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中小企業診断士 1次試験

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企業経営理論から中小企業政策まで、1次試験の論点を科目別の講義動画にまとめています。過去問の解説も1問ずつそろえています。

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診断士 聞き流しラボ

PL法・景品表示法・フランチャイズ契約

経営法務 第13回

経営法務・民法 01411分53秒2026年4月8日公開

「毎日忙しくしているあなたに向けて、今日は複雑なルールの本質を手早く、かつ徹底的に整理していく」。動画はこんな呼びかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、製造物責任法(PL法)、景品表示法、フランチャイズ契約の3つを、どこからが対象で誰が責任を負うのかという境界線を軸にまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

3つの法律を「境界線」で解く

動画は、毎日忙しいあなたに向けて、「複雑なルールの本質を手早く、しかし徹底的に整理する」という呼びかけから始まります。法律の条文は単なる暗記だとすぐ忘れてしまうので、なぜそのルールがあるのかという裏側のロジックから理解しよう、という方針です。

扱うのは、製造物責任法(PL法)、景品表示法、フランチャイズ契約の3つです。どれも「どこからが対象で、誰が責任を負うのか」という境界線をパズルのように押さえるのがコツだと、動画は言います。診断士試験の経営法務で、引っかけが作りやすい分野です。

  • PL法:体や命の安全に関わる欠陥と、メーカーの責任。
  • 景品表示法:お財布の安全。不当な表示と過大な景品の規制。
  • フランチャイズ契約:本部と加盟店の間の力関係と、責任の所在。

(補足:自動字幕で「血管」「無質責任」などと誤変換されていた語は、このページでは「欠陥」「無過失責任」のように直して書いています。)

PL法:メーカーに無過失責任を負わせる

PL法は、製造物に欠陥があった場合に被害者を保護するための法律です。そのために、作ったメーカーに無過失責任を負わせています。わざとでなくても、落ち度が証明されなくても、欠陥があって被害が出たなら責任を負う、という厳しい仕組みです。

無過失責任ってことは、メーカーにとっては絶対防衛線みたいに厳しいですよね。

おっしゃる通りです。ただ、試験でよく狙われる注意点があります。ここでいう欠陥は、安全性に関わるもののことなんです。

味がものすごくまずい食品は、PL法上の欠陥になるんですか。

それは対象外です。おいしくない、すぐ壊れるといった品質上の不具合は、安全性に関わらない限り欠陥には当たりません。

(補足:条文では、欠陥とは、その製造物の特性や通常予見される使用形態、引き渡した時期などを考えて、通常有すべき安全性を欠いていることとされています。また、欠陥によって生じた損害が、その製造物そのものだけにとどまる場合は、PL法の損害賠償の対象にならないとされています。動画の「安全性」の話を、この定義に結びつけて覚えると安心です。なお、動画の「味がものすごくうまい食品」は音声から確定しにくい箇所ですが、続く説明から「おいしくない食品」の意味と読めます。)

何が対象になるのか

対象は、基本的に製造物です。動画では、工業製品や手工芸品のほか、住宅に組み込まれた電気製品、さらにカット野菜のように手が加えられた食品も含まれると説明されます。住宅そのものではなく、組み込まれた電気製品が対象、という点が引っかけどころです。

反対に、生野菜のように手が加えられていないものは対象外です。動画は「人間の手が加えられた瞬間に、ミスが入り込む余地が生まれるから」と理由を述べています。製造物でない電気などのエネルギー、サービス、コンピューターのプログラム、不動産も含まれません。

対象になる対象外工業製品・手工芸品組み込まれた電気製品カット野菜などの加工食品生野菜など未加工のもの電気などのエネルギーサービス・プログラム・不動産動画の線引き:人の手が加わったかどうか
動画の線引きは、製造や加工で人の手が加わったかどうかです。

(補足:法律上は、製造物とは「製造又は加工された動産」とされています。動画の「手が加わったかどうか」という説明は、この定義をやさしく言い換えたものです。不動産は動産ではないので対象外ですが、組み込まれた電気製品のような動産は対象になりうる、というのも同じ理由です。)

誰が責任を負うのか

動画では、責任を負う人はかなり幅広いとされ、メーカー、輸入業者、プライベートブランドの販売者が挙がります。さらに、下請けに製造させている親事業者(実質製造者)も対象で、「親会社だからという言い訳は通用しない」と説明されます。

(補足・動画の単純化:動画では聞き手が「販売しただけでも責任を問われる」と受け取っていますが、小売店などの単なる販売業者は、原則としてPL法の対象ではありません。法律が対象にするのは、製造・加工・輸入をした者のほか、自社の氏名や商標を製造業者として表示した者、実質的な製造業者と認められる表示をした者です。プライベートブランドの販売者は、後者にあたる場合の例として覚えるのが正確です。)

