聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

組織・人事 分かれた部門をつなぐ、統合の仕組み方

事例Ⅰ 第18回

事例Ⅰ 分かれた部門をつなぐ、統合の仕組み方8分56秒2026年8月9日公開

「『部門間の連携を強化する』って書いて、なんとなく点数が伸びない。そんな経験、ありませんか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、事例Ⅰの助言問題での聞かれ方、与件文のサイン、統合の三つの型、状況に合わせた型の選び方、プロジェクトチームを書くときの注意、混同しやすい点をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

「連携を強化する」と書いて、点数が伸びない

動画は、こんな問いかけから始まります。「部門間の連携を強化する」と書いたのに、なんとなく点数が伸びない。そんな経験はありませんか、と。聞き手は「まさに私です」と応じ、分化や統合といった知識は持っているのに、答案にすると急にふわっとしてしまう、と打ち明けます。講師も、知識はあるのに、与件文のどこでそれを引っ張り出せばいいのか、本番では分からなくなる、と言います。今回の動画は、そこを埋めていく回です。

論点は組織の話です。分化した部門を、どう統合するか。事業が拡大したり多角化したりすると、部門はどんどん専門分化していきます。その結果、部門ごとに目標がバラバラになったり、情報が部門の中で止まってしまったりします。それを繋ぎ直す話です。

分化とか統合とか、知識としては知ってるんですけど、答案にすると急にふわっとするんですよね。

知識はあるのに、与件文のどこでこれを引っ張り出せばいいのかが、本番だと分からなくなるんです。今日はそこを埋めていきます。

このページでは、二次試験での聞かれ方、与件文のサイン、統合の三つの型、解答への落とし込み、混同しやすい点の順に、動画の流れにそってまとめます。

二次ではどう聞かれるか、よくある失敗

講師によると、典型的には事例Ⅰの助言問題で問われます。「部門間の連携を強化するために、どのような施策が必要か」といった形です。聞き手は「その言い回し、見たことあります。でも私、いつも『連携を強化する』って書いて終わっちゃうんですよね」と言います。

この論点で一番やりがちな失敗

講師は「『連携を強化する』は結論であって、解答じゃない」と言います。どう強化するか、具体的な仕組みまで書けているかが問われます。

具体的な仕組み、ですか。

はい。どう強化するのか、その仕組みまで書けているかが問われます。しかも、もう一つ注意が必要なことがあります。

組織構造の設計と、分化後の調整を混同しない

講師が挙げる注意は、組織構造そのものの設計と混同しないことです。マトリックス組織や事業部制のような「そもそもどう部門を作るか」の話と、「分化した後にどう繋ぎ直すか」という調整の話は、別の論点だといいます。

組織構造の設計そもそもどう部門を作るか例:事業部制分化後の調整分かれた部門をどう繋ぎ直すかこの回の論点与件文を読んで「繋ぎ直す方の話だ」と気づけるかが最初の分かれ目
似た言葉が出ても、「作る話」か「繋ぐ話」かを見分けます。

混ざりやすいですね、それ。両方とも組織図に関わる話だから。

そうなんです。だから、与件文を読んだときに「これは繋ぎ直す方の話だ」と気づけるかどうかが、最初の分かれ目になります。

ここで、あとの話につながる断りがひとつあります。講師は、統合の手段を説明する場面で、マトリックス組織やプロジェクトチームといった言葉を「繋ぎ直す手段の側」で使っている、と断っています。同じ言葉が出てきても、「組織をどう作るか」の文脈なのか、「分化した部門をどう繋ぐか」の文脈なのかで、意味が変わります。言葉に反応するのではなく、文脈を見るのがコツです。

