「契約」の基本と役務提供契約
経営法務 第11回
「腕がいいと評判の名医に、難しい手術をお願いしたとします。でも残念ながら病気は完治しませんでした。このとき、約束が違う、契約違反だ、手術費用を返せと言えるでしょうか。一方、大工さんに設計図どおりに家を建ててもらって、完成したばかりの家が雨漏りしたら、直してくださいと言えますよね」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、契約自由の原則、契約の成立、定型約款、そして雇用・請負・委任という役務提供契約の違いをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
名医の手術と、大工の家。何が違う?
腕がいいと評判の名医に、難しい手術をお願いしたとします。ところが残念ながら、病気は完治しませんでした。このとき「約束が違う、契約違反だ。手術費用を返せ」と言えるでしょうか。
もうひとつ。大工さんに設計図どおりに家を建ててもらったところ、完成したばかりの家が雨漏りしました。こちらは「ちゃんと直してください」「損害を賠償してください」と言えそうですよね。
お医者さんも最善を尽くしてくれただろうし、でも直らなかったのは事実だし……。うーん、難しい問題ですね。
どちらも専門家に専門的な仕事をお願いしたのは同じなのに、片方は結果に強く言えないかもしれず、もう片方は言える。この違いが、今日の核心なんだ。
その答えは、契約のルールに隠れています。このページでは、契約の土台になる契約自由の原則、現代の取引を支える定型約款、そして冒頭の疑問に直結する役務提供契約(雇用・請負・委任)の3つを順番に見ていきます。
契約自由の原則:4つの自由
ビジネスで、誰とどんなルールを結ぶか。基本的には、自由に決めてよい。これが契約自由の原則です。動画では、ディナーパーティーを企画する主催者にたとえて、次の4つの自由に整理しています。パーティーを開くかどうか、誰を招待するか、料理をフレンチにするかイタリアンにするか。どれも主催者の自由ですよね。
- 締結の自由:契約をするかしないかを決める自由。誰もあなたに、パーティーを開けとは強制できません。
- 相手方選択の自由:どの会社と取引するか、契約の相手を選ぶ自由。
- 内容決定の自由:契約の中身を自由に決める自由。
- 方式の自由:契約を結ぶときの方式(書面にするか、口頭でよいか)を自由に決める自由。
条文の根拠は、民法521条と522条2項です。521条は、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決められること(1項)、法令の制限内で契約の内容を自由に決められること(2項)を定めています。方式については、522条2項が「契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない」と定めています。
(補足:動画にない話です。条文に明記されているのは、上の「契約をするかどうか」「内容」「方式」の3つです。「相手方選択の自由」は、独立した条文ではなく、契約をするかどうかを決める自由(締結の自由)の一部として説明されることが多いです。試験では4つに分けて出てくることがあるので、4つとも言えるようにしておきましょう。)
方式の自由:口約束でも契約は成立する
え、方式の自由って、何千万円もする大きな取引でも、契約書にハンコを押さなくても、「じゃあ、よろしく」という口約束だけで契約が成立しちゃうってことですか?
原則としては、そのとおり。契約を成立させるために、特定の書式や印鑑が絶対に必要というわけではないんだ。これを契約方式の自由といって、書面などが要らない契約を不要式契約というよ。
契約書は、あとで「言った・言わない」のトラブルを防ぐために作るもの、なんですね。契約が成立する瞬間には、紙もハンコも要らない、と。
(補足:動画にない話ですが、「法令に特別の定めがある場合を除き」の例外もひとつ押さえておきましょう。代表例は保証契約で、書面(または電磁的記録)でしなければ効力を生じません(民法446条2項・3項)。)
契約はいつ成立する?
申込みと承諾が合致したとき
では、口約束でもよいとして、約束はどの瞬間に、法的な拘束力のある契約になるのでしょうか。民法522条1項は、契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(申込み)に対して、相手方が承諾をしたときに成立すると定めています。つまり、当事者双方の意思表示が合致することが必要です。
飲み会の冗談は、契約になる?