時効:5年と10年を入れ替えない

責任を追及できる期間も押さえます。動画では、人の生命または身体を侵害した場合、被害者が損害と加害者を知った時から5年、または製造物を引き渡した時から10年と説明されます(条文の表現は「損害及び賠償義務者を知った時」です)。「この数字は入れ替わって出やすいので要チェック」と動画も念を押しています。

製造物の引き渡し引き渡しから10年被害と賠償義務者を知った時5年(生命・身体)どちらか早く経過した時点で請求権が消える(動画の覚え方:5年と10年を入れ替えない)
動画の数字は、知った時から5年と、引き渡しから10年です。

(補足:動画は生命・身体の被害の場合の数字です。それ以外の損害では、知った時からの期間は3年とされています。また、体内に蓄積して害をもたらす物質による損害や、一定の潜伏期間の後に症状が出る損害については、10年の数え始めが「損害が生じた時」になるとされています。いずれも、試験では「生命・身体なら5年」とセットで問われやすい点です。)

(補足:動画にない話ですが、メーカーが責任を免れる場合も法定されています。たとえば、引き渡した時の科学・技術の水準では欠陥を認識できなかったと証明した場合(開発危険の抗弁)などです。無過失責任といっても、無制限ではありません。)

景品表示法:お財布の安全を守る

物理的な安全の次は、消費者が適正に商品を選べる環境を守る景品表示法です。いくら安全な商品でも、売り方がアンフェアだと消費者は損をしてしまいます。

景品表示法は独占禁止法の特別法にあたります。不当な表示や過大な景品類を規制して、消費者が適正に商品・サービスを選択できる環境を守る法律です。動画は「公正な競争を確保することにより」と説明しています(補足:現行の第1条は、目的を「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護すること」と定めています)。動画は、豪華すぎるおまけに目がくらんで判断が鈍るのを防ぐ「ガードレール」にたとえています。

動画によると、必要があると認める時は、総理大臣が景品類の最高額や総額を制限し、景品類の提供を禁止できます。(補足:この制限を定める権限の主体は内閣総理大臣です。第4条の権限は消費者庁長官には委任されず(景品表示法第38条第1項、同法施行令第14条)、内閣総理大臣が告示で定めます。)

景品類の3つの型

動画は、購入額や提供の仕方で、景品のルールが細かく分かれると説明します。くじ引きのような一般懸賞、複数の店が合同で行う抽選会のような共同懸賞、買った人全員にもれなく渡す総付景品の3つです。

  • 一般懸賞:取引金額が一定額未満なら商品価格の所定倍率まで、一定額以上なら法定の上限額まで。総額は売上の一定割合まで。
  • 共同懸賞:最高額は定められた上限額まで、総額は売上の一定割合まで。
  • 総付景品:取引金額が一定額未満なら所定の金額まで、一定額以上なら取引金額の一定割合まで。総額の制限はない。
景品の種類一般懸賞共同懸賞総付景品イメージくじ引き合同の抽選会全員にもれなく最高額取引額で変動上限額まで取引額で変動総額の制限ありありなし
動画が「最も狙われやすい」と言うのは、総付景品の総額に制限がない点です。

景品総額に制限がないんですか。くじ引きの懸賞には総額の制限があったのに。

そうなんです。全員にもれなく当たる総付景品なら、一部の人にだけ高額なものが当たるような射幸心をあおるおそれが小さく、ギャンブル性が低いので、総額の制限はないんですよ。

ギャンブル性があるかどうかで、総額制限の境界線が引かれているんですね。

(補足:動画は金額を伏せていますが、告示の数字は、一般懸賞が取引価額5,000円未満なら20倍・5,000円以上なら10万円、総額は売上予定総額の2%です。共同懸賞は最高額30万円、総額は売上予定総額の3%です。総付景品は、取引価額1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引価額の10分の2です。たとえば3,000円の買い物の一般懸賞は上限6万円、4,000円の買い物の総付景品は上限800円になります。数値は消費者庁『景品規制の概要』で確認。令和8年4月1日現在。)

ステルスマーケティング規制

動画はさらに、消費者の判断を狂わせる大きなトピックとして、令和5年10月から始まった新しい規制を取り上げます。広告なのに、一般消費者が広告だと分からない、いわゆるステルスマーケティング(ステマ)が景品表示法の規制対象となった、という内容です。一般消費者に事業者の表示であることが分からない表示を行うと、不当表示になります。