与件文のサイン4つ

では、与件文のどんな一文が出たら、この論点だと気づけばいいのか。聞き手の問いに、講師は4つのサインを挙げます。

① 部門間の対立「部門ごとに目標が異なり、連携が取れていない」② 部門横断の対応が必要「新規事業の立ち上げに複数部門の協力が必要」③ 情報の断絶「情報が部門内に閉じ、全社の意思決定が遅い」④ 経営資源に余裕がない「小さな変化にも敏感に対応したい」この論点に反応するどれが出ても統合を考える
与件文にこの4つの記述が出たら、統合の論点が頭に浮かぶようにします。
  • 部門間の利害対立やセクショナリズム:一番分かりやすいサインです。「部門ごとに目標が異なり、連携が取れていない」「各部門が自部門の業績を優先し、全社的な視点が欠けている」といった記述です。
  • 部門をまたぐ対応が必要な記述:「新規事業の立ち上げにあたり、複数部門の協力が必要になった」のように、特定のプロジェクトのために部門横断の対応が要る書き方です。聞き手が「プロジェクトチームとかタスクフォースの匂いがしますね」と言うと、講師は「その通りです」と応じています。
  • 情報の断絶:情報が部門内に閉じてしまい、全社的な意思決定が遅くなっている記述です。統合の仕組みが弱いことを示すサインです。
  • 「経営資源に余裕がない」「小さな変化にも敏感に対応したい」という記述:講師が「見落としがち」と言うサインです。統合担当者やプロジェクトチームとは違うタイプのサインだといいます。

え、違うタイプ、あるんですか。

あります。ここで整理しておきたいのが、統合の手段には大きく三つの型があるということです。

統合の手段は三つの型で整理する

講師が挙げた三つの型を、順に見ていきます。

一つ目は、公式の統合担当者を置くやり方です。リエゾン担当者やブランドマネジャーのような、部門間を横断して調整する役職を設ける方法です。聞き手は「人を一人立てるイメージですね」と受け止め、講師は「そうです」と答えます。

二つ目は、公式組織そのものの調整能力を高めるやり方です。マトリックス組織や、プロジェクトチーム、タスクフォースのように、部門をまたいだ自己完結型の組織単位を作ってしまう方法です。聞き手が「人ではなくチームを作る、という違いですね」とまとめると、講師は「そこがポイントです」と言います。

三つ目は、スラック資源の活用です。さきほどの「経営資源に余裕がない」というサインに対応する型で、部門間で在庫のような余裕資源を持たせておくことで、不確実性のショックを和らげます。

① 人統合担当者を置くリエゾン担当者ブランドマネジャー調整する役職② チーム公式組織の調整能力を高めるマトリックス組織プロジェクトチーム自己完結型の単位③ 資源スラック資源を活用する在庫のような余裕資源を持たせておくショックを和らげるどの型に近い状況かを見極めて読む
人を立てるのか、チームを作るのか、資源に余裕を持たせるのか。
型動画で出た例
統合担当者リエゾン担当者、ブランドマネジャー
公式組織の調整能力マトリックス組織、プロジェクトチーム、タスクフォース
スラック資源在庫のような余裕資源

あ、スラック資源ってそういう位置づけなんですね。人でもチームでもなく、資源そのものに余裕を持たせるという。

そうです。だから与件文を読むときは、「人を立てるべき状況なのか」「チームを組むべき状況なのか」「資源に余裕を持たせるべき状況なのか」、この三つのどれに近いかを見極める意識で読むと、整理がぐっとしやすくなります。

与件文の情報を整理する:慢性的な課題と一時的な課題

実際の整理は、頭の中でどう進めるのか。講師は設例で説明します。営業部と製造部の目標がバラバラで、しかも新商品開発のために、両部門の協力が急に必要になった。そんな状況が与件文にあったとします。

慢性的な課題営業部と製造部の目標がバラバラ恒常的な調整役統合担当者マトリックス組織的な仕組み一時的な課題新商品開発のため急に協力が必要期間限定の組織プロジェクトチーム課題達成後は解散課題の性質ごとに、型を分けて当てはめる
同じ与件文でも、慢性的な課題と一時的な課題は別の型で考えます。

この場合、「目標がバラバラ」という慢性的な部分には、恒常的な調整役、つまり統合担当者やマトリックス組織的な仕組みが合います。一方で「新商品開発のために急に協力が必要」という部分には、期間限定のプロジェクトチームが合う、というのが講師の整理です。

同じ与件文の中でも、慢性的な課題と一時的な課題を分けて考えるということですね。

まさにそうです。全部を一つの型で片付けようとすると、与件文が持っている情報を使い切れません。

単に「統合が必要」で終わらせず、状況ごとに型を当てはめていくんですね。

その通りです。

解答への落とし込み:縦割りを壊さず、横串を通す

解答に落とし込むときのコツは、型を軸にして、既存の縦割り組織を壊さずに横串を通す発想で書くことです。聞き手が「縦割りを壊さず横串、ですか」と確認すると、講師は例を示します。「部門間の調整役を明確にする」「特定の課題については部門横断のプロジェクトチームを臨時に組成する」といった型を、与件の状況に合わせて選んで書く。