飲み会で上機嫌になった社長が「俺の会社を100円で売ってやるよ」と言って、私が「買います!」と答えたら、それも契約になっちゃうんですか?
いい質問だね。社長が本気で会社を売るつもりだったなら、口約束でも成立する可能性がある。でも冗談だったなら、話は変わってくるよ。
冗談のように、本心ではないと自分で分かっていながら意思表示をすることを心裡留保といいます。民法93条1項は、真意ではないと知ってした意思表示も、原則として有効としています。ただし、相手方がそれを真意ではないと知っていたか、知ることができたときは、無効です。飲み会の冗談であれば、聞いた側も冗談だと分かるはずなので、契約の効力は生じません。ですから「冗談は契約にならない」という結論になりますが、理由は「相手が冗談だと分かるはずだから」であって、「冗談なら常に無効」ではない点に注意してください。
メールの返信は「送った時」か「届いた時」か
次に、手紙やメールでやりとりする場面を考えます。あなたが「この商品を1万円で買いませんか」とメールで申し込み、相手が「買います」と返信メールを送った。契約はどの瞬間に成立するでしょうか。
答えは、返信を送信した瞬間ではなく、承諾の通知が申込みをした人に届いた時です。意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生じるからです(民法97条1項)。これを到達主義といい、発信した時を基準にする発信主義とは区別します。
なぜ到達主義なのか。もし発信した瞬間に成立するルールだったら、あなたはまだ返信を見てもいないのに、すでに商品を引き渡す義務を負うことになります。返信メールが何かのトラブルで届かなかったら、契約が成立したことを知らないまま、契約違反になってしまうかもしれません。取引の安全を考えると、リスクが高すぎます。そこで、確実に相手に届けるという責任を発信者に負わせることで、取引の安全を守っているわけです。
なお、「届いた」とは、一般に、相手が実際に読んだ時ではなく、相手の手元に届いて、読もうと思えば読める状態になった時と考えられています。
(補足:動画にない話です。相手方が正当な理由なく通知の到達を妨げたときは、通常到達すべきであった時に到達したものとみなされます(民法97条2項)。また、通知を発したあとに表意者が死亡したり、意思能力を喪失したり、行為能力の制限を受けたりしても、意思表示の効力は妨げられません(同3項)。)
定型約款:読まずに「同意」しても、合意したことになる?
ここからが本題に近づきます。新しいウェブサービスに登録したり、スマホアプリをダウンロードしたりするとき、スクロールしても終わらない長い利用規約が出てきますよね。あれを最後まで読み、心から「この条件で意思が合致した」と思って、同意ボタンを押している人はほとんどいないはずです。厳密にいえば、個別の条項について、意思の合致があるとは言いにくい。
けれども、電力会社が何千万人ものお客さん一人ひとりと、電気代の条件を交渉していたら、社会が止まってしまいます。そこで民法は、定型約款という特別の枠組みを用意しています。
定型取引と定型約款とは
- 定型取引:ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引で、その内容の全部または一部が画一的であることが、その双方にとって合理的なもの。
- 定型約款:定型取引において、契約の内容とすることを目的として、その特定の者により準備された条項の総体。
法務省の資料では、定型約款の例として、鉄道・バスの運送約款、電気・ガスの供給約款、保険約款、インターネットサイトの利用規約などが挙げられています。
全部読んでいなくても、合意したとみなす
定型取引を行うことの合意(定型取引合意)をした人は、次のどちらかの場合には、定型約款の個別の条項についても合意をしたものとみなされます(民法548条の2第1項)。
- 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき(たとえば、利用規約に同意するボタンを押したとき)
- 定型約款を準備した者(定型約款準備者)が、あらかじめ、その定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき
でも、それって怖くないですか。誰も読まない長文の中に、たとえば、退会したら違約金は100万円、みたいな、無茶なルールを、こっそり混ぜておいても、同意ボタンを押した瞬間に、合意したことに、なってしまうんですよね。
その心配はもっともだ。だから定型約款には、相手方を守る歯止めが、2つ用意されているんだ。
歯止め①:求められたら、内容を示す義務