広告主(事業者)インフルエンサー(第三者)一般消費者宣伝を依頼規制の対象対象外動画:情報をコントロールするのは広告主
動画では、規制を受けるのは広告主側だと説明されます。

裏でお金をもらって騙すような投稿をしたインフルエンサーが、一網打尽にされるってことですか。

いえ、そこが誤解されやすい重要な境界線です。規制を受けるのは、商品・サービスを提供する事業者、つまり広告主側です。依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は、規制の対象外になります。

どうしてですか。

消費者を欺く構造を作り出して、情報をコントロールしているのは広告主だからです。法律は、構造を作り出した強い側に責任を問うようにできているんですよ。

(補足:ステマ規制は、令和5年10月1日に施行された、景品表示法上の不当表示の一類型として指定された規制です。不当表示にはほかに、品質などを実際より良く見せる優良誤認、取引条件を実際より有利に見せる有利誤認があります。動画で説明されるのは、このうち「事業者の表示だと分かりにくい表示」の類型です。)

フランチャイズ契約:同じ旗を掲げた船団

最後のテーマは、フランチャイズ契約です。「情報をコントロールする強い側に責任を問う」という考え方が、ここにもつながると動画は言います。

フランチャイズ契約は、本部であるフランチャイザーと、加盟店であるフランチャイジーの間で結ぶ契約です。コンビニがよく知られた例です。フランチャイジーは、フランチャイザーの商標やサービスなどを利用して、同じイメージのもとで営業する権利と、ノウハウや商品の提供を受けます。その見返りとして、ロイヤリティを支払います。

フランチャイザー(本部)フランチャイジー(加盟店)フランチャイジー(加盟店)フランチャイジー(加盟店)商標・ノウハウロイヤリティ同じ旗を掲げた船団:看板を貸した責任が生じる場合がある
本部と加盟店は、同じ旗を掲げた船団にたとえられます。

聞き手は「加盟店がお客さんとトラブルを起こしたとき、本部は『独立した別の会社なので』と責任逃れできるのか」と疑問を出します。動画の答えは「船団」のたとえです。消費者から見れば、どの船も同じ旗を掲げた一つの艦隊に見えます。だからこそフランチャイズ契約では、フランチャイザーに表見代理や使用者責任、そして看板を貸した責任である名板貸し責任が発生する場合があります。

(補足:動画の言い方どおり「発生する場合がある」であり、常に本部が責任を負うわけではありません。個々の事情で判断されます。名板貸し責任は、商法14条・会社法9条に定められています。)

もう一つ、本部と加盟店という事業者間の力関係の差を埋めるルールがあります。動画では、加盟店の保護のため、フランチャイズ契約の取引条件は書面で開示する義務があると説明されます。口約束で「月商100万円は固いですよ」と言われて契約し、泥沼になるのを防ぐためです。

(補足:法律上の根拠として、中小小売商業振興法第11条は、加盟者に商標などを使わせ加盟金などを徴収する連鎖化事業(特定連鎖化事業)を行う本部に、加盟希望者と契約を結ぶ前に、加盟金・保証金、商品の販売条件、経営の指導、使用させる商標、契約の期間・更新・解除などを記載した書面を交付して説明する義務を課しています。)

まとめ

動画は、今回の3つのルールに共通するのは、情報や力の差がある関係で、社会全体のバランスを取り、公正なルールを確立するための仕組みだと締めくくります。条文は最初は無味乾燥な記号に見えても、裏のロジックを知ると、弱者を守りフェアな競争を促すための地道なシステムだと分かります。

動画のポイント

  • PL法は、製造物の欠陥(安全性に関わるもの)による被害者を保護する。メーカーは無過失責任を負う。
  • 対象は加工や製造で手が加わった動産。生野菜、エネルギー、サービス、プログラム、不動産は対象外。
  • 責任主体はメーカー、輸入業者、プライベートブランドの販売者、実質製造者。時効は、生命・身体の被害なら知った時から5年、引き渡しから10年。
  • 景品表示法は独占禁止法の特別法。一般懸賞と共同懸賞には総額制限があるが、総付景品には総額制限がない。
  • ステマ規制は令和5年10月から。規制されるのは広告主で、依頼を受けたインフルエンサーは対象外とされる。
  • フランチャイズでは、本部に表見代理・使用者責任・名板貸し責任が生じる場合がある。取引条件は書面で開示する義務がある。

動画の最後には、思考の種として問いが出されます。将来、まったく新しいサービスや斬新なフランチャイズの仕組みを作ったとき、責任の所在はどこに引かれるのか。今日の「境界線」を自分の頭で当てはめてみてください。

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