NG:「部門間の連携を強化する」で終わる結論であって、解答ではない型を軸に、縦割りを壊さず横串を通す「部門間の調整役を明確にする」「特定の課題については部門横断のプロジェクトチームを臨時に組成する」
抽象的な結論で止めず、選んだ型を具体的な仕組みとして書きます。

大事なのは、抽象的な「連携強化」で止めないことです。冒頭の失敗パターンを抜け出すには、与件文のサインから型を選び、その型を具体的な仕組みとして書く。この一手間が、点数の伸びに関わってきます。

プロジェクトチームを書くときの注意

聞き手が「プロジェクトチームを書くときに、気をつけることってありますか」と尋ねると、講師は大事な点を挙げます。プロジェクトチームは、課題を達成したら解散して、メンバーは元の部署に戻る臨時の組織だということです。常設組織のように書いてしまうと、論点がずれてしまいます。

あー、それやりそうです。「専門のチームを新設して恒常的に運用する」みたいに書いちゃいそう。

そうなんです。むしろ「課題達成後は解散し、既存組織とのコンフリクトを避けながら」というニュアンスを入れられると、実務的な理解が伝わる解答になります。既存組織とぶつかる可能性がある、という視点まで持てるとかなり強いです。

では、プロジェクトチームは良い面だけ書いておけばいいのか。講師は「そこも与件文次第」と言い、良い面と注意すべき面の両方を挙げます。

良い面注意すべき面
各部門から人を集めるので迅速で柔軟に動ける既存の縦割り組織とコンフリクトが起きやすい
組織が活性化する指揮命令系統が一時的に不明確になる
幅広い専門能力を一つの課題に投入できる解散するので知識やノウハウが蓄積されにくい

どちらを厚く書くかは、与件文の記述で決めます。講師が挙げた2つの場合分けは次のとおりです。

与件文の記述書き方
「一つの部門だけでは対応できない課題が出てきた」各部門の専門能力を集められるという良い面を強調する
「頻繁に同じような課題が起きている」ノウハウが蓄積されない弱さに触れ、恒常的な統合担当者の設置も併せて助言する

良い面だけでなく、その裏にある弱さまで押さえておくと、助言に深みが出そうですね。

そうです。与件文の記述に合わせて、どちらに重みを置くかを決めます。

混同しやすい3つのポイント

最後に、この論点で混同しやすいポイントを講師が改めて整理します。

混同しやすい点見極め方
構造の設計と分化後の調整マトリックス組織などが出たら、作る話か繋ぐ話かの文脈を見極める
「連携を強化する」で終わる統合担当者やプロジェクトチームなどの具体策まで書く
プロジェクトチームを常設扱い臨時の組織で、課題達成後に解散する点を外さない

同じ言葉が出てきても、文脈で意味が変わるということですね。

そうです。そして二つ目の、抽象的な「連携を強化する」で終わってしまうパターンは、冒頭で話した失敗です。

これは冒頭で私がやってた失敗ですね…。書いたあとの見直しポイントとしても使えるんですね。

三つ目のプロジェクトチームを常設組織であるかのように説明してしまうことを含めて、この三つは、答案を書き終えたあとの見直しでチェックできる項目です。

書き終えたあとの見直し(動画の3項目)

  • マトリックス組織や事業部制の話を、文脈を見ずに「組織の作り方」と「繋ぎ直し」で取り違えていないか
  • 「連携を強化する」で止まらず、統合担当者やプロジェクトチームなどの具体策まで書けているか
  • プロジェクトチームを、常設組織のように書いていないか

まとめ

動画の整理

  • 与件文に「部門間の対立」「情報の断絶」「部門横断の対応が必要」「経営資源に余裕がない」といった記述が出たら、この論点に反応する
  • 統合の手段は三つの型で整理する:統合担当者を置く、公式組織の調整能力を高める、スラック資源を活用する
  • 慢性的な課題なのか、期間限定の課題なのかを見極めて、型を選ぶ
  • プロジェクトチームは臨時組織で、課題達成後に解散する
  • 「連携を強化する」で止めず、具体的な仕組みまで書き切る

動画の最後に、聞き手は「知識はあったのに使えなかった、が今日でなくなりそうです」と話しています。講師の締めくくりは、「連携を強化する」で止めず、具体的な仕組みまで書き切る意識で与件文を読めば、本番でこの論点を見逃しにくくなる、というものです。サインから型を選び、仕組みとして書く。この流れを、次に事例Ⅰの助言問題で見かけたときに思い出してみてください。

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