定型約款準備者は、定型取引合意の前、または合意の後相当の期間内に、相手方から請求があった場合は、遅滞なく、相当な方法で、その定型約款の内容を示さなければなりません(民法548条の3第1項)。ただし、すでに約款を記載した書面を交付していたり、電磁的記録を提供していたりしたときは、この限りではありません。
そして、合意の前に相手方の請求を拒んだときは、先ほどの「合意したものとみなす」という規定は適用されません(同2項)。つまり、約款を隠したまま、約款の内容を契約の内容にすることは許されません。ただし、一時的な通信障害が起きたときなど、正当な事由がある場合は例外です。
歯止め②:不当な条項は、合意しなかったものとみなす
でも現実には、わざわざ「約款を見せてください」と請求する人は少ないですよね。
まったくだ。そこで登場するのが、最大の歯止めだよ。相手方の権利を制限し、または義務を加重する条項で、信義誠実の原則に反して、相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、合意をしなかったものとみなされる。
これは民法548条の2第2項の規定です。条文では、その定型取引の態様、その実情、取引上の社会通念に照らして判断するとされています。「退会したら違約金100万円」のように、常識的に考えて消費者が一方的に不利益を負う条項は、同意ボタンを押していても、最初からそんなルールはなかったことになります。
効率を極限まで高める仕組みであると同時に、不当な条項から相手方を守る。定型約款は、効率と保護の両立の上に成り立っているのです。
(補足:動画にない話です。どんな契約書でも定型約款になるわけではありません。法務省の資料では、一般的な事業者間取引で使われる一方当事者作成の契約書のひな型や、労働契約のひな形は、定型取引に当たらない例として挙げられています。不特定多数の人を相手にしていること、内容が画一的であることが双方にとって合理的であること、という要件を満たすかどうかがポイントです。また、準備した側が約款を変更するときは、変更が相手方の一般の利益に適合するとき、または契約の目的に反せず変更の必要性や内容の相当性などに照らして合理的なときに限り、個別に合意をとらなくても変更できます。この場合は、効力発生時期を定めてインターネットなど適切な方法で周知する必要があります(民法548条の4)。)
役務提供契約:雇用・請負・委任
ここまでは消費者として契約を結ぶ側の話でした。ここからは視点を変えて、サービスを提供する側、つまり働く側の契約を考えます。労働力や専門的なサービスを提供する契約を、役務提供契約と呼んでおきましょう。試験でも実務でも重要な形が、大きく分けて3つあります。雇用、請負、委任です。漢字だけ見ると似ていて混乱しそうですが、ハンバーガーショップのアルバイト、家を建てる大工さん、病気を診るお医者さんの3人に当てはめると、すっきり整理できます。
雇用契約:アルバイト店員さん
ハンバーガーショップでアルバイト店員さんを雇う場合が、雇用契約です。雇用は、当事者の一方(労働者)が相手方(使用者)に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対して報酬を与えることを約することで成立します(民法623条)。
ポイントは、労働に従事すること、そのものに対して報酬が払われる点です。意地悪な質問をしましょう。時給1,000円で雇ったアルバイトが、8時間お店にいたけれど、ハンバーガーをぜんぶ焦がして売り物にならなかった。「価値はゼロだから、今日の給料は払わない」と言えるでしょうか。
言えません。雇用では、労働者は決められた時間に決められた場所で働く、つまり労務の提供そのものを約束しています。売り上げが上がったかどうかという結果の責任までは約束していないので、働いた分の報酬は発生します。(ここでの話は報酬を払うかどうかであって、損害賠償の話とは別です。)
(補足:動画にない話です。雇用の報酬は後払いが原則で、労働者は約束した労働を終わった後でなければ報酬を請求できません。期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に請求できます(民法624条)。)
請負契約:家を建てる大工さん
大工さんに家を建ててもらうのが請負契約です。請負は、当事者の一方(請負人)がある仕事を完成することを約し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約して成立します(民法632条)。
ということは、大工さんがどれだけ汗水たらして働いても、家が完成しなかったら、報酬は1円ももらえないんですか?
