ方:ひっかけに注意
では確認です。次のケースは、何合併でしょうか。
- A社が消滅して、その権利義務の全部が、すでにあるB社に承継される → 吸収合併
- A社とB社が消滅して、その権利義務の全部が、合併によって新しく設立されるC社に承継される → 新設合併
- A社とB社の2社が消滅して、その権利義務の全部が、すでにあるC社に承継される → 吸収合併(ひっかけ)
3つ目が少しひっかけです。消滅する会社が2社なので新設合併と思いがちですが、承継先がすでにあるC社なので吸収合併です。吸収合併で消滅する会社は1社以上ですから、2社が消えても吸収合併になります。消滅する会社の数だけで決めつけず、承継先が存続会社か設立会社かで見分けましょう。
試験ではここに注目
- 吸収合併は2条27号、新設合併は2条28号。条文番号の入れ替えに注意します。
- 「存続する会社」なら吸収合併、「設立する会社」なら新設合併。承継先の言葉を探します。
- 消滅する会社が2社でも、承継先がすでにある会社なら吸収合併。数だけで判断しません。
- 承継させるのは、消滅する会社の権利義務の全部。一部ではありません。
- 合併を行えるのは株式会社だけではなく、持分会社(合名・合資・合同)も含まれます。
補足:動画にない条文のポイント
※ここは動画にない補足です。①効力が生じて権利義務を承継するタイミングも違います。吸収合併では存続会社が効力発生日に、新設合併では設立会社がその成立の日に、消滅会社の権利義務を承継します(会社法750条1項、754条1項。いずれも株式会社が承継先の場合)。②合併契約に定める事項も、吸収合併では存続会社と消滅会社の商号・住所や効力発生日など(749条1項)、新設合併では設立会社の目的・商号・本店の所在地・発行可能株式総数など(753条1項)と、違いがあります。具体的な手続の流れは、動画でも次の回で扱うとされています。
まとめ
- 合併とは、2つ以上の会社が契約によって1つに合わさること。持分会社も行える。
- 吸収合併(2条27号):権利義務の全部を、存続する会社に承継させる。消滅会社は1社以上。
- 新設合併(2条28号):権利義務の全部を、設立する会社に承継させる。消滅会社は2社以上。
- 違いは承継先の1点。消える会社の数だけで判断しない。
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