原則はそうだね。請負は、労働力そのものではなく、あくまで結果に対して報酬をもらう契約だからだ。働くこと自体でお金をもらうのが雇用、仕事を完成させるという結果でお金をもらうのが請負、という違いだよ。
(補足:動画にない話ですが、「原則」には例外があります。注文者の責めに帰することができない事由で仕事が完成できなくなったとき、または請負が仕事の完成前に解除されたときに、すでにした仕事の結果のうち可分な部分の給付で注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなして、注文者が受ける利益の割合に応じた報酬を請求できます(民法634条)。)
結果に責任を負うからこそ、完成した家が雨漏りしていれば、注文者は契約内容に適合していないとして責任を追及できます。これを契約不適合責任といいます。請負で引き渡された仕事の目的物が、種類または品質に関して契約の内容に適合しないとき、注文者は、売買の規定が準用されるため(民法559条)、次の請求ができます。
- 履行の追完請求:目的物の修補、代替物の引渡しなど(562条)。雨漏りなら、まず修理を求めるのが基本です。
- 報酬の減額請求:相当の期間を定めて追完の催告をしても追完されないときなど(563条)
- 損害賠償請求(415条)と契約の解除(541条・542条):追完請求や減額請求とは別に行うこともできます(564条)
(補足:動画にない話です。請負にはさらに2つの定めがあります。注文者が提供した材料の性質や、注文者が与えた指図によって生じた不適合は、請負人がその不適切さを知りながら告げなかったときを除いて、上の請求ができません(民法636条)。また、引き渡された目的物に種類または品質の不適合があるとき、注文者がそれを知った時から1年以内に請負人へ通知しないと、追完請求・報酬減額請求・損害賠償請求・解除ができなくなります(民法637条1項)。請負人が引渡し時に悪意または重大な過失のときは、この期間制限は適用されません(同2項)。)
委任契約と準委任契約:お医者さん
冒頭のお医者さんの話が、委任(準委任)の世界です。まず定義を確認しましょう。
- 委任:当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾して成立する契約です(民法643条)。たとえば、弁護士に訴訟を頼むのが典型例です。
- 準委任:法律行為でない事務の委託です。委任の規定が準用されます(民法656条)。医師の診療や、私たち中小企業診断士のコンサルティングは、法律行為でない事務の処理を頼む契約として、一般に準委任と考えられます(契約内容によって性質が変わることもあります)。
準委任には委任の規定が準用されるので、両者は「ほぼ同じ」と考えてかまいません。
結果責任は負わない。そのかわり、善管注意義務を負う
お医者さんは、病気を100%治すという結果を約束しているわけではありません。どんな名医でも、人間の体を相手に、そんなことは約束できませんよね。ですから、委任や準委任では、大工さんのような結果責任や契約不適合責任を負いません。病気が治らなかったからといって、ただちに契約違反で訴えられるわけではないのです。
ちょっと待ってください。結果責任を負わないなら、お医者さんがスマホでゲームをしながら適当に診察して、病状が悪化しても、「結果責任は負いませんので」と言い逃れができてしまうんですか?
もちろん、そんなことは許されない。結果責任を負わないかわりに、受任者は、善良な管理者の注意をもって、委任された事務を処理する義務を負うんだ。略して善管注意義務。試験でも超重要だよ。
民法644条は、受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負うと定めています。この「善良な管理者の注意」は、一般に、その人の職業や社会的地位などから考えて、客観的に要求される水準の注意と説明されます。つまり、その職業・地位の人に通常期待される水準の注意(医師なら、その時点の医療水準に照らした注意)を払う義務、ということです。
病気が治るかどうかという結果はコントロールできなくても、一般に求められる水準の検査をし、適切な治療方針を選ぶというプロセスには重い責任を負っているわけです。スマホを見ながらの診察は、明らかに善管注意義務の違反です。その場合は、プロとして約束したはずの最善の努力という債務を果たさなかったとして、債務不履行責任(民法415条)を問われることになります。
(補足:動画にない話ですが、報酬まわりの規定も押さえておくと、請負との違いがはっきりします。委任の受任者は、特約がなければ報酬を請求できません(民法648条1項)。報酬の特約がある場合は、原則として事務を履行した後に請求でき、委任が履行の中途で終了したときなどは、すでにした履行の割合に応じて請求できます(同2項・3項)。また、成果に対して報酬を支払う約束(成果完成型)で、成果が引渡しを要するときは、その引渡しと同時に支払い、また634条の規定が準用されます(民法648条の2)。委任は、各当事者がいつでも解除できるのも特徴です(民法651条1項)。ただし、相手方に不利な時期に解除したときなどは、やむを得ない事由がなければ損害賠償の責任を負います(同2項)。)
3つの契約を見分けるコツ
これで、冒頭の問いに答えを出せます。
- 雇用:時間と労務の提供に対して払う。結果がどうであれ、働いた分の報酬は発生する。
- 請負:仕事の完成という結果に対して払う。完成させる責任があり、不適合があれば契約不適合責任を負う。
- 委任・準委任:事務の処理を頼む。結果は約束しないが、プロとしての最善の注意(善管注意義務)を尽くすというプロセスの責任がある。
名医の手術は準委任ですから、病気が完治しなくても、それだけで契約違反とはいえません(手を抜いたら善管注意義務違反です)。大工さんの家は請負ですから、雨漏りは契約不適合責任の問題になります。私たちがビジネスで誰かにお金を払うとき、この3つのうち何に対して払っているのかを見極めることが、トラブルを防ぐ鍵になります。
中小企業診断士として企業にアドバイスする立場になれば、この「労務」「結果」「善管注意義務」の境目を見極める力が、企業の経営判断を左右することさえあります。契約書の表題ではなく、何を約束しているのかという中身で見るのがコツです。
動画の最後の問いかけ
これからはAIが自律的に契約書を読み込み、企業間で膨大な数の自動取引、つまり無数の請負や委任の契約を、人間を介さずに結ぶ時代が来るかもしれません。そこに「意思の合致」は存在するのでしょうか。法律は、いつもテクノロジーとビジネスのあとを追いかけて進化していきます。次に契約のルールが変わるとき、それをリードするのは、今日この構造を深く理解したあなたかもしれません。
まとめ
- 契約自由の原則は、締結の自由・相手方選択の自由・内容決定の自由・方式の自由の4つ(民法521条・522条2項)。口約束でも契約は成立する(不要式契約)
- 契約は、申込みに対する承諾で成立する(522条1項)。意思表示は相手方に到達した時に効力を生じる(到達主義・97条1項)。冗談は、相手方が知り、または知ることができたとき無効(心裡留保・93条)
- 定型約款:不特定多数を相手にする、内容が画一的であることが双方にとって合理的な取引(定型取引)で、定型取引合意をすれば個別の条項にも合意したとみなす(548条の2第1項)
- 定型約款の歯止めは2つ。①請求があれば内容を示す(548条の3)、②相手方の利益を一方的に害する不当条項は合意しなかったものとみなす(548条の2第2項)
- 雇用(623条):労働に従事すること自体が約束で、結果が出なくても報酬は発生する
- 請負(632条):仕事の完成が約束。報酬は結果に対して払われ、契約不適合責任を負う
- 委任(643条)・準委任(656条):結果は約束しないが、善管注意義務(644条)を負う。違反すれば債務不履行責任
試験ではここに注目
- 契約自由の原則の4つの自由。方式の自由は「書面不要」が原則だが、法令に特別の定めがある場合は別(保証契約など)
- 契約の成立時期は到達主義。発信主義とのひっかけに注意
- 定型約款の定義(不特定多数、画一的であることが双方にとって合理的)と、不当条項は合意しなかったものとみなすという効果
- 雇用・請負・委任の定義の言い回し(労働に従事/仕事の完成/法律行為の委託)と、それぞれの責任のかたちの違い
- 委任・準委任は結果責任や契約不適合責任を負わないが、善管注意義務を負う
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